トケイソウ

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トケイソウ
W tokeisou5071.jpg
トケイソウ(Passiflora caerulea
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: キントラノオ目 Malpighiales
: トケイソウ科 Passifloraceae
: トケイソウ属 Passiflora
: トケイソウ P. caerulea
学名
Passiflora caerulea
和名
トケイソウ
英名
Passion flower
コンスタンス・エリオット(Passiflora caerulea 'Constance Elliot')

トケイソウ(時計草[1]、パッションフラワー、: Passion flower)はトケイソウ科トケイソウ属 Passiflora に分類される植物の総称であり、狭義には Passiflora caerulea という種の和名である。

名称[編集]

和名トケイソウは、3つに分裂した雌しべ時計の長針、短針、秒針のように見え、花びらが円形に並んで放射状に配置されて文字盤に見立てられる、特徴のある花を咲かせることに由来する[1]

英名 passion flower は「キリスト受難の花」の意味で、イエズス会宣教師らによってラテン語flos passionis と呼ばれていたのを訳したものである。16世紀、原産地である中南米に派遣された彼らは、この花をかつてアッシジの聖フランチェスコが夢に見たという「十字架上の花」と信じ、キリスト教の布教に利用した。彼らによればこの植物はキリストの受難を象徴する形をしており、花の子房柱は十字架、3つに分裂した雌蕊が釘、副冠は茨の冠、5枚の花弁は合わせて10人の使徒、巻きひげはムチ、葉は槍であるなどと言われた。

属名は造語だが、やはり上記比喩に倣ったもの。なお、英単語 passion には「情熱」の意味もあるが、この植物の名称での passion は「受難」の意味であって、「情熱」の意味ではない。

トケイソウの花言葉は、「信心」「信仰」「聖なる愛」などとされる[1]

特徴[編集]

つる性常緑多年草の性質を持つ種が通常であり、和名に「草」という名前がついているが、木本のつる性植物である[1]。茎は幹では巻き付かず、葉腋から伸びるつるで他物に巻き付いてよじ登る[1]。幹は木質化して、年々肥大成長して太くなる[2]。葉は互生する[1]。花期は4 - 5月[1]。花は花弁が5枚、萼片が5枚つき、花弁と萼片が同形で計10枚の弁が放射状に配置されている[1]。花色は濃い紫色などさまざまある[1]。花の中心の雌蕊は、先端が3つに分かれている特徴的な形をしている[1]。果期は10 - 11月[1]

種の数は約500、栽培品種はそれらが掛け合わされてできるためさらに数が多い。栽培品種には驚くべき数のさまざまな色、形のトケイソウが存在する。萼がそれぞれピンクと白である品種(雑種) Passiflora × belotii も存在する。一見花弁と萼の区別はつかないので、白とピンクが互い違いになった花弁のように見える。それとは対照的に、副冠も花弁も萼も全部白色の Passiflora caerulea 'Constance Elliot' のようなものも存在する。

中央アメリカ南アメリカ熱帯亜熱帯域が原産地だが[1]、世界中で観賞用に広く栽培される。つる植物で、庭先などに植えられる。挿し芽することで増やすことができる。

トケイソウ属[編集]

正面から見たトケイソウ Passiflora caerulea

500種以上が存在し、以下は代表的なもの。

トケイソウの利用[編集]

一般にパッションフルーツと呼ばれる物はクダモノトケイソウPassiflora edulis)の実で[1]、これ以外にもP. ligularisP. mollissimaP. quadrangularis等が食用(果汁の採取)目的で栽培されることがある。またパッションフラワーはハーブとして、鎮痛・精神安定・抗痙攣・不眠の緩和・血圧の降下・ヒステリーノイローゼの緩和・更年期障害など「精神や痛みを静める」働きがあるといわれている。欧州では伝統生薬製剤の欧州指令に従い医薬品ともなっている。

脚注[編集]

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参考文献[編集]

  • 田中潔 『知っておきたい100の木:日本の暮らしを支える樹木たち』主婦の友社〈主婦の友ベストBOOKS〉、2011年7月31日、150 - 151頁。ISBN 978-4-07-278497-6 

外部リンク[編集]