岸辺露伴は動かない

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岸辺露伴は動かない
ジャンル サスペンス・ホラー
漫画
作者 荒木飛呂彦
出版社 集英社
掲載誌 週刊少年ジャンプほか
レーベル ジャンプ・コミックス
発表期間 1997年 -
巻数 既刊2巻(2018年7月現在)
テンプレート - ノート
ポータル 漫画

岸辺露伴は動かない』(きしべろはんはうごかない、Thus spoke Kishibe Rohan)は、荒木飛呂彦による日本の短編漫画シリーズ。およびそれらを収録した短編集。

概要[編集]

ジョジョの奇妙な冒険』Part4『ダイヤモンドは砕けない』の登場人物、漫画家の岸辺露伴を中心として展開するスピンオフ作品。タイトルの「動かない」は、「露伴は主人公ではなく、あくまで物語のナビゲーターである」という意味である[1]

第一作『懺悔室』が1997年に発表され、それのみ『死刑執行中脱獄進行中』(1999年刊)に収録されていたが、2008年の第二作『六壁坂』を皮切りにシリーズ化した。連作の短編は『デッドマンズQ』以来のことである。

掲載誌は一定でなく、これまでに『週刊少年ジャンプ』以外にも複数誌で掲載されている。また、各作品にはエピソードナンバーが冠されているが、発表順や時系列順というわけではない。個別の各短編は、なんらかの記念企画作品として発表されたものがほとんどである。

荒木飛呂彦によれば、第一作の『懺悔室』を書く際、編集部からは「スピンオフ・外伝は絶対禁止」という条件で執筆依頼を受けており、最初は露伴を登場させずに描いていたが、「狂言回しとしてのキャラクターがいないと話がしっくり来ない」との理由で露伴を登場させる事を決めたという[1]。また、この時の禁止令が無ければ露伴のスピンオフ作品は以後書かなかっただろうと述べている[2]

岸辺露伴およびPart4のキャラクターが登場し、単行本の冒頭にはPart4設定基準での露伴のプロフィール(1979年生、1999年に吉良吉影と戦ったなど)が掲載されているが、Part4と諸設定が異なっている場合がある。また、荒木は『JOJOVELLER』で当シリーズの世界観について「『ジョジョリオン』と『岸辺露伴は動かない』は隣り合わせの世界」と発言している[3]

内容については岸辺露伴の「取材見聞録」「体験談」「取材先で体験した恐怖のエピソード」などと紹介されており[4]、取材で遭遇した不可思議な現象を露伴がスタンドと機転で切り抜ける、または当該編主人公の体験を露伴が語るというパターンが多い。露伴はスタンド能力を持っており、他にもスタンドを持つ人物も登場するものの、ジョジョ本編のようにスタンド使い同士のバトルになる事はない。

2013年には当該時点まで発表済のエピソードと、同じく岸辺露伴をメインとした短編『岸辺露伴 グッチへ行く』が、短編集として単行本化。単行本では、各短編に作者自身が解説をつけている。短編集がジャンプ・コミックスの単行本形式で出版されたのは1987年刊の『ゴージャス☆アイリン』以来のこと。収録作品のカラーページは全てモノクロに変更され、タイトル表示の関係で他ページより縮小されている。2018年7月19日には第2巻が発売され[5]、2013年の短編集が第1巻として扱われている。

一部のエピソードは2017年以降にPart4アニメに準じた内容でOVA化されている。詳細はOVAの節を参照。

2010年には、同様に岸辺露伴をメインとしたスピンオフ長編『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が発表されたが、こちらは2011年にフルカラーの愛蔵版コミックスとして単独で刊行されている。公式の宣伝でも『ルーヴル』のカラーの方が使われている場合もあり、タイトルこそ異なるが両作品の結びつきは強い。

エピソードリスト[編集]

発表順 # タイトル 発表 ページ数 巻数 備考
1 16 懺悔室 週刊少年ジャンプ1997年30号 49 1 単行本『死刑執行中脱獄進行中』にも収録
2 02 六壁坂 ジャンプスクエア2008年1月号 61 1 OVA化
3 05 富豪村 週刊少年ジャンプ2012年45号 46 1 OVA化
4 06 密漁海岸 週刊少年ジャンプ2013年46号 47 1
(2→3) - 岸辺露伴グッチへ行く SPUR2011年10月号 16 1 掲載されている冊子ではフルカラー
5 04 望月家のお月見 少年ジャンプ+2014年9月22日配信 47 2 電書アプリ配信。カラー無
6 07 月曜日 天気-雨 ジャンプスクエア2016年1月号 50 2 雑誌掲載時のタイトルは『月曜日-天気雨』
7 08 D・N・A 別冊マーガレット2017年9月号 50 2 雑誌掲載時はエピソード9
8 09 ザ・ラン 週刊少年ジャンプ2018年13号 48 2 雑誌掲載時はエピソード10

第1巻収録作品[編集]

エピソード#16 懺悔室[編集]

週刊少年ジャンプ』1997年30号に、当時連載中のジャンプ作家10名がそれぞれ読切を描く「ジャンプリーダーズカップ」の1つとして掲載された49ページの短編作品。『死刑執行中脱獄進行中 荒木飛呂彦短編集』(1999年刊)からの再録。『死刑執行中脱獄進行中』ではカラーページが収録されている。英題は『At a Confessional』。エピソードナンバーが付与されているが初出時はあくまで単発の読切短編であった。

設定上は「原作:岸辺露伴 作画:荒木飛呂彦」となっており、巻末コメントも露伴のキャラクターで書かれていた。

また、再録にあたって露伴の一人称が「わたし」から「ぼく」に変更された箇所がある。

舞台はイタリアのヴェネツィアで、また雑誌掲載時は同『週刊少年ジャンプ』誌上にてイタリアが舞台のPart5連載中、ヴェネツィアでの戦闘の最中でというタイミングであった(長編からはみ出ていたアイデアを短編に使っているのだという)[6]。本作の露伴は特に主人公ではなくナビゲーターであるとされ、スタンド能力を使用などはしない。

あらすじ
怪我をして連載を中断していた岸辺露伴は、休載期間を使ってイタリアへ旅行に行き、ストーリーの新展開のための取材を行っていた。教会の懺悔室の内部に入って調べていると、そこに偶然一人の男が懺悔に現れる。「体験は作品にリアリティを生む」と考えた露伴は自分が神父ではないことを打ち明けず、男の懺悔に耳を貸すことにした。
登場人物
岸辺 露伴(きしべ ろはん)
本編のナビゲーター。杜王町に住む人気漫画家。ヴェネツィアの教会で懺悔室の取材をしていたところ、罪を犯した男の懺悔を聞くこととなる。
懺悔に訪れた男
本編の主人公。下働きをしていた24歳の時に浮浪者を自らの非道な行いから死なせてしまっており、その直後浮浪者の霊に「幸福の絶頂を迎えた時に迎えに来る」と言われ、その後様々な幸運に恵まれるも素直に喜ぶことはできなかった。
そんなある日、娘のかわいい仕草を見て幸せを感じていると「幸福の絶頂」を迎えたとして約束通り浮浪者の霊が迎えに現れる。それに「逆恨み」と反論したため、霊から「ポップコーンを街灯より高く投げ、それを口で3回連続でキャッチできたら水に流す」と一度だけチャンスを与えられるが、3回目で失敗し首を刎ねられてしまう。
だが、実は殺されたのはそっくりに整形した影武者であり、懺悔に訪れたのも彼を死なせた事についてであった。しかし、今度は影武者の男の霊から「娘が幸福の絶頂を迎えた時に迎えに来る」と言われ、さらに不正に気付いた浮浪者の霊からも四六時中付きまとわれる事になった。
幸福の絶頂に命を狙われる設定は、荒木が父や祖父から言われた「普段、人をあざむいて生活していると一番幸福な時にバチがあたるぞ」という諌めの言葉が参考になっており、荒木はこの主人公について「それでもヘコたれない本作の主人公は好き」と述べている[1]
浮浪者の霊
東洋風の浮浪者の男。餓死寸前の状態で男に食べ物を懇願するも、男から「自分の代わりにトウモロコシの袋を全て運び終えたら」という条件を出され、食べ物を与えられることも無いまま袋を運んでいる最中にその下敷きとなって死亡する。そのとき味わった深い絶望を男にも味わわせるため、男を陰ながら手助けして幸運を与え、その絶頂を迎えた時点で殺害するつもりだった。幸福の絶頂のさなか、男の娘の「舌」に取り憑いて現れるも、男に「逆恨み」と反論され、「ならば運命に決めてもらう」として男に一度だけチャンスを与える。
男は3回目で挑戦に失敗したため約束通り男を殺害して天に昇っていったが、殺された男が身代わりだった事を知ると、また騙されないようにと影武者の男の霊と二人で男を監視するようになった。

エピソード#02 六壁坂[編集]

『ジャンプスクエア』2008年1月号に、創刊記念特別読み切り第2弾として掲載された61ページの短編作品。連載当時のタイトルは『岸辺露伴は動かない 〜六壁坂〜』であったが、本短編集の刊行時にエピソード2となった。英題は『Mutsu-kabe hill』。

同誌掲載のインタビューで荒木飛呂彦はこの作品について、今作の10年前に描いた『エピソード16:懺悔室』をシリーズとして何作か描きたいと考えており、『ジャンプスクエア』から短編の依頼が来た際、そのアイデアがあったことからこの話になったと説明している。

『六壁坂』のタイトルについて、荒木は「それにしても、『六壁坂』というネーミングはなぜ『六壁坂』にしたのだろうか?全然記憶が無いんです。スミマセン。本当にヤバイ。」と述べている[7]

2009年10月23日に発売された『ジャンプSQ.M(ジャンプスクエア マスターピース)』Vol.002へ初出時同時掲載のインタビューを再編集したものと共に再掲載された。

あらすじ
露伴は読み切りの打ち合わせにきた漫画編集者の貝森稔に原稿料の前借りを申し出る。妖怪伝説の漫画を描くために取材を行っていたところ、その土地に開発業者がリゾート道路を通そうとしていたため、周囲の山を6つ買って阻止したらリゾート計画で高騰していた地価が暴落、破産したというのだ。あまりの内容に貝森は呆気にとられるが露伴は「ちゃんといたんだから取材の価値は十分にあった」「『六壁坂』の妖怪は今もそこにいる」と続け、彼が取材で訪れた六壁坂村で数年前に起こったある事件と取材時に起きたある出来事を語り出す。
登場人物
はOVAのもの。
岸辺 露伴(きしべ ろはん)
声 - 櫻井孝宏
スタンド名:ヘブンズ・ドアー(天国の扉)
杜王町に住む人気漫画家。27歳。デビュー11年目。作品のリアリティを何よりも重要視しており、妖怪伝説の取材のためだけに山を6つ買い、破産した。借金こそしていないものの財産も家も失い、現在は「ド・スタール」の画集だけを所持して広瀬康一の家に厄介になっている。
読み切り作品の打ち合わせの際、貝森に原稿料の前借りを相談し破産に至った経緯と取材時に起こった出来事を語る。
貝森 稔(かいがもり みのる)
声 - 茂木たかまさ
漫画編集者。23歳。入社1年目で既婚子供無し。61ページの読み切りの打ち合わせをするために露伴のもとを訪れるが、そこで露伴に原稿料の前借りを相談される。
小林 玉美(こばやし たまみ)、音石 明(おといし あきら)
声 - 鶴岡聡森久保祥太郎
露伴にサインをねだりに来た2人組。両名共に『ダイヤモンドは砕けない』に登場している。そちらでは玉美は露伴と面識があるが、本作では初対面のような態度をとっている。
大郷 楠宝子(おおさと なおこ)
声 - 種﨑敦美
六壁坂村で300年続く味噌作りで成功した一族の一人娘。庭師の釜房郡平と関係を持っていたが、大学卒業後に許嫁との結婚することが決まっていたため、郡平に対し手切れ金とともに別れ話を切り出すが、ふとした拍子に郡平を死なせてしまう。しかし、その事実を隠して修一と結婚、子供を一男一女の2人儲ける。
取材に訪れた露伴に記憶を読まれ、露伴が釜房郡平の存在を知るきっかけとなった。
釜房 郡平(かまふさ ぐんぺい)
声 - 間島淳司
大郷家で働くバイトの庭師。そこの一人娘、楠宝子と関係を持っていたが別れ話を切り出される。それでも食い下がるが楠宝子に突き飛ばされ、その拍子にゴルフクラブが後頭部に刺さって死亡する。遺体は楠宝子の寝室のクローゼット天井裏に隠され、その後も楠宝子によって管理され続けた。
楠宝子の記憶を読み、その存在を知った露伴は「何としても自分の目で見てみたい」と考えるが、直後に楠宝子の娘に取り憑かれそうになった事で彼がどういう存在なのかを理解したため、実際には会うことなく取材を終えた。
修一(しゅういち)
声 - 益山武明
楠宝子の許嫁。楠宝子の大学卒業後に結婚し、大郷家の養子に入る。
楠宝子の娘
声 - 高田憂希
楠宝子の娘。楠宝子の記憶から釜房郡平の存在を知り、大郷家の周囲を嗅ぎ回っていた露伴に声をかける。実は郡平との間にできた子供であり、露伴に声をかけた後石につまずいて転び動かなくなるが、楠宝子の記憶から彼女が郡平と同じ存在で自分に取り憑こうとしていることを察知した露伴によって完全に死亡する前に露伴に関する記憶を消され、露伴に気付かないようにされたことで取り憑くのをやめて生き返る。
楠宝子の息子
楠宝子の息子。物語のラストに1コマだけ登場しており、郡平と同じく「SBR」とプリントされたTシャツを身に着け、将来の夢を庭師と語るなど、こちらも郡平との間にできた子供であるかのような描写がなされている。OVAには登場しない。
東方仗助(ひがしかた じょうすけ)、広瀬 康一(ひろせ こういち)、虹村 億泰(にじむら おくやす)、支倉未起隆(はぜくら みきたか)
声 - 梶裕貴(康一)、高木渉(億泰)、加瀬康之(未起隆)
『ダイヤモンドは砕けない』の主人公とその友人達。OVAのみの登場で仗助のみセリフは無い。
物語のラストで露伴が六壁坂村での体験談を貝森にしていた際、いつのまにか一緒に話を聞いており、未起隆は妖怪六壁坂について「オリオン星系にも似たような生物がいた」と述べている。
用語
妖怪六壁坂(ようかい むつかべざか)
妖怪伝説の取材で訪れた六壁坂村で露伴が発見・命名した妖怪。
普段の外見は人間と全く同じだが、愛する者の前で些細なことをきっかけに死亡し、その死体を管理しなければ相手が社会的に破滅する状況に追い込む。遺体は死亡後も血が止まることなく流れ続けたり、いつまでも腐らない、霧吹きで水を吹きかけると一瞬(OVAではしばらくの間)だけ生前の姿に戻るなど、明らかに普通とは違う特徴が存在している他、取り憑こうとした相手の行動によっては顔から無数の触手のようなものが垂れ下がった妖怪の本性を見せることもある。また、遺体には生殖能力も残っており、管理する相手の間に子供が生まれた場合、その子供も妖怪六壁坂となる。
その生態から露伴は「子孫だけを残すのを目的とした妖怪」と評し、「妖怪というよりも、有史以前よりこの地に棲息している生物と呼んでもいいかもしれない」と述べている。

エピソード#05 富豪村[編集]

『週刊少年ジャンプ』2012年45号に、『ジョジョの奇妙な冒険』25周年記念&原画展開催記念読み切りとして掲載された、センターカラー46ページの短編作品。マナー監修は西出ひろ子 。雑誌掲載時のキャッチコピーは「ようこそ、奇妙――!!」。英題は『Millionaire village』。

物語の時系列上は『エピソード2:六壁坂』の後になる。荒木飛呂彦の漫画が『週刊少年ジャンプ』に掲載されるのは、2004年47号の『ウルトラジャンプ』移籍前の『スティール・ボール・ラン』以来であり、同誌掲載の作者コメント欄で「久しぶりの週刊少年ジャンプ執筆させて頂きお邪魔致しまぁ〜す。嬉しいなぁ」とコメントしているが、『エピソード16:懺悔室』とは違いコメント欄は露伴のキャラクターで書かれていない。

2015年に発売された同作者の新書『荒木飛呂彦の漫画術』において、漫画、特に短編の描き方を解説するための分析教材として引用されている。

あらすじ
露伴は漫画編集者の泉京香との読み切りの打ち合わせの際、山奥の別荘を買う話を漫画にしないかと提案される。『六壁坂』の一件で破産している露伴は反対したが、実際に別荘を買うのは泉であり、購入までの過程を取材してアイデアに繋げてはどうかと言う。
その別荘地のある村は杜王町から北西へ80数キロの山奥に位置しているが、そこに向かうための道路は一切なく、住人はヘリコプターを利用している。また、送電線の1本も引かれておらず、周囲の深い森に遮断されている独立した群(むら)になっている。たまたま地図でその特異な村を見つけた泉が興味を持ち調べると、村には11軒の豪邸が建っており、所有者全てが世界屈指の大富豪であることが分かった。彼らはごく普通の一般的な生活を送っていた若者であったが、「25歳の時にこの別荘地を購入したことを転機に、成功を収めて大富豪になっていった」という。
今回、その別荘地の1区画が800坪・300万円という破格の値段で売りに出されたことを知った泉は、自身が25歳ということもあり、11人の大富豪たちが土地を所有することで人生の成功者になれたのか、それとも偶然なのかを立証してみたいと考え、まず購入の意思を示すために売り主に会いに行くという。泉の話を訝しく聞いていた露伴だったが、好奇心と興味に背中を押されて、彼女の付き添いという名目で同行取材することにした。
登場人物
声はOVAのもの。
岸辺 露伴(きしべ ろはん)
声 - 櫻井孝宏
スタンド名:ヘブンズ・ドアー(天国の扉)
杜王町に住む人気漫画家。27歳。冒頭で漫画を描く前の準備体操を見せる。『六壁坂』の一件で山を6つ買い、破産している。今回は編集者の泉京香が別荘を購入する話を聞き、その過程を取材するために富豪村に同行する。性格は「自分が一番」で「オレ様」と泉に評価されている(露伴は嫌な顔で否定しているが)。
泉 京香(いずみ きょうか)
声 - 中原麻衣
漫画編集者。25歳。富豪村の別荘の一区画が800坪・300万円で売りに出されていると知り、自分が別荘を購入する過程を取材して読み切り漫画のアイデアにしてはどうかと露伴に提案した。富豪村の主に会って土地の購入をしようとするもマナー違反を理由に断られ、再トライを挑んだためにペナルティとして母親と婚約者を失う。自身も露伴のマナー違反のペナルティとして命を失いかけるが、露伴の機転と再挑戦を成功させたことにより命を取り留めた。
荒木は彼女を「ムカつきながら描いた」としているが、キャラとしては大好きで傑作の出来と自負しているという[8]
一究(いっきゅう)
声 - 水橋かおり
富豪村の案内人。別荘地の購入に訪れた客をもてなすが、マナー違反をしないか監視している。主にただ使われているだけの案内人の子どもで、本人は特別な能力はない。
露伴のマナー違反で泉が命を失いかけた際に露伴が「彼女を助けてほしい」と頼んだ際には「マナーに寛容はございません」と冷たく突き放し、再挑戦をするかどうか尋ねる。しかし、露伴から「ヘブンズ・ドアー」で畳のヘリを見えなくされたことで、自分も畳のヘリを踏むマナー違反を三度犯してしまう。それをイカサマと評して神の怒りを買う行為だと露伴を批判するが、露伴は「マナーに寛容は無い」「マナー違反をしたのはあくまで君の方だ」と相手にせず、露伴が制裁されることもなかった。
主(あるじ)
富豪村の別荘の売り主。物語には直接登場しない。富豪村では何よりもマナー(礼儀)を重んじており、それらを守った者のみがこの別荘地に相応しい人間であると見做して売買の契約を交わす。マナー違反をした者の一切の理由には耳を傾けることも受け付けることもなく、一究を通して早々の引き取りを通達する。ただし、再トライは可能であるが、その場合、自身の大切なものを前回違反した回数分失わせる。反面、一究がマナー違反をした場合、その回数分だけ失ったモノを返す。その正体は山の神
広瀬 康一(ひろせ こういち)、虹村 億泰(にじむら おくやす)、東方仗助(ひがしかた じょうすけ)
声 - 梶裕貴(康一)、高木渉(億泰)
『ダイヤモンドは砕けない』の主人公とその友人達。OVAのみの登場で仗助のみセリフは無い。
OVAオリジナルのエピローグで富豪村のエピソードの聞き手として登場しており、億泰が広瀬家に居候する露伴に虹村宅への引越しを提案し、ついでに父親のこともヘブンズ・ドアーで調べて欲しいと頼むが露伴は断った。

エピソード#06 密漁海岸[編集]

週刊少年ジャンプ』(集英社2013年46号に掲載されたセンターカラー47ページの短編作品。料理監修は森崎友紀。英題は『Poaching seashore』。

雑誌掲載時のキャッチコピーは「好奇心は、漫画家を殺す Curiosity killed the MANGA Artist.」。

本作はこれまでの作品と違って「原作:岸辺露伴」の表記がなされていない。また、スマートフォンなど2000年代以降に普及したアイテムが登場する。さらに登場人物であるトニオ・トラザルディーが、来日し、杜王町で店を出した理由がPart4本編と異なっている。他にも東方家がPart8寄りになっていつつ東方仗助らしき人物が描かれるなど、Part4本編とは差異がみられる。

本作発表と同時に短編集『岸辺露伴は動かない』の発売も発表された。また公式の広告では、2013年のドラマ『あまちゃん』の「じぇじぇ」と「じょじょ」を懸けた上で「露伴があまちゃんに!!??」という宣伝がされた[9]

あらすじ
露伴は、杜王町のイタリアンレストラン「トラサルディー」にて食事をした際、その店の料理人トニオ・トラサルディーにクロアワビの入手を手伝ってほしいと頼まれる。トニオによると杜王町のヒョウガラ列岩という場所で採れるアワビは世界中のどこにもない特別なアワビであり、それさえあれば自身の生涯で最高の特別料理を作ることができるのだという。
しかし、あまりに貴重であるため地元の漁師からもアワビを売ってもらえず、それでも入手したいトニオは杜王町の歴史書から「芸術」とも評される密漁の手法を発見し、それを露伴とともに実行しようと持ちかける。露伴は好奇心からそれを了承し、トニオと共にヒョウガラ列岩へと密漁に向かう。
登場人物
岸辺 露伴(きしべ ろはん)
スタンド名:ヘブンズ・ドアー(天国の扉)
杜王町に住む人気漫画家。冒頭でウォーミングアップNo2を見せる。イタリア料理店「トラサルディー」へと食事に来た際にトニオから密漁の協力を頼まれ、その際に「少年誌で連載している健全な漫画家」と言いながらも、トニオの覚悟を気に入り協力することにした。
トニオ・トラサルディー
スタンド名:パール・ジャム
杜王町でイタリア料理店「トラサルディー」を営むイタリア人の男性。29歳。露伴は「本国のイタリアで店を開かないのは気に入らないが、日本の食材でここまで美味しい料理を作るのには感心する」とトニオの腕を高く評価している。自身の生涯で最高の特別料理を作るため、杜王町のヒョウガラ列岩という場所で採れるクロアワビの密漁の手伝いを露伴に持ちかける。
しかし、露伴から単に料理を作るためだけにアワビを求めているのではないことを見抜かれ、本当の目的がここのクロアワビを用いた新しい料理で恋人のヴェルジーナの脳腫瘍を治療するためであり、故郷を離れて杜王町に来たのも彼女の治療に有効な食材を手に入れるためであったことを打ち明けた。
密漁をする際、ウエットスーツを着ていながらもシェフハットを脱がないことを露伴にツッコまれた。
ヴェルジーナ
トニオの恋人。脳腫瘍を患っており、グレープフルーツ大まで大きくなった腫瘍はトニオの料理とパールジャムの力をもってしても治すことができず、それを屈辱と感じたトニオはより優れた食材を求め、彼女を故郷のアマルフィーに残して杜王町へとやって来た。
トニオによって日本に連れてこられた時点では立って歩くことすらできない状態に陥っていたが、トニオのアワビ料理によって立ち上がれるまでに回復した。
東方 仗助(ひがしかた じょうすけ)、広瀬 康一(ひろせ こういち)、虹村 億泰(にじむら おくやす)
杜王町の学生。露伴とトニオが密漁から生還後、露伴と共に「トラサルディー」でタコのトマトソース煮を食べていた。
一人が東方仗助であることは描写から明らかであるが、彼は顔が描かれずセリフも存在しない。これは『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』と同じ扱いである。
用語
ヒョウガラ列岩
杜王町の北西部に位置する岩礁群。東方家の私有地で禁漁区に指定されており、そこから南側の入り江一帯がアワビの漁場となっている。禁漁区な上、潮の影響でアワビの主食である海藻類が豊富で、タコ以外の天敵がいない状況下で生息しているため、25cm前後の大型のアワビが多く生息している。
この地域では年に一度、天気の良い八月のお盆前後の満月の夜に数時間だけ月の引力の影響で潮の流れが変わり、そこに生息しているクロアワビは上下の感覚を失って岩から離れ、潮の流れに乗って海中を漂うようになる。
それを列岩の外で待ち構え、手で捕まえて持ち帰る密漁法が古文書に伝わっているが、実際にはこれは密漁者に対する罠であり、うかつに行えば海中に漂うアワビが体に貼りつき、その重さによって海中に引き込まれて溺死してしまう。

岸辺露伴 グッチへ行く[編集]

SPUR』2011年10月号の別冊付録である小冊子に掲載されたフルカラー16ページの短編作品。グッチ設立90周年を迎えるにあたり、その記念として『SPUR』編集部より「グッチの職人とものづくりの伝統をテーマに作品を描いてほしい」と荒木飛呂彦に依頼が舞い込み、同年が荒木の執筆30周年でもあることからその記念も兼ねて執筆が決定した[10]。英題は『Kishibe Rohan meets Gucci.』。

『SPUR』からの依頼では『ジョジョの奇妙な冒険』とのコラボレーションについて特に指定を受けていなかったが、荒木は自身の判断で露伴を登場させることを決めたという[11](下記コメント参照)。

普通だと職人や工房を紹介するマンガで、こういうところで、こんな風に職人さんが働いているんだよとか、そういうものがSPUR編集部もグッチも欲しかったんだと思うんですね。でももう少しマンガのキャラクターと融合したいと思ったんです。ストーリーがあれば登場するのは誰でも良いという感じではなくて、ジョジョと融合したいなと。[11]

なお、本作に関する複数のインタビューで露伴がPart4劇中でグッチの時計を身に着けている点についても指摘を受けている[10][11]が、荒木によればこれは自身の所有している時計をモデルにしただけ[10]で露伴が特にグッチを好んでいるという設定はなく[11]、荒木自身も指摘を受けるまで忘れていたという[11]。一方で下記の通り、グッチと露伴に偶然にも接点があったことについてコメントを残している。

何年も前に描いたシーンですが、露伴がグッチの時計をしていたのは、すでに露伴のセンスがもの選びに反映されていたということでしょう。だからグッチのオファーがあったのかもしれませんね。偶然か予知能力か。不思議な因縁を感じます。運命だったのかも[10]

本作はその特性上、グッチというブランドのヒストリーにいかに荒木飛呂彦的な要素を入れるかに重点を置いており、登場人物は全てグッチの服を身に着けている。また、ミラノでコレクションを見た『SPUR』編集者から「秋冬のグッチは色使いが荒木先生向き」と教えられたことから、1ページを丸々使用してカラーブロッキングされた背景に露伴とグッチの服を身にまとった通訳の女性がポーズをとる大胆な構成をいくつも用いるなど、掲載される『SPUR』がモード誌であることを強く意識した内容となっている[10]。劇中に登場する衣服は全てフリーダ・ジャンニーニがデザインしたもの可能な限り正確に着せ[12]、小物も全て荒木が実物を実際に手にした上で細部まで忠実に描かれている[10]が、露伴のパンツやジャケットなど、衣服の色には漫画の配色に合わないとの理由から一部変更が行われているものも存在する[10][11]

発表を記念して2011年9月17日から10月6日までの間、東京のグッチ新宿において本作の原画と漫画に描かれたコレクションを展示する『岸辺露伴 新宿へ行く』展が開催された。

あらすじ
露伴は、祖母の形見のバッグに金目の物を入れると消えてしまう謎の現象を直してもらうために、イタリアのフィレンツェにあるグッチの工房を訪れる。グッチの職人は難色を示すが修理を引き受け、露伴は修理されたバッグを持って帰るが、後になってそのバッグに隠された秘密を知ることになる。
登場人物
岸辺 露伴(きしべ ろはん)
杜王町に住む人気漫画家。祖母の形見のバッグが起こす謎の現象を直してもらうために、フィレンツェにあるグッチの工房を訪れる。対象を本にして、記憶を読んだり命令したりできるスタンド「ヘブンズ・ドアー」を持つが、今作には登場しない。その理由について荒木飛呂彦は「バッグ自体がスタンドという設定だし、『ジョジョの奇妙な冒険』を知らない読者も多い女性誌なので、あえて今回は露伴のスタンドは描かなかった」と説明している[10]。祖母は『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』で描かれた人物。
通訳の女性
露伴がイタリアを旅行するにあたり、通訳として雇った女性。露伴とともにトスカーナを旅行し、フィレンツェのグッチの工房に同行した後露伴をワイナリーへと案内し、隙を見せた露伴の貴重品を全て持ち去った。なお、彼女が着ている衣装は全てグッチの2011-2012の秋冬新作を基に描かれている[10]
グッチの職人
グッチのレザー製品を担当する職人。丁寧な接客と厳密な説明を行うも、露伴からは「マニアックな説明はいらない」と返答される。露伴からバッグの修理を依頼され、そのバッグの成り立ちを説明するが露伴は聞く耳を持たなかったことから言われた通りにバッグを修理した。
用語
露伴の祖母のバッグ
露伴の祖母の形見である、ウェブをあしらった70年代製のボストンバッグ。グッチの職人によれば、かつて天才的な職人の一人が全世界に3個だけ特別に作ったものであるという。金目の物を入れて口を閉じるとそれが消えてしまうため、露伴はグッチの工房へ修理を依頼した。この現象はバッグに宿ったスタンド能力によるものであり、持ち主が危機に陥った時に消えた金品と等価の物を出して持ち主を助けるというものであったが、金品が消えないように修理されたことにより能力は消失した。
なお、構想時点では祖母の形見が財布となる予定だったのだが、グッチからの強い要請でバッグに変更されたという[11]

第2巻収録作品[編集]

エピソード#04 望月家のお月見[編集]

岸辺露伴は動かないシリーズの第五弾。スマートフォン・PC用アプリ『少年ジャンプ+』で2014年9月22日にアプリのスタートを記念して無料公開された[13]47ページの短編作品『岸辺露伴は動かない エピソード4 望月家のお月見』。英題は『The Harbest moon』。

あらすじ
露伴は最近取材に行けてないとして、自宅の近所に住む望月家について語りだす。
この家は直系の先祖全員の命日が必ず中秋の名月であるという奇妙な宿命を持っており、死を逃れるには中秋の名月に家族揃って月見をする必要があった。
そして今年の中秋の名月である2014年9月8日、家長である望月昇の主導のもと、例年のように月見が行われる。
登場人物
作中に登場する望月家は露伴が付けた仮名。犬を飼っている。荒木コメントによると『ジョジョリオン』の東方家とリンクするような一家とのこと[14]
岸辺 露伴(きしべ ろはん)
本作のナビゲーター。杜王町に住む人気漫画家。最近は予定が一杯で取材旅行に行ってない模様。レストラン「トラサルディー」で食事をしながら、近所に住む望月家とその奇妙な宿命について語りだす。
望月 昇(もちづき のぼる)
望月家の16代目家長。50歳会社員。死ぬのは必ず中秋の名月の日であるという望月家の宿命を誰よりも理解しており、死の宿命を逃れるために家族全員を月見に参加させようと奔走する。
望月 晴瑠子(もちづき はるこ)
望月昇の妻。46歳専業主婦。子宮頸がんの検査で陽性反応が出ており、夫の昇から「望月家は中秋の名月の日以外は不死身」「月見が無事に終われば回復に向かう」と教えられて月見に参加する。
望月 亜貴(もちづき あき)
望月家の長女。21歳の大学生。彼氏のもとへ外出しようとしていたが、昇によって制止され、しぶしぶ月見に参加する。深夜に彼氏の電話がかかってきたことから言いつけを破って外出し、望月家の死の運命に襲われそうになるが、偶然にもその直前に彼氏からのプロポーズを受けて望月家の人間ではなくなったことから命を取り留める。
望月 猛(もちづき たける)
望月家の長男。15歳の中学生。野球の特待生での進学を目指しており、9月8日も本来は試合に行かないといけない状況だったのだが、昇によって強引に引き止められた。
望月 ミツ(もちづき ミツ)
望月家の祖母。78歳。月見の最中に偶然から金魚をのどに詰まらせて死にかけるが、月見に参加していたためか死なずに済んだ。
月の兎
望月家の死の宿命を管理する存在。を擬人化したような姿をしており、網目模様の入ったスーツとマスクを着用している。人の目には見えない。
毎年中秋の名月の日に現れ、この日に月見をする決まりを破った望月家の人間を事故に見せかけて殺害する。なぜそのようなことをするのかについては劇中で一切語られていない。
月見を抜け出し、彼氏に会いに行った亜貴を「望月家に決められた事」として殺そうとするが、彼女が彼氏からのプロポーズを受けて望月家の人間ではなくなったことから殺害を中止し、たまたま付近を通りかかったライダーを数合わせと称して殺し、天に帰っていった。

エピソード#07 月曜日 天気-雨[編集]

『岸辺露伴は動かない』シリーズの第六弾。『ジャンプスクエア』創刊8周年を記念して『ジャンプスクエア』2016年1月号に掲載された50ページの短編作品。雑誌掲載時のタイトルは『月曜日-天気雨』だったが、単行本化に際して改題されている。英題は『A rainnning Monday』。

キャッチコピーは「時代が変われば、すべてが変わる。すこしずつ。」。

『ジョジョリオン』と連動して、表紙カラーイラストが同構図で3パターンある。本作(露伴、ヘブンズ・ドアー、雨粒)、『ジョジョリオン』11巻表紙(定助、ソフト&ウェット、しゃぼん玉)、『ジョジョリオン』(12巻)#049(定助、田最環、しゃぼん玉)。

あらすじ
ここ数年は雨が多い。編集者との打ち合わせのため、雨の中駅を訪れた露伴。駅の構内では歩きスマホをする人であふれかえり、前方不注意な通行人がたびたびぶつかってくることに露伴は憤るが、あまりにも周りが見えていない人間が多いため次第に違和感を覚える。
そこで、ホームで電車を待っている際にぶつかりそうになった肥満の男に問いただすが、その最中に別の通行人が露伴に激突し、露伴は線路に落ちてしまう。
露伴とそれを助けようとした肥満の男は線路と線路の間に退避して事なきを得たが、男は「昼過ぎから携帯をもった人間が次々に自分にぶつかってくる」と述べ、駅員が救助しようとしているのにも警戒する。
次の列車が到着しようとしている中、露伴はヘブンズ・ドアーで駅員を確認した上で男をホームへ上げようとするが、今度はホームにいた人間が次々と線路へと押し出されるように落ちていった。
登場人物
岸辺 露伴(きしべ ろはん)
スタンド名:ヘブンズ・ドアー(天国の扉)
杜王町に住む人気漫画家。編集者との打ち合わせに向かうため駅を訪れるが、そこで歩きスマホをめぐる奇妙な現象に見舞われる。
冒頭で「ヘブンズ・ドアー」を無生物であるローストチキンに対して用いて、消費期限や成分を調べるという応用を行った。
肥満の男
露伴が駅のホームで出会った男。普通の会社員で二人の子持ちであり、心臓の持病がある。
線路に転落した露伴を助けようとして、彼も別の通行人に転落させられてしまう。倒れこみそうになったところを「本」にされ、ページを一旦バラバラにした後にくっつけられるという形で露伴に助けられる。線路上で露伴に、歩きスマホをする人間が次々に自分に向かってくることを語る。
この現象は携帯の回路に住み着いていた新種の昆虫「ロレンチーニャ」の仕業であり、周囲に集まってきた通行人の携帯から抜け出たロレンチーニャの群れに生命電気を喰われて死亡した。
用語
ロレンチーニャ
露伴の巻き込まれた事件の元凶である、事件後に香港や上海の都市部で発見された新種の昆虫。学名は「コーイレ・エリクトリカス・ロレンチーニャ」。
電子回路の配線のような腹部を持つナナフシのような細長い虫で、電子機器の集積回路の中に住み着いてそこで繁殖する。
主食は電磁波であり、一匹二匹ならば寄生している電子機器の電気を盗み食いするぐらいで大した害はないのだが、携帯に寄生した個体が一か所に多数集まると外部の生物へ攻撃する習性を持つ。
標的となりやすいのは心臓が弱った生物であり、獲物を見つけると寄生している携帯の所有者を電磁波で無意識に対象に接近させ、対象に群がった所で携帯のイヤホンジャックから出て乗り移り、心臓の生命電気を奪い死亡させる。

エピソード#08 D・N・A[編集]

『岸辺露伴は動かない』シリーズの第七弾。実写映画『ダイヤモンドは砕けない 第1章』の公開記念として、『別冊マーガレット』2017年9月号に掲載された50ページの短編作品。雑誌掲載時は「エピソード#09」となっていたが、単行本では「エピソード#08」に変更されている。英題は『Deoxyribonucleic acid』。

雑誌掲載時のキャッチコピーは「天才漫画家・岸辺露伴のもとに舞い込んだ奇妙な【依頼】とは…」「その恋は、D.N.Aが記憶する運命の証し!!」。カラー表紙は、単行本では雑誌掲載時の宣伝用装飾が減ってかなりシンプル化された。

荒木飛呂彦が少女漫画誌に漫画を掲載するのはこれが初であり、扉絵裏のコラム『岸辺露伴は動かない概論』では掲載を「光栄です」と述べた上で、「めずらしくハッピーエンドにしたよ」とメッセージを記している。また掲載号の裏表紙は荒木による描き下ろしの一枚絵(露伴の一枚絵+「荒木飛呂彦降臨」のコピー)になっており、付録として『岸辺露伴は動かない』シリーズのステッカーが付属されている。

あらすじ
露伴は知人の山岸由花子に彼女の母の知人である片平真依の相談に乗ってほしいと呼び出される。片平が相談したのは精子バンクで授かった娘、真央についてであり、普通の子供とは異なる数々の特徴、特に触れると全身が保護色と化してしまう尻尾が生えている点について思い悩んでいた。
由花子はそれらについて露伴に解決を促すが、「ヘブンズ・ドアー」で真央に関する情報を参照した露伴はそれらについて問題なしと判断して拒否し、一方的に話を打ち切って立ち去る。由花子はその自分勝手な行動に憤るが、彼が「ヘブンズ・ドアー」を使った際に真央の父親に関する情報を見ており、それを真依に伝えた。
真依はその一件により真央の父親に関心を持つが、探すにはあまりにも漠然とした情報しか無く途方に暮れる。そんな時、由花子から聞いた情報に合致し、真央と同じ身体的特徴を持つ男性を駅で偶然発見し、彼女はとりあえず彼を尾行する。
彼が向かった先は真央の通う幼稚園であり、幼稚園に着いた彼は遊具で遊ぶ真央を抱きかかえてタクシーに乗ろうとした。驚いた真依は大声を上げ、真央を取り返そうとするが、彼が抱きかかえていたのは彼の息子であり、真央と見間違えたのは彼女の保護色の能力による悪戯によるものであった。
呼び止められた男性はひとまず自己紹介するが、その内容やその最中の仕草に亡き夫との偶然とは思えないほどの一致点を見出した真依は、彼との交際を始める。
後日、露伴は真依が精子提供者であったその男性と結婚したことを由花子から聞かされると驚きの表情を見せるが、彼女が立ち去ると「確かにビックリだ。そういうこともあるのか………」と感想を述べ、微笑んだ。
登場人物
岸辺 露伴(きしべ ろはん)
スタンド名:ヘブンズ・ドアー(天国の扉)
杜王町に住む人気漫画家。知人の山岸由花子に呼び出され、彼女の母の知人である片平真依の相談を受けて解決するように頼まれるが、「ヘブンズ・ドアー」で真央に関する情報を参照した上でそれらについて問題なしと判断し、由花子の要請を突っぱねて立ち去った。
『ジョジョリオン』に登場する野球チーム「晴天バーディーズ」のファンとなっており、片平真依を紹介された際にあからさまにやる気のない態度を見せ、相談を聞いている最中もずっとスマートフォンで試合をチェックしていた。野球好きやセクハラ発言などのキャラ変を由花子からは指摘された。
山岸由花子(やまぎし ゆかこ)
スタンド名:ラブ・デラックス
露伴の知人の女子高生。母の知人である片平真依の悩みを解決すべく露伴に彼女を紹介し、真央の普通の子供とは異なる数々の特徴を「治してあげたい」「普通にしてあげて!」と露伴に訴える。
Part4では自身の髪を操る能力「ラブ・デラックス」を持つスタンド使いである。スタンド使いの設定は引き継がれており、スタンドを使用することはないが、露伴のスタンドが見えるということが、真依に真央の父親の情報を教えるきっかけとなっている。
片平真依(かたひら まい)
山岸由花子の母の知人。新婚の23歳の時に自動車事故で夫を亡くし、周囲からは再婚を勧められるも夫以外の男性を愛することができずに15年間独り身で過ごしていた。しかし再婚はできなくとも子供は欲しいと考えたことから38歳の時に精子バンクを利用して真央を授かる。
しかし、真央に普通の子供とは異なる数々の特徴があることが心配になり、由花子を通じて露伴に相談を持ち掛ける。
片平真央(かたひら まお)
片平真依の娘。3歳の保育園児。「はちにんこ(こんにちは)」などの逆さ言葉しか喋らず、足音を立てず歩き、立っている足元がじっとりと濡れる、目の下側にしか生えず量も普通より多いまつげ、顎まであるもみあげ、触れると衣服を含めた全身が保護色と化してしまう尻尾が生えているなど、普通の子供とは明らかに異なる特徴が数多くあり、真依の心配事の種となっている。
「ヘブンズ・ドアー」で真央に関する情報を参照した露伴によると、尻尾は「真央の『心の形』であり、見えるスタンド能力と考えていいもの」とのことであり、身体的特徴も含めて「何一つ悪くない…問題はどこにも見当たらない」と判断された。
その後、保育園に尾花沢が訪れた際に保護色を使った悪戯で真依と引き合わせており、それを由花子は「真央ちゃんの陰謀」「真央ちゃんの無意識が呼び寄せた」と推測している。
真依の夫
真依の夫で故人。新婚から間もなくトラックとの衝突事故で死亡している。事故にあった車の中で同乗していた真依に対し「司法試験より先に結婚式をやっておくべきだった」と後悔の言葉を口にしていた。
口癖は「君は何も怖がらなくていいんだ。君は大丈夫だから」「きっといいやつ」で、失敗をごまかそうとするときに上唇をなめたり、缶ジュースのプルトップを開けたり額を掻く時に小指のみを使う癖がある。
尾花沢(おばなざわ)
真依が駅で出会った、真央と同じ身体的特徴を持つ男性。山形市在住で、バツ1。息子の友弥に会うために週に1・2回ほどS市を訪れており、保育園で真央の悪戯により真依に引き留められる。
15年以上前の高校生の時に登山中の滑落事故で一度死んだが蘇生したとして、その反省から危険なことは車の運転すらしないと語る。それ以外にも上唇をなめる癖やプルトップを開けたり額を掻く時に小指のみを使う癖など、真依の夫と全く同じ行動や発言をしている。
その後、彼が真央の実の父親であったことと3か月の交際を経て真依と再婚したことが由花子の口から語られている。

エピソード#09 ザ・ラン[編集]

『岸辺露伴は動かない』シリーズの第八弾。少年ジャンプ50周年記念として『週刊少年ジャンプ』2018年13号に掲載された48ページの短編作品。雑誌掲載時は「エピソード10」となっていたが、単行本では「エピソード#09」に変更されている。英題は『The run』。

本作の発表に合わせ、短編集『岸辺露伴は動かない』第2巻の発売も発表された[5]。単行本2巻表紙。

雑誌掲載時のキャッチコピーは「これぞ「伝説」!!これこそ「漫画」!!」「目を逸らすな「奇妙」からは逃げられない」。

あらすじ
右手を骨折した岸辺露伴。彼はその結果に至る経緯について珍しく自らの行いを反省しており、後悔の表情を浮かべながらその時の出来事を語りだす。
露伴はスポーツジムで俳優志望の男、橋本陽馬にトレッドミルを用いた勝負の再戦を持ち掛けた。その内容は徐々に加速するトレッドミルの走行スピードが時速25kmに達した時点で両者の間に置かれたリモコンを取り合い、リモコンを奪取して緊急停止ボタンを押したら勝ちというもので、露伴は一度彼に勝利していた。
陽馬は再戦に応じ勝負が開始されたが、前回の勝負に関する分析や公正に異常なほどこだわる彼の言動に露伴は次第に異様なものを感じ始める。
登場人物
岸辺 露伴(きしべ ろはん)
スタンド名:ヘブンズ・ドアー(天国の扉)
杜王町に住む人気漫画家。右手を骨折しており、その件について「超えてはいけないレッドラインを見落として余計な所へ首を突っ込んでしまった」「自分は人の性格を見抜けるとうぬぼれていたからで本当に甘かった」と珍しく反省の言葉を口にし、スポーツクラブで巻き込まれたとある事件について語りだす。
橋本 陽馬(はしもと ようま)
俳優志望の男性。21歳で身長178cm、座右の銘は「美とは有酸素。なめらかな動作」。新幹線で原宿まで遊びに行った時にモデル・プロダクションにスカウトされ、担当者に勧められたのをきっかけに肉体を鍛えることに没頭するようになる。
最初のうちは彼女の早村の部屋でトレーニングをしたり、ボディビルダーと同様の生活を送る程度だったが、次第にエスカレートして早村の部屋の内外にボルダリングの設備を設置したり、トレーニングのために早村の貯金を勝手に使いこむようになり、最終的にはたとえ些細なことであろうと自分が体を鍛えることを邪魔した人間には殺害すら辞さないようになる。
杜王グランドホテル8階のトレーニングジムでトレッドミルを使った勝負の再戦を露伴に申し込まれると、前回の勝負はリモコンを引き寄せるために露伴がリモコンのテーブルを叩いたことを指摘し、勝負を公正なものにするという名目のもとにトレッドミルの背後にあるガラス窓をダンベルで破壊したり、露伴の指をリモコンのスイッチを押すのに必要な2本を残して折るといった行動に出る。
彼は今回の勝負で露伴が敗北した場合、トレッドミルによって割った窓から転落死させるつもりのようだったが、リモコンを取って緊急停止ボタンを押すことで勝負に勝ちはしたものの、露伴に「ヘブンズ・ドアー」で「停止ボタンは露伴のマシンに向けて押す」と書き込まれていたことで、自分のマシンを止めることができず自ら開けた窓の穴から転落する。
露伴は勝負の最中に彼の肉体に浮かび上がった翼のような模様から彼の正体を筋肉の神ヘルメスの化身と推測しており、窓の外に落ちた彼の生存を確信していたが、もし上から見下すように窓の外を覗けば彼に殺されると考え、その場から逃走した。
早村 ミカ(はやむら ミカ)
橋本陽馬の彼女。25歳。陽馬が体を鍛え始めた最初の頃は鍛えられた陽馬の肉体を称賛していたが、肉体を鍛えることに熱中する陽馬に次第についていけなくなり、貯金の27万円を無断で使われたことを機に彼に別れを告げ部屋から追い出す。
露伴が「ヘブンズ・ドアー」で見た陽馬の記憶によれば、同棲中に言われた小言や自分の指示した食事を出さなかったことへの恨みから彼に首の骨を折られて殺害され、遺体はボルダリング部屋の壁の裏にセメントで埋め込まれたとされている。
沢木(さわき)
配達員の男。夜の7時頃に早村の部屋に郵便物を届けに訪れ、チャイムを鳴らしたことで陽馬から睡眠を妨害されたと不興を買う。露伴が「ヘブンズ・ドアー」で見た陽馬の記憶によると、その時の恨みから玄関に引きずり込まれ頸動脈を切断されて殺害され、遺体はマンションの地下駐車場にセメントで埋められたとされている。
ジムの客
陽馬と同じジムに通っていたスキンヘッドの男。露伴が「ヘブンズ・ドアー」で見た陽馬の記憶によると、陽馬がトレーナーに指示を仰いだ時にちょうど指導を受けていたことから、陽馬にトレーナーを奪いトレーニングの邪魔をしたとみなされて背後から片羽絞で落とされた上で壁に叩きつけられて殺害され、遺体は浴室天井にセメントで固められたとされている。

短編小説集[編集]

ジョジョリオン』連載中の『ウルトラジャンプ』の付録小冊子。複数の作家陣によるオリジナルの短編ノベライズ。

第1巻(ウルトラジャンプ2017年8月号)
幸福の箱(北國ばらっど)、くしゃがら(北國ばらっど)、Blackstar.(吉上亮
第2巻(ウルトラジャンプ2017年9月号)
検閲方程式(維羽裕介)、夕柳台(宮本深礼
第3巻(ウルトラジャンプ2018年1月号)
血栞塗(宮本深礼)、シンメトリー・ルーム(北國ばらっど)

2018年には単行本が刊行されている。

岸辺露伴は叫ばない
単行本。JUMP j BOOKSから2018年6月19日刊行。
収録作品:くしゃがら、Blackstar.、血栞塗、検閲方程式、オカミサマ(書き下ろし新作)
岸辺露伴は戯れない(予定)
単行本。JUMP j BOOKSから2018年7月19日刊行。
収録作品:幸福の箱、夕柳台、シンメトリー・ルーム、楽園の落穂(書き下ろし新作)

書誌情報[編集]

OVA[編集]

富豪村
テレビアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』のBlu-rayDVDの全巻購入者特典(2017年)[15][16]
露伴に加え、康一、億泰などの共通キャストはPart4アニメに準じたものとなっている。
六壁坂
単行本第2巻の『特別版』に同梱(2018年7月19日発売)[5]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 死刑執行中脱獄進行中 荒木飛呂彦短編集』229-231ページ あとがき
  2. ^ 『岸辺露伴は動かない』56ページ エピソード16:懺悔室 解説
  3. ^ JOJOVELLER HISTORY155ページ
  4. ^ 2巻表紙カバー折り返し作者コメント、巻末の1巻広告。
  5. ^ a b c シネマトゥデイ 「『岸辺露伴は動かない』新作、ジャンプ掲載!DVD付き2巻も発売」
  6. ^ 『死刑執行中脱獄進行中』229ページ、巻末解説
  7. ^ 『岸辺露伴は動かない』120ページ エピソード2:六壁坂 解説
  8. ^ 『岸辺露伴は動かない』168ページ エピソード5:富豪村 解説
  9. ^ 「岸辺露伴は動かない」新作がジャンプに、単行本化も決定 - コミックナタリー(ウルトラジャンプ2013年10月号告知ページ画像含)
  10. ^ a b c d e f g h i 『SPUR』2011年10月号 172・173ページ「GUCCI meets Hirohiko Araki 『岸辺露伴 グッチへ行く』作者・荒木飛呂彦インタビュー」
  11. ^ a b c d e f g HOUYHNHNM 「『岸辺露伴 グッチへ行く』の作者、漫画家・荒木飛呂彦インタビュー」
  12. ^ 『岸辺露伴は動かない』233ページ 岸辺露伴 グッチへ行く 解説
  13. ^ 『少年ジャンプ』の新アプリ『少年ジャンプ+』、本誌全編&オリジナル作&過去作配信
  14. ^ 2巻解説54ページ。
  15. ^ 「岸辺露伴は動かない」がアニメ化! ジョジョ4部BD/DVDの全巻購入特典で”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2016年4月16日). 2016年4月16日閲覧。
  16. ^ Blu-ray/DVD”. TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』公式サイト. 2016年6月18日閲覧。

以下の出典は『集英社BOOK NAVI』(集英社)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]