上下関係

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上下関係(じょうげかんけい)とは、社会的な力が上のものと下のものとの関係である[1]

縦社会[編集]

日本の社会では、組織内における地位の上下が社会における主要な関係になっているとして、このような社会を縦社会ということがある。中根千枝が著書「タテ社会の人間関係―単一社会の理論」(講談社現代新書刊)で論じて有名になった。

上下関係の弊害[編集]

上司や上官に対する部下や下僚からの異論を許さず、下を萎縮させるような峻厳な上下関係は、軍隊や仕事やスポーツにおけるチーム内の意思疎通を妨げることもある。結果として「上は絶対に無謬だ」「上の誤った判断が誰にも修正されない」「下の者が気づいた異変や状況変化が上に伝わらない」といったことから、チーム全体の潰滅(敗北など)を導きやすい。

  • 外科医が手術部位ではない側の手足や目を切除するのを、看護師が誤りと知りながら諌言せず傍観する。
  • 国内の景気・消費活動が冷え込んでいる状態であるにも関わらず、バブル景気時代のような異常な好景気の状態下でしか通用しないような経営方針や商品開発や企画などを上層部が採用し、それらに対して現場や部下の人間が提言を行ったり、異を唱えることができないまま、そのままそれらがその組織全体の方針となる。
  • 船舶の操船において、「船長が座礁させるか、他の船と衝突するまで甲板士官らは目を丸くしたまま沈黙を守る」ことは異常とは言えない[2]

航空業界に上意下達の弊害を思い知らせたのは、1977年に起こったジャンボ機同士の衝突事故、テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故であった。この事故は双方の飛行機および管制官の間にさまざまな思い込みがあったことが原因となっているが、特に一方の当事者となったKLM機内では、クルーの内の航空機関士がパンナム機との衝突の可能性に気づいていたにもかかわらず、上司である機長がその可能性を否定したために再度機長に口を挟むことに萎縮してしまい、結果両機が正面衝突する悲劇につながった。

この事故以後、航空業界では上意下達より、乗員相互の合意による意思決定、操縦室内の「権威勾配」の適切さ[3]が強調されるようになった。これは航空業界でCRM(crew/cockpit resource management、人的資源の管理)として知られているもので、現在ではすべての航空会社の基礎的な安全管理方式や訓練体系となっており、医療など判断ミスが破滅的な結果につながる業界へも導入されている。

脚注[編集]

  1. ^ 広辞苑、第六版「上下関係」
  2. ^ 『機長の真実』 デヴィッド・ビーティー 講談社 2002年 228頁
  3. ^ 機長の権威が低すぎる(勾配が緩すぎる)と、決定を行い命令を下すという機長の権限を行使することができないが、機長の権威が高すぎる(勾配が急すぎる)と副機長らが萎縮して機長の判断ミスを訂正できなくなってしまう。

関連項目[編集]