セバスチャン・オジェ
セバスチャン・オジェ | |
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基本情報 | |
国籍 |
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WRCでの経歴 | |
活動時期 | 2008 - |
所属チーム | シトロエン、フォルクスワーゲン、Mスポーツ(フォード) |
出走回数 | 136 |
チャンピオン回数 | 6(2013 - 2018) |
優勝回数 | 46 |
表彰台回数 | 77 |
ステージ勝利数 | 558 |
通算獲得ポイント | 2126 |
初戦 | 2008 ラリー・メキシコ |
初勝利 | 2010 ラリー・ポルトガル |
最終勝利 | 2019 ラリー・メキシコ |
セバスチャン・オジェ(Sébastien Ogier、1983年12月17日 - )は、フランスオート=アルプ県ギャップ出身のラリードライバー。2013~2018年の世界ラリー選手権 (WRC) ドライバーズチャンピオン。
略歴[編集]
2007年にフランス国内で行われたプジョー・206カップを制して頭角を表す。
2008年には世界ラリー選手権(WRC)の下部カテゴリーであるジュニア世界ラリー選手権(JWRC)に参戦し、シリーズチャンピオンを獲得。この年からシトロエンの監督に就任したオリビエ・ケスネルに見出され、WRC最終戦グレートブリテンでC4 WRCをドライブ。オープニングステージでいきなりベストタイムをマークし、そのままSS5までラリーをリード。その後はトラブルに見舞われ26位に終わったが、世界に衝撃を与えたデビュー戦となった。
2009年にシトロエンのジュニアチームに昇格してWRCに本格参戦する。2010年のポルトガルで初優勝を記録し、同年のフィンランドではダニ・ソルドと入れ替わる形で初めてシトロエンのワークス・チームに昇格した。以後もグラベルイベントに限りソルドの代わりにワークスエントリーする形となり、初参戦のラリージャパンでも優勝した。

2011年はソルドがシトロエンから離脱したこともあり、正式にワークス・チームから全戦に出場することになり、シーズン5勝を挙げ完全にWRCのトップドライバーとして認識される。第5戦ヨルダンでは、最終SSとなるパワーステージまでヤリ=マティ・ラトバラとの優勝争いがもつれ込み0.2秒差で逆転優勝した。この2人のタイム差はWRC史上最も僅差での名勝負となった。しかしシトロエンチームではセバスチャン・ローブが絶対的なNo.1ドライバーとして君臨していることから、No.1としての待遇を求めて移籍を決断。2013年より本格参戦を予定しているフォルクスワーゲンに加入し、フォルクスワーゲン・ポロ R WRCの開発を担うことになった[1]。同年12月にはレース・オブ・チャンピオンズに初出場。フォルクスワーゲンに加入して初めてファンの前に姿を現すイベントとなったが、いきなり個人総合優勝を獲得した[2]。

2012年はポロの開発ドライバーを務めつつ、シュコダ・ファビアS2000でWRCに12戦に出場。WRカーに比べパワーの劣るS2000ながら、サルディニアではステージベストを叩き出し周囲を驚かした。ドライバーズランキングは10位に入った。
2013年より、フォルクスワーゲン ポロR WRCの参戦に合わせ、ワークスドライバーとして復帰。初戦モンテカルロはローブに次ぐ2位となるが、2戦目のスウェーデンにてポロR WRCの初勝利を飾る。その後も昨年までのローブを彷彿させる走りをみせ、シリーズ13戦中9勝で初のドライバーズチャンピオンを獲得。9連覇の記録を残してWRCを引退したローブの後継者争いで先頭に立った。
2014年も引き続きフォルクスワーゲンから参戦。この年はチームメイトのヤリ=マティ・ラトバラとの激しいチャンピオン争いを繰り広げ、一時はタイトル防衛が危ぶまれるも、シーズン8勝を挙げドライバーズチャンピオン連覇を果たした。
2015年もフォルクスワーゲンから参戦。新出走順規定に苦戦するものの8勝を挙げドライバーズチャンピオンを獲得した。オーストラリアではマーカス・グロンホルムを抜いて単独2位となるWRC通算31勝目を記録した(1位はローブの79勝)。
2016年やはり出走順規定に苦しめられ、モチベーションの低下を見せることもあったが、やはり安定した走りを見せて6勝を挙げ、トミ・マキネン、ローブ以来、3人目となるドライバーズチャンピオン4連覇に輝いた。この年限りで撤退を決めたフォルクスワーゲンでは、在籍した4年間の個人勝率6割(51戦31勝)という素晴らしい成績を残した。
2017年は、このシーズンから復帰するトヨタのテストにも参加したが、最終的にノンワークスのMスポーツへの移籍を決断した[3]。開幕1カ月前にチームが決まり、ほぼぶっつけ本番で臨んだモンテカルロで優勝し、Mスポーツに5年ぶりの勝利をもたらした[4]。シーズンを通してはライバルやチームメイトの活躍で優勝は2度に留まったものの、表彰台9回という安定感のある王者の走りで最終戦を前に5度目のチャンピオンを決めた。また同時にプライベーター体制のMスポーツとしては初のタイトル獲得も決まっている。なおシーズン中「フォードがワークス復帰しないならMスポーツを離脱するか引退する」と発言してきたが、11月末に残留を発表。その後にフォードがWRC復帰を発表した。
2018年開幕戦モンテカルロで優勝、この優勝と同時にトミ・マキネンの記録を破る前人未到のモンテカルロ5連覇を達成した。しかし次戦ラリー・スウェーデンでは例年以上に雪が多く、前戦優勝のオジェは最終SS時点で10番手であった。そこでパワーステージではチームの指示もあり、わざと出走を遅らせ、WRC2車両の後からステージを走って2位で4ptsを獲得。ペナルティは受けたものの、規定により総合タイムへの加算で済んだ。しかしこの戦略は大勢のファンからの非難を浴びた。 その後の第3戦メキシコ、第4戦コルシカと連勝し順調に見えたが、タイトル争い最大のライバルヒュンダイのティエリー・ヌービルとトヨタのオット・タナクの快進撃により一時ランキング3位にまで後退した。しかし前半の取りこぼしの多いタナクと安定感の無いヌービルとの差は僅差であり、第11戦ウェールズ・ラリーGBで前半戦コルシカ以来の勝利を挙げると、続く第12戦でも2位表彰台に立ちヌービルを逆転。わずか3ポイント差のランキング首位に立つ。そして最終第13戦オーストラリアではヌービルとタナクが最終日に揃ってリタイアとなり、最終SS直前にオジェがチャンピオン6連覇を決めた。
2019年はおよそ8年振りに古巣シトロエンへの復帰を果たす。移籍最初のモンテカルロを勝利で飾り、第3戦メキシコでも優勝を果たし着実にポイントを獲得して順調にみえたが、前年同様にライバルのヌービルとタナクの快進撃で一時ランキング3位に後退したが、第11戦ラリー・オブ・ターキーで前半戦のメキシコ以来の勝利を挙げ、続く第12戦でも3位表彰台に立ち、この時点でランキング首位のタナクに28ポイント差の2位につけた。第13戦カタルーニャではオープニングステージでトップタイムをマークし逆転チャンピオンに向け好スタートを切ったかに見えたが、続くステージでパワステトラブルに見舞われ一時28位にまで後退し、その後8位にまで挽回するが、ライバルのタナクは2位に入ったことでチャンピオンを獲得。これによりオジェの連覇は6でストップし、さらに2004年のセバスチャン・ローブのチャンピオン獲得から15年間続いていた、2人の「セバスチャン」によるフランス人黄金時代に終止符が打たれた。
WRCでの年度別成績[編集]
年 | エントラント | 車両 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | WDC | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2008 | エキープ・ド・フランスFFSA | シトロエン・C2 S1600 | MON | SWE | MEX 8 |
ARG | JOR 11 |
ITA 22 |
GRC | TUR | GER 19 |
NZL | ESP Ret |
FRA 20 |
JPN | 21st | 1 | ||
セバスチャン・オジェ | シトロエン・C2 R2 | FIN 35 |
|||||||||||||||||
エキープ・ド・フランスFFSA | シトロエン・C4 WRC | GBR 26 | |||||||||||||||||
2009 | シトロエン・ジュニアチーム | シトロエン・C4 WRC | IRE 6 |
NOR 10 |
CYP Ret |
POR 17 |
ARG 7 |
ITA Ret |
GRE 2 |
POL Ret |
FIN 6 |
AUS 5 |
ESP 5 |
GBR Ret |
8th | 24 | |||
2010 | シトロエン・ジュニアチーム | シトロエン・C4 WRC | SWE 5 |
MEX 3 |
JOR 6 |
TUR 4 |
NZL 2 |
POR 1 |
BUL 4 |
GER 3 |
FRA 6 |
ESP 10 |
4th | 167 | |||||
シトロエン・トタルWRT | FIN 2 |
JPN 1 |
GBR Ret |
||||||||||||||||
2011 | シトロエン・トタルWRT | シトロエン・DS3 WRC | SWE 4 |
MEX Ret |
POR 1 |
JOR 1 |
ITA 4 |
ARG 3 |
GRE 1 |
FIN 3 |
GER 1 |
AUS 11 |
FRA 1 |
ESP Ret |
GBR 11 |
3rd | 196 | ||
2012 | フォルクスワーゲン・モータースポーツ | シュコダ・ファビアWRC | MON Ret |
SWE 11 |
MEX 8 |
POR 7 |
ARG 7 |
GRE 7 |
NZL | FIN 10 |
GER 6 |
GBR 12 |
FRA 11 |
ITA 5 |
ESP Ret |
10th | 41 | ||
2013 | フォルクスワーゲン・モータースポーツ | フォルクスワーゲン・ポロ R WRC | MON 2 |
SWE 1 |
MEX 1 |
POR 1 |
ARG 2 |
GRE 10 |
ITA 1 |
FIN 1 |
GER 17 |
AUS 1 |
FRA 1 |
ESP 1 |
GBR 1 |
1st | 290 | ||
2014 | フォルクスワーゲン・モータースポーツ | フォルクスワーゲン・ポロ R WRC | MON 1 |
SWE 6 |
MEX 1 |
POR 1 |
ARG 2 |
ITA 1 |
POL 1 |
FIN 2 |
GER Ret |
AUS 1 |
FRA 13 |
ESP 1 |
GBR 1 |
1st | 267 | ||
2015 | フォルクスワーゲン・モータースポーツ | フォルクスワーゲン・ポロ R WRC | MON 1 |
SWE 1 |
MEX 1 |
ARG 17 |
POR 2 |
ITA 1 |
POL 1 |
FIN 2 |
GER 1 |
AUS 1 |
FRA 15 |
ESP Ret |
GBR 1 |
1st | 263 | ||
2016 | フォルクスワーゲン・モータースポーツ | フォルクスワーゲン・ポロ R WRC | MON 1 |
SWE 1 |
MEX 2 |
ARG 2 |
POR 3 |
ITA 3 |
POL 6 |
FIN 24 |
GER 1 |
CHN C |
FRA 1 |
ESP 1 |
GBR 1 |
AUS 2 |
1st | 268 | |
2017 | MスポーツWRT | フォード・フィエスタWRC | MON 1 |
SWE 3 |
MEX 2 |
FRA 2 |
ARG 4 |
POR 1 |
ITA 5 |
POL 3 |
FIN Ret |
GER 3 |
ESP 2 |
GBR 3 |
AUS 4 |
1st | 232 | ||
2018 | Mスポーツ・フォードWRT | フォード・フィエスタWRC | MON 1 |
SWE 10 |
MEX 1 |
FRA 1 |
ARG 4 |
POR Ret |
ITA 2 |
FIN 5 |
GER 4 |
TUR 10 |
GBR 1 |
ESP 2 |
AUS 5 |
1st | 219 | ||
2019 | シトロエン・トタルWRT | シトロエン・C3 WRC | MON 1 |
SWE 29 |
MEX 1 |
FRA 2 |
ARG 3 |
CHL 2 |
POR 3 |
ITA 41 |
FIN 5 |
GER 7 |
TUR | GBR | ESP | AUS | 3rd* | 165* |
脚注[編集]
- ^ セバスチャン・オジェ、フォルクスワーゲンに加入 - ラリーニュース・2011年11月23日
- ^ セバスチャン・オジェ、レース・オブ・チャンピオンを制す!! - 8Speed.net・2011年12月5日
- ^ “【WRC】VWで4連覇のオジェ、2017年はフォード フィエスタ で参戦…Mスポーツに移籍”. レスポンス. (2016年12月13日) 2017年3月24日閲覧。
- ^ “Mスポーツは5年ぶりのWRC優勝”. J SPORTS. (2017年1月25日) 2017年3月24日閲覧。
外部リンク[編集]
- 公式サイト(英語・フランス語)
- Sébastien Ogier (eWRC-results.com)
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