白雪姫 (1937年の映画)

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白雪姫
Snow White and the Seven Dwarfs
監督 デイヴィッド・ハンド
脚本 テッド・シアーズ
オットー・イングランダー
アール・ハード
ドロシー・アン・ブランク
リチャード・クリードン
メリル・デ・マリス
ディック・リカルド
ウエッブ・スミス
製作 ウォルト・ディズニー
出演者 アドリアナ・カセロッティ
音楽 フランク・チャーチル
レイ・ハーライン
ポール・J・スミス
撮影 ボブ・ブロートン
配給 アメリカ合衆国の旗 RKO Radio Pictures
日本の旗 大映洋画部
公開 アメリカ合衆国の旗 1937年12月21日
日本の旗 1950年9月26日
上映時間 83分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
次作 ピノキオ
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白雪姫』(しらゆきひめ、原題:Snow White and the Seven Dwarfs)は、1937年アメリカ映画ファンタジー映画。監督はデイヴィッド・ハンド。原題は直訳すると「白雪姫と7人の小人達」という意味になる。グリム兄弟による童話白雪姫』を原作とする。

ディズニーの長編映画第1作目であり、世界初のカラー長編アニメーション映画1937年12月21日公開。日本での公開は1950年9月26日

概要

ディズニー初の長編映画というだけでなく、アニメ史に残る傑作として知られる。ディズニーは実写映画と対抗するために、まず俳優の動きを実写で撮影し、そのフィルムからロトスコープで1枚ごとに動画を起こす、ライヴァルのフライシャー・スタジオの古い手法を模倣し、実写的な画風を実現した。また、やはりフライシャー・スタジオのセットバック撮影(横型)の技術を模倣し、マルチプレーン撮影(ヤグラ型)で、実写風の奥行きを表現し、更にテクニカラーによって色彩を施した(ディズニーでは1932年から短編アニメはカラー化)。

莫大な労力と金額が費やされ、4年の歳月と170万ドル(当時の金額)の巨費を投じて制作された大作である。まだアニメといえば実写映画の合間に子供向けに上映される短編を指していた時代であり、成功を危ぶむ声も多く、「ディズニーの道楽」と言われていたが、ふたを開けてみれば6100万ドルの収益を上げる桁外れの大ヒットを記録した。

日本での公開は西ドイツ(当時)と並んで1950年と、各国に比べて遅い方だが、第二次世界大戦以前にこれ程質の高いアニメーションを制作していた事実とアメリカの圧倒的国力に驚愕したという。[誰によって?]

1993年にはデジタル処理で映像修復が施されたデジタル・ニュー・バージョンが公開され(日本での公開は1994年)、全米だけで興行収入4,000万ドル以上を記録するなど世界中で大ヒットした。これにより『風と共に去りぬ』の7900万ドルを抜いて、1930年代の映画で最も配給収入を上げた映画となった。

米国本公開時はRKOに映画配給を委託しており(ブエナ・ビスタ設立まで)、オープニングで「配給:R.K.O」というクレジットと、エンディングに「RKO RADIO PICTURES」の社名ロゴが背景の地紋に埋め込まれていたが、後のリバイバル上映時にRKOを省いたものに差し替えられた。このRKOが入った本来のオリジナル映像は、2001年版DVDに当該部分のカットが特典映像扱いで本編と別に収録された後、2009年版DVD/BDの本編映像に組み込まれ、本公開時のオリジナル版へ完全に復元された。

本作は作品中に著作権表記が有るものの公開時期が古く、リニュー(著作権更新手続き)が行われなかった事から、公開当時の米国の法律(方式主義)により権利放棄とみなされ、米国に於いてはパブリックドメインとなった(このため、コモンズに高解像度のスクリーンショットが収録されている)。また、日本では著作権の保護期間が終了したと考えられることから、現在激安DVDでも発売中(ただし、旧画質のもの。デジタル修復のものは1993年から新規の著作権が発生した)。

2007年、映画公開70周年を迎え、それを記念してフロリダディズニー・ワールドでは限定版フィギュアリンが販売された。

挿入歌の『いつか王子様が』(Someday My Prince Will Come )は、ジャズやポピュラー音楽のスタンダードナンバーとして多くのアーティストによってカバーされている。また、小人のマーチ『ハイ・ホー』(Heigh-Ho )も有名。

白雪姫城のモデルとなったとされるセゴビアアルカサルには多くの観光客が訪れる。

(世界各国の公開年については、シンプル英文版「Snow White and the Seven Dwarfs (1937 movie)」も参照)

あらすじ

むかし、ある城に白雪姫という姫が住んでいた。白雪姫の継母である女王は大変恐ろしい魔女であった。

ある日、白雪姫の継母が、いつものように魔法の鏡に『一番美しいのは誰?』と聞くと、魔法の鏡は『世界で一番美しいのは白雪姫』と答えてしまう。そこで女王は、ある狩人に、白雪姫を殺し彼女の心臓を持ち帰るよう命令する。しかし、狩人は彼女を逃し、代わりに豚の心臓を持ち帰る。

一方、白雪姫は森で迷い、一軒の小さな家を見つけると、そこは七人の小人の住む家だった。

キャラクター

  • 白雪姫
    大変美しく可憐な少女。本作の主人公。その美貌のため、継母である魔女の怒りを買い、毒リンゴで眠らされてしまう。
    服装は最初、ボロボロな服に青いリボンだったが、花を摘みにいくシーンからマントに黄色に青色や赤色のドレスに赤いリボンになる。後に小人達の家を掃除する際、マントは外す。
    ディズニープリンセスの1人。12歳。
  • プリンス
    白雪姫を救う王子。彼女を初めて見て一目惚れをし、ラストでは彼女にキスをし救い、自分の城に連れて行く。
  • 女王/魔女
    自分が一番美しくないと気がすまない、白雪姫の継母。「鏡よ、鏡、この世で一番美しいのは誰?」と、魔法の鏡に問いかける。女王自ら白雪姫を殺害するためにみすぼらしい物売りに変身し、毒りんごを作る。最期は小人たちに追い詰められ巨石で押しつぶそうと企んだが、落下した稲妻で崖が崩されそのまま転落し死亡した。
    服装は長いマントに薄紫色のゆったりとしたドレスに冠だったが、物売りに変身した後は真っ黒なマントに身を包む。
  • ドック
    7人の小人の1人。物知りで、眼鏡をしているリーダー的存在。
    日本名:先生
  • グランピー
    7人の小人の1人。現実的で、感情的。最初は白雪姫に反発していたが、次第に彼女に心を開くようになり、女王が来たことを知ると逸早く彼女の元に行ったり、彼女が永遠の眠りについた際、泣くなど根は優しい。
    日本名:苦虫/おこりんぼ
  • スニージー
    7人の小人の1人。アレルギーがある。どうやら花粉症か埃やダニのアレルギーのようだが正確になにが原因か不明。本人や周囲の悩みの種でもある。
    日本名:くしゃみ
  • スリーピー
    7人の小人の1人。いつも寝たそうな顔を睡眠不足か病気の一種なのかは不明。のんびりした性格。
    日本名:眠り屋/ねぼすけ
  • バッシュフル
    7人の小人の1人。照れ屋で、誰を見てもすぐに真っ赤になるほど純情。
    日本名:照れ助/てれすけ
  • ハッピー
    7人の小人の1人。いつも、にこにこしている元気いっぱいの小人でムードメーカー。
    日本名:のんき屋/ごきげん
  • ドーピー
    7人の小人の1人。なぜかしゃべらない。白雪姫の事が大好き。小人の中で幼く唯一髭が無い。ごきげん曰くどもり屋らしい
    日本名:抜け作/おとぼけ
    ウォルト・ディズニー自身によると、ドーピーが喋らない理由は、自分が「喋ろうと試みたこともないから」である(実際には、ドーピーのイメージにぴったりの声優が見つからなかったためといわれる[要出典])。また、サッカーブラジル代表チームの監督であるドゥンガの名前は彼にちなんでいる。
  • 魔法の鏡
    物知りの鏡。「世界で一番美しいのは白雪姫」と言ったことから、女王の怒りを買う。「ミッキーのハウスオブマウス」ではお店に飾られており、ミッキー達の悩みの相談をすることがあるが融通が利かないことが多い

声の出演

キャラクター名 原語版 初公開版 新版 パブリック・

ドメインDVD版

白雪姫 アドリアナ・カセロッティ 富沢志満 小鳩くるみ 小林由佳
王子 ハリー・ストックウェル 五十嵐喜芳 三林輝夫
ウィックド・クイーン/ウィックド・ウィッチ
(女王/魔女)
ルシール・ラ・バーン 北林谷枝 里見京子 高木千穂
ドック
(先生)
ロイ・アトウェル 東野英治郎 熊倉一雄 新城建
グランピー
(おこりんぼ/苦虫)
ピント・コルヴィグ 三津田健 千葉順二
スリーピー
(ねぼすけ/眠り屋)
柳家小さん 北村弘一 瀧澤悟史
スニージー
(くしゃみ)
ビリー・ギルバート 坊屋三郎 槐柳二
バッシュフル
(てれすけ/照れ助)
スコッティ・マットロー 春風亭枝雀 二見忠男 渡部智彦
ハッピー
(ごきげん/のんき屋)
オーティス・ハーラン 三遊亭円馬 滝口順平 坂本茉麻
ドーピー
(おとぼけ/抜け作)
エディ・コリンズ なし なし なし
魔法の鏡(マジックミラー) モロニー・オルセン 村上冬樹 大木民夫
狩人 ステュワート・ブキャナン 八代駿

スタッフ

挿入歌

  • 私の願い(I'm Wishing
  • ワン・ソング(One Song
  • 歌とほほえみと(With a Smile and a Song
  • 口笛ふいて働こう(Whistle While You Work
  • ハイ・ホーHeigh-Ho
  • いつか王子様がSomeday My Prince Will Come

併映作品(1980年公開時)

1980年度は、東映まんがまつり内の一本として公開された。

メディアソフト

ビデオテープ/LD

セルビデオ(VHS)出荷本数はアメリカで2700万本、日本では180万本を記録[1][2]している。

2001年DVD版

2001年12月1日にウォルトの生誕100周年を記念し、ブエナ・ビスタ・ホーム・エンタテイメントが「プラチナ・エディション」シリーズの最初のソフトタイトルとして、1993年のデジタルリマスター版を基にドルビーデジタル5.1chサラウンドへリマスター(英語のみ)などを施し、本編ディスクのみの通常版と特典映像を収録した2枚組の「デラックス・エディション(デラックス版)」が全世界同時発売となった。

日本では独自企画で、発売時に当時絶頂期にあった浜崎あゆみとタイアップし、このプロモーション用に制作された「いつか王子様が」のカバーがCMソングに使われ、フルコーラスのミュージックビデオが収録されたDVDビデオが購入者対象のキャンペーンにより抽選でプレゼントされた(他のCDやDVDには未収録)。また、糸井重里プロデュースのミッキーマウスデザインのDVDプレイヤー同梱 版も若干数発売された。

2001年デラックス版には以下の映像特典・オーディオコメンタリーが収録されている。(☆印は本編ディスクに収録)

  • バーバラ・ストライサンドのカバーによる「いつか王子様が」のミュージッククリップ
  • オーディオコメンタリー(ウォルトの30年分のラジオ音声などを作品解説へ再構成したもの)☆
  • ワイルド・ライド・ゲーム☆
  • 「ハイ・ホー」シング・アロング・ソング(劇中のハイ・ホーに英語字幕を付したもの)☆
  • VIPツアー
    • メイキング・オブ『白雪姫』
    • ストーリー・ボードと完成品の比較
    • アート・デザイン
    • 美術設定
    • レイアウトと背景画
    • 映像のテスト
    • キャラクターの誕生
    • 取りやめになったコンセプト
    • ボイス・キャスト(オリジナル版声優のキャスティングの解説)
    • 『白雪姫』修復作業(デジタルリマスター版制作メイキング)
    • 未公開シーン(オーディオトラックに原画を順送りした構成)
  • RKO版オープニングとエンド・クレジット
  • シリー・シンフォニー春の女神』(アニメーション)
  • ディズニー・スタジオの歩み(WDCの社史を関連映像を交えて1920年代から1990年代まで10年刻みで関係者が解説したもの)
    • 「白雪姫」予告編集(アメリカでの初公開時の予告編とリバイバル上映時の予告編)
  • プレミア
  • パブリシティ

2009年BD/DVD版

日本では2009年11月にウォルト・ディズニー・スタジオ・ホーム・エンターテイメントからBlu-ray Disc2枚と本編DVDの計3枚組の「ダイヤモンド・エディション」、DVDビデオ2枚組の「プラチナ・エディション」、DVDビデオ1枚の「スペシャル・エディション」が発売された。「ダイヤモンド・エディション」のBDMVでは更なる映像のデジタルリマスターによりHD化し、DTS-HDマスターオーディオ7.1Chサラウンドへリマスタリングした音声を収録。また、2001年デラックス版の映像特典の殆どを再収録している。

追加された映像特典

  • プリンセスと魔法のキス』特別映像
  • すべては、ここから始まった。
    • その後の物語『白雪姫へのプレゼント』
  • ハイペリオン・スタジオ・ツアー(本編制作当時の蔵出し映像)
  • ゲーム&アクティビティ
    • プリンセス診断ゲーム魔法の鏡よ教えて!
    • 正体を当てよう!
    • ジュエル・ジャンブル
  • 音楽の世界
  • スクリーンセーバー
  • ディズニー・ビュー

2001年デラックス版との差異点

  • バーバラ・ストライサンドのカバーによる「いつか王子様が」のミュージッククリップを削除
  • RKO版オープニングとエンド・クレジットを削除(本編に組み込まれている)
  • 本編で製作会社(ウォルト・ディズニー・スタジオ)のタイトル映像が現行の3DCG描画によるものへ改められている。

パブリックドメインDVD

日本では2007年頃からパブリックドメインDVDとして複数のメーカーから廉価で発売されている。

脚注

  1. ^ ブエナ・ビスタアラジン』220万本 『白雪姫』は180万本」『日経産業新聞』1995年1月23日付、7面。
  2. ^ 日経BP社技術研究部『進化するアニメ・ビジネス―世界に羽ばたく日本のアニメとキャラクター』日経BP社、2000年、42頁。ISBN 4822225542(日本での出荷本数のみ記載)

関連項目

外部リンク

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