痴漢

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大阪府の吊り広告
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大阪府吹田市
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大阪府吹田市
大阪府吹田市
東三日市駅(チカンちゃだめやちゃー)
東三日市駅(チカンちゃだめやちゃー)
千葉西警察署管内
女性専用車
JR埼京線の列車内の防犯カメラ
JR埼京線の列車内の防犯カメラ

痴漢(ちかん)とは、公共の場所で、相手の意に反して性的行為を行う者、もしくは行為そのものを指す。強制わいせつ罪、もしくは迷惑防止条例違反で罰せられる。

概要[編集]

痴漢は、電車内や、人気のない暗い夜道など第三者の目がない環境で行なわれる。主に地方公共団体ごとの迷惑防止条例と刑法第176条(強制わいせつ罪)が適用される。

実務上は迷惑防止条例の「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為として、公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること」に対する刑事罰が適応される場合が多い。なお、迷惑防止条例は施行当初は痴漢等の保護対象が女性のみに限定されていたが、男性も被害にあうことが考えられることから、1999年鹿児島県が性別を限定しない迷惑防止条例を施行すると、2001年東京都が「女性」にあたる部分を「人」に改正・施行したのを皮切りに、順次各都道府県で改正迷惑防止条例が施行され、2014年4月1日岡山県が改正迷惑防止条例を施行したことで、全都道府県の迷惑防止条例が保護対象となる性別を限定しなくなった[1]

その他にも行為の種類や程度によって、軽犯罪法第1条第5号(公共の場所や公共交通機関で著しく粗野な言動により公衆に迷惑をかける行為)、わいせつ物頒布罪、公然わいせつ罪暴行罪、鉄道事業者への威力業務妨害などにより処罰される。

2008年警視庁による統計では、迷惑防止条例による卑わい行為にあたる件数だけで2000を超えている [2]。また、2004年公明党の調査では、20代から30代までの女性の6割位が痴漢被害を受けているとのアンケートの結果が出ている[要出典]。2016年の埼玉県の簡易調査でも、回答者の67パーセントが痴漢被害経験があるとしている[3]

2010年の警視庁管内に於ける検挙件数は約2千件で、このうち65.9%(最多)は電車内、11.9%(2番目に多い)は駅構内で検挙されている[4]。また、2013年埼玉県迷惑行為防止条例違反等で検挙された痴漢は197件で、このうち146件(約7割)は電車内や駅構内で発生している。被害者は10代 - 20代の女性が8割を占め、特に電車通学を始めたばかりの高校1年生が標的にされている。犯人は30代 - 40代の会社員男性が多く、「黙っているから同意したと思った」等と言い訳する者もいた[5]

2011年綜合警備保障の調査では、約半数の女性が痴漢に対して何らかの方法で立ち向かっている[4]

近年では痴漢冤罪が問題になることもあり、『それでもボクはやってない』という痴漢冤罪をテーマにした映画は、多数の映画賞を受賞した。

具体的な手口[編集]

平安時代の絵巻物『伴大納言絵詞』の一場面。火事騒ぎの中、女性の背後で男が不審な姿勢をしている

衣服越しに胸や尻、性器等に触れたり、スカートやズボンの中に手を入れて下着、性器等に触れたり、相手に自分の性器を触れさせたりする。公衆の前で性器を露出するなどの行為も痴漢とされる場合がある。一般的に被害者は女性、加害者は男性だが、稀に男性の被害者、女性の加害者や被害・加害共に同性という場合もあり得る。

個人で痴漢行為を行なう者のほかに、組織的に痴漢行為に及ぶ痴漢集団の存在が確認されている[6]。実行犯が痴漢行為を行なっている間、その仲間が周囲から見えないよう壁になったり、被害者に騒がれた場合に第三者を装い、冤罪を主張する虚偽の発言で擁護したり、あるいは逆に現行犯逮捕するふりなどして実行犯を連れ出して逃走させたりする役割を果たす。性行為にまで及んだ場合には、強姦罪が成立する。

また、午後6時から午後7時の間に、この系統の事件は起きやすいと言われる[7]

対策[編集]

  • 埼玉県警察鉄道警察隊は、犯人への警告及び犯行の証拠残しを目的とした「チカン抑止シール」を無料配布している[8]。ネット上では「悪用されたら怖い」「冤罪が増えるのでは」などの声もあるが、県警鉄警隊は「シールの印はあくまでも補強証拠で、捜査は従来通り被害者や目撃者の証言、防犯カメラの映像などを精査して行う」としている[9]大宮駅で配布を始めたところ、女子高生や学校からの問い合わせが相次いだ[10]
  • 実際に被害に遭ったある女子高生は、「私たちは泣き寝入りしません」などと書かれたバッジを作成して身に付けたところ、被害に遭わなくなったという[11]
  • 露出の少ない服を着用する[4]
  • 電車内では
    • ドア付近(犯人にとって犯行後逃げやすい位置)や、階段や改札に近い場所(混雑しやすい)を避ける[4]
    • 女性は女性専用車両を利用する[5]

備考[編集]

  • 飲酒等により正常な判断が出来ない状況において痴漢行為を犯した場合でも、今日の司法では酒に酔っていたことが免責の理由と認められることはない。
  • 同一被害者が同一犯人に連続して狙われるような事案以外、痴漢は現行犯でなければ犯人を特定しづらく、更に、被疑者現行犯逮捕には、周囲に居合わせた目撃者などの協力が必要となる場合もある。但し、被疑者が高速バス等で被害申告者の隣の席に座っていた場合[12]や、遺留品を残して逃げた場合[13]等は、通常逮捕が可能なこともある。
  • 被害申告者の供述のみで有罪となったり、無実を指摘する目撃者がいても被疑者を数日間拘留するなどの事例もある。
  • これまでに恋人男性に教唆された女性による示談金目的の冤罪、携帯電話使用を注意されたことによる逆恨み[14]からの痴漢冤罪事件がニュースとして取り沙汰されたことがある。また、被害者の誤認などにもよって起こる痴漢冤罪が着目され、問題になることもある。
  • 痴漢問題は日本独自ではなく、韓国ブラジルの地下鉄でも発生している。韓国でも女性専用車両導入是非の議論が発生したが、導入された[15]
  • 痴漢と類似の単語に痴女があるがこれは必ずしも対義語ではない。詳細は該当項目を参照。

脚注[編集]

  1. ^ 男性も痴漢から保護対象に この春、全都道府県で改正条例施行 - Spork!、2014年4月5日、2014年4月7日閲覧。
  2. ^ 警視庁の統計(20年)
  3. ^ 第86回簡易アンケート「痴漢犯罪の抑止について」の結果を公表しました。”. 埼玉県 (2016年2月29日). 2017年8月26日閲覧。
  4. ^ a b c d 痴漢から身を守る!”. 綜合警備保障. 2017年8月26日閲覧。
  5. ^ a b “痴漢被害、泣き寝入りしないで 埼玉県警、対策周知へ女性会議初の一般公開”. 産経ニュース (産業経済新聞社). (2015年1月20日). http://www.sankei.com/region/news/150120/rgn1501200042-n1.html 2017年8月26日閲覧。 
  6. ^ 集団痴漢の卑劣な実態 インターネットで仲間を公募”. ZAKZAK. 2009年9月14日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。
  7. ^ 『護身術・護衛術・逮捕術』6頁。
  8. ^ “痴漢やめて「×」シール、相手に印も 埼玉県警が考案”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2015年4月17日7時5分). http://www.asahi.com/articles/ASH3P5FT4H3PUTNB00B.html 2016年1月25日閲覧。 
  9. ^ “「痴漢路線」にブレーキ シール、特殊インク…埼玉県警が対策(2/2)”. 産経ニュース. (2015年8月31日9時47分). http://www.sankei.com/affairs/news/150831/afr1508310007-n2.html 2016年1月25日閲覧。 
  10. ^ “痴漢にインク付けるシール、埼玉県警が配布 注文相次ぐ”. 日本経済新聞. (2015年5月8日11時31分). http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07HC4_Y5A500C1CN0000/ 2016年1月26日閲覧。 
  11. ^ “痴漢防止へ新バッジ”. テレビ東京. (2016年1月26日). オリジナル2016年2月13日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160213091925/www.tv-tokyo.co.jp/mv/newsanswer/news/post_105018 2016年1月26日閲覧。 
  12. ^ “GWの帰省中に災難…女子大生が高速バス内でわいせつ被害 容疑で国立大留学生のベトナム人を逮捕 京都府警”. 産経新聞. (2016年5月5日). http://www.sankei.com/west/news/160505/wst1605050033-n1.html 2017年7月1日閲覧。 
  13. ^ “JR板橋駅 線路を逃走、痴漢の疑いで41歳男を逮捕”. TBSテレビ. (2017年4月26日). オリジナル2017年4月27日時点によるアーカイブ。. http://archive.is/K7j7F 2017年7月1日閲覧。 
  14. ^ 夕刊フジ特捜班 痴漢冤罪の恐怖
  15. ^ (朝鮮語)도시철도 1호선 여성배려칸 본격 운영 - 釜山交通公社の報道資料 2016年9月20日 

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]