越中舟橋駅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
越中舟橋駅
舟橋村立図書館を併設した駅舎(2018年9月)
えっちゅうふなはし
Etchu-Funahashi
T06 越中三郷 (1.5 km)
(1.3 km) 寺田 T08
地図
所在地 富山県中新川郡舟橋村竹内602
北緯36度42分20.66秒 東経137度18分23.74秒 / 北緯36.7057389度 東経137.3065944度 / 36.7057389; 137.3065944座標: 北緯36度42分20.66秒 東経137度18分23.74秒 / 北緯36.7057389度 東経137.3065944度 / 36.7057389; 137.3065944
駅番号 T07
所属事業者 富山地方鉄道
所属路線 本線
キロ程 8.5 km(電鉄富山起点)
駅構造 地上駅
ホーム 2面2線
乗降人員
-統計年度-
616人/日
-2018年-
開業年月日 1931年昭和6年)8月15日[1][2]
備考 無人駅(平日朝のみ駅員配置[3]
テンプレートを表示

越中舟橋駅(えっちゅうふなはしえき)は、富山県中新川郡舟橋村竹内にある、富山地方鉄道本線である。駅番号T072000年(平成12年)に中部の駅百選に認定された[4]。駅舎には舟橋村立図書館が併設している[1][5][6][7]

歴史[編集]

開業前[編集]

1928年昭和3年)2月に舟橋村の村長に稲田健治が就任する[4]。かねて舟橋村に鉄道を敷設する構想を持っていた稲田は、1929年(昭和4年)5月31日に大岩鉄道の追加発起人となった[8]佐伯宗義に面会した際に、その事業への参画を希望されたため、計画線は5粁以内の移動であれば比較的自由に行い得ることに着目して、当初利田村を経由するはずであった線路の大部分を舟橋村経由とすることにしたという[4]。折から利田村においては鉄道敷設に反対する声も上っており、予算的にも舟橋村経由が好都合であったことから、「稲田カーブ」とも称された路線変更は決定された[4]。なお、舟橋村内においても利田村のように鉄道敷設に反対する勢力はあったが、稲田は朝鮮人労働者2百名を動員して反対派の小屋を撤去して焼き払い、同村内に設置されるべき駅を中心とする村作りの構想を進めたといわれる[4]

駅舎の改築[編集]

昭和60年代に入り舟橋村の人口が停滞するとともに当駅の利用者数も低下し[4]、富山地方鉄道は駅の無人化と当駅停車本数の削減を同村に対して打診した[9]。富山市中心街に対する交通の便がよいことを村の利点としてきた舟橋村は、これに危機感を抱き[9]1988年昭和63年)3月に「舟橋村魅力あるまちづくり基本計画」において駅舎の改装を検討課題とし[4]1990年(平成2年)には駅に図書館を併設することを決定した[10]。その後、村民から提出された「図書館建設に関する要望書」の意見を元に、富山県外の図書館併設駅舎を参考にして、1995年(平成7年)中に駅舎に図書館を中心とする情報センター的役割を与える構想を固め、1996年(平成8年)には「舟橋村文化・福祉複合施設建設事業」として着工した[4][10]。駅舎は、1998年(平成10年)3月31日に竣工し[11]、併設する舟橋村立図書館の貸出業務は翌日の1998年(平成10年)4月1日より開始した[12]。開館1年目の舟橋村における図書貸出数は村民一人当り51冊、翌年の1999年(平成11年度)には67冊となって、全国的にも高い利用者を数えることとなった[4]。また1993年(平成5年)にはパークアンドライド用の駐車場を開設[13]、村外の利用者を増加させることにも成功している[6]。これらの事業の成果による駅利用者数の増加によって、富山地方鉄道は無人化の計画を撤回して朝8時に停車する列車の本数を3本から6本に増やし[9]急行の停車を開始した[13]

年表[編集]

開業当時の越中舟橋駅

駅構造[編集]

相対式ホーム2面2線[19]を持つ地上駅である[1]。 駅員配置時間は平日の7時から9時までで、それ以外の時間帯は無人駅と同様の扱いとなっている(2021年時点)[3]。駅舎南側(パークアンドライド駐車場)には地下自由通路で連絡している。前述のように駅舎内には舟橋村立図書館が併設されている。また、かつては「はんばーがーかふぇ ほおずき」という飲食店が入居していたが、2016年(平成28年)8月21日に営業を終了し[20]2017年(平成29年)1月27日に「お※(こめ)食堂」が開業した[21]

のりば[編集]

のりば 路線 方向 行先 備考
1・2 本線
立山線直通電車含む)
上り 電鉄富山方面 2番のりばは待避列車入線
本線 下り 上市電鉄魚津電鉄黒部宇奈月温泉方面
立山線 五百石岩峅寺立山方面

利用状況[編集]

近年の1日平均乗降人員は以下の通り[22]

年度 1日平均
乗降人員
2011年 569
2012年 580
2013年 529
2014年 576
2015年 600
2016年 605
2017年 596
2018年 616

駅周辺[編集]

その他[編集]

  • 駅裏の駐車場は2006年(平成18年)9月1日より有料化されたが、2時間までは無料で利用できる[18]
  • 2008年(平成20年)7月3日、駅に併設する舟橋村立図書館にニホンカモシカが侵入するという騒動が発生した[7][23]。図書館では、この騒動に基づいた絵本『カモシカとしょかん』を発行している[7]

隣の駅[編集]

富山地方鉄道
本線
特急・快速急行
通過
急行(上りのみ運転)・普通
越中三郷駅 (T06) - 越中舟橋駅 (T07) - 寺田駅 (T08)

脚注[編集]

  1. ^ a b c 川島 2010, p. 63.
  2. ^ a b 寺田 2013, p. 243.
  3. ^ a b 鉄道線各駅の駅員配置時間表” (PDF). 富山地方鉄道 (2021年4月1日). 2021年11月9日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k 舟橋村史編さん委員会編、『舟橋村史』、2016年(平成28年)5月、舟橋村[要ページ番号]
  5. ^ 朝日 2011, p. 27.
  6. ^ a b 人口が増え続ける「日本一小さな村・舟橋村」には、"日本一子どもに優しい図書館"があった”. ハフポスト (2016年1月4日). 2021年11月9日閲覧。
  7. ^ a b c 舟橋村総務課「子育て共助のまちづくりを目指して」『とやま経済月報』2018年10月号、富山県経営管理部統計調査課、2018年10月、2021年11月9日閲覧 
  8. ^ 富山地方鉄道株式会社編、『富山地方鉄道五十年史』、1983年(昭和58年)3月、富山地方鉄道[要ページ番号]
  9. ^ a b c 「地域に生きて 最小の村 図書館駅が人を呼ぶ 富山・舟橋」、『朝日新聞』朝刊地域マリオン36頁、2007年(平成19年)2月26日、朝日新聞社
  10. ^ a b 舟橋村立図書館における村おこし駅舎との一体化(富山県舟橋村立図書館) - 文部科学省
  11. ^ a b 富山地方鉄道編、 『富山地方鉄道70年史 この20年のあゆみ』 、2000年(平成12年)、富山地方鉄道[要ページ番号]
  12. ^ 「駅に図書館併設 あすから蔵書貸し出し」、『北日本新聞』1998年(平成10年)3月31日、北日本新聞社[要ページ番号]
  13. ^ a b c 県広報とやま 第356号” (PDF). 富山県企画部広報課. p. 8 (1998年9月). 2021年11月7日閲覧。
  14. ^ a b 寺田 2013, p. 242.
  15. ^ a b 朝日 2011, p. 14.
  16. ^ 鉄道省編、『昭和十二年十月一日現在 鉄道停車場一覧』、1937年(昭和12年)12月、川口印刷所出版部[要ページ番号]
  17. ^ 今尾恵介監修、『日本鉄道旅行地図帳 全線・全駅・全廃線 6号』、2008年(平成20年)10月、新潮社[要ページ番号]
  18. ^ a b 舟橋村役場 『広報ふなはし 2006年8月号』 2ページ
  19. ^ 川島 2010, p. 32.
  20. ^ 駅中の手作りバーガー@越中舟橋 - 2013年(平成25年)1月9日、[富山地方鉄道公認]富山地鉄の鉄道アテンダント日誌
  21. ^ 越中舟橋駅に「お※(こめ)食堂」1月開店 地元の米・野菜で料理[リンク切れ] - 2016年(平成28年)12月29日、北日本新聞
  22. ^ 国土数値情報 駅別乗降客数データ - 国土交通省、2020年9月15日閲覧
  23. ^ 舟橋村役場 『広報ふなはし 2008年8月号』 15ページ

参考文献[編集]

  • 川島令三『【図説】日本の鉄道中部ライン 全線・全駅・全配線 第7巻 富山・糸魚川・黒部エリア』講談社、2010年10月20日。ISBN 978-4-06-270067-2 
  • 『週刊歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄19 富山地方鉄道 富山ライトレール・万葉線 黒部峡谷鉄道・北越急行』朝日新聞出版、2011年7月24日。 
  • 寺田裕一『改訂新版 データブック日本の私鉄』ネコ・パブリッシング、2013年1月19日。ISBN 978-4-7770-1336-4 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]