ツール・ド・コルス

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2016年

ツール・ド・コルス-ラリー・ド・フランスLe Tour de Corse-Rallye de France )は1956年からフランスコルシカ島で開催されているラリー。ラリー・モンテカルロアクロポリス・ラリーと並ぶクラシックイベントで、数々の逸話が生まれた。

概要[編集]

1973年から世界ラリー選手権 (WRC) の一戦として開催。1996年を除いて、2008年まではWRCカレンダー内での開催としていたが、ローテーション制のため、2009年はシリーズカレンダーから外された。2010年よりフランスにおけるWRC開催地は本土のアルザス地方に変更され、2011年と2012年はインターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ (IRC) 、2013年と2014年はヨーロッパラリー選手権 (ERC) の一戦として開催された。2015年から再びWRCに復活した。

1980年までは秋期に開催され、1981年から1999年までは5月に開催されていたが、2000年以降は9月(2000年、2001年)、3月(2002年)、10月(2003年、2004年、2005年)、4月(2006年)、10月(2007年、2008年)と、年間スケジュールに翻弄された開催時期となっている。

かつては島を1周するラリーだったため「ツール(旅行)」という名が付く。1990年代より島南西部のアジャクシオ周辺にSSを設定してきたが、IRCでは島を縦断するように移動しながら戦うスタイルになった[1][2]。WRC復帰後も3日間のSS数を10本程度に減らし、30-50km級のロングステージを設けている。島東北部のバスティアや中央部のコルテ、南東部のポルト=ヴェッキオといった街も行程の要所となる。

「直線区間が100(200)メートルあったらそれはコルスではない」「1万のコーナーを持つラリー」とまで言われる[3]ほどツイスティーなターマックステージで、山岳地帯の切り立った断崖絶壁を縫うように走る。全体的に道幅が狭く舗装路面は荒れており、標高が高い場所では天候が急変することもしばしば。経験値や正確かつ辛抱強いドライビングが必要とされ、地元のフランス人ドライバーやターマックスペシャリストが強さを発揮してきた。

競技中での事故[編集]

1985年にはランチアのアッティリオ・ベッテガ、1986年には同じくランチアのヘンリ・トイヴォネンが競技中に事故死し、グループBのモンスターマシンの廃止につながった。コルテ-タベルナの事故現場の近くには、トイヴォネンとコ・ドライバーセルジオ・クレストへ向けた小さな慰霊碑が建てられており、今なお多くのラリー関係者およびラリーファンが訪れている[4]。1997年には三菱のトミ・マキネンがコース上にいた牛に激突し、はずみで谷へ50mほど転落したが無事に生還した[5]

カーナンバー"4"[編集]

ツール・ド・コルスで死亡した1985年のアッティリオ・ベッテガ、1986年のヘンリ・トイヴォネン共、カーナンバーが4であった為、以後カーナンバー4は1995年まで欠番となる。1995年からは、カーナンバーがシーズンを通し固定制になる故の復活だが、1995年にカーナンバー4を付けてコルシカを走ったのはコリン・マクレーである。この時マクレーは生還しているが、2007年にヘリコプターの墜落で非業の死を遂げている。

1973年以降の優勝者[編集]

年度 シリーズ ドライバー コ・ドライバー マシン
1973年 WRC フランスの旗 ジャン=ピエール・ニコラ フランスの旗 Michel Vial アルピーヌ・ルノーA110 1800
1974年 フランスの旗 ジャン=クロード・アンドリュー フランスの旗 ミシェル・プティ (BICHE) ランチア・ストラトス HF
1975年 フランスの旗 ベルナール・ダルニッシュ フランスの旗 アラン・マエ ランチア・ストラトス HF
1976年 イタリアの旗 サンドロ・ムナーリ イタリアの旗 シルヴィオ・マイガ ランチア・ストラトス HF
1977年 フランスの旗 ベルナール・ダルニッシュ フランスの旗 アラン・マエ フィアット・131・アバルト
1978年 フランスの旗 ベルナール・ダルニッシュ フランスの旗 アラン・マエ フィアット・131・アバルト
1979年 フランスの旗 ベルナール・ダルニッシュ フランスの旗 アラン・マエ ランチア・ストラトス HF
1980年 フランスの旗 ジャン=リュック・テリエ フランスの旗 Michel Vial ポルシェ・911 SC
1981年 フランスの旗 ベルナール・ダルニッシュ フランスの旗 アラン・マエ ランチア・ストラトス HF
1982年 フランスの旗 ジャン・ラニョッティ フランスの旗 ジャン=マルク・アンドリエ ルノー・5 ターボ
1983年 フィンランドの旗 マルク・アレン フィンランドの旗 イルッカ・キビマキ ランチア・ラリー037
1984年 フィンランドの旗 マルク・アレン フィンランドの旗 イルッカ・キビマキ ランチア・ラリー037
1985年 フランスの旗 ジャン・ラニョッティ フランスの旗 ピエール・ティモニエ ルノー・5 マキシターボ
1986年 フランスの旗 ブルーノ・サビー フランスの旗 ジャンフランソワ・フォシーユ プジョー・205ターボ16
1987年 フランスの旗 ベルナール・ベギン フランスの旗 ジャン=ジャック・ルネ BMW・M3
1988年 フランスの旗 ディディエ・オリオール フランスの旗 ベルナール・オセッリ フォード・シエラ RS コスワース
1989年 フランスの旗 ディディエ・オリオール フランスの旗 ベルナール・オセッリ ランチア・デルタ インテグラーレ
1990年 フランスの旗 ディディエ・オリオール フランスの旗 ベルナール・オセッリ ランチア・デルタ HF インテグラーレ 16V
1991年 スペインの旗 カルロス・サインツ スペインの旗 ルイス・モヤ トヨタ・セリカ GT-FOUR
1992年 フランスの旗 ディディエ・オリオール フランスの旗 ベルナール・オセッリ ランチア・デルタ HF インテグラーレ エボルツィオーネ
1993年 フランスの旗 フランソワ・デルクール フランスの旗 ダニエル・グラタループ フォード・エスコート RS コスワース
1994年 フランスの旗 ディディエ・オリオール フランスの旗 ベルナール・オセッリ トヨタ・セリカ ターボ 4WD
1995年 フランスの旗 ディディエ・オリオール フランスの旗 デニス・ジロード トヨタ・セリカ GT-FOUR
1996年 W2L フランスの旗 フィリップ・ブガルスキー フランスの旗 ジャン=ポール・シャローニ ルノー・メガーヌ マキシ
1997年 WRC スコットランドの旗 コリン・マクレー イギリスの旗 ニッキー・グリスト スバル・インプレッサ WRC
1998年 スコットランドの旗 コリン・マクレー イギリスの旗 ニッキー・グリスト スバル・インプレッサ WRC
1999年 フランスの旗 フィリップ・ブガルスキー フランスの旗 ジャン=ポール・シャローニ シトロエン・クサラ キットカー
2000年 フランスの旗 ジル・パニッツィ フランスの旗 エルヴェ・パニッツィ プジョー・206 WRC
2001年 スペインの旗 ヘサス・ピュラス スペインの旗 マルク・マルティ シトロエン・クサラ WRC
2002年 フランスの旗 ジル・パニッツィ フランスの旗 エルヴェ・パニッツィ プジョー・206 WRC
2003年 ノルウェーの旗 ペター・ソルベルグ イギリスの旗 フィル・ミルズ スバル・インプレッサ WRC
2004年 エストニアの旗 マルコ・マルティン イギリスの旗 マイケル・パーク フォード・フォーカスWRC
2005年 フランスの旗 セバスチャン・ローブ モナコの旗 ダニエル・エレナ シトロエン・クサラ WRC
2006年 フランスの旗 セバスチャン・ローブ モナコの旗 ダニエル・エレナ シトロエン・クサラ WRC
2007年 フランスの旗 セバスチャン・ローブ モナコの旗 ダニエル・エレナ シトロエン・C4 WRC
2008年 フランスの旗 セバスチャン・ローブ モナコの旗 ダニエル・エレナ シトロエン・C4 WRC
2009年    フランスの旗 パスカル・トロジャニ フランスの旗 フランシス・マゾッティ プジョー・307 WRC
2011年 IRC ベルギーの旗 ティエリー・ヌービル ベルギーの旗 ニコラ・ジルスール プジョー・207 S2000
2012年 スペインの旗 ダニ・ソルド スペインの旗 カルロス・デル・バリオ ミニ ジョン・クーパー ワークスWRC
2013年 ERC フランスの旗 ブライアン・ブフィエ フランスの旗 クサビエ・パンセリ プジョー・207 S2000
2014年 フランスの旗 ステファン・サラザン フランスの旗 Jacques-Julien Renucci フォード・フィエスタRRC
2015年 WRC フィンランドの旗 ヤリ=マティ・ラトバラ ミイカ・アンティラ フォルクスワーゲン・ポロR WRC
2016年 フランスの旗 セバスチャン・オジェ フランスの旗 ジュリアン・イングラシア フォルクスワーゲン・ポロ R WRC
2017年 ベルギーの旗 ティエリー・ヌービル ベルギーの旗 ニコラ・ジルソウル ヒュンダイ・i20クーペ WRC
2018年 フランスの旗 セバスチャン・オジェ フランスの旗 ジュリアン・イングラシア フォード・フィエスタ RS WRC
2019年 ベルギーの旗 ティエリー・ヌービル ベルギーの旗 ニコラ・ジルソウル ヒュンダイ・i20クーペ WRC
  • 1996年はFIA2リッターワールドカップ (W2L) として開催。

最多優勝回数[編集]

2回以下は割愛

脚注[編集]

  1. ^ "IRCツール・ド・コルス、全島を巡るルートに回帰". RALLY PLUS.NET.(2011年4月2日)2013年12月14日閲覧。
  2. ^ "WRX STI R4のアイグナーがプロダクションカップ優勝". SUBARU MOTOSPORT.(2012年)2013年12月14日閲覧。
  3. ^ "奴田原文雄の2011年モータースポーツ漫遊記 ツールドコルス編". ADVAN MOTORSPORT.(2011年6月17日)2013年12月6日閲覧。
  4. ^ RALLY PLUS編集部/ラリープラス [@rallyplus] (2017年4月6日). "【ニャオキのホゲホゲWRC@コルシカ日記】". X(旧Twitter)より2020年7月26日閲覧
  5. ^ "[第2レグ速報]1997世界ラリー選手権(WRC)第6戦ツール・ド・コルス". 三菱自動車.(1997年)2013年12月14日閲覧。

外部リンク[編集]