防衛医大教授痴漢冤罪事件

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最高裁判所判例
事件名 強制わいせつ被告事件
事件番号 平成19(あ)1785
2009年(平成21年)4月14日
判例集 刑集30巻9号1673頁
裁判要旨
被告人が、小田急線の満員電車内で女性Aに対して行ったとされる痴漢行為による強制わいせつ被告事件において、被告人が一貫して捜査段階から一貫して犯行を否認しており、Aの供述以外にこれを基礎付ける物的証拠等の客観的証拠がなく、被告人にこの種の犯行を行う性向をうかがわせる事情が存しないという状況では、Aの供述の信用性判断は特に慎重に行う必要があり、Aの供述する被害状況に不自然な点が多数あること等を勘案すれば、Aの供述の信用性を全面的に肯定し、被告人を有罪とした第1審判決及び原判決の認定は不合理であり是認できないとして、破棄自判し無罪とした事例。
第三小法廷
裁判長 田原睦夫
陪席裁判官 藤田宙靖 堀籠幸男 那須弘平 近藤崇晴
意見
多数意見 藤田宙靖 那須弘平 近藤崇晴
意見 那須弘平 近藤崇晴
反対意見 堀籠幸男 田原睦夫
参照法条
刑訴法411条3号、刑法176条前段、刑訴法317条
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防衛医大教授痴漢冤罪事件 (ぼうえいいだいきょうじゅちかんえんざいじけん)は、小田急小田原線で痴漢行為をおこなったとして強制わいせつ罪防衛医大教授が逮捕された事件である。

概要[編集]

2006年4月18日朝、東京都世田谷区内の小田急線成城学園前 - 下北沢駅間を走行中の準急内で被害者の下着に手を入れ、下半身を触ったとして防衛大教授が強制わいせつ罪で逮捕された。起訴された後も、被告は一貫して容疑を否認した。1審・東京地裁は教授の左手で触られていたとする女性の証言の信用性を認めて懲役1年10カ月の実刑判決とした。被告は控訴したが2審・東京高裁もこれを支持して有罪判決を下した。

被告が上告して迎えた2009年4月14日最高裁で痴漢事件としては初の2審の有罪判決を覆しての無罪判決を下した。判決で、指から下着の繊維が鑑定で検出されていないなど客観証拠がなく、証拠は女性の証言だけで、被害者は痴漢にあってから一度電車を降りたのに再び同じ車両に乗って被告の隣に立ったこと、執拗に痴漢されたにも関わらず車内で積極的に避けようとしていないなどと痴漢の供述には疑いがあるとした。

また、最高裁は「客観証拠が得られにくく被害者の証言が唯一の証拠である場合も多い。被害者の思い込みなどで犯人とされた場合、有効な防御は容易でない」して「特に慎重な判断が求められる」と指摘して、最高裁で初めて審理のあり方を示した。

補足[編集]

  • 被告の防衛医大教授は、事件後から無期限の休職中だったが無罪判決を受けて職場に復職した[1]。同教授は復職時点で翌年には定年退官となる予定だったが、休職期間である3年間退官が延期されている。
  • 最高裁での判決は藤田宙靖那須弘平近藤崇晴の3人が無罪、田原睦夫堀籠幸男の2人が有罪としていて、3対2の僅差での判決だった。

脚注[編集]

  1. ^ 毎日新聞 2009年4月27日

外部リンク[編集]

事件を解説した番組小田急下北沢痴漢冤罪事件