ハンプティ・ダンプティ

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ハンプティ・ダンプティ
Roud #13026
HumptyDumpty.jpg
塀の上のハンプティ・ダンプティ。『The Book of Knowledge』(1911年)より
著作 不明
発表 1803年
発祥 イギリス
言語 英語
ジャンル 童謡

ハンプティ・ダンプティ: Humpty Dumpty)は、擬人化されたとして描写される、マザーグースの童謡に登場するキャラクターである。ほぼすべての英語圏の子供は、以下の詩に親しんでいる。

Humpty Dumpty sat on a wall.
Humpty Dumpty had a great fall.
All the king's horses and all the king's men
couldn't put Humpty together again.

ハンプティ・ダンプティが 塀の上
ハンプティ・ダンプティが おっこちた
王様の馬みんなと 王様の家来みんなでも
ハンプティを元に 戻せなかった

実際には、詩の中でハンプティ・ダンプティが卵であると明言されているわけではない。1810年に印刷されたこの詩の初版によれば、この詩はなぞなぞであり、「ハンプティ・ダンプティ」を背の低い不器用者とする18世紀の俗語としての用法は、誤用であるとしている[1]。現在では「卵」という解答が非常に知られているために、もはやこの詩がなぞなぞとして扱われることはない。民俗学者により、フランス語の「ブール・ブール」(Boule Boule)やスウェーデン語の「チル・リル」(Thille Lille)などの多言語における似たようななぞなぞが記録されているが、これらは英語の「ハンプティ・ダンプティ」ほど広く知られてはいない。

目次

[編集] 詩への言及

『鏡の国のアリス』の挿絵より、ジョン・テニエル筆によるハンプティ・ダンプティ
ハンプティ・ダンプティ
ハンプティ・ダンプティ
ハンプティ・ダンプティ

ハンプティ・ダンプティは、ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』にも登場し、アリスと意味論についての議論を交わす。

「わたしは言葉を使うときに」ハンプティは、いささか威張りくさった口調で言いました。「自分がえらんだ意味だけで使うのだ――それ以上でも以下でもなく」

またハンプティは同じく『鏡の国のアリス』で、ジャバウォックの詩にある難解な単語に対して彼流の解釈を行う。

ライマン・フランク・ボームの『Mother Goose in Prose』では、このなぞなぞはハンプティの死と、彼を救おうとする家来たちの試みを目撃した、王様の娘によって考え出される。

[編集] 原型

ハンプティ・ダンプティの原型については諸説ある。

  • イギリスのイースト・アングリア観光局発行のパンフレットによれば、ハンプティ・ダンプティは清教徒革命時の強力な大砲であった。この大砲は1648年夏の包囲戦でコルチェスターを防衛するために、セント・メアリーズ・アト・ザ・ウォール教会の頂部に設置された。コルチェスターは議会派の拠点であったが、国王派の手に落ち、11週間に渡って占拠された。教会塔は敵軍に破壊され、吹き飛ばされた頂部から「ハンプティ」は地面に転がり落ちた。当然ながら、王様の家来(「家来」とは歩兵であり、「馬」とは騎兵のことと思われる)は、彼(ハンプティ)を修繕しようと試みたが、その試みは徒労に終わった。コルチェスターを訪れる者は、"Balkerne Hill"の頂上へと続く道の左手に、再建された教会塔を見ることができる。
  • 別の説によれば、ハンプティ・ダンプティは「せむしの君主」とあだ名されたイギリス国王リチャード3世と彼の愛馬ウォールに由来する。ボズワースの戦いにおいて、リチャード3世はウォールから転がり落ちて微塵(みじん)に刻まれたと伝えられている(しかしながら、シェイクスピアの戯曲はリチャード3世をせむし=脊椎後弯(せきついこうわん)に描いているものの、他の史料は彼が脊椎後弯でなかったことを示唆している)。
  • ハンプティ・ダンプティは、掘割を渡ったり城壁を乗り越えるのに使われた、テステュードと呼ばれる古代ローマの攻城兵器に由来するとも言われる。同説によれば、ハンプティ・ダンプティは、この兵器の亀甲状の外見と車輪の騒音に由来する。

[編集] 認知科学への応用

この童謡の類音フランス語から構成された表音上の変化形は、ヒューマン・コミュニケーションでの複雑性の例証として、ソフトウェア開発における、システム解析ナレッジマネジメント、リクワイアメントマネジメントの分野でも活用されている。この例証は2か国語間あるいは近2か国語間の環境において、暗黙知の口頭言語の世界から、明示知の記述言語の世界への交雑に関わる問題点を示すのに有用である。

フランス語における変化形の1つを以下に示す。

Homme petit d'homme petit, s'attend, n'avale
Homme petit d'homme petit, à degrés de bègues folles
Anal deux qui noeuds ours, anal deux qui noeuds s'y mènent
Coup d'un poux tome petit tout guetteur à gaine

上のフランス文が、フランス語を適切に発音するに足る充分な知識を持ってはいるが、これが童謡であると知らされていない朗誦者により、これが童謡であると知らされている聴衆に対して、ゆっくりと読み上げられた場合、朗誦者をいささか当惑させつつも、聴衆は直ちにこれがハンプティ・ダンプティの童謡であると認識するであろう。

充分なフランス語の知識とある程度の英語の知識を持ってはいるが、ハンプティ・ダンプティの童謡を知らない人間による上の文の直訳は、以下の通りである。

Little man of little man, waits for himself, does not swallow 
Little man of little man, by degrees of stuttering madwomen 
Anal two that knots bears, anal two that leads 
Strike from a louse small volume any watchman with a girdle 

(リトルマン・オブ・リトルマンは、自分を待って吸い込まない
リトルマン・オブ・リトルマンは、次第に口ごもる狂った女
クマを結んだ肛門の2と、導く肛門の2が
ガードルを巻いたどんな歩哨(ほしょう)も、僅かの量のシラミから打ち付ける)

[編集] 比喩的な用法

この童謡から発展して、“Humpty Dumpty”はアメリカの俗語で「落選確実の泡沫立候補者」の意味に用いられることもある。(対義語として「当選確実の立候補者」には“Mickey Mouse”ミッキーマウスが用いられる。)

[編集] 引用作品

上記『鏡の国のアリス』以外にも引用されている作品は数多く、以下に代表的な例を発表順に挙げる。

  • ヒュー・ロフティング著『ドリトル先生のサーカス』(1924年)の中で、ブロッサム・サーカスの団長が初対面のドリトル先生を見るなり、先生のずんぐりむっくりな体格をハンプティ・ダンプティに例える場面がある。
  • ヴァン・ダイン著『僧正殺人事件』(1929年)の中で、登場人物の1人がハンプティ・ダンプティの唄になぞらえられて塀の上から突き落とされて殺されている。
  • エラリー・クイーン著『フランス白粉の謎』(1930年)の中で、3「せむしのふさぎや 高いとこから落っこちた」、4「王さまの馬もそっくり」、5「王さまの家来もそっくり」、と各章題に用いられている。
  • エラリー・クイーン著『靴に棲む老婆』(1943年)の中で、太った登場人物がハンプティ・ダンプティの唄になぞらえられて殺されるのではないかと、木に登ろうとしているところを探偵エラリー・クイーンが阻止しようとしている。
  • 萩尾望都著『ポーの一族』(1972-1976年)にマザー・グースが多数引用されており、そのうちの1篇『メリーベルと銀のばら』(1973年)の中で、元に戻らないものの例えの1つとしてハンプティ・ダンプティが挙げられている。

[編集] 脚注

  1. ^ 卵と違い、不器用者は塀から転落しても回復不能な損害を負ったりはしない。


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