大学入学共通テスト

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大学入学共通テスト(だいがくにゅうがくきょうつうテスト)は、独立行政法人大学入試センターによって行われる、大学入試センター試験に代わる日本の大学の共通入学試験として検討されている制度である。

概要[編集]

かつての国公立大学共通第1次学力試験が大学共通第1次学力試験と改められ、大学入試センター試験を経て2020年度(令和2年度)より導入される。 また、2019年7月4日時点で本試験での採点者に大学生のアルバイトを導入することが検討されており[1]、これについてインターネット上では批判的な意見もある。

大学入学共通テストは、2013年(平成25年)10月31日の教育再生実行会議第四次提言(高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について)において提言されたテストであり、高等学校教育の質の確保と向上を目的としている。2014(平成26)年の12月中央教育審議会答申、2016(平成28)年3月の高大接続システム改革会議「最終報告」等を踏まえを経て、実施開始年度は2020年度で、2021年1月中旬に行われる2021年度大学入学者選抜からとなった[2]CBT方式(Computer Based Testing)の導入も検討されている[3]。新科目「情報」を投じることが検討されている[4]

「大学入学希望者学力評価テスト」という名称[5]から改革案が出され、大学入学共通テストという名称で開始されることが決定した。英語については民間の検定試験を活用して4技能を計るとしている[6]2019年(平成31年)1月現在、「大学入学共通テスト(新テスト)」「共通テスト」などと表記されている[7]

目的[編集]

大学入学希望者を対象に、高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力について把握することを目的とする。このため、各教科・科目の特質に応じ、知識・技能を十分有しているかの評価も行いつつ、思考力・判断力・表現力を中心に評価を行うものとする。

—文部科学省高等教育局(大学入学者選抜改革について[8](平成29年7月13日)より)

大学入試センター試験との比較[編集]

大学入試センター試験が全問マークシートによる解答であるのに対し、大学入学共通テストは記述式問題が導入される[注 1][9]。記述式問題が課される科目について、国語は100分間、数学I・数学Aは70分間と、大学入試センター試験よりも試験時間が延長される[10]。また、英語については大学入試センター試験で「読む」「聞く」の2技能が評価されていたのに加え、「話す」「書く」も含めた4技能が評価の対象となる[9]

出題される教科・科目は大学入試センター試験同様6教科30科目であるが、2024年度以降は簡素化が予定されている[9]

日程は大学入試センター試験と同様に、1月13日以降の最初の土曜日及び日曜日[10]

英語[編集]

英語については、文部科学省の英語教育の在り方に関する有識者会議で、楽天会長の三木谷浩史が民間試験の利用を強く主張し[11]、当初文部科学省は、本テストの英語の試験はすべて民間の資格・検定試験を利用する方針であったが、大学や高等学校の要望もあり、大学入試センター試験と同様のマーク式の問題を4年間は継続することを決定した[12]。2017年11月、大学入試センターにおいて、「大学入試英語成績提供システム」運営要項が施行された[13]

民間の試験の利用については、高校3年生の4月から12月の間に、大学入試センターが認定した資格・検定試験を受検し、その成績と、ヨーロッパ言語共通参照枠 (CEFR)に対応した段階別評価が英語の成績として用いられる[9]。ただし、2023年度までは、民間の試験と共通テストのどちらを活用するかは各大学に委ねられている[9]。2018年(平成30年)4月下旬現在、民間検定試験を合否判定に活用するとしている国立大学は82校のうち13校で、検討中としている大学が61校となっている[14]が、国立大学協会は、国立大学一般選抜においてこれを活用するようガイドラインを策定している[15]

民間の試験を利用する場合、まず受検生は試験実施団体に対して、大学入試センターに試験結果を通知することに同意し、試験結果は受検生と大学入試センターに対して通知される[16]。各大学出願時に「資格・検定試験の成績請求票」を大学に提出し、大学はそれを利用して大学入試センターに、大学入学共通テストの成績と併せて民間のテストの結果を請求する[16]

2017年(平成29年)11月から12月にかけて行われた「大学入試英語成績提供システム」への参加を申し込んだのは、実用英語技能検定TOEICTOEFLを含む9試験(7団体)であった[注 2][17]。2018年3月に、そのうちリンガスキルを除く8試験がシステム参加要件を満たしていると発表され、CEFRとの対照表も公表された[18]。しかし、このうち2020年度に全都道府県で受検できるのは3試験のみで、検定料にも幅があり、受検機会の公平性など、依然として課題は残されている[12][19]。大学からも、「4技能を評価する手段としては適切」と評価する声がある一方で「各試験で測る力が異なり公平性担保が困難」と懸念する声も上がっている[14][20]。大学入学共通テストを含む、大学の入学者選抜における英語4技能の評価などについては、IIBC日本英語検定協会などの民間試験実施団体が構成する英語4技能 資格・検定試験懇談会が「英語4技能試験情報サイト」で情報を発信している[21]

2018年12月、民間試験の受験結果を認めない大学は東北大学・名古屋大学・東京大学の3校であった[22]。2019年5月、全国の国立大学82校のうち、少なくとも13校が「中学卒業程度」(国際指標「CEFR」の6段階で最低レベルのA1)を出願資格とすることが判明し、民間試験の活用方針変更の動きも出ていると報じられた[23]。北海道大、東北大、京都工芸繊維大は、公平性に問題があるなどとして活用しないことを決めている[24]

2019年7月には、TOEICが大学入試英語成績提供システムへの参加を取り下げることを発表した[25]。TOEICはTOEIC Listening & ReadingとSpeaking & Writingでそれぞれ「聴く・読む」と「話す・書く」の2技能ずつを測定しており、二つの試験は別々に実施されるため、システムの要請に合致しないと判断したためである[25]

大学入試英語成績提供システムは、2020年4月に運用開始される予定で[26]、現役受験生が高校3年時の4~12月に2回受験することができる[24]

試行調査(プレテスト)[編集]

大学入試センターは、試行調査として、試験の本格的な導入前にプレテストを行っている。

平成29年度[編集]

2017(平成29)年度のプレテストは11月及び2月に実施された。参加する高等学校等が会場となり、試験監督も教員が行ったほか、日程も定められた期間の中から参加校が設定するよう委ねられた[27]。問題、正解、解答用紙等は大学入試センターのホームページで公開されている[28]

平成29年11月実施
11月13日から11月24日の間に実施され、約1900校の高等学校等が参加した[27]。大学入試センターはこのプレテストの趣旨について「改善されたマークシート式問題及び、記述式問題における条件設定や採点基準、採点体制、採点期間等について検証を行うため」としている[27]。また、このプレテストでの正答率等の分析を行い、その結果を踏まえて問題構成等を再検討するとしている[27]
国語および数学I・数学Aでは記述式の問題も出題され、試験時間は国語が100分、数学が70分に設定された[注 3][27]。リスニングを含めた外国語の試験は実施されなかった[27]
記述式を含む国語および数学I・数学Aは原則として高校2年生を対象に、全問マークシート式の地理歴史・公民、理科、数学II・数学Bは原則として高校3年生を対象に行われた[27]
平成30年2月実施
2月13日から3月3日の間に実施され、約160校の高等学校等が参加した[29]
このプレテストは原則高校2年生を対象に実施され、英語の筆記(リーディング)とリスニングが、マークシート式で出題された[29]。試験時間は筆記が80分、リスニングが30分に設定された[30]
また、2月5日から3月3日には、点字教育を受けた者を対象に、記述式問題の解答方法等に関する配慮のあり方について検証するためのプレテストも実施された[31]。出題科目は国語と数学Iの2科目で、視覚特別支援学校のうち15校から約45人が受検した[31]

平成30年度[編集]

2018 (平成30)年度のプレテストは11月10日、11日の2日間にかけて実施された[32]。平成29年度実施のプレテストが参加を希望する高等学校等を会場としていたのに対し、平成30年度「A日程」は原則として大学入試センターの会場となっている全大学を会場とした[32]

高校2年生以上を対象に国語と数学の試験の他、自己採点、アンケートを実施する「A日程」(10日午後のみ)と、原則高校3年生を対象に、大学入試センター試験とほぼ同様の時間割で国語、数学、地理歴史・公民、理科、英語、リスニングの試験を実施する「B日程」(10日、11日)を、全国の受検予定者数は約8万4,000人だった。国語、数学Iで記述式問題の出題(それぞれ小問3題。国語は30字以内、40字以内、80字〜120字をそれぞれ1題。数学Iは数式を記述する問題、または問題解決のための方略等を端的な短い文で記述する問題。)[33]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 2020年度から数学と国語、2024年度から地理歴史・公民と理科で導入予定。
  2. ^ IELTSは2つの団体が重複して申し込んでいる。
  3. ^ 大学入試センター試験では国語が80分、数学が60分。

出典[編集]

  1. ^ 「共通テスト」採点にバイト学生 認める方針 疑問視の声も”. www3.nhk.or.jp. 2019年8月3日閲覧。
  2. ^ 高大接続改革の実施方針等の策定について”. 文部科学省 (2017年7月13日). 2018年2月6日閲覧。
  3. ^ PCでテスト! 新大学入試の回答方式はどうなる? 2016年1月Z会・ミライ研究室・新大学入試の基本。2018年2月11日閲覧
  4. ^ 大学入学共通テストで「情報」出題を検討 文科省”. www.asahi.com. 2019年1月19日閲覧。
  5. ^ 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」検討・準備グループ”. www.mext.go.jp. 2019年1月20日閲覧。
  6. ^ 大学入学共通テスト 英語の民間試験、実施要件を発表”. 毎日新聞 (2017年11月8日). 2017年12月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月6日閲覧。
  7. ^ 大学入学共通テスト、どう捉える”. www.asahi.com. 2019年1月19日閲覧。
  8. ^ 大学入学共通テスト実施方針 (PDF)”. 文部科学省高等教育局 (2017年7月13日). 2018年2月6日閲覧。
  9. ^ a b c d e こう変わる!大学入試 ~2020年度からセンター試験に代わる試験を実施~”. Kei-Net(河合塾). 2018年2月6日閲覧。
  10. ^ a b “国語と数学の試験時間を延長 大学入学共通テスト大綱案”. 毎日新聞. (2019年5月29日). https://mainichi.jp/articles/20190529/k00/00m/040/258000c 2019年5月30日閲覧。 
  11. ^ 「大学入試これでいいのか!日本の英語 2020年度・大学入試改革の“真実」毎日新聞2018/06/11
  12. ^ a b 「迷走する大学入学共通テスト」(時論公論)”. NHK (2018年5月4日). 2018年5月8日閲覧。
  13. ^ 「大学入試英語成績提供システム」運営要項 大学入試センター(2017年11月11日)
  14. ^ a b 13国立大が合否に活用明言 共通テスト英語民間検定”. 佐賀新聞 (2018年4月30日). 2018年5月8日閲覧。
  15. ^ 「大学入学共通テストの枠組みにおける英語認定試験及び記述式問題の活用に関するガイドライン」の公表について”. 一般社団法人国立大学協会. 2018年5月8日閲覧。
  16. ^ a b 「大学入試英語成績提供システム」の活用イメージ(検討中)(参考資料2) (pdf)”. 大学入試センター. 2018年2月6日閲覧。
  17. ^ 大学入試英語成績提供システムへの参加の申込のあった資格・検定試験一覧(別紙) (pdf)”. 大学入試センター. 2018年2月6日閲覧。
  18. ^ 「大学入試英語成績提供システム」の参加要件確認結果について”. 大学入試センター (2018年3月26日). 2018年5月8日閲覧。
  19. ^ 新共通テスト: 民間英語試験、8種類対象 公平性など課題”. 毎日新聞 (2018年3月26日). 2018年5月8日閲覧。
  20. ^ 民間の英語試験、13国立大が「活用」 共通テスト 公平性に懸念の声”. 東京新聞 (2018年4月30日). 2018年5月8日閲覧。
  21. ^ 英語4技能試験情報サイト”. 英語4技能 資格・検定試験懇談会. 2019年7月3日閲覧。
  22. ^ 東北大、英語の民間試験を使わず 「公平公正損ねる」”. www.asahi.com (2018年12月5日). 2018年12月6日閲覧。
  23. ^ 国立大13校、英語「中卒程度」で出願可 民間試験活用に疑問”. 毎日新聞 (2019年5月8日). 2019年5月8日閲覧。
  24. ^ a b TOEIC 大学入学共通テスト撤退へ 運営複雑理由に 受験生に影響”. 毎日新聞 (2019年7月2日). 2019年7月2日閲覧。
  25. ^ a b 「大学入試英語成績提供システム」へのTOEIC Tests参加申込取り下げのお知らせ”. 国際ビジネスコミュニケーション協会 (2019年7月2日). 2019年7月2日閲覧。
  26. ^ 「大学入試英語成績提供システム」の概要 大学入試センター(2018年12月28日)
  27. ^ a b c d e f g 「平成29年11月に実施する大学入学共通テスト導入に向けた試行調査(プレテスト)の趣旨について」 (pdf)”. 大学入試センター. 2018年2月6日閲覧。
  28. ^ 平成29年度試行調査_問題、正解表、解答用紙等”. 大学入試センター. 2018年2月6日閲覧。
  29. ^ a b 平成30年2月に実施する大学入学共通テスト導入に向けた試行調査(プレテスト)(外国語科「英語」)の趣旨について (pdf)”. 大学入試センター. 2018年2月6日閲覧。
  30. ^ 外国語科「英語」に関する実施概要 (pdf)”. 大学入試センター. 2018年2月6日閲覧。
  31. ^ a b 受検上の配慮(点字問題)の概要 (pdf)”. 大学入試センター. 2018年2月6日閲覧。
  32. ^ a b 資料1「大学入学共通テストの導入に向けた試行調査(プレテスト)について」 (pdf)”. 大学入試センター. 2018年2月6日閲覧。
  33. ^ 高大接続改革シンポジウム 平成30年度(2018年度)試行調査(プレテスト) 河合塾

関連項目[編集]

外部リンク[編集]