ユナイテッド・スポーツカー選手権
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カテゴリ |
スポーツカー グランドツーリングカー |
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国・地域 |
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開始年 | 2014年 |
タイヤ サプライヤー | ミシュラン |
ドライバーズ チャンピオン |
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チーム チャンピオン |
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マニュファクチャラーズ チャンピオン |
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公式サイト | WeatherTech SportsCar Championship |
ユナイテッド・スポーツカー選手権(United SportsCar Championship、USCC)は米国の国際モータースポーツ協会(IMSA)によって運営され、アメリカ合衆国とカナダにおいて行われるスポーツカーレースのシリーズである。日本語では「統一 (または統合、合同) スポーツカー選手権」の意味となる。公式名称はウェザーテック・スポーツカー選手権(WeatherTech SportsCar Championship )。アメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS)とロレックス・スポーツカー・シリーズ(通称:グランダム・シリーズ)の2つのシリーズが統合され、2014年より開催されている。
大手スポンサーであるスイスの腕時計メーカーのロレックスが、自社のブランド名のチュードル (Tudor) をシリーズのタイトル名に付ける5年間のネーミングライツ契約に署名したことによって[1]、 2014年と2015年は「Tudor United SportsCar Championship」(通称:TUSCC)のシリーズ名が用いられた。その後、自動車アクセサリーメーカーのウェザーテックが自社ブランド名をシリーズ名に冠するタイトルスポンサーシップを引き継ぎ、2016年よりシリーズ名が改められて現在に至っている[2]。
誕生[編集]
2012年9月5日、グランダム・ロードレーシングが、ブラセルトンを本拠地とするIMSAと統合し、両団体がそれぞれ運営してきた主なスポーツカーレースのシリーズであるロレックス・スポーツカー・シリーズとアメリカン・ル・マン・シリーズも統合されて2014年にスタートする予定であることが発表された。2012年11月20日には、統合委員会としてSMEブランディングが選ばれ、SMEが新しいシリーズの名称とロゴとスローガンを構想することが発表された[3]。

2013年1月8日、統合後の新しいシリーズでの事前準備用のクラス区分が発表された。グランダム・ロード・レーシングのデイトナ・プロトタイプとIMSAのP2プロトタイプスが統合されて単一のクラスとされ、ユニークなデザインのレースカーであるデルタウイングも、この新しいクラスで出走可能とした。ALMSから継続するル・マン・プロトタイプ・チャレンジ(LMPC)クラスも、グランダムと提携するコンチネンタルにタイヤを履き替えることを条件に認められた[4]。ALMSのGTクラスは変更なく残ることが出来たが、グランダムのGTクラスは変更を余儀なくされ、ALMSのGTCカテゴリーに組み入れられることとなった[5]。ALMSのP1カテゴリーは消滅することになった。
セブリング12時間レースの2日前の2013年3月14日、セブリング・インターナショナル・レースウェイにあるシャトー・エラン・ホテルとカンファレンスセンターで、新しいシリーズでの開催スケジュールが明らかにされた[6]。グランダムCEOのエド・ベネットが新しいシリーズの5つのクラスの名称を明らかにすると、ALMSのCEOのスコット・アサートンがIMSAが認可団体として残る旨を発表した。SMEブランディングのシニア・パートナーのエド・オハラが、フロリダ・カート選手権のレーサーのルイス・サッターリーによるコンペを通して提示されたユナイテッド・スポーツカー・レーシングという新シリーズ名とロゴを発表した[7]。
2013年8月9日、Foxスポーツ 1は、2014年から2018年までの全てのシーズンのユナイテッド・スポーツカー選手権の放映権についてのIMSAとの契約に署名したことを発表した[8]。
その後の2013年9月12日、ロレックスのTudorブランドがシリーズの名称についてネーミングライツ契約を結び、(ユナイテッド・スポーツカー・レーシングというそれまで決まっていた名称を上書きする形で)ユナイテッド・スポーツカー選手権と名付けられたシリーズ名称に、冠スポンサー名を付けることを発表した。
ミシュラン・パイロット・チャレンジ[編集]
元々はグランダムが運営し、グランダム・カップとして知られたシリーズで、ツーリングカーをベースとする生産車のレースである。シリーズは、大排気量のスポーツカーを対象としたグランド・スポーツ (GS)クラスと、前輪駆動を含む小さなセダンやクーペから成るストリート・チューナー(ST)クラスという2つのクラスに分けられる。2013年までは、ロレックス・スポーツカー・シリーズのサポートレースで、独自開催の日程もあった。シリーズの合併後もユナイテッド・スポーツカー選手権のサポートレースとなった。このシリーズは、古いトランザム・シリーズのレースにいくぶん似ている。
ミシュラン・エンデュランス・カップ[編集]
本シリーズの中でも、レース時間が長く耐久レース色の強い、デイトナ24時間/セブリング12時間/ワトキンスグレン6時間/プチ・ル・マンの4レースについては、「ミシュラン・エンデュランス・カップ(Michelin Endurance Cup)」の名称で別途選手権がかけられている。クラス分けはメインシリーズと同じだが、ポイントシステムがやや独特で、フィニッシュ時以外にレースの途中経過に対してポイントが与えられる。
ポイントは、ドライバー、チーム、メーカーに5–4–3–2点の順で付与される。各インターバルの1位は5ポイント、2位は4ポイント、3位は3ポイントを獲得し、4位以降には2ポイントが与えられる。デイトナ24時間は6時間、12時間、18時間、ゴール時に付与される。セブリング12時間は4時間、8時間、ゴール時。ワトキンスグレン6時間は、3時間とゴール時。プチルマン(10時間)は4時間、8時間、ゴール時に付与される。
シーズン中のチームチャンピオンシップと同様に、チームポイントは各車に付与され、ドライバーは運転するすべての車でポイントを獲得する。メーカーポイントは、シーズン中のメーカーチャンピオンシップと同じように、そのメーカーの最高位の車に割り当てられる。
例:メーカーAが1位と2位で終了し、メーカーBが3位で終了した。メーカーAは、1位のポイントのみを受け取り、メーカーBは2位のポイントを受け取る。
ポジション | 1 | 2 | 3 | 4位以降 |
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レース | 5 | 4 | 3 | 2 |
クラス区分[編集]
ユナイテッド・スポーツカー選手権は、3つのスポーツプロトタイプカテゴリーと2つのグランド・ツアラーカテゴリーを特色とする5つの異なるクラスから成る。
- デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル (DPi)
- シリーズのフラッグシップに相当するクラスで、2014年のレギュレーションにより、グランダム・ロード・レーシングのDP(デイトナ・プロトタイプ)とアメリカン・ル・マン・シリーズのLMP2(ル・マン・プロトタイプ2)が統合されたものにデルタウイングのような特認車の出走枠を加えたクラス。2017年以降DPは、LMP2シャシーをメーカーが改造するDPi(デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル)に生まれ変わった。2019年よりLMP2と分離したため、DPiが最高峰クラスとなった。
- ル・マン・プロトタイプ2(LMP2)
- 前述の通り、従来DPと同じPクラスであったLMP2が、2019年に独立したクラスとして分離した。
- ル・マン・プロトタイプ3(LMP3)
- 2021年より導入された。プラチナにカテゴライズされるドライバーは参戦できない。マニュファクチャラーは、リジェ、ジネッタ、デュケイン(旧ノルマ)、アデスの4社。[9]
- GT デイトナ (GTD)
- グランダムGTクラスとGXクラスにポルシェ・911 GT3カップの出走車に適用されていたアメリカン・ル・マン・シリーズのGTCクラスを統合し、国際自動車連盟(FIA)のグループGT3の仕様を基に作られたクラス。2016年以降はポルシェのカップカーは廃止され、GT3のみが参戦可能となっている。GTLMとの差別化のため、GT3のBOPに加え、追加で50-100kgのBoPウェイトが追加されている。
- GTD Pro
- GTLMに変わって2022年に新設されたクラス。マシンは従来のGTDクラスのものと同様にFIA GT3車両をベースとするが、いわゆるワークス・チームの参戦が可能になっている点が大きな違い[10]。BoPによる性能調整も、GTD ProクラスとGTDクラスでは独立して行われる[11]。
タイヤは全クラスミシュランのワンメイク。 いくつかのレースは限定したクラスでしか出走できないケースがある。例として、ロングビーチ・グランプリはデイトナ・プロトタイプ・インターナショナル(DPi)クラスとGT ル・マン(GTLM)クラスしかエントリーできない予定だが、ロレックス・デイトナ24時間レースはどのクラスでもエントリーできる。
過去に存在したクラス[編集]
- プロトタイプ・チャレンジ (PC)
- アメリカン・ル・マン・シリーズからそのまま移行されたクラスで、オレカの作成したシャシーのFLM09に、シボレーから供給されたV8自然吸気エンジンとコンチネンタルのタイヤを装着させたワンメイクのプロトタイプレーシングカーのクラス。オープントップの安全性の問題が提起されたこともあり、2017年をもって廃止が決定された。
- GT ル・マン (GTLM)
- アメリカン・ル・マン・シリーズのGTクラスが継続して残されたもので、フランス西部自動車クラブ(ACO)のLM-GTEの仕様に合わせたレースカーより成り立つ。唯一タイヤがマルチメイクでマニュファクチャラー選手権の設定もあったが、ファルケンタイヤの撤退で事実上ミシュランのワンメイク状態であったため、2015年終了を持って正式にワンメイク化された。参戦メーカー数の減少に伴い、2021年をもって廃止。
新設予定のクラス[編集]
- GTP
- 2023年から導入予定の、いわゆるハイパーカーのクラス。ただしル・マン・ハイパーカー(LMH)と異なり、シャシーコンストラクターはIMSAが指定した4社のみ、ギアボックスはエクストラックのワンメイクとされるなど、コストダウンのための施策がいくつか導入されている(詳細はル・マン・デイトナ・h を参照)。実際にはLMH車両も性能調整を受けた上で参戦が可能になる予定。クラス名称は、かつてIMSAで1981年 - 1993年に行われていたプロトタイプカーのカテゴリ名を受け継いでいる。
サーキット[編集]
サーキット | 開始年 | 終了年 |
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2014年 | - |
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2014年 | 2017年 |
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2014年 | - |
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2014年 | - |
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2014年 | 2014年 |
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2014年 | 2014年 |
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2014年 | - |
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2015年 | - |
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2014年 | - |
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2014年 | - |
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2014年 | - |
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2014年 | - |
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2014年 | - |
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2014年 | - |
歴代チャンピオン[編集]
チーム/ドライバー[編集]
マニュファクチャラー[編集]
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タイヤ[編集]
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脚注[編集]
- ^ “Tudor Named Title Sponsor”. Sportscar 365 (2013年9月12日). 2013年9月12日閲覧。
- ^ DiZinno, Tony (2015年8月8日). “WeatherTech Named New Title Sponsor of IMSA SportsCar”. Sportscar365. 2015年8月9日閲覧。
- ^ “SME Branding Selected To Develop Identity for GRAND-AM, ALMS Merger”. 2013年3月14日閲覧。
- ^ “ALMS: Continental Named New Spec PC Tire”. アメリカン・ル・マン・シリーズ (2013年3月1日). 2013年3月14日閲覧。
- ^ “GRAND-AM, ALMS Announce 2014 Class Structure”. 2013年3月6日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2013年3月14日閲覧。
- ^ “アメリカン・ル・マン・シリーズとグランダムの合併をACOが歓迎”. Le Mans.org (2012年9月5日). 2015年2月28日閲覧。
- ^ “LOUIS SATTERLEE - 2012 FLORIDA KARTING CHAMPIONSHIP SERIES REVIEW”. Karting News Worldwide (2012年7月7日). 2014年2月2日閲覧。
- ^ “FOX to air United SportsCar Racing”. Foxスポーツ 1 (2013年8月9日). 2013年8月9日閲覧。
- ^ “IMSA:全12戦の2021年暫定カレンダー発表。LMP3を新設、5クラス混走へ”. autosport web. 2020年9月10日閲覧。
- ^ 事実上崩壊のGTLMに代わり、GTD Proクラスが2022年に誕生/IMSA - オートスポーツ・2021年1月29日
- ^ 2022年導入、GT3車両による『GTDプロ』クラスの規則発表。タイヤはGTDと同一スペックに/IMSA - オートスポーツ・2021年6月10日
関連項目[編集]
- アメリカン・ル・マン・シリーズ
- 国際モータースポーツ協会(IMSA)