日本とアフガニスタンの関係

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日本とアフガニスタンの関係
アフガニスタンと日本の位置を示した地図

アフガニスタン

日本

日本アフガニスタン1930年11月19日に国交を樹立し、1931年7月26日に修好条約を締結した[1]。日本は1934年11月に在カーブル日本国公使館を開設し、1955年には日本国大使館へと昇格した。1971年皇太子明仁親王皇太子妃美智子(当時)がアフガニスタンを初訪問した[1]1979年に起きたソビエト連邦軍によるアフガニスタン侵攻の後、アフガニスタンの累次政権をアフガニスタンの正式な政府と認めず、臨時大使のみ置く状況となり、さらに1989年2月にはカーブルの大使館を閉鎖した[1]。在日本国アフガニスタン大使館は1933年に公使館として設立され、1956年には大使館に昇格しているが、1997年のターリバーンによるカーブル制圧以降、事実上閉鎖状態となった。2001年12月22日、日本はアフガニスタンの暫定政権をアフガニスタンの正式な政府と認定[1]2002年、日本はカーブルの大使館業務を再開、アフガニスタンもまた東京の駐日アフガニスタン大使館の業務を再開した。以降、日本は様々な形でアフガニスタンに援助を行っている。

支援活動[編集]

日本は1990年までに69.1億円(有償含む)の資金協力及び23億円の技術協力を行っていたが、1997年5月10日にアフガニスタンとの国境に近いイランホラーサーン付近でM7.3の地震が発生し死者2,000人の被害が出ると日本は7500億円の無償資金提供を行った[1]。また、ターリバーンがカーブルを制圧した1996年以降には隣国のイランやパキスタンに逃れたアフガニスタン難民を帰還させるため国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの国際機関に対して資金を提供し、難民の自発的な帰還を支援する[2]アズラ計画を開始、拡大アズラ計画も含め561万USドルを拠出、5~6万人の難民の帰還支援に成功した[3]。この事業は2002年以降もUNHCRやWFPと連携し拡大・継続して行われており、2012年までに500万人以上のアフガニスタン難民が帰還している[4]

アメリカ同時多発テロ事件に引き続いてアフガニスタン紛争が起こった2001年以降、日本はアフガニスタンに対し継続的に支援活動を行ってきた。2012年までに約49.35億USドルの支援を行っており、2012年7月8日東京で55の国と25の国際機関が出席して行われた国際会議では、2012年以降の5カ年において教育医療、農村開発などのインフラ整備及び警察などの治安維持能力向上の分野に関して約30億USドルの支援を行うことを決定している[5]

治安維持能力強化の分野に関しては警察官の識字教育・訓練によりアフガニスタン国内の警察官の人数は2008年時点の7.2万人から2012年時点で15.7万人まで2倍以上に増加しており、治安維持能力強化支援はアメリカ合衆国政府とアフガニスタン政府から高く評価されている[5]。さらに、地雷除去機や資金を提供することで地雷除去を行っている[6]他、麻薬密売によりテロ組織の温床となる事態を回避する[7]ため、パキスタンイランタジキスタンなどの周辺国との国境の管理や麻薬対策に関する支援を行っている[8]。また旧軍閥などへの武装解除・動員解除・社会復帰においては主導的な役割を果たし、6万人の武装解除を達成している[9]

インフラ整備の分野では国際連合食糧農業機関(FAO)を通じ、コメコムギの収穫量増加のため灌漑用水路や農村道路の整備や人材育成などのインフラ整備を行っている。また、アジア開発銀行を通じ、国内の幹線道路700kmの開発、カーブル国際空港のターミナル建設事業やカーブル市バスの提供、地方道路の整備事業なども行っている。

教育・福祉の分野では、国際連合児童基金(UNICEF)との連携により1000以上の学校の修復・建設を行った[10]ほか、JICAによる1万人以上の教師育成、15の職業訓練校建設により、アフガニスタン国内の就学児童数は2001年の100万人未満から2011年には800万人以上にまで増加した[5]。また、日本の中古のランドセルがアフガニスタンへと無償供与され、アフガニスタンの子供たちの間で使用されている[11]。人材育成の分野では、アフガニスタンの行政官大学教員などの人材を育成するため、2011年よりJICAと連携してアフガニスタン留学生の日本の大学院への就学支援を行う「未来への架け橋・中核人材育成プロジェクト(PEACE)」を行っている[12]。2001年以前も行っていた人道支援は継続して行われており、赤十字国際委員会(ICRC)との連携による医療支援、国際連合食糧農業機関(WFP)との連携による食糧支援や航空サービスなどが行われている。

また、日本以外の国との連携による支援活動も行っており、北大西洋条約機構(NATO)地方復興チームとの連携により、教育・医療・インフラ整備など様々な分野の支援活動を行っている[13][14][15][16][17]

アフガニスタンから日本への支援としては、2011年3月に起きた東日本大震災の際には、アフガニスタン政府から100万USドルの支援表明があった[18]ほか、バーミヤーンチャグチャラーンでは日本との連帯を示す住民集会が行われ、国際連合人間居住計画(UNHABITAT)には日本へののお見舞いを伝えてほしい旨の要望が数多く届いた[5]

貿易[編集]

対アフガニスタンの貿易輸出入額は2012年時点で以下のようになっている[1]

  • 対アフガニスタン輸出額: 79億6146万5千円 (2012年)
  • 対アフガニスタン輸入額: 2793万8千円 (2012年)

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f アフガニスタン基礎データ - 二国間関係”. 外務省公式サイト. 2014年1月5日閲覧。
  2. ^ GRIPS Development Forum Policy Minutes”. 政策研究大学院大学公式サイト (2002年12月). 2014年1月5日閲覧。
  3. ^ アフガニスタン ─ タリバーンを巡る情勢 ─”. 難民事業本部公式サイト. 2014年1月5日閲覧。
  4. ^ アフガニスタン 日本からの支援で帰還民の村に「光」が”. 国際連合食糧農業機関公式サイト (2012年6月20日). 2014年1月5日閲覧。
  5. ^ a b c d 日本のアフガニスタンへの支援 - 自立したアフガニスタンに向けて-”. 外務省公式サイト (2013年11月). 2014年1月5日閲覧。
  6. ^ Japan Donates 1 Million USD for Demining Operations in Afghanistan”. Tolo news (2013年7月4日). 2014年1月5日閲覧。
  7. ^ 宮家邦彦 (2012年7月6日). “視点・論点 「アフガン支援と日本外交」”. NHK公式サイト. 2014年1月5日閲覧。
  8. ^ 「犯罪に強い社会の実現のための行動計画 2008」(平成 20 年 12 月 22 日決定)における主要な取組について - 第6 テロの脅威等への対処”. 首相官邸ホームページ (2012年7月20日). 2014年1月5日閲覧。
  9. ^ 外務省: アフガニスタンにおける元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)計画における武装解除完了について”. 外務省公式サイト (2005年7月7日). 2014年1月5日閲覧。
  10. ^ アフガニスタン: 日本の援助で「1000の教室」が完成”. UNICEF公式サイト (2013年5月13日). 2014年1月5日閲覧。
  11. ^ Used Japanese backpacks find new home in the hands of Afghan children”. The Japan Daily Press (2013年6月7日). 2014年1月5日閲覧。
  12. ^ アフガニスタンと日本をつなぐ未来の架け橋へ -国際大学でアフガニスタン留学生が初めて卒業-”. JICA公式サイト (2013年7月1日). 2014年1月5日閲覧。
  13. ^ VICTORIA TUKE (2013年4月10日). “Japan’s Crucial Role in Afghanistan”. eastwestcenter.org. 2014年1月5日閲覧。
  14. ^ Japan: a valued partner in Afghanistan”. 北大西洋条約機構公式サイト (2011年4月28日). 2014年1月5日閲覧。
  15. ^ NATO cooperation with Japan”. 北大西洋条約機構公式サイト (2013年4月13日). 2014年1月5日閲覧。
  16. ^ 佐渡紀子 (2008年). “アフガニスタンにおける平和構築と日本”. 日本国際問題研究所. 2014年1月5日閲覧。
  17. ^ NATO, Japan sign joint declaration on closer bilateral ties”. The Japan Daily Press (2013年4月16日). 2014年1月5日閲覧。
  18. ^ アフガニスタン政府からの義捐金の寄付”. 外務省公式サイト (2011年3月29日). 2014年1月5日閲覧。

外部リンク[編集]