スボレキサント
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IUPAC命名法による物質名 | |
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[(7R)-4-(5-chloro-1,3-benzoxazol-2-yl)-7-methyl-1,4-diazepan-1-yl][5-methyl-2-(2H-1,2,3-triazol-2-yl)phenyl]methanone
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臨床データ | |
販売名 | Belsomra |
Drugs.com | entry |
胎児危険度分類 |
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法的規制 |
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識別 | |
CAS番号 |
1030377-33-3 ![]() |
ATCコード | None |
PubChem | CID: 24965990 |
ChemSpider | 24662178 ![]() |
KEGG | D10082 |
化学的データ | |
化学式 | C23H23ClN6O2 |
分子量 | 450.920 g/mol (free base) |
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スボレキサント(英:Suvorexant)とは、選択的デュアルオレキシン受容体拮抗薬であり、不眠症に対する効能・効果を有する睡眠薬である[1][2][3]。商品名ベルソムラとして販売され、開発はメルク・アンド・カンパニー(MSD)。開発名MK-4305と呼ばれた薬物は、3つの第III相臨床試験を完了し[4]、アメリカで2014年8月13日にアメリカ食品医薬品局(FDA)によって販売が承認され[5]、日本では2014年9月26日に承認された[6]。
アメリカの規制物質法におけるスケジュールIVに指定されている[7]。日本では習慣性医薬品に指定される。
適応[編集]
適応は、不眠症であるが、二次性不眠症には効果と安全性は確認されていない[8]。
作用機序[編集]
スボレキサントは、オレキシン受容体における拮抗作用を介して、不眠症における治療効果を発揮する。覚醒促進神経ペプチドのオレキシンAとオレキシンBが、オレキシン1受容体およびオレキシン2受容体に結合するのを阻害することで、覚醒状態を抑制すると考えられている[9]。オレキシンAとオレキシンBは覚醒を維持しており、人ではオレキシン神経細胞を慢性的に損失することが、ナルコレプシーと関連している[10]。
ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系のように睡眠を促すのではなく、スボレキサントは覚醒状態を抑制するため、GABAに影響を及ぼし習慣性と依存性があり短期的な使用が推奨されるベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系とは異なった副作用により、長期的に使用できるとされている[11]。
薬物動態学[編集]
他の不眠症の治療薬を併用した際の、有効性と安全性は明らかとなっていない[8]。
主にCYP3Aによって代謝される[8]。また抑制剤との併用は、抑制作用の増強に注意が必要な慎重投与とされる[8]。
副作用[編集]
翌日のふらつきや、傾眠の傾向のため、自動車運転など機械の操作に従事させないという注意書きがある[8]。アメリカの臨床試験では、20ミリグラムや40ミリグラムの用量で日中の過剰な眠気が生じることがあることが判明し、10ミリグラムの用量が試験されていった[12]。
自殺思考[編集]
アメリカの臨床試験では、自殺思考の増加が確認されている[12]。
依存の可能性[編集]
乱用[編集]
スボレキサントを単回投与した際の乱用の可能性として、ゾルピデム(マイスリー)と比較して、薬物嗜好視覚的類似尺度(Drug Liking Visual Analogue Scale)にて似たような数値だと解釈された[11]。日本の医薬品添付文書にも、嗜好性が偽薬よりも高く、ゾルピデムと同じ程度であると記載されている[8]。アメリカの麻薬取締局(DEA)は2014年8月28日に、スボレキサントを規制物質法におけるスケジュールIVに指定した[7]。
依存[編集]
FDAの説明資料では慢性的に使用した後の急な中止によって、反跳性不眠や離脱作用が生じないとされ、臨床試験では3か月から12か月の使用の後にもそういった現象は観察されていない[11]。
出典[編集]
- ^ doi:10.1021/jm100541c
これはおそらく他の言語版からコピーされた出典です。日本語版では副テンプレートはまだ作成されていません。テンプレートページを開いて該当言語版からコピーする必要があります。通常英語版ページ - ^ doi:10.1021/op1002853
これはおそらく他の言語版からコピーされた出典です。日本語版では副テンプレートはまだ作成されていません。テンプレートページを開いて該当言語版からコピーする必要があります。通常英語版ページ - ^ doi:10.3109/01677063.2011.566953
これはおそらく他の言語版からコピーされた出典です。日本語版では副テンプレートはまだ作成されていません。テンプレートページを開いて該当言語版からコピーする必要があります。通常英語版ページ - ^ 臨床試験一覧
- 臨床試験番号 NCT01097629 研究名 "Safety and Efficacy Study in Primary Insomnia Patients-Study B (4305-029)" - ClinicalTrials.gov
- 臨床試験番号 NCT01021813 研究名 "A Long Term Safety Study of MK4305 in Patients With Primary Insomnia (4305-009 AM3)" - ClinicalTrials.gov
- 臨床試験番号 NCT01097616 研究名 "Safety and Efficacy Study in Primary Insomnia Patients- Study A (4305-028)" - ClinicalTrials.gov
- ^ “FDA News Release FDA approves new type of sleep drug, Belsomra”. U.S. Food and Drug Administration (2014年8月13日). 2014年9月30日閲覧。
- ^ “新規作用機序の睡眠薬ベルソムラが承認取得”. 日経メディカル (2014年9月29日). 2014年9月30日閲覧。
- ^ a b “Schedules of controlled substances: placement of suvorexant into Schedule IV. Final rule” (pdf). Federal Register 79 (167): 51243–7. (August 2014). PMID 25167596 .
- ^ a b c d e f #添付文書
- ^ “Highlights of prescribing information”. 2014年10月11日閲覧。
- ^ Yang, Lily P. H. (September 2014). “Suvorexant: First Global Approval”. Drugs. doi:10.1007/s40265-014-0294-5. PMID 25227290 .
- ^ a b c Bennett T, Bray D, Neville MW 2014.
- ^ a b “FDA raises concerns about experimental sleep aid suvorexant”. CBSNews. (2013年5月20日) 2014年9月30日閲覧。
参考文献[編集]
- ベルムソラ (PDF) 添付文書
- Bennett T, Bray D, Neville MW (April 2014). “Suvorexant, a dual orexin receptor antagonist for the management of insomnia”. P & T : a Peer-reviewed Journal for Formulary Management 39 (4): 264–6. PMC 3989084. PMID 24757363 .
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