恩根内駅
恩根内駅 | |
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駅舎(2017年10月) | |
おんねない Onnenai | |
◄W55 初野 (10.2 km) | |
所在地 | 北海道中川郡美深町字恩根内 |
駅番号 | ○W57 |
所属事業者 | 北海道旅客鉄道(JR北海道) |
所属路線 | ■宗谷本線 |
キロ程 | 112.1 km(旭川起点) |
電報略号 | ネイ |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 1面1線 |
乗降人員 -統計年度- |
6人/日 -2014年- |
開業年月日 | 1911年(明治44年)11月3日[1] |
廃止年月日 | 2024年(令和6年)3月16日[JR北 1] |
備考 | 無人駅 |
恩根内駅(おんねないえき)は、北海道中川郡美深町字恩根内にあった北海道旅客鉄道(JR北海道)宗谷本線の駅(廃駅)である。電報略号はネイ。事務管理コードは▲121827[2]。駅番号はW57。
歴史
[編集]当駅は利用が僅少であるとして、一度は2021年(令和3年)3月での廃止が計画されていたが[新聞 1]、地元住民の運動により、美深町が維持管理費用を負担して存続していた[新聞 2]。しかし、2024年(令和6年)3月のダイヤ改正で廃止された[JR北 1]。
年表
[編集]- 1911年(明治44年)11月3日:鉄道院天塩線名寄駅 - 当駅間開業に伴い開設[3][4]。一般駅[1]。
- 1912年(大正元年)11月5日:当駅 - 音威子府駅間延伸開業[5]。
- 1949年(昭和24年)6月1日:日本国有鉄道に移管。
- 1982年(昭和57年)11月15日:貨物取り扱い廃止[1]。
- 1984年(昭和59年)
- 1986年(昭和61年)11月1日:電子閉塞化の際、無人駅化[新聞 3]。列車交換設備を撤去。その後、木造駅舎を解体して車掌車が駅舎として転用される[7]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、北海道旅客鉄道(JR北海道)の駅となる[1]。
- 1993年(平成5年)12月:現在の駅舎が落成[7][8][9]。
- 2019年(令和元年)12月3日:JR北海道が沿線自治体に対し、宗谷本線活性化推進協議会を通じて当駅含む宗谷本線の29駅[注釈 1]について、自治体による維持管理もしくは費用負担による存続か、2021年(令和3年)3月での廃止かの方針を2020年3月までに報告するよう要請[新聞 4]。
- 美深町は以前から光熱費や管理費など毎年約50万円を支出しており、駅を存続させる場合にはJR北海道の試算でさらに年間204万円が必要とされた[新聞 5]。
- 2020年(令和2年)
- 3月25日:同日までに美深町が当駅の廃止を容認[新聞 6][新聞 7][新聞 8]。路線バスやスクールバスで代替するとし[新聞 8]、2021年(令和3年)3月のダイヤ改正時の廃止を予定[新聞 1][新聞 8]。
- 4月:美深町が地元住民に対し、「線路が国道40号とほぼ並行しており、バス転換はさほど難しくはない」として、当駅ほか対象4駅[注釈 2]を全て廃止する意向を説明[新聞 9]。
- 6月3日:恩根内自治会が「高校生の通学利用が見込まれる」ことを理由として存続要望書を提出[新聞 5][新聞 9][新聞 10][新聞 11]。
- 7月16日:美深町長山口信夫が恩根内自治会役員と会談[新聞 5][新聞 9][新聞 11]。
- 7月22日:美深町議会全員協議会が駅存続を了承し、町として存続の方針が決まる[新聞 5][新聞 9][新聞 11]。
- 2021年(令和3年)4月:美深町による維持管理に移行[新聞 2][JR北 2][新聞 13]。
- 2023年(令和5年)7月:恩根内自治会が同年実施した存廃についての住民アンケートを基に、同月までに当駅の廃止を容認する旨を、美深町に伝える[新聞 14][新聞 12]。
- 2024年(令和6年)3月16日:利用者減少とダイヤ改正に伴い、廃止[JR北 1][新聞 15][新聞 16]。
駅名の由来
[編集]当駅の所在する地域名(字名)より。地域名は当駅から見て天塩川対岸の小川のアイヌ語名、「オンネナイ(onne-nay)」〔年取った(←親なる)・川〕に由来する[10]。
駅構造
[編集]1面1線の単式ホームを持っていた地上駅。無人駅。構内は千鳥配置の相対式2面2線のホームであったが、無人化に伴って駅舎ホーム側への棒線化が行われた[7]。また、手押し式の転車台も設けられ、1960年代まで残存した[7]。このほか、かつて林業が盛んだった頃は、近隣の駅と同様に周辺の山林から切り出された木材の出荷駅としての役割も持ち、稚内方面に向かって左側に木造駅舎とその横の稚内側に荷物積卸場、駅舎と反対側の名寄寄りに貨物積卸場が設けられ、客扱い用に、荷物積卸場へは稚内側から引込線、ホーム外側には貨物積卸用の副本線を有した。
駅舎は有人時代の木造駅舎が解体された後、車掌車改造のものを経て、1993年(平成5年)12月[9]に現在の駅舎(美深町所有[8])となっていた[7]。
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ホーム(2017年10月)
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駅名標(2017年10月)
利用状況
[編集]乗車人員の推移は以下の通り。出典元が「乗降人員」となっているものについては1/2とした値を括弧書きで1日平均乗車人員の欄に示し、備考欄で元の値を示す。
また、「JR調査」については、当該の年度を最終年とする過去5年間の各調査日における平均である。
年度 | 乗車人員(人) | 出典 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|
年間 | 1日平均 | JR調査 | |||
1978年(昭和53年) | 74.0 | [11] | |||
2015年(平成27年) | 「10名以下」 | [JR北 3] | |||
2016年(平成28年) | 2.8 | [JR北 4] | |||
2017年(平成29年) | 2.2 | [JR北 5] | |||
2018年(平成30年) | 1.6 | [JR北 6] | |||
2019年(令和元年) | 0.8 | [JR北 7] | |||
2020年(令和 | 2年)0.2 | [JR北 8] | |||
2021年(令和 | 3年)0.0 | [JR北 9] | |||
2022年(令和 | 4年)0.0 | [JR北 10] | |||
2023年(令和 | 5年)0.2 | [JR北 11] |
駅周辺
[編集]恩根内集落があり、駅開業後は発展により、物資の集散地となった[7]。2020年(令和2年)時点では、駅前には民家が点在し、徒歩5分圏内には、廃校となった旧恩根内小学校を2012年(平成24年)に改装した「アートヴィレッジ恩根内」(下記)がある[新聞 5]。
- 国道40号
- 美深町役場恩根内出張所(恩根内センタープラザ内)
- 名寄警察署恩根内駐在所
- 恩根内郵便局
- アートヴィレッジ恩根内 - カフェ、ギャラリー、アトリエ(工房)、ドミトリーで構成される個人運営の施設[12]。カフェの壁には、地元在住の高齢者らの記憶を基に再現された、1950年(昭和25年)当時の恩根内村のジオラマ風地図が飾られている。[13] [14]
- 天塩川
- 名士バス恩根内線「恩根内」停留所[15]
- 「不滅の零戦魂 柳谷謙治之碑」
隣の駅
[編集]- 北海道旅客鉄道(JR北海道)
- ■宗谷本線(当駅廃止時点)
- *:
打消線は廃駅
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日、900頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
- ^ 日本国有鉄道営業局総務課 編『停車場一覧 昭和41年3月現在』日本国有鉄道、1966年、239頁。doi:10.11501/1873236 。2023年1月15日閲覧。
- ^ “鉄道院告示 第92号”. 『官報』 (大蔵省印刷局) (8510). (1911-10-31). NDLJP:2951867 .
- ^ a b 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 20号・宗谷本線/留萌本線、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2009年11月2日、14-17頁。
- ^ “鉄道院告示 第36号”. 『官報』 (大蔵省印刷局) (75). (1912-10-30). NDLJP:2952172 .
- ^ “「通報」●函館本線江部乙駅ほか49駅の駅員無配置について(旅客局)”. 鉄道公報 (日本国有鉄道総裁室文書課): p. 1. (1984年11月9日)
- ^ a b c d e f “全駅DATA 石北本線②(上川~網走) 宗谷本線”. 週刊JR全駅・全車両基地 (朝日新聞出版) (No.60): pp.19-27. (2013-10-03).
- ^ a b “美深町公共施設等総合管理計画”. 美深町 (2016年5月). 2023年6月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月14日閲覧。
- ^ a b 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '94年版』ジェー・アール・アール、1994年7月1日、185頁。ISBN 4-88283-115-5。
- ^ “アイヌ語地名リスト オニシベ~キタ P31-40P”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年10月19日閲覧。
- ^ 藤田, 稔 編『国鉄全駅大事典』藤田書店、1980年4月30日、888頁。doi:10.11501/12065814 。
- ^ “アートヴィレッジ恩根内”. アートヴィレッジ恩根内. 2024年3月18日閲覧。
- ^ “アートヴィレッジ恩根内”. 里の物語. 都市農山漁村交流活性化機構. 2024年3月18日閲覧。
- ^ “アートヴィレッジ恩根内”. 美深町観光協会. 2024年3月18日閲覧。
- ^ “時刻表・運賃表・経由図”. 名士バス. 2024年3月18日閲覧。
JR北海道
[編集]- ^ a b c 『2024年3月ダイヤ改正について』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2023年12月15日。オリジナルの2023年12月15日時点におけるアーカイブ 。2023年12月15日閲覧。
- ^ 『来春のダイヤ見直しについて』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2020年12月9日。オリジナルの2020年12月9日時点におけるアーカイブ 。2020年12月10日閲覧。
- ^ “極端にご利用の少ない駅(3月26日現在)” (PDF). 平成28年度事業運営の最重点事項. 北海道旅客鉄道. p. 6 (2016年3月28日). 2017年9月25日閲覧。
- ^ “宗谷線(名寄・稚内間)” (PDF). 北海道旅客鉄道 (2017年12月8日). 2017年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月30日閲覧。
- ^ “宗谷線(名寄・稚内間)” (PDF). 北海道旅客鉄道 (2017年7月2日). 2017年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月13日閲覧。
- ^ “宗谷線(名寄・稚内間)” (PDF). 線区データ(当社単独では維持することが困難な線区)(地域交通を持続的に維持するために). 北海道旅客鉄道. p. 3 (2019年10月18日). 2019年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月18日閲覧。
- ^ “宗谷線(名寄・稚内間)” (PDF). 地域交通を持続的に維持するために > 輸送密度200人以上2,000人未満の線区(「黄色」8線区). 北海道旅客鉄道. p. 3・4 (2020年10月30日). 2020年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月3日閲覧。
- ^ “駅別乗車人員 特定日調査(平日)に基づく”. 北海道旅客鉄道. 2022年8月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月14日閲覧。
- ^ “駅別乗車人員 特定日調査(平日)に基づく”. 北海道旅客鉄道. 2022年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月3日閲覧。
- ^ “駅別乗車人員 特定日調査(平日)に基づく”. 北海道旅客鉄道. 2023年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月10日閲覧。
- ^ “宗谷線(旭川・稚内間) 事業の抜本的な改善方策の実現に向けた実行計画(2024(令和6)~2026(令和8)年度)” (PDF). 北海道旅客鉄道 (2024年). 2024年9月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年9月8日閲覧。
新聞記事
[編集]- ^ a b “宗谷線13無人駅 来年3月廃止へ”. 『北海道新聞』. (2020年3月28日). オリジナルの2020年3月28日時点におけるアーカイブ。 2020年3月28日閲覧。
- ^ a b “無人18駅、自治体管理へ JR北海道 経営難で急拡大”. 『北海道新聞』. (2021年2月5日). オリジナルの2021年2月6日時点におけるアーカイブ。 2021年2月7日閲覧。
- ^ “宗谷線、20駅無人化へ 特殊自動閉そく装置導入工事進む”. 交通新聞 (交通協力会): p. 2. (1986年9月17日)
- ^ “宗谷線の無人駅管理 自治体に要請 JR「負担か廃止」 3月期限、悩む沿線”. 北海道新聞. (2019年12月12日). オリジナルの2019年12月12日時点におけるアーカイブ。 2020年3月28日閲覧。
- ^ a b c d e f 【岐路の鉄路】恩根内駅 廃止一転、存続へ/宗谷線 廃駅方針の12駅で初/美深町民、維持管理に協力約束『朝日新聞』朝刊2020年7月31日(北海道面)
- ^ “宗谷線の計5駅、廃止受け入れ 名寄市と美深町”. 『北海道新聞』. (2020年3月26日). オリジナルの2020年3月26日時点におけるアーカイブ。 2020年3月26日閲覧。
- ^ “宗谷線無人5駅 21年春廃止 名寄市、美深町が受け入れ「仕方ない」「寂しい」惜しむ声”. 『北海道新聞』. (2020年3月26日). オリジナルの2020年3月26日時点におけるアーカイブ。 2020年3月26日閲覧。
- ^ a b c 町内4駅廃止受け入れ 美深町地域公共交通活性化協議会 町が名士バスと協議へ 路線バス、スクールバスで代替(名寄新聞、2020年3月28日)
- ^ a b c d “駅ノートに「祝・廃止撤回!」 宗谷線の駅、一転存続へ”. 『朝日新聞』. (2020年7月31日). オリジナルの2020年10月28日時点におけるアーカイブ。 2020年10月28日閲覧。
- ^ “宗谷線・恩根内駅 廃止一転存続へ 「通学需要」住民要望実る”. 『北海道新聞』. (2020年7月28日). オリジナルの2020年7月28日時点におけるアーカイブ。 2020年7月28日閲覧。
- ^ a b c d 高校進学者続くなど理由に JR恩根内駅存続へ 恩根内自治会が要望書を提出 美深町で維持管理費用負担へ(名寄新聞、2020年7月26日)
- ^ a b c 初野駅、恩根内駅「廃止やむなし」 美深町 自治会から報告受ける 今後、JRと最終決定へ(名寄新聞、2023年7月12日)
- ^ 美深町・名寄市 2021年度から維持費用負担 恩根内、智北、日進の3駅 美深町は通学定期代差額支援も(名寄新聞、2021年3月24日)
- ^ a b 朝生, 樹「美深・恩根内駅の廃止、自治会受け入れ 初野駅も」『北海道新聞デジタル』北海道新聞社、2023年7月12日。オリジナルの2023年7月12日時点におけるアーカイブ。2023年7月12日閲覧。
- ^ JR北海道 初野駅、恩根内駅が廃止 来年3月16日ダイヤ改正で(名寄新聞、2023年12月17日)
- ^ JR恩根内駅、初野駅 地域に根差した駅、別れ惜しむ 住民たちが列車見送る 自治会で「さよならイベント」 名寄新聞、2024年3月17日
- ^ 竹中, 達哉「「五十六の最期」平和願う 撃墜死から80年 護衛の故柳谷さん、故郷・美深に碑 34年前建立」『北海道新聞デジタル』北海道新聞社、2023年4月19日。オリジナルの2023年7月11日時点におけるアーカイブ。2023年7月11日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 恩根内|駅の情報検索(時刻表・バリアフリー)|鉄道・きっぷ|JR北海道- Hokkaido Railway Company