フォルクスワーゲン・ポロ R WRC

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フォルクスワーゲン・ポロ R WRC
2013-03-05 Geneva Motor Show 7961.JPG
2013-03-05 Geneva Motor Show 7960.JPG
乗車定員 2名
ボディタイプ 3ドアハッチバック
エンジン 1.6L 直列4気筒ターボ
駆動方式 4WD
最高出力 234kW (318PS)/6,250rpm
最大トルク 430Nm (43.8kg·m)/5,000rpm
変速機 6速シーケンシャルMT
サスペンション 前:マクファーソンストラット
後:マクファーソンストラット
全長 3,976mm
全幅 1,820mm
全高 1,356mm
ホイールベース 2,480mm
車両重量 1,200kg
-自動車のスペック表-

フォルクスワーゲン・ポロ R WRCVolkswagen Polo R WRC )は、フォルクスワーゲン2013年から世界ラリー選手権 (WRC) で使用している競技専用車(ワールドラリーカー)である。本項目では、公道仕様のポロ R WRC ストリートについても併せて記述する。

概要[編集]

2013年からのWRC参戦に合わせて、S2000WRCの規定に対応させるため、S2000車両をベースとして、かつてF1チームのザウバーで技術部門の責任者であるテクニカルディレクターを長く務めたウィリー・ランプが指導し、ダカール・ラリーで3年連続の優勝を果たしたVWモータースポーツのエンジニアを中心に約17ヶ月を掛けて開発された[1]。走破性を高めるためにボディの幅を規定限界の1,820mmまで拡大、外側に大きく張り出したオーバーフェンダーが特徴。

主なテストドライバーはセバスチャン・オジェカルロス・サインツ。プロトタイプマシンによる実戦での合計走行距離は4,800km、SSは120に及んだ。フォルクスワーゲン・モータースポーツ・チームの監督を務めるヨースト・カピートは、WRC会場でのインタビューに対して「出来る事は全て行った」と答えている[2]

メカニズム[編集]

エンジンは、1.6 リットル直列4気筒と直噴ターボを組み合わせたTSIターボラグを解消するミスファイアリングシステムが備わる。トランスミッションはフロアシフトの6速シーケンシャル、駆動方式はディファレンシャルギヤを介する4WDで、0-100km/h加速は3.9秒となっている。最高出力は318PSだが、レギュレーションで33mm径のエアリストリクターの装着が義務付けられているため300PSに制限されている[3]

沿革[編集]

2011年5月、第5戦 サルディニアの会場にて2013年からの参戦が表明されスタディモデル (コンセプトモデル) が公開された[4]。2012年12月8日、モナコでワールドプレミアを行い、全13戦に出場することを改めて発表、2013年1月15日から開催された第1戦のラリー・モンテカルロでデビューした。SS1でトップタイム、最終順位も2位と上々のスタートを切り、早くも第2戦のフィンランドでは初優勝、その後もデビューイヤーを感じさせない安定感と速さを見せ、同年のドライバーズ及びマニファクチャラーズのダブルタイトルを獲得した[5]

2014年モデルは、デザインの変更とともにデビューイヤーとなった2013年に生じた課題がフィードバックされ、シャシーや駆動系の改良、電気系プログラムの一新により、更に信頼性が向上している[6]

2016年までセバスチャン・オジェがドライバーズタイトルを4連覇するが、2016年11月にフォルクスワーゲンがWRCへのワークス参戦を終了することを発表[7]。2017年モデルがこの時点でほぼ完成していたことから、プライベーターへのマシン供給の可能性が取り沙汰されたが、国際自動車連盟(FIA)が2017年モデルのホモロゲーションを2017年2月に却下したため[8]、この可能性は潰えた。一方で2016年モデルについてはプライベーターへの供給が実現し、同年4月のオーストリア国内選手権を皮切りに参戦を継続している[9]

ポロ R WRC ストリート[編集]

WRCでのホモロゲーションを取得するための市販モデルで、2,500台[注釈 1]の限定モデルとして発売された[10]。ヨーロッパでは2012年12月11日から受注を開始、納車は2013年9月以降となったが、日本では正規輸入されず、僅かな台数が並行輸入されたのみである。

エクステリアはブルーとグレーのストライプでワークスをイメージさせるカラーリングが施され、インテリアは、WRCの文字が刺繍された皮革アルカンターラを組み合わせた専用スポーツシートを装備、ステアリングの表面素材もアルカンターラとなっている。競技車両と異なりオーバフェンダーではないものの、フロントパンパーに冷却効率向上のためスプリッター (整流板) やエアダクトが設けられるほか、リアには大型のルーフスポイラーディフューザーを装備。サスペンションの強化も施され、ホイールはターマック仕様と同径の18インチを装着する[11]

エンジンは、ゴルフVII用の2.0L 直列4気筒直噴ターボTSIで、最高出力は220PS、最大トルクは35.7kg·f、レッドゾーンは7,000rpmと、スペックはゴルフVIIのトップグレードと同一である。トランスミッションは6速MT。駆動方式は重量や価格を抑えるため4WDではなく2WDのFFを採用した。最高速度は243km/h、0-100km/hは6.4秒となっている[10]

注釈[編集]

  1. ^ WRカーの規定で、参戦車両の直接的なベースモデルは2,500台以上生産されているモデルに限られる。

出典[編集]

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  1. ^ “【VW】ポロR WRCカーがモナコでワールドプレミア”. Auto Prove. (2012年12月11日). http://autoprove.net/2012/12/27074.html 
  2. ^ WRC 2013 第2戦 スウェーデン . J SPORTS. (2013年2月10日)
  3. ^ “VWから、世界ラリー選手権参戦用マシン「ポロR WRC」と、その一般公道向け市販モデルが公開!”. autoblog. (2012年12月10日). http://jp.autoblog.com/2012/12/09/volkswagen-unveiled-polo-r-wrc/ 
  4. ^ “<DAY0>WRC 第5戦 ラリー・イタリア”. Car@nifty. (2011年5月6日). http://carnifty.cocolog-nifty.com/wrc/2011/05/day0wrc-5-29b6.html 
  5. ^ “【WRC】VW カピート総監督、ダブルタイトルに感無量”. Response. (2013年10月30日). http://response.jp/article/2013/10/30/209636.html 
  6. ^ “ポロWRCの2014年仕様は安定性向上がメインテーマ”. RALLY·X. (2014年1月10日). http://rallyx.net/news/ポロWRCの2014年仕様は安定性向上がメインテーマ-10082/ 
  7. ^ フォルクスワーゲン、16年限りのWRC撤退を正式発表! カスタマースポーツに集中 - オートスポーツ・2016年11月2日
  8. ^ FIA、フォルクスワーゲンの2017年版 ポロ R WRCの参戦を却下 - F1-Gate.com・2017年2月7日
  9. ^ フォルクスワーゲン・ポロR WRCがラリーに“復帰”。オーストリア国内戦に参戦へ - オートスポーツ・2017年4月25日
  10. ^ a b “フォルクスワーゲン・ポロR WRC”. AUTOCAR DIGITAL. (2013年7月6日). http://www.autocar.jp/firstdrives/2013/07/06/41410/ 
  11. ^ “VW ポロR WRC 、公道走行仕様の「ストリート」設定…220psターボ搭載”. Response. (2012年12月11日). http://response.jp/article/2012/12/11/186816.html 

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]