指宿枕崎線

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指宿枕崎線
JR最南端・西大山駅から開聞岳を望む
JR最南端・西大山駅から開聞岳を望む
車両はキハ47形
概要
起終点 起点:鹿児島中央駅
終点:枕崎駅
駅数 36駅
運営
開業 1930年12月7日 (1930-12-07)
所有者 鉄道省運輸通信省運輸省
日本国有鉄道(国鉄)→
九州旅客鉄道 九州旅客鉄道(JR九州)
車両基地 鹿児島車両センター
使用車両 使用車両を参照
路線諸元
路線総延長 87.8 km (54.6 mi)
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)
電化 全線非電化
運行速度 最高95km/h(鹿児島中央駅 - 喜入駅間)
路線図
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指宿枕崎線(いぶすきまくらざきせん)は、鹿児島県鹿児島市鹿児島中央駅から鹿児島県枕崎市枕崎駅に至る九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線地方交通線)である。JRグループで最も南を走る路線である。

薩摩半島の東岸と南端を廻り、県都鹿児島市と温泉地指宿市および港町の枕崎市を結ぶ観光の足となっているほか、鹿児島市への通勤・通学路線となっている。

路線データ

  • 管轄(事業種別):九州旅客鉄道(第一種鉄道事業者
  • 路線距離(営業キロ):87.8km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:36(起終点駅含む)
    • 指宿枕崎線所属駅に限定した場合、起点の鹿児島中央駅(鹿児島本線所属[1])が除外され、35駅となる。
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:なし(全線非電化
  • 閉塞方式:特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
  • 交換可能な駅は駅一覧を参照。
  • 最高速度:95km/h(鹿児島中央 - 喜入間)、 85km/h(喜入 - 山川間)、 65km/h(山川 - 枕崎間) ※2013年3月16日ダイヤ改正より。

全線が鹿児島支社の管轄である。

鹿児島中央駅 - 喜入駅間ではIC乗車カードSUGOCA」の利用が可能である[2]

沿線概況

車内から石油備蓄基地/鹿児島方面

五位野駅あたりまでは住宅地や畑の中が主な車窓であり、また鹿児島市電と並行する区間がある。平川駅あたりから宮ケ浜駅あたりまでは海岸線沿いを走り、天気がよい場合、大隅半島が見える。

指宿駅近辺で一旦内陸に入った後、山川駅でまた海岸沿いを通る。その後、南側(枕崎方面進行左側)に開聞岳が見えるようになる。このあたりはほぼ畑の中を抜けていく。ただし若干の高低差があり、切通しになっている箇所も多数ある。線路脇の保守が余り行われていないため、線路脇の樹木が列車にぶつかるところも多数ある。

頴娃駅あたりから枕崎駅あたりまではやや海岸線から離れたところを走るが、要所要所で海は見える。

山川駅から枕崎駅までは、山川・西頴娃駅を除きすべて無人駅である。

利用者などが書き記す駅ノートは2014年9月現在、確認できるだけで西大山駅と薩摩塩屋駅と枕崎駅にある(以前は郡元駅にもあった)。

運行形態

指宿枕崎線を走る列車(大山駅より鹿児島中央駅方面。キハ47形

多くの普通列車・快速列車でワンマン運転を行っているが、朝夕の一部の列車は車掌が乗務している。また、鹿児島本線と直通する鹿児島発着の列車も平日の朝に1往復、午後に2往復ある。

鹿児島中央駅からしばらくは、鹿児島市内の郊外住宅地を通る。そのためかなりの通勤通学需要があり、列車本数も多い。鹿児島中央駅 - 喜入駅間は15 - 40分間隔である。喜入駅 - 指宿駅・山川駅間はほぼ1時間間隔となる。平日夜と毎日深夜時間帯は鹿児島中央駅 - 五位野駅間の区間列車も運行される。

山川駅 - 枕崎駅間は運行本数が1日6 - 8往復と少なく、4 - 5時間ほど列車のない時間帯がある。鹿児島中央駅 - 枕崎駅間を直通する列車は1日下り3本・上り4本だけで、ほかは指宿駅または山川駅で乗り換えとなる。指宿駅 - 西頴娃駅間の区間列車もある。

ワンマン運転の普通列車・快速列車(2両編成)の乗車方法は、鹿児島中央駅 - 喜入駅間では列車のホーム側のすべてのドアから乗り降りできるが、喜入駅 - 枕崎駅間においては無人駅および有人駅での営業時間外の停車時に関しては、前の車両のドアのみ開き(中扉は開かず・後ろ乗り前降り)、乗車時に整理券を取り、降車時に運賃等とともに運転士に渡す必要がある。2006年平成18年)3月17日までは鹿児島中央駅 - 喜入駅間でも同様の扱いであった。

特急「指宿のたまて箱」・快速「なのはな」

鹿児島中央駅 - 指宿駅間に特急「指宿のたまて箱」が3往復、鹿児島中央駅 - 指宿駅・山川駅間に快速「なのはな」が下り4本・上り3本運転されている。

指宿枕崎線の快速はキハ200系気動車が投入される1992年7月15日のダイヤ改正まで「いぶすき」の愛称で運行されていた。2004年3月13日のダイヤ改正には観光利用を念頭に置いた指定席連結の特別快速「なのはなDX」が登場した。

使用されるキハ200系気動車のうち、キハ200-9および1009は「なのはなDX」専用塗装であったが、現在はほかの車両と同じ側面に大きく「NANOHANA」と書かれた塗装に戻されている。「なのはなDX」の指定席に使われるキハ220形は1102の1両しかないため、検査や故障時は「なのはな」として運転されていた。なお、キハ220形1102は「なのはなDX」廃止後、元の赤い塗装に戻され、肥薩線の普通列車として運行している。

「なのはなDX」は、2011年3月12日のダイヤ改正で新設された観光特急「指宿のたまて箱」によって置き換えられた[3][4]

使用車両

以下に示す車両はいずれも気動車である。

歴史

山川駅 - 西頴娃駅間では開業時に擬制キロを採用し割増運賃が適用されたが、翌年国鉄新線建設に対し補助金が出ることになったため擬制キロによる割増運賃は廃止された。また、指宿駅 - 枕崎駅間は第二次世界大戦前に鹿児島南海鉄道という会社が鉄道敷設免許を取得したが、資本金を集められずに解散し免許が失効した区間となっている。

  • 1930年(昭和5年)12月7日 【開業】指宿線 西鹿児島 - 五位野 【駅新設】谷山、五位野
  • 1934年(昭和9年)
    • 5月20日 【延伸開業】五位野 - 喜入 【駅新設】平川、瀬々串、中名、喜入
    • 12月19日 【延伸開業】喜入 - 指宿 【駅新設】前之浜、生見、薩摩今和泉、宮ケ浜、二月田、指宿
  • 1936年(昭和11年)3月25日 【延伸開業】指宿 - 山川 【駅新設】山川
  • 1944年(昭和19年)10月1日 【駅新設】南鹿児島
  • 1960年(昭和35年)3月22日 【延伸開業】山川 - 西頴娃(旅客営業のみ) 【駅新設】大山、西大山、薩摩川尻、東開聞、入野、頴娃、西頴娃
  • 1963年(昭和38年)10月31日 【延伸開業】西頴娃 - 枕崎(旅客営業のみ) 【駅新設】御領、石垣、水成川、頴娃大川、松ケ浦、薩摩塩屋、白沢、薩摩板敷、枕崎 【線名改称】指宿枕崎線
  • 1966年(昭和41年)10月1日 【駅新設】坂之上
  • 1973年(昭和48年)3月27日 蒸気機関車運転終了[6]
  • 1980年(昭和55年)10月1日 【貨物営業廃止】西鹿児島 - 山川
  • 1983年(昭和58年)3月8日 西鹿児島 - 山川間CTC導入
  • 1986年(昭和61年)12月1日 【臨時乗降場新設】郡元、宇宿
  • 1987年(昭和62年)4月1日 【承継】九州旅客鉄道 【臨時乗降場→駅】郡元、宇宿
  • 1988年(昭和63年)3月13日 【駅新設】慈眼寺
  • 2004年(平成16年)3月13日 【駅名改称】西鹿児島→鹿児島中央
  • 2006年(平成18年)5月1日 枕崎駅移転により営業キロ0.1km短縮
  • 2007年(平成19年)7月3日 薩摩今和泉駅構内で線路沿いの崖が幅20メートル高さ10メートルに渡って崩落、鹿児島中央発山川行き普通列車が流入した土砂に乗り上げ脱線した。死傷者はなし[7]
  • 2008年(平成20年)10月4日 谷山 - 慈眼寺間2.7kmの高架工事着工
  • 2011年(平成23年)3月12日 観光特急「指宿のたまて箱」が新設され[4]、特別快速「なのはなDX」が廃止される。
  • 2012年(平成24年)12月1日 鹿児島中央 - 喜入間でICカード「SUGOCA」が利用可能となる。
  • 2014年(平成26年)
    • 6月21日 生見 - 薩摩今和泉間で、線路沿いの崖が高さと幅各約10メートルにわたって崩落、指宿発鹿児島中央行き特急「指宿のたまて箱2号」が線路内に流入した木及び土砂に乗り上げ、1両目のほぼ半分が脱線、乗客乗員47名中乗客13名乗員2名の計15名がけが、うち3名が入院[8]。事故後、喜入 - 指宿間が運休に。詳細は『指宿枕崎線特急「指宿のたまて箱」脱線事故』を参照。
    • 6月28日 同月21日の脱線事故で運休していた喜入 - 指宿間が始発より運転を再開。同区間で実施していたバス等による代行輸送は、27日限りで終了。なお、特急「指宿のたまて箱」は引き続き運休とし、特急「指宿のたまて箱」と同じ運転時刻・停車駅で全車自由席の臨時快速列車を運転[9]
    • 7月12日 特急「指宿のたまて箱」の運転を再開。同じ運転時刻・停車駅で28日から運転していた全車自由席の臨快速列車は11日限りで運転終了[10]
    • 7月19日 JR九州が指宿枕崎線を区間によっては存廃検討対象となることを明らかにしたと南日本新聞が報じる[11]
  • 2016年(平成28年)3月26日 谷山 - 慈眼寺間が高架化[12]。これにともない、谷山は慈眼寺寄りに100m移動[12]

駅一覧

  • 停車駅
    • 普通…すべての駅に停車
    • 快速「なのはな」…●印の駅は全列車が停車、▲印の駅は一部の列車が停車、|印の駅は全列車が通過
    • 特急は「指宿のたまて箱」の記事を参照
  • 線路(全線単線) … ◇・∨:列車交換可、|:列車交換不可
  • 全駅鹿児島県内に所在
駅名 駅間営業キロ 累計営業キロ 快速 接続路線 線路 所在地
鹿児島中央駅 - 0.0 九州旅客鉄道■ 九州新幹線鹿児島本線日豊本線[* 1]
鹿児島市電第二期線唐湊線鹿児島中央駅前電停
鹿児島市
郡元駅 2.2 2.2  
南鹿児島駅 1.3 3.5 鹿児島市電:谷山線南鹿児島駅前電停
宇宿駅 1.4 4.9 鹿児島市電:谷山線脇田電停
谷山駅 2.6 7.5  
慈眼寺駅 1.7 9.2  
坂之上駅 2.1 11.3  
五位野駅 2.8 14.1  
平川駅 3.1 17.2  
瀬々串駅 3.4 20.6  
中名駅 3.4 24.0  
喜入駅 2.6 26.6  
前之浜駅 3.8 30.4  
生見駅 4.6 35.0  
薩摩今和泉駅 2.9 37.9   指宿市
宮ケ浜駅 2.8 40.7  
二月田駅 2.7 43.4  
指宿駅 2.3 45.7  
山川駅 4.3 50.0  
大山駅 4.2 54.2    
西大山駅 2.5 56.7    
薩摩川尻駅 1.1 57.8    
東開聞駅 1.8 59.6    
開聞駅 1.4 61.0    
入野駅 1.8 62.8    
頴娃駅 3.3 66.1     南九州市
西頴娃駅 1.6 67.7    
御領駅 2.7 70.4    
石垣駅 2.4 72.8    
水成川駅 1.4 74.2    
頴娃大川駅 1.8 76.0    
松ケ浦駅 2.1 78.1    
薩摩塩屋駅 1.8 79.9    
白沢駅 2.0 81.9     枕崎市
薩摩板敷駅 2.5 84.4    
枕崎駅 3.4 87.8    
  1. ^ 日豊本線の正式な終点は鹿児島駅だが、すべての列車が鹿児島中央駅に乗り入れる
  • 平川、瀬々串に停車する快速は朝の下り1本のみである。また、2008年には薩摩今和泉駅に特別快速「なのはなDX」の下り全列車と上り1本が停車していた。2011年3月12日改正後は快速「なのはな」2往復が停車する。

過去の接続路線

脚注

  1. ^ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
  2. ^ SUGOCAのご利用可能エリアを平成24年12月1日(土)に拡大します - 九州旅客鉄道ニュースリリース 2012年9月19日
  3. ^ 鹿児島、熊本に新観光特急 JR九州計画 - 西日本新聞 2010年10月19日
  4. ^ a b ダイヤ改正日の3月12日は前日発生した東北地方太平洋沖地震による津波警報発令で指宿枕崎線が運休となっていたので、運転開始は翌13日から(観光特急「いぶたま」第1便、1日遅れで指宿到着 - 読売新聞、2011年3月14日読売新聞)。
  5. ^ キハ140 2066が「指宿のたまて箱」仕様になって出場 | 鉄道ニュース | 2012年3月20日掲載 | 鉄道ファン・railf.jp
  6. ^ 『世界の鉄道』1974年版、195頁
  7. ^ 鉄道事故/鉄道重大インシデントの概要 - 運輸安全委員会
  8. ^ “「指宿のたまて箱」土砂で脱線、15人けが”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2014年6月21日). http://www.yomiuri.co.jp/national/20140621-OYT1T50050.html 2014年6月22日閲覧。 
  9. ^ 指宿枕崎線 喜入駅〜指宿駅間の運転再開及び特急「指宿のたまて箱」号の運休について (PDF) - 九州旅客鉄道、2014年6月27日(2014年6月29日閲覧)
  10. ^ 7月12日より、特急「指宿のたまて箱」の運転を再開します。 (PDF) - 九州旅客鉄道、2014年7月4日(2014年7月12日閲覧)
  11. ^ “指宿枕崎線「存廃検討対象」 JR九州社長”. 南日本新聞. (2014年7月19日). オリジナルの2014年7月28日時点におけるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20140728120341/http://373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=58350 
  12. ^ a b "指宿枕崎線 谷山駅・慈眼寺駅が平成28年3月26日に高架開業します" (PDF) (Press release). 九州旅客鉄道. 24 December 2015. 2015年12月25日閲覧

参考文献

関連項目