呼び捨て

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呼び捨て(よびすて)とは、年上の人が他人の名前人名)を呼称する際に、敬称をつけず名前のみをもちいて呼称することである。

概説[編集]

日本では古くから礼儀作法を重んじる文化背景があるため、目上の人物を呼び捨てする行為は特に年配者ほど悪い意味にとらえがちである。但し、親しい人物や、目上の者から目下の者に対する呼び捨てはごく一般的である。いっぽう欧米では特に理由がなければファーストネームや愛称で呼び合うのが当たり前[注釈 1]。 日本では単に呼び捨てにすることが軽蔑の目的になるという特徴もある。自分にとって好ましくない人に対して使い、目上や年上の人に対してのみならず、その意思をしめすことができる。

なお歴史上では、戦国時代など、官職名ではなくあえて実名で呼び、さらに敬称をつけずに呼び捨てにするのが、最上級の敬意を表す事例がある[1]

報道における呼び捨て[編集]

事件報道やノンフィクション作品では、犯罪者や被疑者被告人の氏名が呼び捨てにされることがある。ただし1990年代以降、基本的に人権擁護の観点から被疑者や被告人が呼び捨てにされることはない。一部のタブロイド系メディアでは呼び捨てを行うケースがある。

スポーツ界においては、新聞のスポーツ記事やテレビラジオのスポーツニュースでは文章の簡潔さを求めるため、選手に対しては監督やコーチ、親方などを除いてほとんど呼び捨てである(NHKや民放の一部番組では「選手」と敬称がつけられることが多い。なお、相撲の場合「〇〇関」と敬称付きで報じることは「選手」よりも比較的少ない。)。また審判行司さえ呼び捨てする場合が多い。

芸能人に対しては、芸能記事などでは敬称をつけることはほとんどない(テレビでは「~さん」付きがほとんどである)。これは「芸能人=商品」と考えていることによる。ただし芸能界からの引退により一般人になる、国会議員などの公職に就くかその候補(予定)者となる、死亡などにより「~さん」「~氏」などの敬称つきとなる。また現役の場合でも、その人物の本来のフィールドであるスポーツや芸能ではない社会面などで取り扱われる場合(事件・事故に巻き込まれた場合など)は敬称つきで報道されることもある。そのいっぽうで死亡して年月がたつと慣例上呼び捨てにする場合も多い。一方で、芸能人が被疑者となった場合に一部のテレビなどにおいては「~メンバー」「~司会者」「~タレント」などといった肩書を付けた呼称にすることがあり、かえって批判されることもある(推定無罪#マスコミによる容疑者・被告の使用例を参照)。

皇族については呼び捨てにすることはなく、「陛下」「殿下」「さま」などの敬称をつけることが通常である。

文献における呼び捨て[編集]

歴史上の人物などは、例えば源頼朝徳川家康のように、呼び捨てにするのが通例である。ただし天皇皇族に関しては、後白河天皇を雅仁、以仁王を以仁などと呼び捨てにすることは基本的にない(も参照)。

学術論文においては、日本人名(特に存命中の人物)に関しては呼び捨てがはばかられるが、同国以外の人物(以下「外国人」と表記)に関しては自然に呼び捨てがなされる場合がある。そのため、外国人名・日本人名が併記される文献においては、日本人名のみ敬称をつけるのは不自然になるため、カタカナ表記やローマ字表記で呼び捨てにされる場合が見られる。例えば、物理学の論文でアルベルト・アインシュタインニールス・ボーアなどといった外国人名とあわせて、湯川秀樹といった日本人名が記述される場合、漢字表記を避けて「ユカワ」あるいは「Yukawa」などと表記される例が見られる。ただし、漢字表記のまま「湯川」という風に、呼び捨てにしている学術論文も多い。

分野によって慣習の差異が大きく、法学の論文においては日本人研究者の名前に敬称(「先生」)を付ける傾向が見受けられ、理系分野の論文では敬称を付けない傾向が見受けられる。

マナーにおける呼び捨て[編集]

組織の所属する一人物を身内以外の者がたずねてきた場合は、目上目下関係なく呼び捨てで回答するのが礼儀とされる[注釈 2]

また妻が夫を対外的に呼称する際は、「うちの主人(者)は…」という他に、姓の呼び捨て(例:「中村は…」)を使うこともある[要出典]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 妻が夫を「圭一」などと呼び捨てにしている場合、当人たちにとってはごく自然のことだが圭一の親や親戚には不快感を与えるか非難されうる。これは日本特有の感覚の一つ。欧米で妻が夫を「マイケル」と呼んで非難されることはありえない。
  2. ^ ただし高等学校以下の学校の教職員及び医療機関においては、呼び捨てせずに「〜先生は」と回答する場合が多い。

出典[編集]

関連項目[編集]