ワールドラリーカー

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ワールドラリーカー (World Rarry Car、通称: WRカー) とは、市販車両をベースとして大幅な改造を行った、FIA世界ラリー選手権(WRC)用の競技専用車両である。

フォード・フィエスタ RS WRC(2017年)

概要[編集]

WRCの車両クラス最上位のRC1に分類され、同じく競技クラス最上位のWRCで使用される車両である。1997年にグループAの特例として登場した規定。グループAが市販車に近すぎた結果、ホモロゲーション取得にあたっての各メーカーの負担が大きくなって衰退を招いた反省から、年間2,500台以上生産されている大衆車を大幅に改造することを認めている。規則上はグループAの特例として存在しており、「WRCキット変型」と称される。

外観は市販車に近いが内部は別物で、高出力のターボエンジンにシーケンシャルトランスミッションを組み合わせる。ベース車がFFの場合は4WDに変更されるほか、ボディのオーバーフェンダー化や大型の空力パーツが取り付けられ、サスペンションなども変更されている。

誕生当初は従来のようなCセグメントセダンが主流であったが、ノウハウの蓄積により、徐々に小回りの効くBセグメントハッチバックに取って代わられていった。

1997年 - 2010年[編集]

グループA規定での改造範囲は限定されており、エンジン、補機、空力パーツなどの変更が認められていないほか、改造元のベース車種は12ヶ月間に2,500台以上の生産義務が条件となっており、その結果高性能4WD車の売れる市場を母国に持つ日本のメーカーが席巻。規定導入時10社以上を数えたメーカーが4社にまで減少した。そのため、市販車グループAから派生した改造範囲の広い新規定『WRカー』が誕生した。 新規定では、年間に25,000台以上が生産されたモデルの派生車種であれば駆動方式の変更やターボ装着の有無などを自由とし、直接的なベース車が2,500台以上生産されていれば良いという条件に緩和された[1][2]

2006年、アクティブサスペンションが禁止されたほか、フロントとリアのディファレンシャルギヤが機械式となるなど、電子制御の介入が規制された[3]。2008年、エンジンの搭載位置と搭載角度は自由、年間で使用出来るエンジンの数は最大5基、最大排気量は2.0L、車両の最低重量は1,230kg、車幅は1,800mmまで[注 1]、FF車の4WD化、空力パーツの付与が認められている[4]。なお元々はフランス車メーカーのロビー活動により2WD限定の予定であったが、既存メーカーの猛反発により4WDへの換装を可能とした。

WRカー規定により、これまでグループAの生産台数規定の関係で参戦を妨げられていたヨーロッパの自動車メーカーが相次いでWRCに参戦し、一時は7つのワークスチームが参戦した他、競技用4WDのノウハウを持たないメーカーが多くの独立系コンストラクターを頼ったため、ラリー界が活性化した。しかしその後の不況による自動車メーカー自体の経営悪化やマシンの開発・価格の高騰、イベント数の増加などの様々な要因もあり、2009年にはシトロエンフォードの僅か2社となった。

2011年 - 2016年[編集]

WRカーのコスト高騰により新規ワークスの参入が事実上不可能な現状を打開するため、既にWTCCで導入されていたS2000規定の導入案が浮上する[注 2]。2008年、FIAはS2000をベースとしてWRカーに仕様変更可能な“S2000プラス”を提案、S2000車両を持たないスバル三菱には不利となるが、最終的にWTCCや他のカテゴリーと共通の規定の元に製作される1.6L直噴ターボエンジンをS2000車両に搭載したS2000 WRCとすることが決定された。

新規定では、トランスミッションが電子制御6速セミAT→機械式6速シーケンシャル、ディファレンシャルギヤはセンター・フロント・リアが全て機械式となった。その他には純粋なスーパー2000車両との差別化のため、最低重量は1,200kg[注 3]、全長は4,000mm→3,900mm、車幅は1,800mm→1,820mm、エアリストリクター径は34mm→33mmとされた[5][6]。なお2014年のみパドルシフトが禁止された。

2017年 -[編集]

WRCの人気低下に対する危機感から、WRカーをより魅力的なものにするため、S2000 WRCのコスト削減路線から方向を逆転換し、大幅な規制緩和を行った。[7]

具体的には以下の通りである。

  • エアリストリクター径の拡大。(33mm→36mm)
これによりエンジン最大出力が315馬力(2016年)から380馬力へ向上。
  • 最低重量の緩和。(1,200kg→1,175kg)
  • 全幅の拡大。(1,820mm→1,875mm)
  • リアディフューザーのオーバーハングを50mmまで認可、ウィングの開発も大幅緩和。
  • アクティブセンターデフの解禁。

一方で回生システムの導入は見送られた。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ベース車の全長が4,200mm以上の場合。
  2. ^ 2.0LのNAエンジンを使用し、ボディ補強など最低限の改造のみで競技車両を製作するものでPWRC規定と近い。
  3. ^ ドライバーとコ・ドライバーを含めた総重量は1,350kg。

出典[編集]

関連項目[編集]