マタニティハラスメント
マタニティハラスメント(和製英語:maternity harassment)とは、職場において妊娠や出産者に対して行われる嫌がらせを指す言葉。俗称は、マタハラ。英語で妊娠に対する差別に関しては「Pregnancy discrimination」が使用されるが、日本における状況を報道する際に英文メディアでは「maternity harassment」が使われた[1]。
概要
妊娠・出産に伴う労働制限・就業制限・産前産後休業・育児休業によって業務上支障をきたすという理由で、精神的・肉体的な嫌がらせを行う行為のことを指す。妊娠中に嫌がらせによる流産の危険性もあり、男女雇用機会均等法・育児介護休業法・労働基準法に違反する場合も多々見受けられる[2]。2012年に日本労働組合総連合会が行った調査では、「セクシャルハラスメントされた経験」(17.0%)を大きく上回る25.6%が被害を受けたとの結果が出た[3][4]。
2014年10月23日に最高裁判所第三小法廷は、妊娠を理由に降格を行ったことについて、業務上の必要性など特段の事情がある場合以外は、原則として男女雇用機会均等法違反(マタニティハラスメント)に当たるとの初判断を示した[5]。
2014年新語・流行語大賞の候補50語に「マタハラ」が選出された[6]。
2015年、マタニティハラスメントに悩む女性の支援活動に取り組んでいる小酒部さやかが「世界の勇気ある女性賞」を受賞した[7]。
脚注
- ^ “マタニティハラスメント/maternity harassmentは英語か(甲南女子大学教授:引野剛司)”. 実用現代用語和英辞典・実用現代用語和英表現辞典. 2015年1月20日閲覧。
- ^ 朝日新聞 2013年7月23日朝刊>生活面。
- ^ セクハラより多い“マタハラ” - ダイヤモンド・オンライン
- ^ “女性を追い込む、出産ハラスメントって何?”. 東洋経済オンライン 2013年5月24日. 2013年8月7日閲覧。
- ^ 妊娠降格判決:「本人承諾なしは原則違法」最高裁が初判断 毎日新聞 2014年10月24日
- ^ “流行語大賞の候補50語発表「ありのままで」「ダメよ~ダメダメ」など”. スポニチ. (2014年11月19日) 2014年11月19日閲覧。
- ^ “小酒部さやかさんに「世界の勇気ある女性賞」 マタハラNetの創設者”. (2015年3月7日) 2015年4月4日閲覧。
関連文献
- 杉浦浩美『働く女性とマタニティ・ハラスメント―「労働する身体」と「産む身体」を生きる』大月書店、2009年9月。ISBN 978-4272350292。
- 小林美希『ルポ 職場流産―雇用崩壊後の妊娠・出産・育児』岩波書店、2011年8月。ISBN 978-4000234962。
- 小林美希『ルポ 産ませない社会』河出書房新社、2013年6月。ISBN 978-4-309-24622-2。
- 「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)に関する意識調査[1]」連合非正規労働センター、 2013年8月7日閲覧。
- 小酒部さやか『マタハラ問題』ちくま新書、2016年。ISBN 978-4-480-06872-9。
参考リンク
- “「マタニティハラスメント」で初の電話相談”. NHK生活情報ブログ. 2013-8-7閲覧。
- “マタニティハラスメントの実態”. ワールドビジネスサテライト|テレビ東京. 2013年8月7日閲覧。
- “妊娠したから解雇は違法です STOPマタハラ!”. 政府インターネットテレビ. 2015-0716閲覧。