兜沼駅

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兜沼駅
駅舎(2017年10月)
かぶとぬま
Kabutonuma
W74 豊富 (15.0 km)
(5.8 km) 勇知 W77
地図
所在地 北海道天塩郡豊富町字上サロベツ619
北緯45度13分12.9秒 東経141度41分50秒 / 北緯45.220250度 東経141.69722度 / 45.220250; 141.69722座標: 北緯45度13分12.9秒 東経141度41分50秒 / 北緯45.220250度 東経141.69722度 / 45.220250; 141.69722
駅番号 W76
所属事業者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
所属路線 宗谷本線
キロ程 230.9 km(旭川起点)
電報略号 カマ
駅構造 地上駅
ホーム 2面2線
乗降人員
-統計年度-
6人/日
-2014年-
開業年月日 1924年(大正13年)6月25日[1]
備考 無人駅
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兜沼駅(かぶとぬまえき)は、北海道宗谷総合振興局天塩郡豊富町字上サロベツ[2]にある北海道旅客鉄道(JR北海道)宗谷本線である。電報略号カマ[3]事務管理コードは▲121847[4]駅番号W76

歴史[編集]

1977年の兜沼駅と周囲約500m範囲。左が稚内方面。国鉄型配線の2面3線と駅舎横名寄側に貨物積卸場と引込み線がある。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
  • 1924年大正13年)6月25日鉄道省天塩北線稚内駅(現・南稚内駅) - 当駅間開通に伴い開業[5][6][7]一般駅[1]
  • 1926年(大正15年)9月25日:幌延駅 - 当駅間延伸開業に伴い中間駅となる。また天塩南線と天塩北線を統合し線路名を天塩線に改称、それに伴い同線の駅となる[6]
  • 1930年昭和5年)4月1日:天塩線を宗谷本線に編入、それに伴い同線の駅となる[6]
  • 1949年(昭和24年)6月1日公共企業体である日本国有鉄道に移管。
  • 1982年(昭和57年)3月29日:貨物扱い廃止[1]
  • 1984年(昭和59年)
  • 1986年(昭和61年)11月1日:電子閉塞化に伴い完全無人化[8]
  • 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、北海道旅客鉄道(JR北海道)の駅となる[1]
  • 1988年(昭和63年):駅舎改築[2]
  • 2019年(令和元年)12月3日:JR北海道が宗谷本線沿線自治体に、当駅含む1日平均乗降人員3名以下の駅について、自治体による維持管理もしくは費用負担による存続か、2021年(令和3年)3月での廃止かの方針を2020年3月までに報告するよう要請[新聞 2]
  • 2021年(令和3年)4月:豊富町による維持管理に移行[JR北 1][新聞 3]
    • 豊富町では当駅の存続について、同年8月の北海道新聞の取材に対し「稚内の高校に通う2人の生徒が卒業する再来年度(注:2023年度)以降は未定」としている[新聞 4]

駅名の由来[編集]

付近にある沼(現在の兜沼)の様子から命名されたものである[9][10][11][12]

この沼は明治期の地図には「ペライサルトー」と書かれていることから、アイヌ語では「釣りをする・ヨシ原の・沼」の意である「ペライサㇽト(peray-sar-to)」と呼ばれたと考えられている[10][12]

沼は和人入植後、「サロペットウ[13]」「サロベツ湖[14]」などの名称で呼ばれ、沼のほとりの入植地も「沼の端[13]」の和名で呼ばれていたが、駅名は沼が鍬形に似ていることから「兜沼」と命名されることとなり[14][9][13][11][12]、地区名や沼の名も兜沼と呼ばれるようになった[13]

駅構造[編集]

相対式ホーム2面2線を有する地上駅[15]。1番線の北側に駅舎を有し、互いのホームは旭川方の構内踏切で連絡している[15]

そのほか1993年(平成5年)3月時点では1番線の旭川方から分岐し駅舎西側のホーム切欠き部分の貨物ホームへの貨物側線を1線有していた[15]。また、1983年(昭和58年)4月時点では対向側ホーム外側への副本線を1線、その稚内方から分岐した行き止りの側線を1線有していた[16]。この副本線と側線は1993年(平成5年)3月までには撤去された[15]。この時点では2番線は下り専用ではなく待避線も兼ねた上下共用であった[16]

豊富町管理の無人駅有人駅時代の駅舎は改築され、外壁がサイディング張りになった小さな駅舎が建築されている[15]。駅舎内にトイレを有する[17]

のりば[編集]

番線 路線 方向 行先
1 宗谷本線 上り 幌延名寄方面
2 下り 稚内方面

利用状況[編集]

乗車人員の推移は以下の通り。年間の値のみ判明している年度は日数割で算出した参考値を括弧書きで示す。出典が「乗降人員」となっているものについては1/2とした値を括弧書きで乗車人員の欄に示し、備考欄で元の値を示す。

また、「JR調査」については、当該の年度を最終年とする過去5年間の各調査日における平均である。

乗車人員推移
年度 乗車人員(人) 出典 備考
年間 1日平均 JR調査
1981年(昭和56年) (30.5) [16] 一日平均乗降客数61人
1992年(平成04年) (17.0) [3] 一日平均乗降客数34人
2015年(平成27年) 「10名以下」 [JR北 2]
2016年(平成28年) 4.4 [JR北 3]
2017年(平成29年) 3.6 [JR北 4]
2018年(平成30年) 2.6 [JR北 5]
2019年(令和元年) 1.8 [JR北 6]
2020年(令和02年) 1.8 [JR北 7]
2021年(令和03年) 2.4 [JR北 8]
2022年(令和04年) 2.2 [JR北 9]

駅周辺[編集]

兜沼の畔に位置し、ホームからは兜沼が一望出来る[17]利尻富士も望める[17]

隣の駅[編集]

北海道旅客鉄道(JR北海道)
宗谷本線
豊富駅 (W74) - *徳満駅 (W75) - *芦川駅 - 兜沼駅 (W76) - 勇知駅 (W77)
*打消線は廃駅[7]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日、903頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  2. ^ a b “全駅DATA 石北本線②(上川~網走) 宗谷本線”. 週刊JR全駅・全車両基地 (朝日新聞出版) (No.60): pp.19-27. (2013-10-03). 
  3. ^ a b 宮脇俊三原田勝正 著、二見康生 編『北海道630駅』小学館〈JR・私鉄各駅停車〉、1993年6月20日、151頁。ISBN 4-09-395401-1 
  4. ^ 日本国有鉄道営業局総務課 編『停車場一覧 昭和41年3月現在』日本国有鉄道、1966年、240頁。doi:10.11501/1873236https://doi.org/10.11501/18732362023年1月15日閲覧 
  5. ^ 大蔵省印刷局, ed (1924-06-21). “鉄道省告示 第120号”. 官報 (国立国会図書館デジタルコレクション) (3548). https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2955696/2. 
  6. ^ a b c 書籍『JR・私鉄全線各駅停車1 北海道630駅』(小学館1993年6月発行)179-180ページより。
  7. ^ a b 書籍『日本鉄道旅行地図帳 全線全駅全廃線 1 北海道』(監修:今尾恵介新潮社2008年5月発行)47ページより。
  8. ^ 書籍『無人駅探訪』(監修:西崎さいき、文芸社2011年6月発行)149ページより。
  9. ^ a b 『北海道 駅名の起源』(第1版)日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日、182頁。ASIN B000J9RBUY 
  10. ^ a b 山田秀三『北海道の地名』(2版)草風館、浦安市〈アイヌ語地名の研究 別巻〉、2018年11月30日、140頁。ISBN 978-4-88323-114-0 
  11. ^ a b 太田幸夫『北海道の駅 878ものがたり ~駅名のルーツ探求~』(1版)富士コンテム、札幌市、2004年2月29日、125頁。ISBN 4-89391-549-5 
  12. ^ a b c アイヌ語地名リスト オニシベ~キタ P31-40P”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年10月19日閲覧。
  13. ^ a b c d 佐々木, 登『サロベツ原野 : わが開拓の回顧』「サロベツ原野」刊行会、1968年12月20日、160-161頁。doi:10.11501/3448819https://dl.ndl.go.jp/pid/3448819/ 
  14. ^ a b 札幌鉄道局 編『駅名の起源』北彊民族研究会、1939年、37頁。doi:10.11501/1029473NDLJP:1029473https://dl.ndl.go.jp/pid/1029473 
  15. ^ a b c d e 宮脇, 俊三原田, 勝正 著、二見, 康生 編『北海道630駅』小学館〈JR・私鉄各駅停車〉、1993年6月20日、151頁。ISBN 4-09-395401-1 
  16. ^ a b c d 書籍『国鉄全線各駅停車1 北海道690駅』(小学館1983年7月発行)186ページより。
  17. ^ a b c 書籍『北海道鉄道駅大図鑑』(著:本久公洋、北海道新聞社2008年8月発行)224ページより。

JR北海道[編集]

  1. ^ 来春のダイヤ見直しについて』(PDF)(プレスリリース)北海道旅客鉄道、2020年12月9日。 オリジナルの2020年12月9日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20201209060401/https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20201209_KO_kaisei.pdf2020年12月10日閲覧 
  2. ^ 極端にご利用の少ない駅(3月26日現在)” (PDF). 平成28年度事業運営の最重点事項. 北海道旅客鉄道. p. 6 (2016年3月28日). 2017年9月25日閲覧。
  3. ^ 宗谷線(名寄・稚内間)” (PDF). 線区データ(当社単独では維持することが困難な線区). 北海道旅客鉄道 (2017年12月8日). 2017年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月30日閲覧。
  4. ^ 宗谷線(名寄・稚内間)” (PDF). 北海道旅客鉄道 (2017年7月2日). 2017年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月13日閲覧。
  5. ^ 宗谷線(名寄・稚内間)” (PDF). 線区データ(当社単独では維持することが困難な線区)(地域交通を持続的に維持するために). 北海道旅客鉄道. p. 3 (2019年10月18日). 2019年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月18日閲覧。
  6. ^ 宗谷線(名寄・稚内間)” (PDF). 地域交通を持続的に維持するために > 輸送密度200人以上2,000人未満の線区(「黄色」8線区). 北海道旅客鉄道. p. 3・4 (2020年10月30日). 2020年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月3日閲覧。
  7. ^ 駅別乗車人員 特定日調査(平日)に基づく”. 北海道旅客鉄道. 2022年8月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月14日閲覧。
  8. ^ 駅別乗車人員 特定日調査(平日)に基づく”. 北海道旅客鉄道. 2022年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月3日閲覧。
  9. ^ 駅別乗車人員 特定日調査(平日)に基づく”. 北海道旅客鉄道. 2023年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月10日閲覧。

新聞記事[編集]

  1. ^ “「通報」●函館本線江部乙駅ほか49駅の駅員無配置について(旅客局)”. 鉄道公報 (日本国有鉄道総裁室文書課): p. 1. (1984年11月9日) 
  2. ^ “宗谷線の無人駅管理 自治体に要請 JR「負担か廃止」 3月期限、悩む沿線”. 北海道新聞. (2019年12月12日). オリジナルの2019年12月12日時点におけるアーカイブ。. https://archive.vn/rLCSB 2020年3月28日閲覧。 
  3. ^ “無人18駅、自治体管理へ JR北海道 経営難で急拡大”. 北海道新聞. (2021年2月5日). オリジナルの2021年2月6日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/QVPN7 2021年2月9日閲覧。 
  4. ^ 堀田昭一 (2021年8月28日). “利用わずか 重い維持費 JR線歌内廃止 自治体管理駅、存続険しく”. どうしん電子版 (北海道新聞社). https://www.hokkaido-np.co.jp/article/582969 2021年8月28日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]