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「月 (暦)」の版間の差分

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{{単位|名称=月|記号=m, mon|単位系=[[自然単位]] / [[暦法]]|物理量=[[時間]]|定義=1[[朔望月]]前後(28~31日)|SI=2.551 × 10<sup>6</sup> [[秒]]前後|画像=[[ファイル:Mosaique des phases de la lune.jpg|200px]]}}
{{単位|名称=月|記号=m, mon|単位系=[[暦法]]|物理量=[[時間]]|定義=1[[朔望月]]前後(28 - 31日)|SI=2.551 × 10<sup>6</sup> [[秒]]前後|画像=[[ファイル:Mosaique des phases de la lune.jpg|200px]]}}
'''月'''(つき、がつ、げつ、{{lang-en-short|month}})は、[[時間]]の[[単位]]の一つ。[[年]]と[[日]]の中間にある単位で<ref name=Okada70>[[#岡田ら1994|岡田ら (1994)、pp.70-72、四季と暦、月と暦]]</ref>、一[[年]]を12分した[[日]][[数]]である<ref name="NohongoDai1291">{{Cite book|和書|year=1989年|title=日本語大辞典|edition=第一刷|publisher=講談社|pages=1291|chapter=【月】|isbn=4-06-121057-2}}</ref>。現在世界で標準的に用いられる[[グレゴリオ暦]]<ref>[[#佐藤2009|佐藤 (2009)、pp.77-81、世界統一暦の試み]]</ref>は修正元の[[ユリウス暦]]の月を汲み、1ヶ月の日数は30もしくは31日を基本とし、[[2月]]のみ通常は28日、[[閏年]]には29日(ただし400年間に3回例外を置く)としている<ref name=Tenmon3-7>{{cite web|url=http://www.nao.ac.jp/QA/faq/a0307.html |title=質問3-7 1月1日はどうやって決まったの? |publisher=[[国立天文台]] |accessdate=2011-12-20}}</ref><ref name=Ike44>[[#池内1999|池内 (1999)、3.俺は北極星のように不動だ、pp.44-47、改暦の歴史]]</ref>。
'''月'''(つき、がつ、げつ)とは、[[時間]]の単位の一つ。[[天体]]の[[月]]の満ち欠けの周期に由来し、およそ1[[朔望月]](29.53[[日]])前後である。


== 概念 ==
[[暦]]では、日の整数倍となる。暦により、また同じ暦でも月により長さは異なるが、[[グレゴリオ暦]]では28~31日である。[[太陰太陽暦]]では29日又は30日となり、日本では29日の月を'''小の月'''(しょうのつき)、30日の月を'''大の月'''(だいのつき)と呼んだ。グレゴリオ暦へ改暦後は、それを準用して30日以下の月を小の月、31日の月を大の月と呼んでいる。
時間単位の「月」は、日次経過を知る際に[[天体]]の[[月]]の[[月相|相(満ち欠け)]]の様子を見ることで容易に認識できることから生じた。[[新月]]から次の新月までの[[周期]]を指す1[[朔望月]]である約29.53[[日]]から30日(大の月)もしくは29日(小の月)を1ヶ月としていた<ref>[[#青木1982|青木 (1982)、序章 月と時、pp.1-2、月のみちかけ]]</ref>。この周期単位を用いる[[太陰暦]]では、1[[年]]は約354.4日となってしまい、[[季節]]の循環を司る[[太陽]]が[[天球]]を一巡する[[周期]]である365.2422日<ref name="NohongoDai1507">{{Cite book|和書|year=1989年|title=日本語大辞典|edition=第一刷|publisher=講談社|pages=1507|chapter=【年】|isbn=4-06-121057-2}}</ref>と、三年で1ヶ月程度ずれが積み重なるため、[[閏月]]を適宜加える[[太陰太陽暦]]が作られた<ref name=Aoki3>[[#青木1982|青木 (1982)、序章 月と時、pp.3-4、太陰太陽暦]]</ref>。しかし、どのように閏月を設定すべきかという[[置閏法]]の問題が残った<ref name=Aoki3 />。一年を太陽の運行から定める[[太陽暦]]は、[[ナイル川]]の[[氾濫]]が[[太陽年]]の周期で起こる[[古代エジプト]]で発明され、[[古代ローマ]]のユリウス暦に取り込まれて[[ヨーロッパ]]に広まり、[[改暦]]を経たグレゴリオ暦として世界中に広まり、時間の「月」はその基準を天体の月から太陽へ移されることになった<ref name=Mashima>{{cite web|url=http://nwudir.lib.nara-wu.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/2377/1/AN00075153_7_pp15-20.pdf |format=PDF|title=暦法、とくに置閏法についての一考察|author=馬嶋玄敏|publisher=[[奈良女子大学]]学術情報リポジトリ |accessdate=2011-12-20}}</ref>。


== 天文学的な月 ==
天文学上は、様々な座標系で計った(天体の)月の公転の周期も「月」と呼ぶ([[#天文学的月|天文学的月]])。
=== 定義 ===
地球上からの観察において、月が太陽の位置に対して一巡する周期を[[朔望月]]または太陰月と言う。太陽 - 月 - 地球が直線に並ぶ[[朔]](新月)から次の朔まで、または太陽-地球-月が並ぶ[[望]](満月)から次の望までの期間を指す<ref name=Okada70 />。これに対し、遠方にある[[恒星]]の位置に対して月が一巡する周期を[[恒星月]]と言う。月が地球を一周する[[公転周期|公転期間]]でもある<ref>{{cite web|url=http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~mosir/work/2002/kamokata/lecture/moon/moon_html/moon_study/moon_earth/moon-orbit.html |title=月と地球の軌道|publisher=[[北海道大学]]理学部地球惑星科学科|accessdate=2011-12-20}}</ref>。地球上から見て、月の軌道が[[黄道]]に対して昇る方向で交わる点(昇交点)に来る周期を[[交点月]]と言う<ref>{{cite web|url=http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/topics/html/topics2009_2.html |title=7月22日の皆既日食|publisher=[[国立天文台]] |accessdate=2011-12-20}}</ref><ref group="2-">暦象年表2009</ref>。月が[[春分点]]を通過する周期は[[分点月]]と言われる<ref name=Matsumoto />。


月が[[近地点]]の位置に来る周期を[[近点月]]と言う<ref name=Matsumoto>{{cite web|url=http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/KOHO/HIGHLIGHT/KYODO/2004-W-01/ppr/eri0411-06matsumoto.pdf |format=PDF |title=やさしい海洋潮汐モデリング|author=松本晃治/国立天文大学電波研究部|publisher=[[東京大学]]地震研究所 |accessdate=2011-12-20}}</ref>。これら月の周期の間には、223朔望月 = 239近点月 = 242交点月 = T<small>s</small>(6585.5376日) という[[尽数関係]]があり、このT<small>s</small>は[[サロス周期]]として古くから知られている<ref>{{cite web|url=http://crf.flib.u-fukui.ac.jp/dspace/bitstream/10461/3700/1/KJ00000201729.pdf |format=PDF |title=制限三体問題とサロス周期|author=井本正介|publisher=[[福井県]]地域共同リポジトリ|accessdate=2011-12-20}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/guide/guide.html |title=日食とサロス周期|publisher=[[北海道大学]]情報基盤センター北館|accessdate=2011-12-20}}</ref>。
月初めを'''月初'''、月の終わりを'''月末'''ともいう。

主な天文学的な月の日数は以下の通りである<ref name=Lunar>2000年1月1日12:00 [[:en:Terrestrial Time|TT]];Derived from ELP2000-85: M. Chapront-Touzé, J. Chapront (1991): ''Lunar tables and programs from 4000 B. C. to A. D. 8000''. Willmann-Bell, Richmond VA; ISBN 0-943396-33-6</ref>。
{| class="wikitable"
|-
| 朔望月
| 29.530588853 + 0.000000002162 × 年 日
|-
| 恒星月
| 27.321661547 + 0.000000001857 × 年 日
|-
| 交点月
| 27.212220817 + 0.000000003833 × 年 日
|-
| 分点月
| 27.321582241 + 0.000000001506 × 年 日
|-
| 近点月
| 27.554549878 − 0.000000010390 × 年 日
|}
(いずれも2000年1月1.5日)

=== 将来 ===
一方、地球の自転は摂動や[[潮汐]]などの影響によって段々と減速している事も知られている<ref name=Aoki165>[[#青木1982|青木 (1982)、第4章 単位と天体暦、p.165、三 一年の長さ 一年の日数]]</ref>。そして、月の公転期間との差異が徐々に縮まり、約50億年後には一致して地球と月は常に同じ面を向け合うようになるとの説もある<ref>{{Cite book|和書|author=沼澤茂美、脇屋奈々代|year=2007年|title=宇宙|publisher=[[成美堂出版]] |isbn=978-4-415-30019-1|pages=50}}</ref>。こうなると1朔望月は一日となり、地球上のほぼ半分からしか月は見えなくなる。


== 暦月 ==
== 暦月 ==
[[暦]]では、月は日の整数倍となる。暦によって、また同じ暦でも月により長さは異なる。[[太陰暦]]と[[太陰太陽暦]]では、ある[[月相]](原則として[[朔]])のころの日初を、月の始まりとする。そのため、1ヶ月は平均すれば1朔望月に等しい。朔望月の日数には端数があるため、個々の月には30日の月(大の月)と29日の月(小の月)がある<ref name=Okada70 />。一年は原則として12ヶ月だが、太陰太陽暦では約2.713年に一度の[[閏年]]に[[閏月]]が加わり13ヶ月になる。[[太陽暦]]は朔望に対応した単位を持たない。そのため月を置く必然性はないが、朔望とは無関係な「月」を持っている。
=== 太陰暦・太陰太陽暦 ===
[[太陰暦]]と[[太陰太陽暦]]では、ある[[月相]](原則として[[朔]])のころの日初を、月の始まりとする。そのため、1か月は平均すれば1朔望月に等しい。朔望月の日数には端数があるため、個々の月には30日の月(大の月)と29日の月(小の月)がある。1年は原則として12か月だが、太陰太陽暦では約2.713年に一度の[[閏年]]に[[閏月]]が加わり13か月になる。


== ローマ暦に由来する名称と日数 ==
[[中国暦]]や[[和暦]]では、朔が起こる日を必ずその月の第1日目(ついたち)とする。そのため、大の月と小の月を求めるには天文学的な計算が必要となる。
[[英語]]や[[フランス語]]等の各月の呼称も、[[古代ローマ]]で制定された[[ローマ暦]]の名称を引き継いでいる。[[ローマ]]建国の初代王[[ロムルス]]によって定められた最初の暦は紀元前735年に始まったロムルス暦であり、一年を[[人間]]の[[妊娠]]期間から決められたと言われる304日とし、それを10ヶ月に分けて各月を決めた。最初の4ヶ月に[[ギリシア神話]]や[[ローマ神話]]の神々の名を当て、続けて「5番目の月」「6番目の月」(以下同)という[[番号]]を振った<ref name=Ike42>[[#池内1999|池内 (1999)、3 俺は北極星のように不動だ、pp.42-43、ローマの暦]]</ref>。


しかしこの暦では季節とのずれが激しく<ref group="注">[http://www.nao.ac.jp/QA/faq/a0307.html 天文や天文台についての質問:国立天文台]では、冬の2ヶ月に相当する期間は時間としての経過はあるが「暦」が無い空白として取り扱われたと説明する。</ref>、特に農業従事者からは不満が多かった。そのため2代目の王[[ヌマ・ポンピリウス]]は2ヶ月を追加し、太陰暦の354日を基準としながら[[偶数]]を嫌う当時の[[迷信]]からこれに一日を加えた355日を一年とする[[ヌマ暦]]を紀元前700年頃に導入した。だがこれでも年間十日程度のずれが残った。[[閏月]] (Merdedonius<ref name=Mashima />) や[[閏日]]を挿入して対応したが、やがて[[貴族]]や[[神官]]らが勝手に置閏を行うようになり、暦は不統一でばらばらな状態に陥った<ref name=Ike42 />。
[[ヒジュラ暦]]では、大の月と小の月を交互に出現させ、閏年には小の月の1つを大の月に変更する。そのため、どの月が何日あるかは閏年を別にすれば決まっている。また、朔が1日に起こるとは限らない。


[[ガイウス・ユリウス・カエサル]](ユリウス・シーザー)は[[ローマ内戦 (紀元前49年-紀元前45年)|ローマ内戦]]で逃れた[[グナエウス・ポンペイウス]]を追って[[エジプト]]に遠征し、[[クレオパトラ7世]]と協調して勝利を収めた。この際、彼は[[ソシゲネス]]から暦を学びローマに持ち帰った。これを基礎に紀元前47年に制定された、一年を太陽暦365日(閏366日)とし、[[新年]]を[[冬至]]に近いJanuarius の初日からとした暦が[[ユリウス暦]]である。1ヶ月は30日または31日が交互になるよう定め、超過分はヌマ暦で最終月だったFebruarius([[2月]])を29日(閏年は30日)と少なくして調整した。この際、[[元老院]]はシーザーを称え「第5の月」(Quintilis) の呼称を「ユリウス」 (Julius)へ改訂する決議をした<ref name=Ike44 />。
=== 太陽暦 ===
太陽暦は、定義により、朔望に対応した単位を持たない。そのため、月がある必然性はないが、朔望とは無関係な「月」を持っている。


その後、[[ローマ帝国]]初代[[皇帝]]となった[[アウグストゥス]]は支配下の元老院を操作して、誕生月であった<ref name=Mashima />「第6の月」 (Sextilis) を自らの名 (Augustus) に改称させた。この際、Julius より日数が少ないことを嫌って Februarius から1日を移して31日とし、以後の各月を30日と31日が交互に来るよう変更を施した。このような流れから、7月と8月に31日が続く状態、「8」の[[接頭辞]][[OCT]]を持つ月が[[10月]]という風に意味が2ヶ月ずれた4つの月、そして2月の日数が少なく閏の調整に使われるという現在に通じるそれぞれの「月」が定まった<ref name=Tenmon3-7 /><ref name=Ike44 />。
[[ユリウス暦]]及び[[グレゴリオ暦]]では、1か月は1年(太陽年にほぼ同じ)を12に「ほぼ」等分したものである。ほとんどは30日の月(小の月)間か31日(大の月)だが、例外的に2月は28日(平年)又は29日(閏年)である。どの月が何日あるかは閏年を別にすれば決まっている。これらの暦での月の名称(月名)と日数を以下に示す。


{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
!月!!ロムルス暦</br>由来(日数)!!ヌマ暦</br>由来(日数)!!ユリウス暦</br>(日数)!! アウグストゥス</br>改訂 (日数)!!英語!!フランス語
!月!!和名!!英語名(略称)!!日数
|-
|-
|[[1月]]||[[睦月]](むつき)||January (Jan.)||31日間
|[[1月]]||  ||Januarius </br>[[ヤーヌス]](29)||←(31)||←(31)||January (Jan.) ||janvier
|-
|-
|[[2月]]||[[如月]](きさらぎ)||February (Feb.)||28日間又は29日間([[閏年]])
|[[2月]]||  || Februarius </br>[[フェブルウス]](28)||←(29/閏30)||←(28/閏29)||February (Feb.) ||février
|-
|-
|[[3月]]||[[弥生]](やよい)||March (Mar.)||31日間
|[[3月]]||Martius </br>[[マールス|マルス]](31) ||←(31)||←(31)||←(31)||March (Mar.) ||mars
|-
|-
|[[4月]]||[[卯月]](うづき)||April (Apr.)||30日間
|[[4月]]||Aprilis </br>[[アプロディーテー|アプリリス]](30)||←(29)||←(30)||←(30)||April (Apr.) ||avril
|-
|-
|[[5月]]||[[皐月]](さつき)||May||31日間
|[[5月]]||Maius </br>[[マイア]](31)||←(31)||←(31)||←(31)||May||mai
|-
|-
|[[6月]]||[[水無月]](みなづき)||June (Jun.)||30日間
|[[6月]]||Junius </br>[[ユーノー]](30)||←(29)||←(30) ||←(30)||June (Jun.) ||juin
|-
|-
|[[7月]]||[[文]](ふみづき、ふづき)||July (Jul.)||31日間
|[[7月]]||Quintilis </br>第5の(31)||←(31)||Julius(31)||←(31)||July (Jul.) ||juillet
|-
|-
|[[8月]]||[[葉]](はづき)||August (Aug.)||31日間
|[[8月]]||Sextilis </br>第6の(30)||←(29)||←(30)||Augustus(31)||August (Aug.) ||août
|-
|-
|[[9月]]||[[長]](ながつき)||September (Sep.)||30日間
|[[9月]]||September </br>第7の(30)||←(29)||←(31)||←(30)||September (Sep.) ||septembre
|-
|-
|[[10月]]||[[神無]](かんなづき)||October (Oct.)||31日間
|[[10月]]||October </br>第8の(31)||←(31)||←(30)||←(31)||October (Oct.) ||octobre
|-
|-
|[[11月]]||[[霜]](しもつき)||November (Nov.)||30日間
|[[11月]]||November </br>第9の(30)||←(29)||←(31)||←(30)||November (Nov.) ||novembre
|-
|-
|[[12月]]||[[師走]](しわす)||December (Dec.)||31日間
|[[12月]]||Dedember </br>第10の月(30)||←(29)||←(30)||←(31)||December (Dec.) ||décembre
|}
|}


なお、皇帝の名前を「月」の名称とする慣例はその後も行われ、皇帝[[ネロ]]がAprilis([[4月]])を「ネロネウス」へ、皇帝[[ドミティアヌス]]が September ([[9月]])を「[[カリグラ|ゲルマニクス]]」(カリグラとして有名な皇帝)、October(10月)を自らの名とする変名が行われた。しかしこれらは皇帝の死後元に戻された。一方、2代皇帝[[ティベリウス]]はSeptember (9月)をその名に変えようとする元老院の決定を「皇帝が13人になったらどうする」と覆したことが知られる<ref name=Ike44 />。
== 天文学的月 ==

(スタブ)
== 世界の暦における様々な月の名称 ==
=== 季節や生活のサイクルに基づく名称 ===
農耕や狩猟などに大きく依存する原始的社会では、必ずしも月の満ち欠けに倣わない暦も作られた。例えば[[フィリピン]][[ルソン島]]のボントク・イゴロット族の暦では、農作業に応じた不定期の8つの月が定められていた<ref>[[#岡田ら1994|岡田ら (1994)、p.297、原始的な歴法、ボントク・イゴロット族の暦]]</ref>。
{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
! ボントク・イゴロット族の月!!意味!!期間
|-
|-
|イナナ||[[稲作]]の作業が無い期間||3ヶ月
| [[朔望月]]
| 29.530588853 + 0.000000002162 × 年 日
|-
|-
|ラトゥプ||初期の収穫期間||4週間
| [[恒星月]]
| 27.321661547 + 0.000000001857 × 年 日
|-
|-
|チョオク||本格的に[[米]]を収穫する期間||4週間
| [[交点月]]
| 27.212220817 + 0.000000003833 × 年 日
|-
|-
|リバス||パレイの収穫を終える期間||10-15日
| [[分点月]]
| 27.321582241 + 0.000000001506 × 年 日
|-
|-
|バリリング||キャモーツを植え付け期間||6週間
| [[近点月]]
|-
| 27.554549878 − 0.000000010390 × 年 日
|サガンマ||稲作の苗床を作る期間||2ヶ月
|-
|パチョング||種まきの期間||5-6週間
|-
|サマ||苗の植え付け期間||7週間
|}

[[北海道]]の[[アイヌ]]が用いた暦が、1892年刊行の『あいぬ風俗略志』(村尾元長 著)に記録された。旧暦の3月から始まる一年に不定期の閏月を設けていた点から、素朴な太陰太陽暦と考えられる<ref>[[#岡田ら1994|岡田ら (1994)、pp.297-298、原始的な歴法、アイヌの暦]]</ref>。自然現象や生活行動に基づく各月の名や、[[日照時間]]が長くなり始める月から一年が始まる特徴は、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[イロコイ族]]が用いた暦にも共通する<ref>[[#岡田ら1994|岡田ら (1994)、p.298、原始的な歴法、イロコイ族の暦]]</ref>。
{| class="wikitable"
!旧暦の月!!アイヌ暦!!意味
|-
|3月||イノミ チュブ または トエンタンネ チュプ||祝いの日 または 日照時間が長くなり始める月
|-
|4月||ハプラプ チュプ||[[鳥]]が来て鳴く月
|-
|5月||モ キウタ チュプ ||ヒメイズイ([[ユリ科]]の植物<ref>{{cite web|url=http://www.iph.pref.hokkaido.jp/yakuyosyokubutuen/ainuyuyosyokubutu_uni21.htm |title=アイヌ民族の有用植物|publisher=北海道立衛星研究所|accessdate=2011-12-20}}</ref>)を採り始める月
|-
|6月||シ キウタ チュプ||ヒメイズイが盛んに採れる月
|-
|7月|| モ マウ タ チュプ||[[ハマナス]]を採り始める月
|-
|8月||シ マウ タ チュプ||ハマナスが盛んに採れる月
|-
|9月||モ ニヨラプ チュプ||[[落葉]]が始まる月
|-
|10月||シ ニヨラプ チュプ||落葉が盛んな月 または [[サケ]]が来る月
|-
|11月||ウンボク チュプ||[[足の裏]]が冷たくなる月
|-
|12月||シュナン チュプ||[[たいまつ]]で[[漁撈]]をする月
|-
|1月||ク エ カイ||[[弓 (武器)|弓]]が折れるほどに[[狩猟]]を行う月
|-
|2月||チウ ルプ チュプ||[[海]]が[[凍結]]する月
|-
|閏月||ホルカバ||後戻りする月
|}
{| class="wikitable"
!イロコイ族の暦
|-
|太陽が再び大きくなる月
|-
|落葉が水に落ちる月
|-
|落葉が水に沈む月
|-
|草木が芽吹く月
|-
|[[果実]]が実付き始める月
|-
|草木が伸びる月
|-
|草木が豊穣を迎える月
|-
|収穫を始める月
|-
|収穫が終わる月
|-
|寒さが再び訪れる月
|-
|とても寒い月
|-
|太陽が再び訪れる月
|}

=== 日本の和風月名 ===
[[日本]]では伝統的に、現代暦の各月に太陰暦で使われた呼称を引き継いだ和名(和風月名)が置かれている。これらの語源には諸説ある<ref name=Okada15>[[#岡田ら1994|岡田ら (1994)、pp.15-28、和風月名の由来]]</ref>。一方で、「一月」「二月」という表記も古代から使用され、最古の例は[[奈良時代]]の720年に編纂された『日本書紀』(神武紀)に見られる[[漢字]]「二月」に[[片仮名]]の訓で「キサラギ」等、数字表記と和風月名が併記された部分がある。なお11月は「十有一月(シモツキ)」、12月は「十有二月(シハス)」である<ref name=Okada15 />。

また、各月には様々な異称がある。8月を例に取ると、「葉月」の他に「建酉月(けんゆうげつ)」「壮月(そうげつ)」「桂月(けいげつ)」「秋風月(あきかげづき)」「ささはなさ月」「仲秋(ちゅうしゅう)」「竹の春(たけのはる)」などがある<ref name=Okada15 />。

{| class="wikitable"
!月!!和名!!主な異称
|-
|[[1月]]||[[睦月]](むつき)||建寅月(けんいんげつ)、初春(しょしゅん)、新春(しんしゅん)、月正(げっせい)、他
|-
|[[2月]]||[[如月]](きさらぎ)||建卯月(けんぼうげつ)、仲春(ちゅうしゅん)殷春(いんしゅん)、星鳥(せいちょう)、他
|-
|[[3月]]||[[弥生]](やよい)||建辰月(けんしんげつ)、晩春(ばんしゅん)、殿春(でんしゅん)、竹秋(ちくしょう)、他
|-
|[[4月]]||[[卯月]](うづき)||建巳月(けんしげつ)、初夏(しょか)、首夏(しゅか)、乾梅(けんばい)、他
|-
|[[5月]]||[[皐月]](さつき)||建牛月(けんごげつ)、仲夏(ちゅうか)、盛夏(せいか)、茂林(もりん)、他
|-
|[[6月]]||[[水無月]](みなづき)||建末月(けんびげつ)、長夏(ちょうか)、晩夏(ばんか)、鶉火(じゅんか)、他
|-
|[[7月]]||[[文月]](ふみづき、ふづき)||建申月(けんしんげつ)、初秋(しょしゅう)、新秋(しんしゅう)、瓜時(かじ)、他
|-
|[[8月]]||[[葉月]](はづき)||建酉月(けんゆうげつ)、仲秋(ちゅうしゅう)、深秋(しんしゅう)、竹春(ちくしゅん)、他
|-
|[[9月]]||[[長月]](ながつき)||建戌月(けんじゅつげつ)、晩秋(ばんしゅう)、暮秋(ぼしゅう)、霜辰(そうしん)、他
|-
|[[10月]]||[[神無月]](かんなづき)||建亥月(けんがいげつ)、初冬(しょとう)、立冬(りっとう)、極陽(きょくよう)、他
|-
|[[11月]]||[[霜月]](しもつき)||建子月(けんしげつ)、仲冬(ちゅうとう)、正冬・盛冬(せいとう)、天泉(てんせん)、他
|-
|[[12月]]||[[師走]](しわす)||建丑月(けんちゅうげつ)、晩冬(ばんとう)、残冬(ざんとう)、月窮(げっきゅう)、他
|}

=== 太陰暦に基づく月名 ===
[[イスラム教]]社会では、世界標準暦(西暦)と並び太陰暦である[[ヒジュラ暦]](イスラム暦・マホメット暦・回教暦)が使われる<ref name=Okada299>[[#岡田ら1994|岡田ら (1994)、pp.299-300、太陰暦、イスラム暦]]</ref>。
{| class="wikitable"
!月!!ヒジュラ暦!!日数
|-
|1月||[[ムハッラム]](المحرّم)||30日間
|-
|2月||{{仮リンク|サファル|en|Safar}} / サーファール(صفر)||29日間
|-
|3月||{{仮リンク|ラビーウ・アル=アウワル|en|Rabi' al-awwal}} /(ربيع الأوّل)||30日間
|-
|4月||{{仮リンク|ラビーウ・アル=サーニー|en|Rabi' al-thani}} / ラビア2(ربيع الثاني , ربيع الآخر)||29日間
|-
|5月||{{仮リンク|ジュマーダー・アル=ウーラー|en|Jumada al-awwal}} / ジョマダ1(جمادى الأولى)||30日間
|-
|6月||{{仮リンク|ジュマーダー・アル=サーニー|en|Jumada al-Thani}} / ジョマダ2(جمادى الآخرة, جمادى الثانية)||29日間
|-
|7月||{{仮リンク|ラジャブ|en|Rajab}}(رجب)||30日間
|-
|8月||{{仮リンク|シャアバーン|en|Sha'aban}} / [[シャーバン]](شعبان)||29日間
|-
|9月||[[ラマダーン]] / ラマダン(رمضان)||30日間
|-
|10月||{{仮リンク|シャウワール|en|Shawwal}} / シャウワル(شعبان)||29日間
|-
|11月||{{仮リンク|ズー・アル=カーイダ|en|Dhu al-Qi'dah}} / ドゥルカーダ(ذو القعدة)||30日間
|-
|12月||{{仮リンク|ズー・アル=ヒッジャ|en|Dhu al-Hijjah}} / ドゥルヘジア(ذو الحجّة)||29/30日(閏年)
|}
イスラム圏内ではこのヒジュラ暦と併せ、農耕民のための[[イラン暦]](イスラム太陽暦)も作られた<ref name=Okada299 />。

=== 太陰太陽暦に基づく月名 ===
[[イスラエル]]では世界標準暦(西暦)と並び、太陰太陽暦である[[ユダヤ暦]]も使用される。西暦の9月頃に相当するティシュリ(チスリ)の月から始まり、閏月は19年に7度加えられる(19年7閏法)<ref name=Okada301>[[#岡田ら1994|岡田ら (1994)、pp.301-302、太陰太陽暦、ユダヤ暦]]</ref>。
{| class="wikitable"
!月!!西暦の月!!ユダヤ暦!!日数
|-
|1月||[[9月]]頃||{{仮リンク|ティシュリー|en|Tishrei}} / ティシュリ ||30日間
|-
|2月|| [[10月]]頃|| [[マルヘシュバン]] / ヘシュウアン ||29/30日間
|-
|3月|| [[11月]]頃||{{仮リンク|キスレーヴ|en|Kislev}} / キスレウ ||29/30日間
|-
|4月|| [[12月]]頃||{{仮リンク|テベット|en|Tevet}} / テベット||29日間
|-
|5月|| [[1月]]頃|| {{仮リンク|シュバット|en|Shevat}} / シエバト||30日間
|-
|6月|| [[2月]]頃|| [[アダル (ユダヤ暦)|アダル]] ||30日間
|-
|7月|| [[3月]]頃|| {{仮リンク|ニサン|en|Nisan}} ||30日間
|-
|8月|| [[4月]]頃|| {{仮リンク|イヤール|en|Iyar}} / イツヤル ||29日間
|-
|9月|| [[5月]]頃|| {{仮リンク|シバン (ユダヤ暦)|en|Sivan}} / シウアン ||30日間
|-
|10月|| [[6月]]頃|| {{仮リンク|タムーズ|en|Tammuz (Hebrew month)}} / タンムズ||29日間
|-
|11月|| [[7月]]頃|| {{仮リンク|アブ (ユダヤ暦)|en|Av}} ||30日間
|-
|12月|| [[8月]]頃||{{仮リンク|エルール|en|Elul}} / エルル ||29日間
|-
|閏月|| - || [[アダル・シェーニー]] / アダル2 ||29日間
|}

=== 月齢に則らない月名 ===
中央アメリカで栄えた[[マヤ文明]]は高い天文知識を持ち、紀元前7-6世紀には正確な月や[[金星]]の周期を割り出していた。しかし彼らが用いた[[マヤ暦]]の「月」は月の満ち欠けに関係しない20日を単位としていた。宗教暦では13ヶ月の260日を一年とし、常用暦では18ヶ月の360日に5日だけになる19番目の月を加え365日としていた<ref>[[#岡田ら1994|岡田ら (1994)、pp.315-317、太陽暦、マヤ暦]]</ref><ref>{{cite web|url=http://www.tuins.ac.jp/~satoh/n_w_a2002/n_w_a2002_6-3.htm |title=マヤのカレンダー|author=佐藤悦夫|publisher=[[富山国際大学]]現代社会学部|accessdate=2011-11-02}}</ref>。
[[File:Calendario maya.jpg|right|200px|thumb|マヤ暦のカレンダー]]
{| class="wikitable" style="text-align:center"
|-
! | 月 || マヤ常用暦の月名 || 日数
|-
| 1月 || [[ポプ|ポプ/ポップ]] (Pop) || rowspan="18" |20日
|-
| 2月 || [[ウオ|ウォ/ウオ]] (Uo) 
|-
| 3月|| [[シプ|シップ/シプ]] (Zip) 
|-
| 4月 || [[ソッツ]] (Zotz) 
|-
| 5月 || [[セック]] (Tzec) 
|-
| 6月 || シュル (Xul) 
|-
| 7月 || ヤシュキン (Yaxkin) 
|-
| 8月 || モル (Mol) 
|-
| 9月 || チェン (Chen)  
|-
| 10月 || ヤシェ (Yax) 
|-
| 11月 || サック (Zac) 
|-
| 12月 || ケフ (Ceh) 
|-
| 13月 || マック (Mac) 
|-
| 14月 || カンキン (Kankin) 
|-
| 15月 || ムアン (Muan) 
|-
| 16月 || パシュ (Pax)
|-
| 17月 || カヤップ (Kayab)
|-
| 18月 || クムク (Cumku)
|-
| 19月 || ワィエプ/ワヤッブ (Uayeb) || 5日
|}
|}
(いずれも2000年1月1.5日)


== 期間としての月 ==
== 期間としての月 ==
「月」は[[時間]]([[期間]])の[[単位]]としても用いられる。通常は「○箇月(○ヶ月、○か月)」(○かげつ)という表現を用いる。なお、単に「○月」という表現を用いる場合もあり、この場合は、[[暦]]上の[[睦月]]、[[如月]]…に対応する'''いちがつ'''(1月)、'''にがつ'''(2月)…と区別するため、日常的には「'''ひとつき'''(一月)」、「'''ふたつき'''(二月)」…と[[訓読み]]を用いるが、公用文、法令文などでは必ず「'''いちげつ'''(一月)」「'''にげつ'''(二月)」…と[[音読み]]する。
「月」は[[時間]]([[期間]])の[[単位]]としても用いられる。通常は「○箇月(○ヶ月、○か月)」(○かげつ)という表現を用いる。なお、単に「○月」という表現を用いる場合もあり、この場合は、[[暦]]上の[[睦月]]、[[如月]]…に対応する'''いちがつ'''(1月)、'''にがつ'''(2月)…と区別するため、日常的には「'''ひとつき'''(一月)」、「'''ふたつき'''(二月)」…と[[訓読み]]を用いるが、公用文、法令文などでは必ず「'''いちげつ'''(一月)」「'''にげつ'''(二月)」…と[[音読み]]する。


「1箇月」という場合は、特に断りがない限り、初日は算入せず翌日を起算日とし、翌月の起算日応当日の前日までを指す。例えば1月15日からの1箇月は、「1月16日から2月15日まで」である。翌月に起算日応当日がない場合(例:起算日が10月31日の場合)は、翌月の末日まで(この例では11月30日まで)となる。これらのことは、[[日本]]では[[民法 (日本)|民法]](138条~143条)で定められている。
「1箇月」という場合は、特に断りがない限り、初日は算入せず翌日を起算日とし、翌月の起算日応当日の前日までを指す。例えば1月15日からの1箇月は、「1月16日から2月15日まで」である。翌月に起算日応当日がない場合(例:起算日が10月31日の場合)は、翌月の末日まで(この例では11月30日まで)となる。これらのことは、[[日本]]では[[民法]](138条~143条)で定められている<ref>{{cite web|url= http://www.minnpou-sousoku.com/category/article/6/index.html |title=民法 第6章 期間の計算|publisher=民法条文解説.com |accessdate=2011-11-02}}</ref>


ただし、このように定められる1箇月は、月によって日数が異なるため、科学における証明など、厳密に[[時間]]の長さを表現することが求められる場では用いられない。[[国際単位系]] (SI) では併用単位にもなっておらず、日本では[[計量法]]で使用してよい単位には入れられていない<ref>[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H04/H04HO051.html 計量法]別表第一</ref>
ただし、このように定められる1箇月は、月によって日数が異なるため、科学における証明など、厳密に[[時間]]の長さを表現することが求められる場では用いられない。[[国際単位系]] (SI) では併用単位にもなっておらず、日本では[[計量法]]で使用してよい単位には入れられていない<ref>{{cite web|url= http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H04/H04HO051.html |title=計量法(平成四年五月二十日法律五十号)|publisher=[[総務省]] |accessdate=2011-11-02}}</ref>


== 分割法 ==
== 分割法 ==
* [[六曜]]:日本の旧暦を基準に、1ヶ月を6つの曜である「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」の6日周期に割り当てる。ただし毎月1日の曜は固定されている<ref name=Tsukuba>{{cite web|url= http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/hon_kataru/katudou/012.html |title=暦の基礎知識|publisher=[[筑波大学]]付属図書館|accessdate=2011-11-02}}</ref>。
1か月(≒30日)を一定の日数で等分する方法は、おおむね以下のとおりである{{要出典|date=2008年8月}}。
* [[七曜]]・[[週]]:各日を太陽・月・惑星に割り当てた7日周期<ref name=Tsukuba />。
* [[15]]日周期('''[[半月 (期間)|半月]]'''):1か月を二等分したもの。[[満月]]と[[新月]]の間が約15日である点にちなむ。
* [[旬]]:一ヶ月を上旬、中旬、下旬の3つに分けた区分。約10日周期<ref name=Okada70 />
* [[10]]日周期('''[[旬 (単位)|旬]]'''):[[十干]]に由来し、1か月を三等分したもので、「上旬(初旬)」「中旬」「下旬」のように用いられる。
* [[半月 (期間)|半月]]・[[二十四節気]] <ref>{{cite web|url= http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/faq/24sekki.html |title=二十四節気|publisher=国立天文台|accessdate=2011-11-02}}</ref>:15日周期
* [[7]]日周期('''[[週]]'''、'''[[七曜]]'''):4回か5回で1か月となる。

* [[6]]日周期('''[[六曜]]'''など):1か月を五等分したもの。[[12]]と30の[[最大公約数]]から。
== 参考文献 ==
*{{Cite book|和書|author=佐藤正幸|year=2009年|title=世界史における時間|publisher=[[山川出版社]] |edition=第1刷|isbn=978-4-634-34966-7|ref=佐藤2009}}
*{{Cite book|和書|author=[[池内了]]|year=1999年|title=天文学者の虫眼鏡|publisher=[[文藝春秋]]新書 |edition=第1刷|isbn=4-16-660060-5|ref=池内1999}}
*{{Cite book|和書|author=[[青木信仰]]|year=1982年|title=時と暦|publisher=[[東京大学]]出版会|edition=初版|ref=青木1982}}
*{{Cite book|和書|author=岡田芳朗、阿久根末忠|year=1994年|title=現代こよみ読み解き事典|publisher=[[柏書房]]|edition=第五版|ref=岡田ら1994}}


== 脚注 ==
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
{{reflist}}
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|group="注"}}
=== 脚注 ===
{{Reflist|2}}
=== 脚注2 ===
本脚注は、出典・脚注内で提示されている「出典」を示しています。
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{{1年の月と日}}
{{1年の月と日}}

2011年12月30日 (金) 13:14時点における版

ファイル:Mosaique des phases de la lune.jpg
記号 m, mon
暦法
時間
SI 2.551 × 106 前後
定義 1朔望月前後(28 - 31日)
テンプレートを表示

(つき、がつ、げつ、: month)は、時間単位の一つ。の中間にある単位で[1]、一を12分したである[2]。現在世界で標準的に用いられるグレゴリオ暦[3]は修正元のユリウス暦の月を汲み、1ヶ月の日数は30もしくは31日を基本とし、2月のみ通常は28日、閏年には29日(ただし400年間に3回例外を置く)としている[4][5]

概念

時間単位の「月」は、日次経過を知る際に天体相(満ち欠け)の様子を見ることで容易に認識できることから生じた。新月から次の新月までの周期を指す1朔望月である約29.53から30日(大の月)もしくは29日(小の月)を1ヶ月としていた[6]。この周期単位を用いる太陰暦では、1は約354.4日となってしまい、季節の循環を司る太陽天球を一巡する周期である365.2422日[7]と、三年で1ヶ月程度ずれが積み重なるため、閏月を適宜加える太陰太陽暦が作られた[8]。しかし、どのように閏月を設定すべきかという置閏法の問題が残った[8]。一年を太陽の運行から定める太陽暦は、ナイル川氾濫太陽年の周期で起こる古代エジプトで発明され、古代ローマのユリウス暦に取り込まれてヨーロッパに広まり、改暦を経たグレゴリオ暦として世界中に広まり、時間の「月」はその基準を天体の月から太陽へ移されることになった[9]

天文学的な月

定義

地球上からの観察において、月が太陽の位置に対して一巡する周期を朔望月または太陰月と言う。太陽 - 月 - 地球が直線に並ぶ(新月)から次の朔まで、または太陽-地球-月が並ぶ(満月)から次の望までの期間を指す[1]。これに対し、遠方にある恒星の位置に対して月が一巡する周期を恒星月と言う。月が地球を一周する公転期間でもある[10]。地球上から見て、月の軌道が黄道に対して昇る方向で交わる点(昇交点)に来る周期を交点月と言う[11][2- 1]。月が春分点を通過する周期は分点月と言われる[12]

月が近地点の位置に来る周期を近点月と言う[12]。これら月の周期の間には、223朔望月 = 239近点月 = 242交点月 = Ts(6585.5376日) という尽数関係があり、このTsサロス周期として古くから知られている[13][14]

主な天文学的な月の日数は以下の通りである[15]

朔望月 29.530588853 + 0.000000002162 × 年 日
恒星月 27.321661547 + 0.000000001857 × 年 日
交点月 27.212220817 + 0.000000003833 × 年 日
分点月 27.321582241 + 0.000000001506 × 年 日
近点月 27.554549878 − 0.000000010390 × 年 日

(いずれも2000年1月1.5日)

将来

一方、地球の自転は摂動や潮汐などの影響によって段々と減速している事も知られている[16]。そして、月の公転期間との差異が徐々に縮まり、約50億年後には一致して地球と月は常に同じ面を向け合うようになるとの説もある[17]。こうなると1朔望月は一日となり、地球上のほぼ半分からしか月は見えなくなる。

暦月

では、月は日の整数倍となる。暦によって、また同じ暦でも月により長さは異なる。太陰暦太陰太陽暦では、ある月相(原則として)のころの日初を、月の始まりとする。そのため、1ヶ月は平均すれば1朔望月に等しい。朔望月の日数には端数があるため、個々の月には30日の月(大の月)と29日の月(小の月)がある[1]。一年は原則として12ヶ月だが、太陰太陽暦では約2.713年に一度の閏年閏月が加わり13ヶ月になる。太陽暦は朔望に対応した単位を持たない。そのため月を置く必然性はないが、朔望とは無関係な「月」を持っている。

ローマ暦に由来する名称と日数

英語フランス語等の各月の呼称も、古代ローマで制定されたローマ暦の名称を引き継いでいる。ローマ建国の初代王ロムルスによって定められた最初の暦は紀元前735年に始まったロムルス暦であり、一年を人間妊娠期間から決められたと言われる304日とし、それを10ヶ月に分けて各月を決めた。最初の4ヶ月にギリシア神話ローマ神話の神々の名を当て、続けて「5番目の月」「6番目の月」(以下同)という番号を振った[18]

しかしこの暦では季節とのずれが激しく[注 1]、特に農業従事者からは不満が多かった。そのため2代目の王ヌマ・ポンピリウスは2ヶ月を追加し、太陰暦の354日を基準としながら偶数を嫌う当時の迷信からこれに一日を加えた355日を一年とするヌマ暦を紀元前700年頃に導入した。だがこれでも年間十日程度のずれが残った。閏月 (Merdedonius[9]) や閏日を挿入して対応したが、やがて貴族神官らが勝手に置閏を行うようになり、暦は不統一でばらばらな状態に陥った[18]

ガイウス・ユリウス・カエサル(ユリウス・シーザー)はローマ内戦で逃れたグナエウス・ポンペイウスを追ってエジプトに遠征し、クレオパトラ7世と協調して勝利を収めた。この際、彼はソシゲネスから暦を学びローマに持ち帰った。これを基礎に紀元前47年に制定された、一年を太陽暦365日(閏366日)とし、新年冬至に近いJanuarius の初日からとした暦がユリウス暦である。1ヶ月は30日または31日が交互になるよう定め、超過分はヌマ暦で最終月だったFebruarius(2月)を29日(閏年は30日)と少なくして調整した。この際、元老院はシーザーを称え「第5の月」(Quintilis) の呼称を「ユリウス」 (Julius)へ改訂する決議をした[5]

その後、ローマ帝国初代皇帝となったアウグストゥスは支配下の元老院を操作して、誕生月であった[9]「第6の月」 (Sextilis) を自らの名 (Augustus) に改称させた。この際、Julius より日数が少ないことを嫌って Februarius から1日を移して31日とし、以後の各月を30日と31日が交互に来るよう変更を施した。このような流れから、7月と8月に31日が続く状態、「8」の接頭辞OCTを持つ月が10月という風に意味が2ヶ月ずれた4つの月、そして2月の日数が少なく閏の調整に使われるという現在に通じるそれぞれの「月」が定まった[4][5]

ロムルス暦
由来(日数)
ヌマ暦
由来(日数)
ユリウス暦
(日数)
アウグストゥス
改訂 (日数)
英語 フランス語
1月    Januarius
ヤーヌス(29)
←(31) ←(31) January (Jan.) janvier
2月    Februarius
フェブルウス(28)
←(29/閏30) ←(28/閏29) February (Feb.) février
3月 Martius
マルス(31)
←(31) ←(31) ←(31) March (Mar.) mars
4月 Aprilis
アプリリス(30)
←(29) ←(30) ←(30) April (Apr.) avril
5月 Maius
マイア(31)
←(31) ←(31) ←(31) May mai
6月 Junius
ユーノー(30)
←(29) ←(30) ←(30) June (Jun.) juin
7月 Quintilis
第5の月(31)
←(31) Julius(31) ←(31) July (Jul.) juillet
8月 Sextilis
第6の月(30)
←(29) ←(30) Augustus(31) August (Aug.) août
9月 September
第7の月(30)
←(29) ←(31) ←(30) September (Sep.) septembre
10月 October
第8の月(31)
←(31) ←(30) ←(31) October (Oct.) octobre
11月 November
第9の月(30)
←(29) ←(31) ←(30) November (Nov.) novembre
12月 Dedember
第10の月(30)
←(29) ←(30) ←(31) December (Dec.) décembre

なお、皇帝の名前を「月」の名称とする慣例はその後も行われ、皇帝ネロがAprilis(4月)を「ネロネウス」へ、皇帝ドミティアヌスが September (9月)を「ゲルマニクス」(カリグラとして有名な皇帝)、October(10月)を自らの名とする変名が行われた。しかしこれらは皇帝の死後元に戻された。一方、2代皇帝ティベリウスはSeptember (9月)をその名に変えようとする元老院の決定を「皇帝が13人になったらどうする」と覆したことが知られる[5]

世界の暦における様々な月の名称

季節や生活のサイクルに基づく名称

農耕や狩猟などに大きく依存する原始的社会では、必ずしも月の満ち欠けに倣わない暦も作られた。例えばフィリピンルソン島のボントク・イゴロット族の暦では、農作業に応じた不定期の8つの月が定められていた[19]

ボントク・イゴロット族の月 意味 期間
イナナ 稲作の作業が無い期間 3ヶ月
ラトゥプ 初期の収穫期間 4週間
チョオク 本格的にを収穫する期間 4週間
リバス パレイの収穫を終える期間 10-15日
バリリング キャモーツを植え付け期間 6週間
サガンマ 稲作の苗床を作る期間 2ヶ月
パチョング 種まきの期間 5-6週間
サマ 苗の植え付け期間 7週間

北海道アイヌが用いた暦が、1892年刊行の『あいぬ風俗略志』(村尾元長 著)に記録された。旧暦の3月から始まる一年に不定期の閏月を設けていた点から、素朴な太陰太陽暦と考えられる[20]。自然現象や生活行動に基づく各月の名や、日照時間が長くなり始める月から一年が始まる特徴は、アメリカイロコイ族が用いた暦にも共通する[21]

旧暦の月 アイヌ暦 意味
3月 イノミ チュブ または トエンタンネ チュプ 祝いの日 または 日照時間が長くなり始める月
4月 ハプラプ チュプ が来て鳴く月
5月 モ キウタ チュプ ヒメイズイ(ユリ科の植物[22])を採り始める月
6月 シ キウタ チュプ ヒメイズイが盛んに採れる月
7月 モ マウ タ チュプ ハマナスを採り始める月
8月 シ マウ タ チュプ ハマナスが盛んに採れる月
9月 モ ニヨラプ チュプ 落葉が始まる月
10月 シ ニヨラプ チュプ 落葉が盛んな月 または サケが来る月
11月 ウンボク チュプ 足の裏が冷たくなる月
12月 シュナン チュプ たいまつ漁撈をする月
1月 ク エ カイ が折れるほどに狩猟を行う月
2月 チウ ルプ チュプ 凍結する月
閏月 ホルカバ 後戻りする月
イロコイ族の暦
太陽が再び大きくなる月
落葉が水に落ちる月
落葉が水に沈む月
草木が芽吹く月
果実が実付き始める月
草木が伸びる月
草木が豊穣を迎える月
収穫を始める月
収穫が終わる月
寒さが再び訪れる月
とても寒い月
太陽が再び訪れる月

日本の和風月名

日本では伝統的に、現代暦の各月に太陰暦で使われた呼称を引き継いだ和名(和風月名)が置かれている。これらの語源には諸説ある[23]。一方で、「一月」「二月」という表記も古代から使用され、最古の例は奈良時代の720年に編纂された『日本書紀』(神武紀)に見られる漢字「二月」に片仮名の訓で「キサラギ」等、数字表記と和風月名が併記された部分がある。なお11月は「十有一月(シモツキ)」、12月は「十有二月(シハス)」である[23]

また、各月には様々な異称がある。8月を例に取ると、「葉月」の他に「建酉月(けんゆうげつ)」「壮月(そうげつ)」「桂月(けいげつ)」「秋風月(あきかげづき)」「ささはなさ月」「仲秋(ちゅうしゅう)」「竹の春(たけのはる)」などがある[23]

和名 主な異称
1月 睦月(むつき) 建寅月(けんいんげつ)、初春(しょしゅん)、新春(しんしゅん)、月正(げっせい)、他
2月 如月(きさらぎ) 建卯月(けんぼうげつ)、仲春(ちゅうしゅん)殷春(いんしゅん)、星鳥(せいちょう)、他
3月 弥生(やよい) 建辰月(けんしんげつ)、晩春(ばんしゅん)、殿春(でんしゅん)、竹秋(ちくしょう)、他
4月 卯月(うづき) 建巳月(けんしげつ)、初夏(しょか)、首夏(しゅか)、乾梅(けんばい)、他
5月 皐月(さつき) 建牛月(けんごげつ)、仲夏(ちゅうか)、盛夏(せいか)、茂林(もりん)、他
6月 水無月(みなづき) 建末月(けんびげつ)、長夏(ちょうか)、晩夏(ばんか)、鶉火(じゅんか)、他
7月 文月(ふみづき、ふづき) 建申月(けんしんげつ)、初秋(しょしゅう)、新秋(しんしゅう)、瓜時(かじ)、他
8月 葉月(はづき) 建酉月(けんゆうげつ)、仲秋(ちゅうしゅう)、深秋(しんしゅう)、竹春(ちくしゅん)、他
9月 長月(ながつき) 建戌月(けんじゅつげつ)、晩秋(ばんしゅう)、暮秋(ぼしゅう)、霜辰(そうしん)、他
10月 神無月(かんなづき) 建亥月(けんがいげつ)、初冬(しょとう)、立冬(りっとう)、極陽(きょくよう)、他
11月 霜月(しもつき) 建子月(けんしげつ)、仲冬(ちゅうとう)、正冬・盛冬(せいとう)、天泉(てんせん)、他
12月 師走(しわす) 建丑月(けんちゅうげつ)、晩冬(ばんとう)、残冬(ざんとう)、月窮(げっきゅう)、他

太陰暦に基づく月名

イスラム教社会では、世界標準暦(西暦)と並び太陰暦であるヒジュラ暦(イスラム暦・マホメット暦・回教暦)が使われる[24]

ヒジュラ暦 日数
1月 ムハッラム(المحرّم) 30日間
2月 サファル / サーファール(صفر) 29日間
3月 ラビーウ・アル=アウワル /(ربيع الأوّل) 30日間
4月 ラビーウ・アル=サーニー英語版 / ラビア2(ربيع الثاني , ربيع الآخر) 29日間
5月 ジュマーダー・アル=ウーラー英語版 / ジョマダ1(جمادى الأولى) 30日間
6月 ジュマーダー・アル=サーニー英語版 / ジョマダ2(جمادى الآخرة, جمادى الثانية) 29日間
7月 ラジャブ英語版(رجب) 30日間
8月 シャアバーン / シャーバン(شعبان) 29日間
9月 ラマダーン / ラマダン(رمضان) 30日間
10月 シャウワール英語版 / シャウワル(شعبان) 29日間
11月 ズー・アル=カーイダ英語版 / ドゥルカーダ(ذو القعدة) 30日間
12月 ズー・アル=ヒッジャ / ドゥルヘジア(ذو الحجّة) 29/30日(閏年)

イスラム圏内ではこのヒジュラ暦と併せ、農耕民のためのイラン暦(イスラム太陽暦)も作られた[24]

太陰太陽暦に基づく月名

イスラエルでは世界標準暦(西暦)と並び、太陰太陽暦であるユダヤ暦も使用される。西暦の9月頃に相当するティシュリ(チスリ)の月から始まり、閏月は19年に7度加えられる(19年7閏法)[25]

西暦の月 ユダヤ暦 日数
1月 9月 ティシュリー / ティシュリ 30日間
2月 10月 マルヘシュバン / ヘシュウアン 29/30日間
3月 11月 キスレーヴ / キスレウ 29/30日間
4月 12月 テベット / テベット 29日間
5月 1月 シュバット / シエバト 30日間
6月 2月 アダル 30日間
7月 3月 ニサン 30日間
8月 4月 イヤール / イツヤル 29日間
9月 5月 シバン (ユダヤ暦) / シウアン 30日間
10月 6月 タムーズ英語版 / タンムズ 29日間
11月 7月 アブ (ユダヤ暦) 30日間
12月 8月 エルール / エルル 29日間
閏月  - アダル・シェーニー / アダル2 29日間

月齢に則らない月名

中央アメリカで栄えたマヤ文明は高い天文知識を持ち、紀元前7-6世紀には正確な月や金星の周期を割り出していた。しかし彼らが用いたマヤ暦の「月」は月の満ち欠けに関係しない20日を単位としていた。宗教暦では13ヶ月の260日を一年とし、常用暦では18ヶ月の360日に5日だけになる19番目の月を加え365日としていた[26][27]

マヤ暦のカレンダー
マヤ常用暦の月名 日数
1月  ポプ/ポップ (Pop)  20日
2月  ウォ/ウオ (Uo) 
3月 シップ/シプ (Zip) 
4月  ソッツ (Zotz) 
5月  セック (Tzec) 
6月  シュル (Xul) 
7月  ヤシュキン (Yaxkin) 
8月  モル (Mol) 
9月  チェン (Chen)  
10月  ヤシェ (Yax) 
11月  サック (Zac) 
12月  ケフ (Ceh) 
13月  マック (Mac) 
14月  カンキン (Kankin) 
15月  ムアン (Muan) 
16月  パシュ (Pax)
17月  カヤップ (Kayab)
18月  クムク (Cumku)
19月  ワィエプ/ワヤッブ (Uayeb)   5日

期間としての月

「月」は時間期間)の単位としても用いられる。通常は「○箇月(○ヶ月、○か月)」(○かげつ)という表現を用いる。なお、単に「○月」という表現を用いる場合もあり、この場合は、上の睦月如月…に対応するいちがつ(1月)、にがつ(2月)…と区別するため、日常的には「ひとつき(一月)」、「ふたつき(二月)」…と訓読みを用いるが、公用文、法令文などでは必ず「いちげつ(一月)」「にげつ(二月)」…と音読みする。

「1箇月」という場合は、特に断りがない限り、初日は算入せず翌日を起算日とし、翌月の起算日応当日の前日までを指す。例えば1月15日からの1箇月は、「1月16日から2月15日まで」である。翌月に起算日応当日がない場合(例:起算日が10月31日の場合)は、翌月の末日まで(この例では11月30日まで)となる。これらのことは、日本では民法(138条~143条)で定められている[28]

ただし、このように定められる1箇月は、月によって日数が異なるため、科学における証明など、厳密に時間の長さを表現することが求められる場では用いられない。国際単位系 (SI) では併用単位にもなっておらず、日本では計量法で使用してよい単位には入れられていない[29]

分割法

  • 六曜:日本の旧暦を基準に、1ヶ月を6つの曜である「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」の6日周期に割り当てる。ただし毎月1日の曜は固定されている[30]
  • 七曜:各日を太陽・月・惑星に割り当てた7日周期[30]
  • :一ヶ月を上旬、中旬、下旬の3つに分けた区分。約10日周期[1]
  • 半月二十四節気 [31]:15日周期

参考文献

  • 佐藤正幸『世界史における時間』(第1刷)山川出版社、2009。ISBN 978-4-634-34966-7 
  • 池内了『天文学者の虫眼鏡』(第1刷)文藝春秋新書、1999。ISBN 4-16-660060-5 
  • 青木信仰『時と暦』(初版)東京大学出版会、1982。 
  • 岡田芳朗、阿久根末忠『現代こよみ読み解き事典』(第五版)柏書房、1994。 

脚注

注釈

  1. ^ 天文や天文台についての質問:国立天文台では、冬の2ヶ月に相当する期間は時間としての経過はあるが「暦」が無い空白として取り扱われたと説明する。

脚注

  1. ^ a b c d 岡田ら (1994)、pp.70-72、四季と暦、月と暦
  2. ^ 「【月】」『日本語大辞典』(第一刷)講談社、1989、1291頁。ISBN 4-06-121057-2 
  3. ^ 佐藤 (2009)、pp.77-81、世界統一暦の試み
  4. ^ a b 質問3-7 1月1日はどうやって決まったの?”. 国立天文台. 2011年12月20日閲覧。
  5. ^ a b c d 池内 (1999)、3.俺は北極星のように不動だ、pp.44-47、改暦の歴史
  6. ^ 青木 (1982)、序章 月と時、pp.1-2、月のみちかけ
  7. ^ 「【年】」『日本語大辞典』(第一刷)講談社、1989、1507頁。ISBN 4-06-121057-2 
  8. ^ a b 青木 (1982)、序章 月と時、pp.3-4、太陰太陽暦
  9. ^ a b c 馬嶋玄敏. “暦法、とくに置閏法についての一考察” (PDF). 奈良女子大学学術情報リポジトリ. 2011年12月20日閲覧。
  10. ^ 月と地球の軌道”. 北海道大学理学部地球惑星科学科. 2011年12月20日閲覧。
  11. ^ 7月22日の皆既日食”. 国立天文台. 2011年12月20日閲覧。
  12. ^ a b 松本晃治/国立天文大学電波研究部. “やさしい海洋潮汐モデリング” (PDF). 東京大学地震研究所. 2011年12月20日閲覧。
  13. ^ 井本正介. “制限三体問題とサロス周期” (PDF). 福井県地域共同リポジトリ. 2011年12月20日閲覧。
  14. ^ 日食とサロス周期”. 北海道大学情報基盤センター北館. 2011年12月20日閲覧。
  15. ^ 2000年1月1日12:00 TT;Derived from ELP2000-85: M. Chapront-Touzé, J. Chapront (1991): Lunar tables and programs from 4000 B. C. to A. D. 8000. Willmann-Bell, Richmond VA; ISBN 0-943396-33-6
  16. ^ 青木 (1982)、第4章 単位と天体暦、p.165、三 一年の長さ 一年の日数
  17. ^ 沼澤茂美、脇屋奈々代『宇宙』成美堂出版、2007、50頁。ISBN 978-4-415-30019-1 
  18. ^ a b 池内 (1999)、3 俺は北極星のように不動だ、pp.42-43、ローマの暦
  19. ^ 岡田ら (1994)、p.297、原始的な歴法、ボントク・イゴロット族の暦
  20. ^ 岡田ら (1994)、pp.297-298、原始的な歴法、アイヌの暦
  21. ^ 岡田ら (1994)、p.298、原始的な歴法、イロコイ族の暦
  22. ^ アイヌ民族の有用植物”. 北海道立衛星研究所. 2011年12月20日閲覧。
  23. ^ a b c 岡田ら (1994)、pp.15-28、和風月名の由来
  24. ^ a b 岡田ら (1994)、pp.299-300、太陰暦、イスラム暦
  25. ^ 岡田ら (1994)、pp.301-302、太陰太陽暦、ユダヤ暦
  26. ^ 岡田ら (1994)、pp.315-317、太陽暦、マヤ暦
  27. ^ 佐藤悦夫. “マヤのカレンダー”. 富山国際大学現代社会学部. 2011年11月2日閲覧。
  28. ^ 民法 第6章 期間の計算”. 民法条文解説.com. 2011年11月2日閲覧。
  29. ^ 計量法(平成四年五月二十日法律第五十一号)”. 総務省. 2011年11月2日閲覧。
  30. ^ a b 暦の基礎知識”. 筑波大学付属図書館. 2011年11月2日閲覧。
  31. ^ 二十四節気”. 国立天文台. 2011年11月2日閲覧。

脚注2

本脚注は、出典・脚注内で提示されている「出典」を示しています。

  1. ^ 暦象年表2009