ふしぎの国のアリス

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ふしぎの国のアリス
Alice in Wonderland
監督 クライド・ジェロニミ
ハミルトン・ラスク
ウィルフレッド・ジャクソン
脚本 ウィンストン・ヒブラー
ビル・ピート
ジョー・リナルディ
ウィリアム・コトレル
ジョー・グラント
デル・コンネル
テッド・シアーズ
アードマン・ペナー
ミルト・バンタ
ディック・ケルセイ
ディック・ヒューマー
トム・オレブ
ジョン・ウォルブリッジ
製作 ウォルト・ディズニー
ロイ・O・ディズニー
出演者 下記参照
音楽 オリバー・ウォレス
撮影 ボブ・ブロートン
編集 ロイド・リチャードソン
配給 RKO Radio Pictures
公開 アメリカ合衆国の旗 1951年7月28日
日本の旗 1953年8月19日
上映時間 約75分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
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ふしぎの国のアリス』(ふしぎのくにのアリス、原題:Alice in Wonderland)は、1951年7月28日に公開されたディズニー製作のアニメーション映画である。日本での公開は1953年8月19日

概要

ルイス・キャロルの小説『不思議の国のアリス』に興味を持ったウォルト・ディズニーが、第二次世界大戦を乗り越えて製作した。アニメーション化にあたっては、原作の持つ言葉遊び的な要素は薄れているが、ディズニーらしいミュージカル式のおとぎ話として完成されているといえる。

本作品は、『不思議の国のアリス』を原作としているが、小説『鏡の国のアリス』のエピソードや登場キャラクターも採用されている。例えば、トゥイードル・ディーとトゥイードル・ダムは『鏡の国のアリス』(元々はマザー・グース)に登場する。本作に登場するハートの女王は、『不思議の国のアリス』のハートの女王と『鏡の国のアリス』の赤の女王を合わせたようなキャラクター造形となっている。

また、本作品に登場するほうき犬は原作にはないオリジナルキャラクターである。

なおウォルト・ディズニーは1930年代戦前からこの作品をアニメ化の構想を練っており、長編映画第1作目の候補作品として挙げられていた。

あらすじ

ある日の昼下がり。静かな川辺の野原で、アリスはお姉さんと一緒に歴史の本を読んでいるが、アリスはすっかり退屈していた。その時、アリスはチョッキを着ている白うさぎが大きな懐中時計を持って走り去るのを見て、必死で白うさぎを追いかけた。彼女は白うさぎを追ううちに大きなトンネルまで入ったが、その先にあった大きな穴に落ちた。一番下まで落ちると、白うさぎが走っているのを見つけて、アリスは追いかけ、奇妙な空間の部屋にたどり着いた。そこには小さいドアがあったので、開けようとしたが、取っ手がしゃべって「大きすぎて入れないから無理」と言われた。アリスがどうしようかと悩んでいたところ、不意にガラスのテーブルが出てきた。テーブルの上には、瓶があって、そこには一切れの紙に「私を飲んで」と書いてあった。アリスがそれを飲むと、身長が約3cmに縮んだ。そこでアリスはドアを開けようとしたが、肝心な鍵をテーブル上に忘れていたのでまた入れなかった。アリスがまた悩んだところ、今度はクッキーがたくさん入った箱が不意に出てきた。そのクッキーには「私を食べて」と書いてあり、アリスがそれを食べると部屋につっかえる程大きくなった。アリスは泣き出して、部屋はとうとう水浸しになり、彼女はさっきの瓶の中身の残りを飲んだ。そして、瓶の中に入り込み、しゃべった取っ手の鍵穴を通り抜け……。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


流れ着いた海岸では、ドードー鳥達がコーカス・レースをしていた。アリスはそれに加わったが、白うさぎを見てまた追いかけた。追いかける途中で、アリスはトゥイードル・ディーとトゥイードル・ダムに出会う。2人はアリスに「セイウチと大工さんの話」を聞かせてくれた。その後、アリスは白うさぎの家にたどり着いた。そこでアリスは「手袋を取って」と白うさぎに言われたので家の中に入った。手袋を見つけたアリスが、2階にあったクッキーを食べてしまうと、彼女は家につっかえてしまう程大きくなったが、畑にあったにんじんを食べて、また約3cmに縮んだ。

アリスは、白うさぎを追いかける途中でしゃべるお花達に出会う。しかし、お花達をアリスは雑草だと誤解し、アリスはお花達に追い出された。彼女は、芋虫に出会い、大きくなるアドバイスを聞いた。大きくなりすぎたりしたものの、アリスはアドバイス通りにマッシュルームを交互に食べながら、無事元の大きさに戻った。その後アリスはチェシャ猫に出会い、そして、マッドハッター(いかれ帽子屋)と三月うさぎ、眠りねずみのところに行った。そこでは“誕生日じゃない日(なんでもない日)”をお祝いするというおかしなパーティーをしていた。アリスはそのパーティーに加わった後、またもや白うさぎを追いかけるも、途中で道に迷ってしまい、とうとう白うさぎを追いかけるのを諦めた。突然また、チェシャ猫に出会い、アリスは家に帰りたいと訴えた。すると、チェシャ猫はハートの女王に会うといいと言って、アリスをトランプの国に誘い込み……。

庭の生け垣の迷路で、アリスは白いバラに赤いペンキを塗っている3人のトランプ兵たちに会う。そして、アリスはハートの女王に出会い、クローケーゲームに招待された。フラミンゴをクローケー代わりに、そして、針鼠をボール代わりに使うというおかしなゲームだった。しかし、不意に出くわしたチェシャ猫のせいで、ハートの女王といざござを起こしてしまい、アリスは裁判にかけられる。アリスはおかしな裁判のやりとりに苛々し、さっきのマッシュルームを食べて大きくなり、ハートの女王に向かって「デブで、わがままで、底意地の悪い暴君」と主張し、また追い回される。しかし自分を呼ぶ姉の声で目が覚めたアリスは、イモ虫が教えてくれた詩を暗唱したことで姉に「あなたは夢を見たのね。」といわれ、お茶の時間に誘われるのだった。

キャスト

キャラクター 原語版 ソフト版 TBS
アリス キャサリン・ボーモント 土井美加 キャロライン洋子
マッドハッター
(いかれ帽子屋)
エド・ウィン 西本裕行 熊倉一雄
イモムシ
毛虫
リチャード・ヘイデン 小山武宏(幼虫)
吉田幸紘(蝶)
滝口順平
チェシャ猫 スターリング・ホロウェイ 関時男 大塚周夫
三月うさぎ ジェリー・コロンナ 逢坂秀実 山崎唯
ハートの女王 ヴェルナ・フェルトン 小沢寿美恵 ペギー葉山
大工さん
(大工)
パット・オマリー 吉田幸紘 たてかべ和也
年老いたカキ ?
トゥイードル・ディー 滝口順平
トゥイードル・ダム 野村隆一
セイウチ ?
白うさぎ ビル・トンプソン 牛山茂 鈴木ヤスシ
ドードー 吉水慶
宝亀克寿[1]
富田耕生
アリスの姉 ヘザー・エンジェル 塚田恵美子 ?
ドアノブ ジョゼフ・ケーンズ 小山武宏 八奈見乗児
ビル ラリー・グレイ 吉田幸紘 たてかべ和也
クイーニー・レナード 後藤真寿美 ?
ハートの王 ディンク・トラウト 吉水慶 大竹宏
バラ ドリス・ロイド 下川久美子 ?
ドーマウス
(ヤマネ)
ジム・マクドナルド 熊倉一雄 大竹宏
トランプ兵 ザ・メローメン 牛山茂 たてかべ和也

かっこ内のキャラクター名は旧吹き替え版(後述)での呼称である。TBS版では歌はボニー・ジャックスとミンツが担当した。

吹き替え版の差異

1984年から1987年に発売されたソフト(以下、Aとする)、1990年から2005年に発売されたソフト(以下、Bとする)、そして2005年以降に発売されているBlu-ray Discを含めたソフト(以下、Cとする)では、音声の一部が差し替えられ内容が異なっている。声優に関してはドードーの吉水慶宝亀克寿に変更されている以外に変更はない。

A→Bでの変更
歌の歌詞の変更とそれに伴った歌の新録。
B→Cでの変更
アリス、白うさぎ、チェシャ猫、マッドハッター、三月うさぎ、ハートの女王、ドードー、トゥイードル・ディーとトゥイードル・ダム、アリスの姉の台詞の変更。いかれ帽子屋(マッドハッター)、ヤマネ(ドーマウス)、毛虫(芋虫)、大工(大工さん)の呼称の変更(括弧内は変更後の呼称)。「いかれている」「殺す・殺される」「燃やす」「デブ」といった差別的・罵倒的な表現を変更。

登場キャラクター

アリス
本作のヒロイン。夢の中で大冒険をする。
白うさぎ
アリスを不思議の国へと導くうさぎ。しゃべれる。いつも急いでいる。チョッキを着て、懐中時計を持っている。穴に入る前と後では、服装が違う。
芋虫
水たばこをふかし、煙を吐きながら不思議な歌をうたっているイモムシ。毛虫と呼ばれても、本人は気にしていない。アリスにキノコの秘密を教える。
ハートの女王
大柄でわがままで怒りっぽい。「首をはねよ!」が口癖。パンツの柄もハート。
ハートの王
ハートの女王よりも立場はだいぶ下。女王とは逆に小柄で気弱なため、ハートの女王には逆らわない。
チェシャ猫
紫とピンクの縞模様で、消えたり現れたりする、神出鬼没のネコ。アリスに不思議の国では誰もがいかれていることを話す。
トゥイードル・ディーとトゥイードル・ダム
二人の違いは襟の刺しゅう。アリスに無理やりセイウチとカキの話をする。
マッドハッター(いかれ帽子屋)と三月うさぎと眠りねずみ
マッドハッターと三月うさぎの二人で「お誕生日じゃない日(吹き替え:なんでもない日)の歌」を歌いながらお茶会をしている。この二人が白うさぎの大切な懐中時計を壊してしまう。たくさん並んでいるポットの中の一つに眠りねずみが入っており、「ねこ」という言葉を聞くと驚いて錯乱するが、ジャムを鼻に塗られるとおとなしくなる。
お花たち
アリスたちに「きらめく昼下がり」を唄うが、どこから来た生き物なのかの質問に対するアリスの答えに対し、雑草だと誤解して追放する。

スタッフ

挿入歌

  • ふしぎの国のアリス (Alice In Wonderland) メインテーマ
  • 私だけの世界 (In A World Of My Own)
  • はじめまして こんにちは (How D'ye Do And Shake Hands)
  • ゴールデン・アフタヌーン (All In The Golden Afternoon)
  • お誕生日じゃない日の歌 (The Unbirthday Song)
  • ベリー・グッド・アドヴァイス (Very Good Advice)
  • 時間に遅れた

未発表曲

本作にはリプライズを除き、17曲の挿入歌が使用されている。映画の製作当時、これらの17曲以外にも複数の曲が制作されていたが、結局、不採用にされて、長らく日の目を見ることはなかった。

1999年アメリカ合衆国で発売されたDVD版に特典映像として、ボツになった曲の1つ「I'm Odd」(チェシャ猫のテーマソング)が収録された。

当時、オリジナル版の映画(1951年)でチェシャ猫の声を演じたスターリング・ホロウェイは1992年で亡くなっており(1989年にすでに引退していた)、代役としてジム・カミングスがチェシャ猫の歌声を担当した。

カミングスは他にも、ホロウェイの持ち役(『くまのプーさん』(プー)、『ジャングル・ブック』(カー))を受け継いでいる。

日本では2005年発売の「ふしぎの国のアリス スペシャル・エディション」に収録されている。

脚注

  1. ^ 新吹き替え版における追加部分のみ。そのため、新吹き替え版では吉水の声と宝亀の声が混在している。

関連項目

外部リンク

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