名鉄5000系電車 (2代)
名鉄5000系電車 | |
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名鉄5000系(5010編成) (2008年12月29日 / 常滑駅) | |
基本情報 | |
製造所 | 日本車輌製造 |
主要諸元 | |
編成 | 4両編成 |
軌間 | 1067 |
電気方式 |
直流1500V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 120 |
設計最高速度 | 130 |
起動加速度 | 2.0 |
減速度(常用) | 3.5 |
減速度(非常) | 4.0 |
編成定員 | 522(座席192)人 |
車両定員 |
先頭車125(座席44)人 中間車136(座席52)人 |
車両重量 |
ク5000形33.6 (31.2) t モ5050形37.0 (36.4) t モ5150形37.0 (36.0) t ク5100形30.5 (28.3) t 括弧内は5010 - 5014編成の数値 |
全長 |
先頭車18900mm 中間車18830 |
全幅 |
2744mm 外板間2,730 |
全高 |
先頭車3979mm(冷房装置上面) 中間車4110mm(パンタグラフ折畳) 屋根高3600 |
主電動機 | 直流複巻電動機TDK8225-A |
主電動機出力 | 150kW×4/両 |
駆動方式 | 中空軸平行カルダン駆動方式 |
歯車比 | 82:17 (4.82) |
編成出力 | 1200kW |
制御装置 | 界磁チョッパ制御 |
制動装置 |
回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキ 保安ブレーキ 耐雪ブレーキ 増圧ブレーキ |
保安装置 | M式ATS |
名鉄5000系電車(めいてつ5000けいでんしゃ)は、名古屋鉄道の通勤形電車。
概要
特急列車の運行体系見直しにより、2000系「ミュースカイ」で運転される中部国際空港アクセス特急以外の列車はすべて一般車を連結した一部特別車編成に変更されることとなった[1]。これにより余剰廃車となる1000系の全車特別車編成から主要機器を流用し、新規に製造された車体と組み合わせて誕生したのが本系列である。名鉄では1955年から1986年まで初代5000系が在籍していることから、「新5000系」と称されることもある。
なお、名鉄において機器流用車が製造されるのは1993年に落成した1030系2次車(1134F。その後1380系に改造)以来、15年ぶりのことである。
車体
3300系・3150系とほとんど同一の日車式ブロック工法による19m級片側3扉ステンレス車体である。ただし、先頭車前面は普通鋼製である。1000系の運転台機器を流用した関係で先頭車前面は非貫通構造となり、1200系・1800系に似ているが、将来の非常用貫通扉設置改造が可能な設計とされている。
車体側面の帯色は3300系・3150系と共通で、側窓下に赤帯を1本配する。先頭車前面は3300系・3150系とはブレーキ方式が異なり併結が不可能であることから(後述)、識別のため3300系・3150系で用いられているダークグレーのライトベゼルとガーニッシュをやめ、前面窓下の赤帯もピンストライプから太めの子持ちラインに変更されている。
前面および側面の種別・行先表示器は、3300系・3150系ではオーロラビジョンR-STAYを採用していたが、本系列では名鉄初のフルカラーLED式に変更された。行先表示がLEDとなっている場合、側面の表示器は走行中は消灯するケースが多いが、5000系では走行中も点灯したままである。
車内
客室のカラースキームはライトグレーを基調とする。
座席は2007年に落成した3150系2次車と同様にすべてロングシートで、一人当たりの掛け幅は470mm、座面高さは430mmである。座席モケットの色はブルー系を基調とする。構造は片持ち式が基本であるが、各車両の車端部1か所は機器艤装スペースを確保する観点から脚台付きとしている。客用ドア間の座席部には一部をライトブルーに着色したスタンションポールを2か所に配する。座席部のつり革の位置は床面から1,630mmである。
優先席は各車両10席に拡大された。座席モケットは赤系で、加えてつり革とスタンションポールをオレンジ色とすることで、一般座席との区別を明確にしている。ただしJR東日本E233系などに見られる床や壁への配色は本系列では施されていない。車椅子スペースは両先頭車の運転席後部に設置されている。3300系・3150系では折り畳み式の補助座席が設置されていたが、本系列では手すりと車椅子固定用のベルトを設置したため荷物棚を含めて設置されなかった。また、バリアフリー対策として3300系などと同じドアチャイムを装備している。
なお、優先席や車椅子スペースの形態は車体のフルカラーLED式種別・行先表示器とともに本系列以降の新造車両にもフィードバックされて標準仕様となった。
床は2次車までブルーグレー系の濃淡の2色塗りであったが、2009年度製造分の3次車は前年の2次車投入後に落成した2300系や瀬戸線用4000系と同一で、バリアフリー対策として淡いブルーグレー系の単色にドア付近を黄着色という仕様に変更されている。また、電動車には後述するようにメンテナンス用のトラップドアが設置されている。
車内案内表示器はLED2段表示式で、各車両の客用ドア上部3か所に千鳥配置している。
運転台は1000系の機器を流用したため主幹制御器とブレーキ弁を配した2ハンドル式である。計器パネル部にはタッチパネル式のモニタ装置も設置されている。ただし従来の3300系などとは表示様式が異なっている。
走行機器など
主回路システムは1000系から流用した東芝製GTO界磁チョッパ制御である。電動機も流用品の直流複巻電動機を装備するため、ブラシの保守点検が必要であることから、電動車の客室内床面には主電動機点検蓋(トラップドア)が設置されている。2010年時点では日車式ブロック工法車体で唯一の直流電動機搭載車である[2]。
ブレーキシステムは3300系・3150系の電気指令式とは異なり、1000系から流用した回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキである。車体重量の変化に対応してブレーキ力を調整する応荷重装置は乗車定員が増加したことから改造された。主幹制御器も1000系の直列並列指定式を流用したもので、設計上は1380系・1800系・1850系との相互連結を考慮したものとなっており、1800系を連結した試運転も実施された。これにより120km/h運転も可能である。このため特急の突発的な代走にも使用できる。また5700系・5300系との連結も確認されている(この場合は120km/h運転は行わない)。1380系とも回送や試運転ではあるが連結実績があり、理論上は1380系との共通運用が可能である。しかし5000系がオールロングシートであるのに対し1380系は車端部を除いて転換クロスシートであるため、運用は分けられている。
電動空気圧縮機(CP)についても流用品のC-1000形交流電動機駆動タイプを装備する。種車の1000系全車特別車編成では3号車にトイレの汚物処理タンクを設置する関係で両先頭車に艤装されていたが、本系列はトイレは設置されていないため、他の4両固定編成の系列と同様に豊橋方制御車ク5000形と岐阜方電動車モ5150形への艤装に変更された。
補助電源装置は直流330Vを給電するDC-DCコンバータをク5000形・モ5150形に搭載する。
2007年度製造分の1次車(5001 - 5004F)は全編成ともボルスタ付き台車FS539・FS039を装備しているが、2008年度製造分の2次車からはボルスタレス台車(SS165F・SS026F)装備の編成も落成している。ボルスタ付き台車に関しては、乗車定員が増加したことからブレーキ力を高めるため、ブレーキてこ比が変更された。制御車に装備する付随台車ではブレーキ配管を2つに分割することで各軸制御に変更し、滑走防止装置が設置された。ボルスタレス台車装備編成についてはユニットブレーキ式であり、所定のブレーキ力が確保可能なことから、前述の変更はされていない。
冷房装置は1000系流用品のインバータ制御集約分散式を各車に2基搭載する。周波数の変更で、1基あたりの能力は17000kcal/hに強化され、型式が RPU-4414B となっている。能力強化に伴い、種車の1000系にあった熱交換器(ロスナイ)は取り付けられていない。パンタグラフも1000系流用品の菱形を搭載する。
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流用元の1000系「パノラマSuper」に似たライン
(2008年4月18日 / 名鉄名古屋駅) -
1000系から流用のパンタグラフ
(モ5155・2008年7月1日 / 大江駅)
編成・運用
※個別の編成を指す場合は、豊橋方のク5000形の車両番号を用いて「5001F」(「F」は編成を意味するFormationの頭文字)のように表記される。
名鉄岐阜 →
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製造年度 | 機器供出元編成 | |||||
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ク5000 (Tc1) |
モ5050 (M2) |
モ5150 (M1) |
ク5100 (Tc2) | ||||
機器類 | DCON,CP | CONT | DCON,CP | ||||
編成 | 5001F | 5001 | 5051 | 5151 | 5101 | 2007年度 | 1008F |
5002F | 5002 | 5052 | 5152 | 5102 | 1005F | ||
5003F | 5003 | 5053 | 5153 | 5103 | 1003F | ||
5004F | 5004 | 5054 | 5154 | 5104 | 1009F | ||
5005F | 5005 | 5055 | 5155 | 5105 | 2008年度 | 1006F | |
5006F | 5006 | 5056 | 5156 | 5106 | 2009年度 | 1002F | |
5007F | 5007 | 5057 | 5157 | 5107 | 1004F | ||
5008F | 5008 | 5058 | 5158 | 5108 | 1007F | ||
5009F | 5009 | 5059 | 5159 | 5109 | 1010F | ||
5010F | 5010 | 5060 | 5160 | 5110 | 2008年度 | 1017F | |
5011F | 5011 | 5061 | 5161 | 5111 | 1018F | ||
5012F | 5012 | 5062 | 5162 | 5112 | 2009年度 | 1019F | |
5013F | 5013 | 5063 | 5163 | 5113 | 2008年度 | 1020F | |
5014F | 5014 | 5064 | 5164 | 5114 | 2009年度 | 1021F |
- 凡例
- CONT:主制御器 (1C8M)、DCON:補助電源装置(DC-DCコンバータ)36kVA、CP:空気圧縮機
合計14本が落成したが[3]、機器流用の種車となる1000系は製造年次により台車や一部の機器が異なるため、これを整理するために同系列のうち1・2次車(1002 - 1010F)が種車のものは5001 - 5009F、4次車(1017 - 1019F)のものは5010 - 5012F、5次車(1020, 1021F)のものは5013F、5014Fとなった。
1次車は2008年2月から3月にかけて4本が落成。3月23日より順次営業運転を開始し、同月30日からは7000系・5700系6両固定編成の運用の一部を置き換えた。2次車は2008年5月に4本が落成し、同年6月のダイヤ改正より本格的に運行を開始。これにともない7000系6両編成(P6編成)は定期運用を終えた。3次車は2009年5月に2本が落成し、同年6月より営業運転を開始した。残りの4本も同年9月までに落成し、製造予定の14編成が出揃った。2009年10月3日改正時点では以下の路線で定期運行されている。
1次車の営業運転開始から2008年12月改正までは、それまでの7000系または5700系6両編成による運用を置き換える形で豊橋駅や豊川線にも1日数回定期運用で入線していた。
三河線猿投 - 知立間は一部編成[4]が猿投検車区に疎開留置された際に毎週1回1往復の営業運転を行ったほか、2009年7月の豊田おいでんまつりの臨時列車に運用されたことがある。また、5013Fは営業開始間もない頃、代走で尾西線の津島駅 - 名鉄一宮駅間で営業運転を実施したことがある。
回送列車では重連や5300系や5700系、1380系と連結して走る場面も見られるが、2008年12月改正時点では基本的に営業列車では連結運転は行われておらず、終日4両編成で運用されている。なお、これまでに数回、1800系と連結した6両編成での営業運転が確認されている[5]。
参考文献
- 名古屋鉄道(株)車両保守部車両保守課 新川彰浩「新車ガイド 名古屋鉄道5000系」『鉄道ファン』2008年5月号(通巻565号)p80 - 84、交友社
脚注
- ^ 「特急政策の見直し」と「平成19 年度の車両新造計画」について
- ^ 車体更新車としては本系列のほか、横浜市交通局3000S形電車も存在する。
- ^ 1000系トップナンバー編成1001Fは機器流用の種車から外された。
- ^ 5005F(2008年6月)、5006F・5014F(2009年9 -10月)が猿投検車区に疎開留置された。
- ^ 沿線でイベントが開催された時や、ダイヤ改正などによる車両運用変更が行われる前日など。また、1800系・1850系が舞木検査場での定期検査を終えて出場する際に送り込みを兼ねて、東岡崎駅~犬山駅系統の普通列車などにおいて併結が行われることもある。