恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-

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恥知らずのパープルヘイズ
–ジョジョの奇妙な冒険より-
ジョジョの奇妙な冒険 Parte5
『黄金の風』
著者 上遠野浩平
イラスト 荒木飛呂彦
発行日 2011年9月16日
発行元 集英社
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
ページ数 300
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恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-』(はじしらずのパープルヘイズ –ジョジョのきみょうなぼうけんより-、Purple Haze feedback)は、2011年9月16日集英社から発売された上遠野浩平による荒木飛呂彦の漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Parte5 黄金の風』の後日談を扱ったノベライズ作品。

概要[編集]

荒木飛呂彦の執筆30周年、『ジョジョの奇妙な冒険』の連載25周年の記念企画「ARAKI 30th & JOJO 25th / 2011-2012 JUMP j BOOKS Presents Special Project“VS JOJO”」の第一弾として発表された小説作品。製本サイズは四六判ハード。2014年3月19日に新書サイズ版が、2017年6月22日には文庫版と電子版が発売。

2001年に発表されたノベライズ作品『ジョジョの奇妙な冒険 II ゴールデンハート/ゴールデンリング』と同じく、物語はパンナコッタ・フーゴを中心に展開する。

パッショーネのボスだったディアボロを倒したジョルノのその後、フーゴやブチャラティなどの過去のエピソードなど原作では語られなかった部分の補完や、これまで接点の薄かった他の部とのつながりを感じさせる描写が随所に見られるのが特徴である。本作独自の解釈として、「群体型スタンドの持ち主は精神に決定的な空洞を抱えている」というものがあり作中ではSPW財団の研究者の見解とされている。

ハードカバー版の表紙は銀紙地で、小口は紫色に塗られている。荒木飛呂彦がイラストを描き、章またぎページにはスタンドの解説がつけられている。本作オリジナルのスタンドの名称は、フーゴのパープル・ヘイズと同じく全てジミ・ヘンドリックスの楽曲名からとられている。「スタンド」は「能力」という言葉に置き換えられ、余計な説明を敢えて排している(スタンド解説ページのみ例外)。イタリアが舞台となっており、あとがきによるとシチリアの地名は厳密な発音よりも日本語表記として収まりがよいものを優先したという。

上遠野浩平の執筆した作品は全て同一の世界観でつながっているという特徴があるが、この作品には特にその特徴はみられない。

『VS JOJO』企画としての煽りは「上遠野浩平 VS GIOGIO」。刊行当時の帯やサイトでの文言にみられる。ハードカバー版発売後、ウルトラジャンプ2011年12月号には付録小冊子『VSJOJOマニアクス』がつけられ、登場人物紹介、Part5作中の画像を流用した本文の試し読み、同企画の第2弾を担当した西尾維新との対談などが収録された。

新書版以降の版には、書きおろし短編『トリッシュ、花を手向ける』が収録されている。

あらすじ[編集]

西暦2001年、パッショーネの抗争から半年後にパンナコッタ・フーゴは組織の副長になったグイード・ミスタジュゼッペ・メアッツァまで呼び出される。かつてブチャラティチームを裏切ったフーゴに対して改めて組織への忠誠を証明させるために、ジョルノが進めている裏社会の清浄化の一環として組織の負の遺産である「麻薬チーム」を始末するように命じ、「できなかった場合はお前を殺す」と冷たく言い放った。

フーゴはボス親衛隊のシーラEと情報チームのカンノーロ・ムーロロと共に麻薬チームの追跡を開始する。敵はマッシモ・ヴォルペヴラディミール・コカキビットリオ・カタルディアンジェリカ・アッタナシオの4人。マッシモはフーゴとは旧知の間柄だった。彼らはヴィッラ・サン・ジョヴァンニで組織の刺客として送り込まれたサーレーとズッケェロを倒し、身を隠す事を止めてパッショーネとの戦いを決意する。

コカキは他の3人をシラクサのオルティージャ島に向かわせて、自身はタオルミーナ東端の野外劇場でフーゴらを迎え討つ。コカキは「レイニーデイ・ドリームアウェイ」でフーゴらを追い詰めるが、フーゴは「パープルヘイズ」でコカキを殺す。

残りの3人を追うためにヘリでオルティージャ島に向かうフーゴらは、アンジェリカの「ナイトバード・フライング」の影響を受けて墜落する。助かったのはフーゴとシーラEだけであり、ムーロロは行方不明になった。アンジェリカはコカキの仇を討つために「ナイトバード・フライング」で島の住人を麻薬中毒の症状にしてフーゴを襲撃するが、フーゴの「パープルヘイズ」のウィルスに冒される。ビットリオは2人と別れてシラクサドゥオーモに隠された石仮面の回収にあたるが、密かに生きていたムーロロによって石仮面を破壊され、さらに彼に降伏するよう勧められるが、「ドリー・ダガー」を道連れ覚悟で使い続けた事により出血多量で死亡した。マッシモはシーラEを倒し、「マニック・デプレッション」でシーラEを拷問してフーゴを呼び出す。マッシモは瀕死のアンジェリカの支援を受けて優位に立つが、フーゴは口に忍ばせていた「パープル・ヘイズ」のウイルス入りカプセルを噛み砕き、その際の吐血を浴びたマッシモはウイルスに感染し死亡する。この戦いを経てフーゴのスタンドは進化を果たした。

フーゴは任務の終了後にレストランまで呼び出され、そこに現れたパッショーネのボスであるジョルノ・ジョバァーナに任務を命じた真の目的を告げられる。彼の「ジョジョ」と呼んで欲しいとの申し出を受け、フーゴは自分に手を差し伸べるジョルノに忠誠を誓い、組織の一員として認められる。

登場人物[編集]

原作からの登場人物[編集]

パンナコッタ・フーゴ
  • スタンド名:パープル・ヘイズ
本作の主人公。16歳。かつてはブチャラティチームに所属していたが、組織を裏切ってボスに戦いを挑むブチャラティの考えについていけず、チームの中で一人だけ離脱を選んだ。その後は半年ほどバーでピアノ弾きをしながらひっそりと暮らしていたが、ジョルノがディアボロを倒してボスとなったため組織から信用を失う。ミスタに呼び出されて改めて組織への忠誠を確かめるため麻薬チームの始末を命じられる。
ブチャラティが組織を裏切った際、一人だけついて行けなかったことをが大きなわだかまりとなっており、作中でも自問自答を繰り返している。しかし、ヴォルペに敗北して満身創痍になったシーラEの姿を目の当たりにし、その疑問に決着をつける。この精神の成長によってスタンドも進化を遂げ、ヴォルペを瞬殺した。
任務の終了後にレストランに呼び出され、そこに現れたジョルノからフーゴの死後に「パープル・ヘイズ」が一人歩きして暴走してしまうおそれを危惧し、精神の成長を促して「パープル・ヘイズ」を制御させるために今回の任務を命じていた事を告げられる。そして、フーゴは自分に手を差し伸べるジョルノに忠誠を誓う。
フーゴ家は違法すれすれの貿易と第二次世界大戦の寸前にアフリカ諸国を相手に投資させて貸し主を破産させるというやり方でのし上がった成金だった。下層階級出身の祖父は貴族になるためにフーゴの父を破産した貴族の娘と結婚させ、生まれた子供の3男が彼である。2人の兄は凡庸な人間だったが、彼は早熟の才を見せ、祖父から強制的な英才教育を受けさせられた。金で資格を買い13歳でボローニャ大学の入学許可を得たが、彼の心の支えは優しい祖母であり、祖母が亡くなったという知らせを聞いた日の試験の結果は最悪だった。大学教授に呼び出されて祖母を嘲られた事に怒り、重さ4キロの百科事典で教授の頭を滅多打ちにして駆けつけた警備員さえも叩きのめした。実家から勘当されてどこにも行く場所がなくなり、警察に拘留されていた時にブチャラティにスカウトされる。
パープル・ヘイズ→パープル・ヘイズ・ディストーション
【破壊力 - A / スピード - B / 射程距離 - C→E / 持続力 - E / 精密動作性 - E→C / 成長性 - B→?】
殺人ウイルスを散布する近距離パワー型のスタンド。殺人ウイルス入りのカプセルが拳に6つ搭載されている。ウイルスに感染すればフーゴも命を失う危険性があったが、精神の成長によってウィルス効果がフーゴの精神に左右されるという新たな特性が加わった。
凶暴化したウイルスは他のウイルスをも喰い殺してしまうため、全力で攻撃するほどウイルスの共食いしか起こらず相手への殺傷力がなくなり、手加減するほど確実に相手を殺せるという矛盾した特性を持つ[1]。ウイルスの感染力は30秒からほとんど一瞬に変化している。
名前のモチーフはジミ・ヘンドリックスの楽曲「パープル・ヘイズ」と、ジミが好んだアンプの音量を上げることによって音を歪ませる音響技術「ディストーション」から。
ジョルノ・ジョバァーナ
  • スタンド名:ゴールド・エクスペリエンス / ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム
Parte5の主人公。16歳。現在のパッショーネのボス。かつてのボスであったディアボロを倒して新しいボスとなる。ディアボロが自身の情報を隠していた事を利用し、「その幼さ故にいらぬ反感を買うことを警戒して素性を隠していたが、組織に裏切り者が出てボスの正体を探ろうとし、無関係の娘を巻き込んだ抗争に発展しかけたことから、もはや正体を隠す理由がなくなったと判断し、正々堂々と姿を見せることにした」として、以前からボスだったように振る舞っている。ディアボロを連想させる「ボス」という呼び方を好まず、「ジョジョ(GIOGIO)」と呼ばれる事を望んでいる。
ボスとなってからは父であるDIOを髣髴とさせるカリスマ性で組織を束ね、世界有数の財団であるSPW財団と手を結び、イタリアの表社会を動かせるほど組織を拡大している。一方で、ブチャラティの遺志を継いで裏社会の清浄化を進めており、彼が嫌悪していた麻薬の流通を止めるために麻薬チームを壊滅させるよう命じた。
任務の完了後にはフーゴをレストランに呼び出し、フーゴの負傷を治療してフーゴとシーラEに任務を命じた真の理由を明かした。
グイード・ミスタ
  • スタンド名:セックス・ピストルズ
パッショーネの副長。ブチャラティチームの中でジョルノと共に生き残り、組織のNo.2となる。しかし、2は掛け合わせると4になるという理由でNo.3を自称し、No.2はポルナレフとしている。
かつてチームを離脱したフーゴをジュゼッペ・メアッツァに呼び出し、麻薬チームの始末を命じた上で「できなかった場合はお前を殺す」と冷たく言い放った。
ブローノ・ブチャラティ
  • スタンド名:スティッキィ・フィンガーズ
故人。回想で登場。部下がいなかった頃、暴行事件を起こしたフーゴに面会し、学歴を持たない自分の代わりに参謀としてフーゴをスカウトした。組織が流している麻薬で汚染される街のことを考え、涙を流さず悲しみに満ちた表情をみせた。
ナランチャ・ギルガ
  • スタンド名:エアロスミス
故人。回想の中で登場。フーゴに拾われたことが切っ掛けで組織に入団した。フーゴのスタンドが見えていたため、ポルポの入団試験で無駄死せずにスタンドを会得できた。(6部以前よりも7部寄りのスタンド設定である)
ディアボロとの最終決戦で死亡した後、ジョルノがネアポリスの教会に多額の寄付をして葬式を出している。
レオーネ・アバッキオ
  • スタンド名:ムーディ・ブルース
故人。回想の中で登場する。フーゴと面会して、元警官という出自から出世は望めないことを伝えられながらもパッショーネに入団した。また、彼が取引していたチンピラはパッショーネの麻薬密売人で、組織の者に暗殺されて真夏に凍死した。
フーゴとはコンビで、ブチャラティには知らせられない汚れ仕事を解決することが多かった。
トリッシュ・ウナ
  • スタンド名:スパイス・ガール
ディアボロの娘。自分に繋がる全ての存在を消し去ろうとしていたディアボロに命を狙われるが、ジョルノがディアボロを倒したことにより生き延びた。表向きは組織とは無関係という事になっており、抗争に巻き込まれる以前から行っていた歌手としての活動を再開し、CDデビューも果たしている。
新書版以降の書きおろし短編『トリッシュ、花を手向ける』では、ブチャラティの故郷に行って彼の墓参りをするが、そこでブチャラティの母親と出会う。
ジャン=ピエール・ポルナレフ
Part3の主要人物。かつてはスタンド使いを生み出す矢をめぐってパッショーネと敵対しており、ディアボロを打倒するために組織から離反したブチャラティチームに協力していた。ディアボロとの戦いで死亡したが、亀のココ・ジャンボのスタンド「ミスター・プレジデント」の能力で作られた部屋の中に魂のみ留まっている。
副長のミスタがNo.3を自称しているため、パッショーネのNo.2となっている。プロローグにおけるフーゴとミスタの会話から、ポルナレフの存在自体が組織の限られた人物しか知らないトップシークレットとなっている模様。登場人物たちの会話で名前が語られているのみで本人は登場していない。
サーレー
  • スタンド名:クラフト・ワーク
パッショーネの組員。かつてポルポの隠し財産をめぐりブチャラティチームと対立したため、組織への忠誠を証明するために麻薬チームの始末を命じられる。
ヴィッラ・サン・ジョヴァンニで麻薬チームのビットリオと対決するが、「クラフト・ワーク」による攻撃を反射されて心臓が体から飛び出し死亡する。
マリオ・ズッケェロ
  • スタンド名:ソフト・マシーン
パッショーネの組員。サーレーの相棒で、同様の理由から組織への忠誠を証明するために麻薬チームの始末を命じられる。
ヴィッラ・サン・ジョヴァンニでサーレーと共に麻薬チームを襲撃したが、マッシモのスタンド「マニック・デプレッション」で麻薬漬けにされてしまい、自我を奪われて接近してきたものを反射的に攻撃するだけの戦闘機械にされてしまう。麻薬チームを追ってシチリア島までやってきたシーラEと対決するが、ヴードゥー・チャイルドの唇によるトラップで拘束され、直後にマッシモのスタンドによる血圧の異常な上昇が肉体の限界を超え、全身が破裂して死亡した。
ディアボロ
  • スタンド名:キング・クリムゾン
パッショーネの創立者。新規参入が難しいとされた麻薬密輸ビジネスをマッシモのスタンド「マニック・デプレッション」で実現させた。
ジョルノに敗れて消息を絶ち、ボスの座を奪い取られる。公開情報ではその横暴からボスであるジョルノに粛清された事になっている。
ポルポ
  • スタンド名:ブラック・サバス
パッショーネの元幹部。故人。回想の中で登場。フーゴが麻薬密売人の報告をしたことで、裏でボスが麻薬密売に手を染めていた事を悟り、深く詮索する事は危ういと判断してフーゴに捜索中止を命令した。
ルドル・フォン・シュトロハイム
第2部『戦闘潮流』に登場したナチス・ドイツの将校。SS大佐。本人は1943年スターリングラード戦線で戦死している。その当時、石仮面による不死の研究の責任者であり、シチリアにあった石仮面を回収する予定であった。しかし、彼の戦死と連合軍のシチリア上陸によるドイツ軍の撤退で、石仮面は回収されないまま、シラクサドゥオーモに隠されていた。

小説版オリジナルの登場人物[編集]

パッショーネ構成員[編集]

シーラE(シィラ・カペッツート)
パッショーネのボス親衛隊。15歳。通称のシーラEのEはイタリア語で復讐を意味するエリンニ(Erinni)からとったもので、敵に対してどこまでも無慈悲であることを誓った証である。
自分の姉を殺した暗殺チームのイルーゾォへ復讐の機会を得るために組織に入団。わずか10歳でローマの賭場を仕切っていたミランツァ組を潰してパッショーネの縄張りとした功績を認められ、ボス親衛隊(当時のディアボロ親衛隊)に抜擢される。
姉の仇であるイルーゾォはブチャラティチーム(後に手を下したのがフーゴであることに気付く)によって殺されたため本懐を果たす事は叶わなかったが、ジョルノから「イルーゾォは報いを受けた」と死に様を聞かされて深い恩義を感じ、命を捨てることも厭わないと思うほどに心酔するようになった。だが、親衛隊と暗殺チームとの連絡役であったことから組織からの信用が得られず、身の潔白を証明するために麻薬チームの始末を命じられる。
ジョルノは彼女の行き過ぎてしまう性格を憂慮しており、彼女に「負けを認める勇気」を学ばせるためにこの任務を命じたという。
ヴードゥー・チャイルド
【破壊力 - B / スピード - A / 射程距離 - E / 持続力 - E / 精密動作性 - B / 成長性 - B】
近距離パワー型のスタンド。物体を殴ると唇が浮かび上がり、以前にその近くにいた者の陰口を聞く事ができる。それはその人の「こんな風に思われているんじゃないか」という不安がその場に染み込んで残っているためである。ヴードゥー・チャイルドはどんな人間にもある警戒心を暴き立てるとされる。人間を殴っても唇が出て、その人間の深層心理からの罵倒を行い、ほとんどの者は耐えきれずショック死する[2]。ラッシュ時の決め台詞は「エリエリエリ…」。
カンノーロ・ムーロロ
パッショーネの情報分析チーム所属の情報管理担当者。32歳。1930年代のギャング映画から抜け出してきたような、いかにもギャングと言わんばかりの服装をしている。暗殺チームからの依頼で焼けた写真の復元を行い、それがジョルノとミスタがギアッチョに襲撃されるきっかけとなった事から、身の潔白を証明するために麻薬チームの始末を命じられる。
実はその件のみならず、ディアボロに暗殺チームが身辺を探っている事を密告し、暗殺チームにもディアボロに関する情報を与えるなど暗殺チームとディアボロが敵対するように仕向けた抗争の元凶であり、自身はその裏でどちらが勝ってもいいように立ち回っていた。そうした過去から麻薬チームのコカキに「お前のようなヤツがいるから世界は歪んでしまう」と唾棄されている。
自分の生い立ちを「社会の底辺のゴミ溜めのような場所で生まれ育ち、目先の怒りや苛立ちを晴らすだけの何の希望も無い人生を送っていた」と語っており、パッショーネに入団してからも「自分はその気になれば誰でも殺せる、無敵の存在である」「誰の為であっても、俺がストレスを感じる事は許せない」と思っていた。
しかし、ボスとなったジョルノに薄っぺらな己の本質を見抜かれた事で生まれて初めて「恥」という感情を覚え、ジョルノに心から服従するようになり、その後はジョルノの密命で組織の裏切り者の始末を行っていた。麻薬チームの始末を命じられたのも隠れ蓑に過ぎず、真の任務はスピードワゴン財団や空条承太郎から警戒される恐れがあるため石仮面に接触できないジョルノの代わりに、ナチス・ドイツがシラクサドゥオーモに隠した石仮面を見つけ出して破壊することだった。そのため、麻薬チームをある程度泳がせていた。
オール・アロング・ウォッチタワー(劇団〈見張り塔〉)
【破壊力 - C / スピード - B / 射程距離 - A / 持続力 – A / 精密動作性 - A / 成長性 - E】
トランプカードに憑依した全53体の群体型スタンド。憑依したカードからは手足が生えて絵柄が生物のように動く。トランプタワーを作ることで発動し、本体の知りたい事を舞台劇のように演じる。
53枚のカードがそれぞれ自律して動き、その薄さを利用して様々な場所に忍び込み情報収集や暗殺を行う。ムーロロは千里眼のような能力だと説明しているが、劇などは情報収集の結果を報告しているだけである[3]
ジャンルッカ・ペリーコロ
パッショーネの幹部だったヌンツィオ・ペリーコロの息子。幼いころに大病を患い、医者からも見捨てられたところをパッショーネに救われて父と共に入団する。その経緯から組織に対して強い忠誠心を持ち、父の死すら「組織に身を捧げたのだ」と当然のごとく受け入れた。スタンド能力は持たない。
ジョルノが組織を掌握し、ボスとして姿を現した際には、組織の安定化を図るためにジョルノに疑いを持つ幹部らのもとに単身丸腰で出向き、命懸けで説得を行った。その姿勢がジョルノの目に留まり、父が任せられていた基盤を受け継ぐことを許され、副長のミスタに次ぐ地位を得た。

麻薬チーム[編集]

マッシモ・ヴォルペ
麻薬チームのメンバー。25歳。麻薬を製造するスタンド「マニック・デプレッション」を持つ中核的存在。ディアボロが蔓延させた麻薬は彼のスタンドが塩に能力を浸透して作り出したものである。ジョルノはその危険性から彼を抹殺対象リストの最上位に挙げ、他の標的を取り逃がしても彼だけは始末するように命じており、コカキには「お前の能力さえあれば、全ての人間の上に君臨することが可能」とまで評される。
没落した貴族の家に生まれ、金持ちに表で媚びながらも裏では罵倒するような父を見て育ち、夢や目標を持たない後ろ向きな人間となった。借金がかさんだことでマフィアに家名ごと身売りし、父はマッシモ製スタンド麻薬の常習者と化している。フーゴとは大学時代の同期であり、彼の事を軽蔑している。一方で彼の周囲を顧みない部分に共感しており、教師を殴って退学になった時も特に驚く様子を見せなかった。
ヴィッラ・サン・ジョヴァンニで襲撃してきたズッケェロを捕らえ、刺客の襲撃に備えて拠点をオルティージャ島へと移し、自身のスタンドの欠点である肉体への負荷を克服すべく、かつてナチス・ドイツが行っていた不死の研究材料である石仮面を回収しようとする。
コカキを倒してオルティージャ島まで追ってきたシーラEを、自身のスタンドによって極限まで強化した肉体で再起不能にする。しかし、アンジェリカはフーゴのスタンド「パープル・ヘイズ」の殺人ウイルスに感染して肉体の大半が崩壊し、いつ死んでもおかしくない状態になってしまう。その怒りからシーラEを拷問してフーゴを呼び出し殺害しようとするが、フーゴは相打ちを覚悟で口に忍ばせていた「パープル・ヘイズ」のウイルス入りカプセルを噛み砕き、その際の吐血を浴びた事でウイルスに感染し死亡した。
なお、回想シーンから彼の兄はPart4に登場する料理人・トニオ・トラサルディー(本名:アントニーオ・ヴォルペ)である。自分に連動して兄もスタンド使いになり、自分と同じく身体に影響を与える能力でありながら、自分とは逆の能力を発現しているだろうと心のどこかで感じ取っている。
マニック・デプレッション
【破壊力 - C/ スピード - A / 射程距離 - E / 持続力 – B(薬物効果は半月ほど) / 精密動作性 - B / 成長性 - C】
餓鬼のような像をしたスタンド。能力は生命力の過剰促進。このスタンドの注射器のような棘に刺されると肉体が過剰反応し、心臓が破裂したり消化しすぎて内蔵を溶かしてしまう。ドーピングのように肉体の限界を超えて身体能力を強化させる事もできるが、肉体への負荷が欠点である。
塩に浸透させる事で、その溶液を静脈注射した者の脳内麻薬を過剰分泌させて既存の違法麻薬と同じか、それ以上の効果を肉体にもたらす。効果は時限性で半月程度でただの塩に戻る[4]。この性質は麻薬を流通させる際に問題となる横流しを防ぐことに都合が良かったとされる。
ビットリオ・カタルディ
麻薬チームのメンバー。16歳。短絡的で視野が狭く、将来性の感じられない性格。スタンド「ドリー・ダガー」を発動させるためにつけた傷が全身にある。
ヴィッラ・サン・ジョヴァンニで襲撃してきたサーレーをアンジェリカと共に返り討ちにする。タオルミーナに渡ってからシチリアへ向かい、麻薬チームと別れてシラクサドゥオーモに隠された石仮面の回収にあたるが、ムーロロによって石仮面を奪われて破壊される。激昂してスタンドを発動するが、ムーロロのスタンド「オール・アロング・ウォッチタワー」が群体型であったことからダメージを与えることができず、ムーロロからは降伏してジョルノへ服従することを勧められるが、その言葉に耳を貸さず「ドリー・ダガー」を道連れ覚悟で使い続けた事により、自ら負った傷による出血多量で力尽きて死亡した。
ドリー・ダガー
【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - B / 成長性 - C】
ナポレオン時代の古い短剣に取り憑いた実体化スタンド。傷をつけられるとそのダメージの7割を刀身に映り込んだものに転移させる。「自分は悪くない、責任転嫁したい」という強い思いが生み出したスタンド[5]
銃撃や殺人ウイルスのダメージすら相手に返すことができるが、「クラフト・ワーク」による心臓の固定など攻撃によっては3割でも危険な場合もあるため、マッシモから敵の攻撃を安易に食らわないように諫められている。また、群体型のスタンドには効果が分散されて相手にダメージを与えられず、自身へのダメージが蓄積される危険性がある。
アンジェリカ・アッタナシオ
麻薬チームのメンバー。14歳。先天性の「血液がささくれ立つ」といわれる難病に侵されており、その病による血管の中に無数の微細な針が流れているような激痛を和らげるために末期の麻薬中毒となっている。
麻薬中毒のため意識が曖昧で、シチリアの民謡である『しゃれこうべの歌(VITTI’NA CROZZA)』を口ずさんでいる。本人に戦闘力はほとんどなく、病からマッシモの傍を離れられないが、無意識に放っているスタンドで敵を無力化してチームの支援を行う。
ビットリオと共にサーレーを返り討ちにした後、コカキと別れて他のメンバーと共にシラクサのオルティージャ島へと渡り、コカキを倒して追ってきたフーゴを襲撃する。スタンドで麻薬中毒にした島の住人に紛れて襲い掛かかるが、フーゴを刺して逃げる際に「パープルヘイズ」のウイルスに感染し、合流したマッシモの目の前で体が崩れていった。しかし、マッシモのスタンド「マニック・デプレッション」により延命され、死の直前までスタンドでマッシモの援護を続けていた。
ナイトバード・フライング
【破壊力 - E / スピード - A(相手次第) / 射程距離 - A / 持続力 – A(症状が続く限り) / 精密動作性 - E / 成長性 - E】
他人に理解してもらえない寂しさから生まれた半自律型のスタンド。小鳥のような姿をしており、人の温もりを求めて飛び回っている[6]
他人の魂を探知して自動追尾し、対象の心身を麻薬中毒の末期の症状と同じ状態にする。攻撃対象は本体が覚えていられる限りだが、その記憶力は麻薬中毒のため曖昧で見境がない。攻撃対象を判断力の低下や幻覚によってほぼ無力化でき、幻覚によって人間を操ることもできる。このほか、他人の魂を探知する特性をレーダーの様に使う事も可能。
ヴラディミール・コカキ
麻薬チームのリーダー。70歳。パッショーネに加わる以前からギャングとして活動しており、ディアボロですら力による屈服よりも交渉による懐柔を選んだほどの実力者。物静かな老人で、その人間性から麻薬チームでは父のように慕われている。少年時代に第二次世界大戦に巻き込まれて妹を失い、その極限状態でスタンド能力を得た。
ディアボロがジョルノに敗れてから麻薬チームを守るために姿を隠すが、ジョルノに刺客を差し向けられた事から戦うことを選ぶ。他の3人をシラクサのオルティージャ島に向かわせて、自身はタオルミーナ東端の野外劇場でフーゴらを迎え討つ。
スタンド「レイニーデイ・ドリームアウェイ」と話術によってフーゴとシーラEを手玉に取り、かつて抗争の引き金を作ったムーロロを始末しようとする。しかし、フーゴが「パープルヘイズ」に自身をコカキの真上に投げ飛ばさせ、実際に落下する事で定着された「落ちる感覚」を打ち消したため、落下してきたフーゴの「パープルヘイズ」により首の骨を折られて死亡した。その死体は直後にウイルスによって朽ち果てた。
シチリアのギャングと人脈を持っており、協力を要請してマッシモら3人を匿っていたが、契約はコカキの死により破綻した。
レイニーデイ・ドリームアウェイ
【破壊力 - E / スピード - B (霧雨の広がる速度)/ 射程距離 – A / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - E】
相手の感覚を定着させる霧雨状のスタンド。「転びそうになる」「落ちる」といった感覚を定着させるとその感覚に縛られて体の自由が奪われ、「敵わない」と思った相手にその感覚を定着させると相手への攻撃や自身の防御ができなくなる。対象の精神エネルギーを利用した能力であるため、一度術中にはまるとスタンドの射程外に出ても能力は解除されない[7]

書籍情報[編集]

出典[編集]

  1. ^ 『恥知らずのパープルヘイズ』274ページ
  2. ^ 『恥知らずのパープルヘイズ』123ページ
  3. ^ 『恥知らずのパープルヘイズ』245ページ
  4. ^ 『恥知らずのパープルヘイズ』83ページ
  5. ^ 『恥知らずのパープルヘイズ』46ページ
  6. ^ 『恥知らずのパープルヘイズ』196ページ
  7. ^ 『恥知らずのパープルヘイズ』161ページ

関連項目[編集]

外部リンク[編集]