エンリコ・プッチ

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エンリコ・プッチ
ジョジョの奇妙な冒険第6部
ストーンオーシャンのキャラクター
作者 荒木飛呂彦
声優 速水奨
中田譲治
プロフィール
生年月日 1972年6月5日
年齢 39歳
性別 男性
肩書き 教誨師
家族 ペルラ(妹)
ウェザー・リポート(ドメニコ・プッチ、弟)
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エンリコ・プッチは、荒木飛呂彦の漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第6部「ストーンオーシャン」に登場する架空の人物。

シーンによってはロベルト・プッチとされているシーンがある[1]。海外展開においては、『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』の北米版では、単に"Father Pucchi"(ファーザー・プッチ / プッチ神父)と表記されているほか、スタンド名も全て改名されている。

担当声優は、『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』では速水奨[2]、『ウルトラジャンプ』のTVCM及び『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』では中田譲治[3]

人物[編集]

Part6『ストーンオーシャン』に黒幕として登場する。

G.D.st刑務所の教誨師。1972年6月5日生まれ。39歳。素数を愛し、素数を数えることで自分を落ち着かせる。貝類アレルギーがある。運命を克服することに、執拗にこだわる。

聖職者らしく表面的な物腰は穏やかだが、目的達成のためなら平然と他人を犠牲にし、自分の行いは正しいことであると信じて疑わない。親友にしてジョースター家の宿敵・DIOを崇敬しているが、彼の息子たちに対しては自分を守るための道具のように思っており、ドナテロ・ヴェルサスが自分を出し抜こうとしていることを知った際は彼を激しく罵倒している。スタンドを用いて他人を操り利用する。その極めて独善性の強い性格から、双子の弟であるウェザー・リポート(ドメニコ・プッチ)には「自分が『悪』だと気付いていない、最もドス黒い『悪』だ」と言い放たれる。その非道な言動は、過去に起きた事件のトラウマによる決意に由来する。

中盤において「緑色の赤ん坊」と融合したことがきっかけで、容姿(特に顔)が変化する。左肩に星の痣がつき、額の前髪のラインが星型のように変形する。さらに融合直後のシーンでは、まつ毛がまるで植物のように増加しており、雑誌掲載時には編集者により「ザ・ニュー神父」のアオリ文がつけられた。またゲーム版では「新月の時を待つプッチ」として実装されている。

コラボノベライズ『JORGE JOESTAR』にも登場する。刑務所の教戒師という前歴を持つ宇宙飛行士であり、火星でカーズと出会い、名探偵ジョージおよびナランチャと共に行動する。だが彼の行動は、裏で暗躍するディオに都合よく利用されている。

過去編[編集]

名門とつながっている裕福な家に生まれる。生まれた時は左足の指が歩くのに苦労するほど、変形していた。生まれた時に死別した双子のドメニコの存在から、幼くして運命や幸福について考えるようになり、聖職者を目指していた。

15歳の神学生時代、手伝っていた教会で偶然出会った不審者のDIOを自然に匿い、礼に生まれつき変形していた左足の指を正常に治してもらう。それと共に、「矢」のを受け取った。1年後の16歳のとき、教会を訪れたブルーマリン夫人の懺悔をたまたま受けることになり、偶然にもかつて死別したはずのドメニコがすり替えられて他人の家で生きていることを知る。聖職に携わる者として口外厳禁ゆえに、両親に告げることもできず悩んでいたところ、妹・ペルラに彼氏ができたことを告白され、ウェザー=ドメニコとペルラ・プッチが兄妹であることを知らずに交際している背徳を知る。孤独に真実を知った苦悩の果てに、ペルラの傷心を避けるため、多少の荒事になってでも真実を伏せたうえで2人を別れさせようと、街の何でも屋に2人を別れさせるように依頼する。だがその男はKKKにも通じる差別主義者であった。ブルーマリン夫人が黒人と結婚していたことから、ウェザーが黒人の血筋と勘違いし、憎悪をぶつけて必要以上にやりすぎてしまう。ウェザーが殺されたと思ったペルラは絶望のあまり飛び降り自殺してしまう。

ペルラの死を目の当たりにしたエンリコは、自分ではなくドメニコがすり替えられた偶然や、自分の行動が招いた悲劇に激しく後悔と絶望を覚える。それに応えるかのように鏃が自身へ勝手に刺さり、スタンド能力「ホワイトスネイク」に覚醒することになる。連鎖して、生存していたウェザーもスタンド能力「ウェザー・リポート(ヘビー・ウェザー)」に覚醒、怒りのままに町をカタツムリの大量発生という怪現象が襲う。復讐のウェザーはエンリコを殺しに来るも、エンリコは兄であることを告白したことで一瞬のスキを作り、自分とペルラの記憶を奪い、ヘビー・ウェザーを鎮める。

この経験を経て、DIOが以前語った「人と人の間の『引力』」という言葉への共感から、目的のためには手段を選ばないことを決意する。その後はDIOに「引力」や「力」について話を聞くために会いに行き、よく会う親友となる。DIOから人類が進化して行きつく果ての「天国」の存在と、そこへ辿り着くためには自分の協力が必要不可欠であること、そして「天国へ行く方法」が記したノートの存在を教えられる。

1989年にDIOが空条承太郎に殺され、ノートは焼却されたことを知る。プッチは承太郎の記憶をDISCとして奪う策を練ることになる。

その後は正式に神父となり、Part6の8年ほど前に自ら希望してG.D.st刑務所の教戒師となる。またウェザーを同刑務所に収監させている。エンポリオの母を始末したが、子の存在を知らず取り逃す。

作中の行動[編集]

DIOの死から20年以上も経った2011年、DIOの元部下のジョンガリ・Aと共謀し、承太郎の娘・空条徐倫を自刑務所に収監させ、徐倫を救出にやって来た承太郎から記憶DISCとスタンドDISCを奪い取って倒す。承太郎の記憶から「天国へ行く方法」を知り、また承太郎の記憶を取り戻すために自分の正体を探る徐倫らに対し、DISCで生産したスタンド使いを刺客として差し向ける。承太郎のDISCは2枚とも徐倫に奪い返されるも、内容を知ったプッチは刑務所を出てケープ・カナベラルへ出発する。

「天国へ行く方法」の過程での「DIO」の骨から生まれた緑色の赤子との合体により、その背中にはかつてDIOが奪ったジョナサン・ジョースターの肉体と同様の星型のアザが現れ、彼の子孫にあたるジョースター家の血を引く人間(徐倫や承太郎)の「存在」を感じ取る能力を身につけた。さらに、スタンドも重力を操る「C-MOON」への進化を経て、最終的には時を加速させる「メイド・イン・ヘブン」に進化する。

ケープ・カナベラルでの最終決戦では、「メイド・イン・ヘブン」の時間加速能力を用いて、エルメェス、アナスイ、徐倫、承太郎を抹殺する。右眼を潰され、エンポリオには逃げられてしまうが、プッチが時を極限まで加速させたことにより宇宙は終焉と新たな開闢かいびゃくを迎え、時の加速を体験した全生命体は「一巡後の世界」に到達する。一巡した間に全生物は未来にいつ何が起こるかを体験しており、それを変えられない運命として事前に何が起きるかを知ることができる。全人類があらゆる悲劇や絶望にも事前に「覚悟」ができる世界こそが、「覚悟こそが幸福」という価値観を持つエンリコの求めた「天国」であった。

生き残ったエンポリオには、「エンリコから逃れる運命」があった。そこでエンリコは時の加速開始(2012年3月)よりも前、2011年11月の時点で加速を止めて、エンポリオを殺そうとする。だがエンポリオは、プッチが運命に干渉できることを逆手に取って、ウェザー・リポートのDISCを自身に押し込ませる。プッチは酸素中毒に陥らされて身体の自由を奪われ、「一巡し切った後ならばいくらでも命を捧げる」などと命乞いするも一蹴され、頭部を潰されて死亡する。

一巡し切らなかったため、「天国」は完成されずに消滅し、DIOとプッチの目論見は失敗に終わる。そして、かつての世界とは微妙に異なるパラレルワールドが誕生した。

続編となるPart7『スティール・ボール・ラン』に直接の登場は無いが、舞台となった世界は「メイド・イン・ヘブン」の能力により生まれた「一巡後の世界」であると説明されている[4]

スタンド[編集]

ホワイトスネイク[編集]

声 - 桐本琢也(ASB版[2]) / 増谷康紀(EoH版[3]

【破壊力 - ? / スピード - D / 射程距離 - ? / 持続力 - A / 精密動作性 - ? / 成長性 - ?】
(初期登場時のパラメータ。『JOJOVELLER完全限定版 STANDS』にて、未知数ながら近距離戦では推定A相当と説明される)

人型のスタンド。塩基配列の描かれた包帯状のラインが全身に走っており、顔の上半分と肩、腰の辺りは紫色の装飾品のようなもので覆われている。半径20m以内の遠隔操作型スタンド。会話することもできる。『オールスターバトル』の北米版では、"Pale Snake"(ペイルスネイク)と改名されている。

ディスク(DISC)という特別な物体を作り出す能力を有している。能力を用いると他人の頭部にDISCが作られ、外に出てくる。スタンド使いならば「記憶DISC」「スタンドDISC」の2枚、非スタンド使いならば「記憶DISC」1枚という構成。頭からDISCを抜かれると、記憶を失ったり、スタンドが使えなくなったりする。記憶DISCを読むことで他人の記憶を知ることができ、スタンドDISCを挿入された者はそのスタンドを得る。

このDISCは人間の脳や意識に幅広く作用する効果を持っており、応用範囲が非常に広い。プッチは幻覚を見せたり、他者に命令を書き込んで操ったり、記憶を操作するという、邪悪で厄介な使い方をする。

ディスク化には2通りの方法が登場している。1つ目は、長時間かけて対象者の心と肉体を溶かしてDISCを作る方法。時間がかかるため、密室に閉じ込めて遠距離から幻覚を見せるなどの罠にかける必要がある。2つ目は、接近して頭部から直接DISCを抜き取る方法。こちらは遠隔操作スタンドで接近しなければならないというリスクを負う。時間をかけたり長く触れてDISCを作れば、全記憶・全スタンドをDISCにして奪うことができるが、短時間や瞬間接触ではDISCの内容は一部にとどまる。全記憶をDISCとして抜き取られた者は、意思がなくなり何も考えられず、記憶DISCを再挿入しない限り徐々に衰弱していずれは死亡してしまう。スタンド使いならばスタンドDISCと記憶DISCの2枚があるので、スタンドDISCさえ戻せばとりあえずの猶予期間が残される。

他には、市販の音楽CDを人間の頭部に差し込むことで、収録されている音楽をその者の声帯から再生させるという奇妙な応用もみせている。終盤でプッチが「緑色の赤ちゃん」との合体したことで、スタンドが変化したことに伴い消滅した。C-MOONのデザインに名残がみられる。

デザインのイメージは死刑執行人[5]

シー・ムーン(C-MOON)[編集]

声 - 桐本琢也(ASB版[2]) / 増谷康紀(EoH版[3]

【破壊力 - ゼロ / スピード - B / 射程距離 - ? / 持続力 - ? / 精密動作性 - ? / 成長性 - ?】

緑色の赤ん坊と合体したプッチが、重力の影響を受けにくいケープ・カナベラルに到達したことで「ホワイトスネイク」が進化した姿。外見は「ホワイトスネイク」と緑色の赤ん坊双方の特徴を受け継ぎ、体のあちこちから能力を象徴するように矢印のようなものが突き出ている。重力に影響を与える力を持ち、本体の周囲3kmに存在する物体はプッチを上にして落下するようになり、攻撃した物体の引力を逆転させ、内と外を裏返しにする。この裏返りの作用でダメージを与えることもできるが、裏返った物が再度攻撃を受けると能力が相殺されて元に戻り、メビウスの輪クラインの壺のように表裏の概念が無い物体に対しては効力を発揮できない。スタンド像自体にパワーがない遠隔操作型であるが、単純な破壊力ではなく重力の影響によってダメージを与えるため、まともに攻撃すると近距離パワー型並の破壊力を持ち、本体から離れることによる破壊力低下の影響を受けない。『オールスターバトル』の北米版では、"Full Moon"(フル・ムーン)と改名されている。

デザインはホワイトスネイクの発展形で、荒木はスター・ウォーズシリーズに登場するダース・モールに似ていると語っている[5]

メイド・イン・ヘブン[編集]

【破壊力 - B / スピード - 無限大 / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - A】

最終決戦において、プッチが重力を最も軽減できる位置に到達したことで進化した、プッチのスタンドの完成形。それまでのプッチのスタンドとは全く異なる外見であり、前半身だけの馬から人の上半身が生えた姿をしており、顔の中心や手の甲には能力を象徴するかのように時計(あるいは計器)のマークが描かれている。時を無限に加速させるスタンドであり、「天国へ行く方法」実現の鍵となる。プッチ以外の全生物は時の加速についていけず、傍目から見るとプッチや物体が高速移動しているように見える。スタンド自体の破壊力は「スタープラチナ」などと比較するとそれほど高くない(プッチ自身も「最強になるための力ではない」と述べている)が、時の加速による凄まじいスピードが加わることにより恐るべき攻撃力を生む。また、時に影響を与える能力を得たためか、この能力の発現前後から『「スタープラチナ」の能力によって止まった時』を認識できるようになる。単行本17巻掲載のスタンドパラメータでは時間の加速の原理について「全宇宙の「引力」を利用して加速しているようだ」と説明されている。弱点は、本体のプッチは自身の身体能力を超える活動を行えないことで、例えば泳いでいるイルカに対し時の加速によって速度でプッチが追いつくことはできても、イルカのように長距離を泳ぐ事はできない。

車やボールなども物凄いスピードになるため、運転手は事故を起こし、冷凍庫に入った人間は一瞬にして氷付けになってしまう。またどんなに正確な時計も凄まじい速度で動き、日没なども異常な速度で行われる。また、全ての物体はとてつもない勢いで劣化していくようになり、「死体」も生物ではないため瞬く間に腐敗・崩壊していく。一方で作中の人物たちが普通に会話できたり、マイクを通しての野球場での実況が聞き取れ、とある漫画家が編集と電話ができていることなどから、電波や音波など加速の対象にならない例外もある様子。

だがしかし、このスタンドの真の能力は、時間を無限大に加速し続けることで世界を一巡させることにある。一巡した間に全ての人間や生物は未来にいつ何が起こるかを体験しており、その運命を変えることはできない(多少の違いはあっても運命に変更は無い。例えば紙を踏んで転ぶという出来事を体験している人間が、紙を踏むまいと回避したとしても別の物に躓き転んでしまう)が、プッチ本人のみは自身や他者の運命に干渉、変更することができる。雑誌連載時は呼称が「ステアウェイ・トゥ・ヘブン天国への階段)」であったが単行本では変更されている。『オールスターバトル』の北米版では、"Maiden Heaven"(メイデン・ヘブン)と改名されている。

デザインのイメージはケンタウルスであり、神話的でありながらメカニカルな要素も取り入れている[5]。また、全身に時計が配置されているのは時を加速するという理由から[5]

脚注[編集]

  1. ^ 週刊少年ジャンプ』連載時の一部シーン。単行本10巻83ページ、16巻192ページ
  2. ^ a b c CHARACTER”. ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル. 2013年12月4日閲覧。
  3. ^ a b c CHARACTER”. ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン. バンダイナムコエンターテインメント. 2015年12月23日閲覧。
  4. ^ 青マルジャンプ』(2004年)荒木飛呂彦ロングインタビュー
  5. ^ a b c d 「Commented by Hirohiko Araki」『JOJOVELLER完全限定版 STANDS』244-248頁。