フロム・ミー・トゥ・ユー
「フロム・ミー・トゥ・ユー」("From Me To You")は、1963年4月にビートルズが発表した3枚目のオリジナル・シングル曲である。
解説
レノン=マッカートニーの作品(ただしリリース時には (McCartney - Lennon)という並びでクレジットされていた。)。ヴォーカルはジョン・レノンとポール・マッカートニー。ハーモニカ(ステレオ・ミックスではイントロ部分のハーモニカはカットされている)はジョン。ライブではイントロ、アウトロのハモニカは省略、ジョージのギターのみ。この時代人気があった、女性シンガーヘレン・シャピロと一緒にまわったコンサートの終了間際にジョン・レノンとポール・マッカートニーによって作られた。曲としては、ラヴ・ソングというよりはファンに対する感謝の意味がある。サビの部分にG+5を使い初期のビートルズらしいしゃれた雰囲気を出している。
「ツアー移動中のバスの中で暇つぶしに書いた」とはジョンとポールの弁。ジョン曰く「あまりにブルース調過ぎるので最初は発表しないつもりだったが、ハーモニカを加えてビートルズらしくなったのでシングルで出すことにしたんだ」とのこと。
ポールは「ミドル(サビ)の部分でマイナー(Gm7)に変るんだけど、これは大きな進歩だと思った」と語っている。
『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』では「フロム・アス・トゥ・ユー」というタイトルで収録されている。ビートルズがレギュラーのラジオ番組、『フロム・アス・トゥ・ユー』のために書き下した。「フロム・ミー・トゥ・ユー」とはメロディーこそ同じだが、歌詞が異なり、「ミー」(me)の部分が「アス」(us)と、「アイ」(I)が「ウィ」(we)になっている。
1963年6月には、デル・シャノンがこの曲を取り上げ、ビルボード(Billboard)誌では第77位まで上昇し、これがジョンとポールのソングライターとしての初の全米TOP100へのランクインとなった。ただし、ビルボード誌1963年年間トップ100にはランキングできなかった。
ステレオ・ヴァージョン
イギリスでは「フロム・ミー・トゥ・ユー」のリアル・ステレオ・ヴァージョンは1966年12月にリリースされたアルバム『オールディーズ』ステレオ盤に収録された。
アメリカでは1973年4月にリリースされたアルバム『ザ・ビートルズ1962年〜1966年』に収録された。ただしミキシングに違いがありイギリス盤とは音が左右が逆になったものであった。
CDでは2009年9月に発売されたリマスター盤の『PAST MASTERS』にステレオ・ヴァージョンが収録された。
モノラルではイントロコーラスから入っていたハーモニカがステレオでは入っていない。
シングル盤
イギリスでは大ヒットし、1963年5月、全英チャートでは初の1位を獲得[1]、7週間連続1位を維持している[2]。このシングルから飛躍的にセールスを伸ばし、イギリスでは70万枚以上のセールスを記録した。B面は「サンキュー・ガール」。アメリカでは、1963年に一度リリースされている。その時は「ビルボード」誌で最高116位だったが、1964年、ビートルズ旋風が吹き荒れる中、「プリーズ・プリーズ・ミー」のB面として再リリースされた。『ビルボード』誌、『キャッシュボックス』誌ともに最高位第41位を記録している。
なお、フロム・ミー・トゥ・ユーが全英チャート1位に上がる直前まで1位だったのは、元々ビートルズのデビュー曲として用意された「ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ・イット」である[2](詳細はハウ・ドゥ・ユー・ドゥ・イット#ビートルズとの関係を参照)。
収録アルバム
関連項目
脚注
- ^ メロディー・メーカー誌のチャートでは前作のプリーズ・プリーズ・ミーが1位を獲得している。詳細はビートルズ#デビュー当初から初期を参照。
- ^ a b List of number-one singles from the 1960s (UK)を参照。