シトロエン・C4
C4は、フランスの自動車メーカーシトロエンが製造する中型乗用車で、欧州規格のボディサイズはCセグメントである。
概要[編集]
2004年9月のパリモーターショーで公開、同年11月発売。クサラの後継車として開発され、PSAグループのプジョー・307とはプラットフォームやエンジンなどの基本コンポーネントを共有している。
フロントグリルはダブルシェブロン(やまば歯車)をデザインモチーフとしている。先代のクサラや先々代のZXに比較するとシトロエン「らしさ」が見られるが、全体の構成としては一般的な機構を用いており、かつてのシトロエン車のような独善的なまでの特異さは薄れている。環境性能の高いクリーンディーゼル (HDi) エンジンもラインナップされ、車線逸脱防止装置などの先進装備もオプションで用意されている。
初代[編集]
シトロエン・C4 | |
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![]() C4 サルーン 初期型 | |
![]() C4 サルーン 初期型 | |
![]() C4 クーペ 初期型 | |
概要 | |
販売期間 | 2004年-2010年 |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
駆動方式 | FF |
パワートレイン | |
エンジン | 1.6L/2.0L 直列4気筒 |
最高出力 | 80kW(110PS)-130kW(180PS) |
変速機 | 5速MT/4速AT |
サスペンション | |
前:マクファーソンストラット 後:トーションビーム | |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,610mm |
全長 | 4,260-4,275mm |
全幅 | 1,775mm |
全高 | 1,480mm |
車両重量 | 1,320-1,350kg |
その他 | |
最小回転半径 | 5.7m |
系譜 | |
先代 | クサラ |
シトロエンは独創的なデザインや装備で知られているが、このC4では「センターフィックスステアリング」を採用している。センターパッドとリム (外周) 部分が一体構造となっている一般的なステアリングではなく別体構造でセンターパッドは回転しない[1]。これにより、センターパッドに配置されているクルーズコントロールやオーディオスイッチが操作しやすく、衝突時にはエアバッグの理想的な展開を可能とするが、センターパッドが回転しないためハンドル操作には視覚的な慣れを必要とする。スピードメーターはデジタル表示で透過式のセンターメーターを採用。タコメーターもデジタル表示だがセンターメーターではなく、ステアリングコラム上に設置されている[2]。
上級グレードに装備される「ディレクショナルヘッドライト」は、ヘッドライトの光軸をステアリングと連動させて旋回方向の視界を確保するというもので、かつての上級車種DSやSMを想起させる装備となっている。室内の芳香として「フレグランスエアフレッシュナー」を標準で装備する。専用のフレグランスをセンターベンチレーターの横に挿入するとほのかに香る。専用芳香剤には「バンブー」「スイートラベンダー」「ロータス」など九種類がある。
サスペンションはC5以上とは対照的に、シトロエンの代名詞とも言えるハイドロニューマチックや発展型システムではなく、フロントにマクファーソンストラット、リアはトーションビームの一種であるカップルドビーム。
初期型[編集]
日本市場には2005年6月、当時のシトロエン・ジャポンから発売された。グレードは5ドアハッチバックのサルーン (Cd値:0.29) に「1.6」「2.0エクスクルーシブ」の2種、クーペ (Cd値:0.28) は「1.6VTR」「2.0VTS」の2種類で、エクスクルーシブには17インチアルミホイール、エクセーヌ内装、電動格納式ミラー、ディレクショナルキセノンヘッドライトや前後パークアシスタンス、ASR (アンチスケーティングレギュレーション) 、ESP等が装備されていた。11月に「2.0」、2008年5月には「1.6EX」が追加され、いずれもディレクショナルヘッドライトや前後パーキングアシスタンス、ASR、ESPが標準装備された。
スペシャルモデルは、2006年2月「プレステージ・リミテッド・エディション」(2006年RJCカー・オブ・ザ・イヤーIMPORT賞の受賞記念車/HDDナビ、パノラミックガラスルーフ、レザーパッケージを追加装備) 、2007年3月、30台限定「セ・シック (C-Chic) 」(2.0エクスクルーシブにレザーパッケージとパノラミック・サンルーフを装備) 、2007年11月、32台限定「C4 by LOEB」(WRCドライバーズタイトル獲得記念限定車) 、2008年1月、限定60台「1.6EXリミテッドG」(サルーン「1.6」をベースにディレクショナルキセノンヘッドライト、前後パークアシスタンス、ASR、ESP、16インチアルミホイール、パノラミックガラスルーフを追加) が販売された。この内「1.6EXリミテッドG」は同年6月に正規モデル「1.6EX」へ昇格した。
トランスミッションはサルーンが4速ATのみ、クーペは「1.6VTR」は4速AT、「2.0VTS」は5速MT。なお「2.0VTS」のエンジンはサルーン2.0のRFJ型をパワーアップしたRFK型を搭載している。2008年に2.0VTSは販売終了、1.6の一車種に絞られた。
後期型[編集]
2008年7月に発表され、同年8月のモスクワ・モーターショーで公開された。主な変更点はフロント周辺のデザイン刷新 (全長が15mm延長)、メーターレイアウト変更 (ステアリングホイール前の小メーター廃止) 、ガソリンエンジンのプジョー・308と同じく、ドイツ・BMW社との共同開発による新ユニットへの換装、ディーゼルエンジンの出力アップ等である。ガソリン1.6LモデルがVTi120、2LはTHP150、ディーゼルは名称の頭に"HDi"が付く。日本では2009年2月26日に発売。サルーンが従来の「1.6EX」とほぼ同等の装備を持つ「1.6」(120PS) 、「1.6Tエクスクルーシブ」(ターボ付140PS) 、クーペは「1.6VTR」(120PS) が受注生産扱いとなった。
電動格納式ミラーがエクスクルーシブ以外でも標準装備となり、従来は全車種にオプションだったパノラミックガラスルーフも「1.6」(10万円高のオプション設定) 以外には標準装備となった。また、2008年春以降設定されていなかった「レザーパッケージ」(シートヒーター付きレザーシートと革張のフロントセンターアームレスト、サルーンにはメモリー付パワーシートも含まれる / セダン23万円・クーペ19万円のオプション) の設定が復活した。ボディカラーも入れ替えられ、日本仕様車ではサルーンが7色に対し、クーペは4色となった。
2代目[編集]
シトロエン・C4 | |
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![]() C4 HDi 110 Tendance | |
![]() C4 HDi 110 Tendance | |
概要 | |
販売期間 | 2010年-2019年 |
ボディ | |
ボディタイプ | 5ドアハッチバック |
駆動方式 | FF |
パワートレイン | |
エンジン |
ガソリン: 1.4L/1.6L 直列4気筒ターボ ディーゼル: 1.6L/2.0L 直列4気筒ターボ |
最高出力 |
ガソリン: 70kW-115kW(95PS-156PS) ディーゼル: 68kW-110kW(92PS-150PS) |
最大トルク |
ガソリン: 136-240Nm(13.8-24.5kgf·m) 4000-4250rpm ディーゼル: 230-270Nm(23.5-27.5kgf·m) 1750rpm |
変速機 | 5速MT/6速MT/4速AT/6速EGS |
サスペンション | |
前:マクファーソンストラット 後:トーションビーム | |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2610mm |
全長 | 4330mm |
全幅 | 1790mm |
全高 | 1490mm |
車両重量 | 1310-1370kg |
その他 | |
最小回転半径 | 5.3m |
2010年6月に発表[3]。基本コンポーネントを従来型から受け継ぎつつ全幅は15mm拡大したが、最小回転半径は5.7m→5.3mへと改善された。3ドアの「クーペ」はスペシャリティの新シリーズ"DS"の「DS4」に移行したため、ボディタイプは5ドアハッチバックのみとなった。
先代5ドアハッチバックの特徴だったAピラーからCピラーまでを滑らかに続いていた丸型のルーフラインは、水平に近いまま後方へと延びるルーフラインに変更され、ユニークだった「センターフィックスステアリング」「透過式センターメーター」などはごく一般的な造形に変更されたが質感の向上は図られている[4]。
エンジンはガソリン3種、ディーゼル3種の計6種類。ディーゼルの最上級モデルはアイドリングストップシステムを装備する。
日本市場には2011年7月1日から、1.6L直列4気筒に4速ATの「C4 セダクション」と1.6L直列4気筒ツインスクロールターボに6速EGS (エレクトリックギアボックスシステム / 2ペダルMT) の「C4 エクスクルーシブ」の2モデルが導入されたが、2013年5月28日にはセダクションがラインナップから落ち、ガラスルーフを廃止してタイヤを17インチとした上で、価格を33万円引き下げたエクスクルーシブのみとなった。
2015年8月にマイナーチェンジを受け、「C4 セダクション」と「C4 セダクション アップグレードパッケージ」の2モデルとなった。エンジンは1.2L直列4気筒ツインスクロールターボ「Pure Tech」に換装され、ヘッドライトにはLEDが組み込まれた。
2016年7月12日から、1.6L直列4気筒クリーンディーゼルの「C4 フィール BlueHDi」が追加され、1.2L直列3気筒低圧ターボの「C4 フィール」と「C4 セダクション アップグレードパッケージ」のラインナップとなった。 同年10月14日には1.2リッター直列3気筒のクロスオーバーモデルとして「C4カクタス」を200台限定で販売した[5]。
WRC[編集]
シトロエン・トタル・ワールドラリーチームは2006年のワークス参戦休止期間にリソースを集中し、2007年に「クサラ WRC」の後継マシンとして、クーペVTSをベースとする「C4 WRC」を開発した。ドライバーはセバスチャン・ローブとダニ・ソルド。
ライバルのフォード・フォーカスWRCが凝った機構を採用しているのに対して、C4 WRCはクサラWRC譲りのオーソドックスかつ保守的な設計の下、低重心化とマスの集中を行った基本に忠実な作りをしている。ターマックが得意なドライバー二人の好むFF寄りの特性で開発されており、ターマックでのパフォーマンスは前評判の良かったフォーカスWRCを凌駕した[6]。
2007年開幕戦のラリー・モンテカルロでデビューウィンを飾り、ローブはC4で2007年~2010年と4年連続のドライバーズチャンピオンを獲得している。ただしマニュファクチャラーズはローブの怪我による離脱の影響もあって2006・2007年とフォードに奪われ、シトロエンの連覇記録は止まった。1973年に始まったWRC 世界ラリー選手権において2019年現在最も優勝数を勝ち取った車がシトロエンC4WRCである。一方でエンジンと電装系はクサラから引き継いだシステムとXU7JP4エンジンだったが08年からEW10J4Sエンジンと完全新設計の電気系統システムに変更された。
なお、参戦マシンは2011年より新型の「DS3 WRC」へ変更された。
脚注[編集]
- ^ 日本車では、日産・セドリック/グロリア/シーマ(Y31型)の一部グレードに同様のステアリングが採用されていた。
- ^ “シトロエン C4 / C3プルリエル”. carview. (2005年6月7日)
- ^ “シトロエン、新型C4を初公開”. carview. (2011年6月2日)
- ^ “シトロエンC4 THP155 (FF/6AT)【海外試乗記】”. webCG. (2010年10月18日)
- ^ “個性的デザインの「シトロエンC4カクタス」発売 【ニュース】” (日本語). webCG. 2021年2月25日閲覧。
- ^ 『AUTO SPORT No.1099 2007年2月15日&22日号』P28-30 三栄書房刊
外部リンク[編集]
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タイプ | 1980年代 | 1990年代 | 2000年代 | 2010年代 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ハッチバック | 2CV | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
LN / LNA | AX | C1 I | C1 II | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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