チオペンタール
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IUPAC命名法による物質名 | |
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臨床データ | |
Drugs.com | monograph |
法的規制 |
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投与方法 | 経直腸, 注射 |
薬物動態データ | |
半減期 | 5.5[1]-26 時間[2] |
識別 | |
CAS番号 |
71-73-8 ![]() 76-75-5 (遊離酸) |
ATCコード | N01AF03 (WHO) N05CA19 (WHO) |
PubChem | CID: 3000714 |
IUPHAR/BPS | 2579 |
DrugBank |
DB00599 ![]() |
ChemSpider |
2272257 ![]() |
UNII |
49Y44QZL70 ![]() |
KEGG |
D00714 ![]() |
ChEBI |
CHEBI:9561 ![]() |
ChEMBL |
CHEMBL738 ![]() |
化学的データ | |
化学式 | C11H17N2NaO2S |
分子量 | 264.32 g/mol |
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チオペンタール(Thiopental)は、バルビツール酸系の麻酔薬の一つ。静脈注射により鎮静・催眠効果を示す。商品名はラボナール (Ravonal) 。アメリカでは死刑執行時に意識を無くす薬物として知られるが [3]、アメリカでは2009年に製造停止に至り入手困難となっている[4]。
作用機序[編集]
GABAA受容体に結合してGABAの作用を増強させ、細胞に過分極を生じさせる。脳幹の網様体賦活系を抑制することにより麻酔作用をあらわすと考えられている。脂溶性が高いため容易に血液脳関門を通過し、短時間で作用を発揮する。反復投与により脂肪組織に蓄積し、長時間の麻酔作用を発現することがある。 自白剤としての作用を持つとしてオウム真理教が実際に使用したが、そのような作用は無く、単に大脳新皮質に作用する麻酔・鎮静作用のある薬である。
適応[編集]
副作用[編集]
筋肉内注射に関しては、本剤はアルカリ性(pH10 - 11)であり筋注部位の壊死並びに局所障害を起こすことがあるので、患者の受ける恩恵が、その危険性よりも重要視される場合にのみ適用されるべきである。
禁忌[編集]
チオペンタールはヒスタミンの遊離作用があり、ぜん息患者に使用すると気管支が痙攣(けいれん)してしまう恐れがあるので、ぜん息患者には禁忌である。
製造中止騒動[編集]
1997年(平成9年)8月、田辺製薬(現:田辺三菱製薬)は、薬価下落による不採算を理由に、ラボナールの製造中止を発表した。麻酔科医たちは撤回運動を起こし、日本麻酔科学会は厚生省へ製造中止撤回を求める要望書を提出。その結果、田辺製薬は製造中止を撤回し、薬価は1998年(平成10年)の改正で、352円(500mg製剤)から1,200円に引き上げられた(2010年2月の薬価は1,157円。 2020年2月の薬価は、ニプロESファーマ製造販売 0.3g 841円、0.5g 1,002円[5])。
アメリカでの死刑執行[編集]
アメリカでは薬物による死刑執行時に意識を無くす薬物として知られる[3]。ホスピラ社は、アメリカで2009年にチオペンタールの製造を停止しており[4]、2010年、チオペンタールを含めた麻酔薬全般が入手困難のため、死刑執行時の薬剤として確保することすら困難となり、代わりにペントバルビタールが用いられ物議を醸した[6]。
関連項目[編集]
出典[編集]
- ^ Russo H, Brès J, Duboin MP, Roquefeuil B (1995). “Pharmacokinetics of thiopental after single and multiple intravenous doses in critical care patients”. Eur. J. Clin. Pharmacol. 49 (1–2): 127–37. doi:10.1007/BF00192371. PMID 8751034.
- ^ Morgan DJ, Blackman GL, Paull JD, Wolf LJ (June 1981). “Pharmacokinetics and plasma binding of thiopental. II: Studies at cesarean section”. Anesthesiology 54 (6): 474–80. doi:10.1097/00000542-198106000-00006. PMID 7235275.
- ^ a b “米の死刑、執行できない?メーカー製造撤退で薬物不足に”. asahi.com. (2011年1月24日). オリジナルの2011年1月25日時点におけるアーカイブ。 2016年6月9日閲覧。
- ^ a b Ed Pilkington (2011年12月20日). “Europe moves to block trade in medical drugs used in US executions”. Guardian 2016年6月9日閲覧。
- ^ “医療用医薬品 : ラボナール” (2020年2月). 2020年6月7日閲覧。
- ^ “動物安楽死用の薬品で死刑執行 オクラホマ州”. CNN.co.jp. (2010年12月17日). オリジナルの2010年12月21日時点におけるアーカイブ。 2016年6月9日閲覧。