フォルクスワーゲン・ゴルフ

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ゴルフ (GOLF)は、フォルクスワーゲンが製造販売している自動車である。

概要

Cセグメント」に分類されるハッチバック車であり、世界の車種別歴代総生産台数ではトヨタ・カローラに次ぐ第2位[1]であり、2013年7月には累計の生産台数が3,000万台に達した。日本市場へも、初代モデル登場時から継続して輸入・販売されており、高い知名度を持つ代表的な輸入車となっている。

1974年に発売されたジョルジェット・ジウジアーロデザインの傑作である初代ゴルフは、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)という構成を横置きのエンジンで駆動するという小型乗用車用としては完成形の一つとされている形態、それの効率的なパッケージングによるコンパクトな外寸、余裕のある室内空間を持ち、世界中でヒットとなり、約680万台が生産された。当初はVWの実質的なローエンドに位置する[2]大衆車であったが、「GTI」と呼ばれるホットモデル(スポーツモデル)が初代から歴代発売されている。

開発の経緯

ビートルを代替する車種として開発されていた水冷エンジンミッドシップに搭載したEA266。

ナチス・ドイツ時代にフェルディナント・ポルシェ設計のビートルを生産する国策企業として設立されたフォルクスワーゲンは、第二次世界大戦後、民生用のビートルを生産して大躍進したが、1960年代に入るとそのビートルの設計も陳腐化が著しく、後継車の開発が求められるようになっていた。

1965年、当時のVW社長であったハインリヒ・ノルトホフはこの車の設計をポルシェ社に委託し、ポルシェはこれに応えてEA266を開発した。この車は水平シリンダーの横倒しエンジンを後席のシートの下にアンダーフロア・ミッドシップというレイアウトで配置する方式を採用し、パッケージングとしては極めて優秀なものであったという評価をする向きもある[3]が、当時アウディNSUアウトウニオンでアウディ・80の開発を行なっていた開発責任者のルートヴィッヒ・クラウスは後部座席の下に臭気と騒音を発するエンジンを搭載し、そのレイアウトのお陰で車高が高くなるこの車には否定的な意見を持っており、ルドルフ・ライディングから、それまで掛かった開発費用とこれから掛かる予定の額を聞いて開発を中止するように勧めた[4]。EA266は初代ビートルと同じく、1台当たりいくらという形でのギャランティをポルシェに支払う契約となっていたため、相対的に見てコスト面で割高な商品であった。また操縦安定性の点でも、高エネルギー時の制御しづらい特性は当時の技術レベルでは解決が難しかった。このため、ノルトホフが急死した後にフォルクスワーゲン社長となったクルト・ロッツ(Kurt Lotz)はこの車の開発を進めていたが、その後任となったルドルフ・ライディングはEA266の生産計画を白紙に戻した。

初代ゴルフの開発責任者であったヴェルナー・ホルステ博士は衝突安全性の面から横置きエンジンを好み、1970年にロッツからこのレイアウトを量産車に採用する許可をもらっていた[5]ジョルジェット・ジウジアーロにスタイリングを依頼し、エンジンをアウディNSUアウトウニオン、その他をフォルクスワーゲン技術部門で開発された[6]ビートルの後継車が初代ゴルフである。

初代 ゴルフI 17型 (1974年-1992年)

フォルクスワーゲン・ゴルフ(初代)
17型
3ドアハッチバック
1.6L K-ジェトロ ガソリンエンジン
概要
販売期間 1974 - 1992年[7]
デザイン イタルデザイン・ジウジアーロ
ボディ
乗車定員 5 人
ボディタイプ 3 / 5ドア ハッチバック
3ドア カブリオレ
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
エンジン 直4 1.8 / 1.7 / 1.6 / 1.5 L
直4 ディーゼル 1.6 / 1.5 L
変速機 3速AT / 5速MT
前:マクファーソンストラット
後:トーションビーム
前:マクファーソンストラット
後:トーションビーム
車両寸法
ホイールベース 2,400 mm
全長 3,725 mm
全幅 1,610 mm
全高 1,410 mm
車両重量 780 kg
その他
ブレーキ 前:ディスク / 後:ドラム
最高速度 160 km/h
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スタイリングとパッケージングはジウジアーロによるものであり、フロントドアには旧弊な三角窓があったが、全体的には欧州各国で先行して発売された前輪駆動ベーシックカー各車の技術を踏まえながら、極めて合理化された2ボックス型の横置きエンジン前輪駆動方式を採用、デザイン、メカニズム共にフォルクスワーゲン車のコンセプト面での立ち遅れを見事に挽回した製品となった。

1974年から欧州で販売された。日本導入は翌1975年からで、排ガス規制等に伴う年次変更が多かった。ゴルフのホットハッチ「GTI」は、当時、日本への正規輸入はなかったが、モデル末期の1983年にはヤナセから「GTD」が販売された。これはGTIとほぼ共通の外装を持ち合わせたスポーツ仕様であり、出力90馬力のターボ付き1.6リットルディーゼルエンジンが搭載されていた。

  • 1975年-ヤナセ、LS・4ドアモデルを販売。フランクフルトショーでGTI発表[8]
  • 1976年-三角窓が開閉式に変わる(後に導入されるジェッタは開閉機構なし)。1.6リットルLSEモデルの追加。また、2ドアモデルも新たに加わる。
  • 1977年-1.5が廃止され全車1.6へ。同時にグレード名が LS / LSE から E / GLE に変更され、1.5ディーゼルの D が追加された。
  • 1978年- 排ガス規制の関係で再び1.5リットルエンジンに変更される。ディーゼルに上級グレードの GLD 追加。
  • 1979年-前後バンパーが鉄製から樹脂製に変わり全長が拡大。
  • 1980年-再び1.6リットルとなる。カブリオが登場。
  • 1981年-1.7リットルの新型エンジンに換装。ディーゼルも1.6リットルへ変更。リアコンビランプが大型化される。
  • 1982年-グレード呼称の見直し。
    E / GLE / D / GLD から Ci / GLi / C Diesel / GL Diesel へ変更。
  • 1983年-GTD 追加。
カブリオ

カブリオコーチワークは、ビートル・カブリオ(Typ 15)以来の関係を持つ、カルマンが幌の製作を担当した。次世代のゴルフ IIでは新たなカブリオレモデルの設定はなく、このカブリオは、「クラシック」のサブネームを与えられて、ゴルフ III カブリオの登場まで販売される長寿モデルとなった。

  • 1985年-1.8リットルエンジンに変更。
  • 1989年-大型カラードバンパーや4灯式ヘッドランプなど、外装を大幅に変更。
  • 1992年-最終限定車クラシックライン発売。シートは本革張りとなり、アルミホイールが装着される。カラーは初のメタリックカラー(モスグリーン、ブルー、ワイン)のみ。

エンジン

  • 直4 1.5L SOHC キャブレター(LS)
  • 直4 1.6L SOHC インジェクション (LSE / E / GLE / カブリオ初期)
  • 直4 1.6L SOHC インジェクション(GTI)
  • 直4 1.7L SOHC インジェクション(Ci / GLi / カブリオ中期)
  • 直4 1.8L SOHC インジェクション(カブリオ後期)
  • 直4 1.5L ディーゼル(D / GLD)
  • 直4 1.6L ディーゼル(D / CD / GLD)
  • 直4 1.6L ディーゼルターボ(GTD)

派生車種

シロッコ(スポーツコンパクト)
ジェッタ(セダン)
キャディ/ ラビット ピックアップ
はしご形フレームを持たない、ビルドインフレームのモノコックボディー (ユニボディー)のピックアップトラック。ホイールベースは延長されている。en:Volkswagen Caddy

2代目 ゴルフII 19E型 (1983年-1992年)

フォルクスワーゲン・ゴルフ(2代目)
19E型
5ドアハッチバック フロント
5ドアハッチバック リア
概要
販売期間 1983 - 1992年
ボディ
乗車定員 5 人
ボディタイプ 3 / 5ドア ハッチバック
駆動方式 前輪駆動 四輪駆動
パワートレイン
エンジン 直4 1.8 / 1.6 L
直4 ディーゼル 1.6 L
変速機 3速AT / 5速MT
前:ストラット
後:トレーリングアーム
前:ストラット
後:トレーリングアーム
車両寸法
ホイールベース 2,475 mm
全長 3,985 mm
全幅 1,665 mm
全高 1,415 mm
車両重量 1,030 kg
その他
ブレーキ 前:ディスク / 後:ドラム
データモデル CLi 5ドア 3速AT(後期型)
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1983年秋に初のフルモデルチェンジを行う[9]。日本での販売開始は1984年。

初期仕様は先代同様にフロントドアウィンドウに固定式の三角窓があった。サンルーフは手動開閉式、ATは3速であった。また、右ハンドル仕様でもワイパーが左ハンドル用のままであった(メーカーは、払拭面積を拡大したため問題なし、としていた)。また、この代からGTIの正規輸入が始まった。当初8VのGTIが登場し、後から16VエンジンのGTI16Vが追加された。GTIは当時人気のあったピレリP6を履き、純正ホイールもピレリのPの文字がデザインされたモノが装備されていた。GTI16Vは4灯のグリルを備えていたが、日本国内の保安基準(補助灯の中心はヘッドライトの中心より上にあってはならない)に適合せず、中央寄りの2灯は点灯しなかった。また、1986年に世界で初めてゴルフ2ディーゼル(型式「1V」)に酸化触媒が搭載された(ただし、日本仕様での酸化触媒はゴルフ3から)。

最初のマイナーチェンジでは、三角窓の廃止、ドアミラー位置の移動、エンブレムの変更ならびに右ハンドル仕様のワイパーがそれ専用に改良された。エンブレムは右端にVWのマークとVolkswagenの文字だったが、このマイナーチェンジで中央にVWマークのみとなった。

2度目のマイナーチェンジではバンパーの形状を変更、ボディ下部まですっぽりと覆うより現代的なものに変更された(通称ビッグバンパー)。ボディサイズは、現在のポロ程度であり、デザインはVW社内で行われたものであった。

エンジン

  • 直4 1.8L SOHC(Ci / GLi / GTI)
  • 直4 1.8L DOHC(GTI16V)
  • 直4 1.6L ディーゼル(C / CL)
  • 直4 1.6L ディーゼルターボ(CLD turbo, GTD)

派生車種

ゴルフシンクロ(Syncro)
ゴルフにビスカスカップリングを搭載しフルタイム4WD化した、市販車最初のビスカスカップリング搭載フルタイム4WDモデル。通常モデルとの差異は、外観ではグリル、左右フェンダー、そしてリア部にある"Syncro"エンブレム、内装では、高めのフロアトンネル、リアデフ設置のためのトランクルームの狭小化、左右前席下にある後席用空調ダクト、GTIと同様のグローブボックスにある"Syncro"エンブレムであった。VW社の資料に拠れば路面状況により前/後輪に対するトラクション配分を95:5から5:95まで変更できる。左ハンドルのマニュアルトランスミッション車のみのラインアップで、日本国内では1987年から1989年まで販売された。セダン仕様であるジェッタにもSyncroモデルがあったが、一説にはジェッタのSyncroモデルはVW側のミスで輸入されたという話もある。
ゴルフカントリー
Syncroをベースに最低地上高を拡大したモデル。車高の高さとバックドアの外側にパイプ製のスペアタイヤキャリによる独特の外観を持つ。後にクロスオーバーSUVと呼ばれる車種の先駆け、と見る向きもある[10]。製造はドイツではなく、メルセデス・ベンツ・Gクラスと同じオーストリアシュタイア・ダイムラー・プフで行われていた。日本では1991年まで販売継続されたが、総輸入台数は110台にすぎなかった。
ジェッタ(セダン)
ヘッドライトは北米向けのラビット(Rabbit)同様、異形2灯となる。
シロッコ(スポーツクーペ)
コラード(スポーツクーペ)
ゴルフ Rallye(ラリー)
WRC用にゴルフを4WD化し、コラードと同じG60スーパーチャージドエンジンを搭載していたが、ACの装備が元々なく、なおかつ日本での正規販売もなかった。薄型異形ヘッドライトや大きなオーバーフェンダーが外観上の特徴。
ゴルフ G60 Limited
ゴルフRallyeと同様にG60スーパーチャージドエンジンとSyncroシステムを搭載しているが、こちらは4ドアモデルもあり、外観は通常のゴルフ同様であった。日本への正規輸入は行われなかった。

グレード

Ci、CLi、GLi、GLX、GTI、GTI 16V、C diesel、CL diesel、CLD turbo、GTD

3代目 ゴルフIII 1H型 (1991年-1997年)

フォルクスワーゲン・ゴルフ(3代目)
1H型
5ドアハッチバック フロント
5ドアハッチバック リア
概要
販売期間 1991 - 1997年
ボディ
乗車定員 5 人
ボディタイプ 3 / 5ドア ハッチバック
5ドア ステーションワゴン
3ドア カブリオレ
駆動方式 前輪駆動 / 四輪駆動
パワートレイン
エンジン 狭角V6 2.8 L
直4 2.0 / 1.8 / 1.6 L
直4 ディーゼル 1.9 L
変速機 4速AT / 5速MT
前:ストラット / 後:トーションビーム
前:ストラット / 後:トーションビーム
車両寸法
ホイールベース 2,475 mm
全長 4,020 mm
全幅 1,695 mm
全高 1,420 mm
車両重量 1,080 kg
その他
ブレーキ 前:ディスク / 後:ドラム
データモデル CLi 5ドア 4速AT
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1991年にフルモデルチェンジされ、欧州では同年から日本では翌1992年より販売される。

ゴルフ史上で一番廉価なモデル(CLi2ドア)であり、初めてカブリオがモデルチェンジを行い、ゴルフ初のワゴンも登場した。ヘッドランプの形状に対しては賛否意見がわかれた[要出典]。1992年、欧州カーオブザイヤーを受賞。日本ではVWが当時、ロックバンドのボン・ジョヴィの来日公演のスポンサーだったことから、限定車として「Bon Jovi Edition」が販売され、欧州では、ピンク・フロイド仕様も発売された。

1995年、先売のコラード同様、狭角V6エンジンを積む、ゴルフIII VR6(以下、VR6)が日本で追加発売された。VR6は、アウトバーンにおいてメルセデス・ベンツ・Sクラスや、BMW・7シリーズと対等に走れることをコンセプトに開発された。日本でのサンルーフ付きVR6は1995年式のみ。VR6とGTIはブリスターフェンダーを採用したため、全幅は1,710mmとなった。

エンジン

  • 直4 OHC 1.8L
  • 直4 OHC 2.0L
  • 直4 DOHC 16V 2.0L
  • 狭角V6 "VR6" 2.8L SOHC
  • 直4ディーゼルターボ 1.9L

グレード

ゴルフ - CLi(2ドア/4ドア)、CLディーゼル、GLi、GTI、VR6

派生車種

ヴェント

4代目 ゴルフIV 1J型 (1997年-2006年)

フォルクスワーゲン・ゴルフ(4代目)
1J型
5ドアハッチバック フロント
5ドアハッチバック リア
概要
販売期間 1997 - 2003年
ボディ
乗車定員 5 人
ボディタイプ 3 / 5ドア ハッチバック
5ドア ステーションワゴン
3ドア カブリオレ
駆動方式 前輪駆動 / 四輪駆動
パワートレイン
エンジン 直4 2.0 / 1.8 / 1.6L
最高出力 150 ps/5,700 rpm
最大トルク 21.4 kgfm/1,750-4,600 rpm
変速機 4速/5速AT
5速/6速MT
前:ストラット / 後:トーションビーム
前:ストラット / 後:トーションビーム
車両寸法
ホイールベース 2,515 mm
全長 4,155 mm
全幅 1,735 mm
全高 1,455 mm
車両重量 1,330 kg
その他
ブレーキ 前:ベンチレーテッドディスク
後:ディスク
データモデル GTI 5ドア 5速AT
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フォルクスワーゲン会長フェルディナント・ピエヒ主導による高級化路線の影響を受けたモデル。塗装やボディパネルの継ぎ目、各パーツの組み付け精度など内外装ともに品質が格段に向上した。全幅は1,700mm超となった。プラットフォームはフォルクスワーゲン・ボーラアウディA3、TT、シュコダ・オクタビアセアト・レオンなどと共通。

全体に純亜鉛メッキを施され、高張力鋼板を多用、それをレーザー溶接で接合する事から飛躍的にボデイ強度や安全性が高まった。一部のグレードは旧東ドイツのモーゼル工場製がある。ドイツ統一後の東側地域産業復興の象徴として製造もされた。ニュービートルに次ぐRラインとして設定されたR32は本モデルより登場し、日本へは2ドア(左ハンドル仕様)が500台、4ドア(右ハンドル仕様)が400台の限定にて輸入された。

初期型のアウディ製1.8リットルDOHCエンジンを搭載したグレードは好評であったものの、高コストな5バルブエンジンであったこと、日本の道路事情を考慮してATとのマッチングを重視したこと等から、初回のマイナーチェンジで、旧世代の低回転域トルク型2.0リットルSOHCエンジンに変更されたが、一部の自動車評論家に酷評された(ゴルフIIIではカウンターフローだったものを、クロスフローに改良した後方排気エンジン)。

エンジン

  • 直4 1.6L SOHC(E / L)
  • 直4 1.8L DOHC 20バルブ(CLi / GLi初期)日本仕様は98年モデルのみ。
  • 直4 1.8L DOHC 20バルブターボ(GTI / GTX)
  • 直4 2.0L SOHC(CLi / GLi / L Plus)
  • 狭角V5 2.3L (日本未導入)
  • 狭角V6 3.2L SOHC(R32)

後期型NAエンジンには可変長インテークマニーホールドが採用され、燃費の向上およびエンジン出力の向上がなされた。

派生車種

ボーラ、ニュービートル

ゴルフ・カブリオレは、4代目ゴルフに似せた外観に変更されたが、内容は先代・ゴルフIIIの継続であった。

安全装備

足回りはEDB(電子制動力制御装置)付きABSとなった。制動時の前後ブレーキ力配分を制御し、荷重移動でノーズが下がったり、コーナリング制動時の急激なオーバーステアを防ぐ装置が付加された。またEPS(横滑り防止装置)も装備される。これらの装備は当時の大衆車としては極めて先進的である。エアバッグは全車にデュアル&サイドエアバッグ(のちにカーテンエアバッグ)フォースリミッター&テンショナー付きシートベルトが標準で装着。

5代目 ゴルフV 1K型 (2003年-2009年)

フォルクスワーゲン・ゴルフ(5代目)
1K型
5ドアハッチバック フロント
5ドアハッチバック リア
概要
別名 フォルクスワーゲン・ラビット(米国
販売期間 2003 - 2008年
ボディ
乗車定員 5 人
ボディタイプ 3 / 5ドア ハッチバック
5ドア ステーションワゴン
駆動方式 前輪駆動 / 四輪駆動
プラットフォーム VW・Aプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 直4 2.0 / 1.4 L
V6 3.2 L
最高出力 200 ps/5,700 rpm
最大トルク 28.60 kgfm/1,800-5,000 rpm
変速機 6速 / 7速DCTDSG
6速AT
6速MT
前:マクファーソンストラット / 後:4リンク
前:マクファーソンストラット / 後:4リンク
車両寸法
ホイールベース 2,575 mm
全長 4,205 mm
全幅 1,760 mm
全高 1,520 mm
車両重量 1,310 kg
その他
横滑り防止機構 全車標準装備(日本仕様)
サイズ・重量データモデル TSIトレンドライン 7速DSG
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ドイツでは2003年に発売される。

一般モデルはボディ同色の小さいグリルであったが、「GTI」や「GT」にはアウディと同様に大型の「ワッペングリル」が採用される。

後半モデルより1.4Lガソリンエンジンにターボチャージャーとスーパーチャージャーを組み合わせた「TSI」エンジンや、機械式のツインクラッチ式フルオートマチックトランスミッションである6速「DSG」(湿式多板クラッチ)、7速「DSG」(乾式単板クラッチ)が登場した。

6代目 ゴルフVI 5K型 (2008年-2012年)

フォルクスワーゲン・ゴルフ(6代目)
5K型
5ドアハッチバック フロント
5ドアハッチバック リア
概要
販売期間 2008年10月 - 2012年11月
ボディ
乗車定員 5 人
ボディタイプ 3 / 5ドア ハッチバック
駆動方式 前輪駆動 / 四輪駆動
プラットフォーム VW・Aプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 直4 1.2 / 1.4 L ターボ
直4 1.4L ターボ+スーパーチャージャー
変速機 6速 / 7速DCTDSG
5速 / 6速MT
前:マクファーソンストラットコイル
後:4リンクコイル
前:マクファーソンストラットコイル
後:4リンクコイル
車両寸法
ホイールベース 2,575 mm
全長 4,210 mm
全幅 1,790 mm
全高 1,485 mm
車両重量 1,270 - 1,530kg
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ドイツでは2008年に発売される。

米国仕様は今回のモデルチェンジを機に車名がドイツと同じ「ゴルフ」となった。

プラットフォームは先代と同じで、ボディパネル、内装が一新された。ただしヴァリアントは大幅なフェイスリフトは見送られ、フロント部分と内装の変更にとどまる。

当モデルをベースにハイブリッド仕様の「Twin Drive」、電気自動車仕様の「Blue e-motion」の試作車が開発された。

7代目 ゴルフVII 5G型 (2012-年)

フォルクスワーゲン・ゴルフ(7代目)
5G型
TSIコンフォートライン 欧州仕様
GTI 欧州仕様
Rヴァリアント 欧州仕様
概要
別名 セアト・レオンスペイン
シュコダ・オクタビアチェコ
販売期間 2012-年
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
5ドアステーションワゴン
駆動方式 前輪駆動 / 四輪駆動
プラットフォーム VW・MQBプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 直4 1.2 / 1.4 L / 2.0 L
直4 1.6 / 2.0 L ディーゼル
変速機 6速 / 7速DCTDSG
5速 / 6速MT
車両寸法
ホイールベース 2,637 mm
全長 4,255 mm
全幅 1,799 mm
全高 1,452 mm
車両重量 1,205 - 1,375kg
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車体骨格は、新開発のモジュールプラットフォーム「MQB」に一新。先代モデルと比較しておよそ100kgの軽量化を果たしたほか、全長、全幅、ホイールベースは若干大きくなったが、全高は低くなり、よりスポーティなデザインとなった。フォルムは先代を基本的に踏襲しているが、サイドミラー付近には視界確保のため小窓が設けられた。

エンジンやサスペンションなどの主要機構も一新された。 エンジンはガソリンエンジンの1.2L TSI、1.4L TSI、気筒休止システム仕様の1.4L TSI ACT、GTIに搭載される2.0TSI。ディーゼルエンジンが1.6L TDI、2.0L TDI。すべてブルーモーション・テクノロジー仕様である。

ダッシュボードパネルは非対称の形状となり、全車の駐車ブレーキが電気式となる。

8代目 (2019-年)

フォルクスワーゲン・ゴルフ(8代目)
概要
販売期間 2019-年
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドアハッチバック
駆動方式 FF
パワートレイン
変速機 6MT
7DCT
車両寸法
ホイールベース 2,635mm
全長 4,285mm
全幅 1,790mm
全高 1,455mm
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2019年10月、8代目モデルがドイツにて発表された。48Vのマイルドハイブリッドシステムである「eTSI」を採用しており、始動時に電気的ブーストをかけ、駆動トルクを増加させる小型軽量な発電機として機能する。[11]

ワンメイクレース

1970年代から1980年代にかけて、ドイツや日本などでゴルフのワンメイクレースが「Golfポカールレース」の名称で開かれていた。著名な参加者に、歌手の稲垣潤一や俳優の岩城滉一三原じゅん子なども参戦していた。2005年からは「ゴルフGTiカップ」の名称で行われている。

車名

「GOLF (ゴルフ)」は、ドイツ語で「メキシコ湾流」を示す「Der Golfstrom (デア・ゴルフシュトローム)」に由来する。

同時期に発売された、他のフォルクスワーゲンのモデル(シロッコジェッタ等)にの名前が付けられているのに対し、「ゴルフ」の名は海流の名称に因んでいる。しかし、メキシコ湾流の成因の一つは貿易風とされているため、風と全く無関係の言葉ではない。なお、貿易風はドイツ語で「Passat」(パサート)となり、これはフォルクスワーゲン・パサートのモデル名として採用されている。

また、後に発売されたVWの一部モデルにスポーツ関連の名称(キャディ、ダービィ)が付いており、前述のポロもスポーツのポロの意味に取れることから、「ゴルフ」もスポーツのゴルフを兼ねたものとする説もある。実際、ゴルフGTI16Vにはゴルフボール型のシフトノブを持つものも存在する[12]

なお、北米市場においては初代が「ラビット」、2-4代目が他国と同じ「ゴルフ」、5代目で再び「ラビット」を名乗っていたが、6代目で「ゴルフ」に戻されている。

関連項目

脚注

  1. ^ 「ゴルフ」生産数世界2位 カローラに迫る量産車に 47NEWS 2002年6月26日
  2. ^ 当時はビートルも併売されていたが、他社の新型車と比べると、すでに太刀打ちできない部分が多かった。
  3. ^ 福野礼一郎はジウジアーロ設計による初代ゴルフを極めて高く評価しているが、EA266にはそれ以上の高い評価を与えている。
  4. ^ J・スロニガー 『ワーゲン・ストーリー』 高斎正訳 グランプリ出版 昭和59年5月20日発刊 ISBN 4-906189-24-5 p.217
  5. ^ 『ワーゲン・ストーリー』 p.251
  6. ^ 『ワーゲン・ストーリー』 p.218
  7. ^ カブリオを除き:1974年-1984年
  8. ^ 80年代輸入車のすべて- 魅惑の先鋭 輸入車の大攻勢時代. 三栄書房. (2013). pp. 9. ISBN 9784779617232 
  9. ^ 80年代輸入車のすべて- 魅惑の先鋭 輸入車の大攻勢時代. 三栄書房. (2013). pp. 8. ISBN 9784779617232 
  10. ^ フォルクスワーゲン・ゴルフ オールトラックTSI 4MOTIION アップグレードパッケージ(4WD/6AT)【短評】”. WebCG (2015年8月13日). 2015年8月13日閲覧。
  11. ^ VW ゴルフ 新型、8世代目を発表…48Vマイルドハイブリッド採用 (レスポンス/2019年10月25日掲載/2020年1月1日閲覧)
  12. ^ 80年代輸入車のすべて- 魅惑の先鋭 輸入車の大攻勢時代. 三栄書房. (2013). pp. 9. ISBN 9784779617232 

外部リンク

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