クジラの子らは砂上に歌う

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
クジラの子らは砂上に歌う
Kujira no Kora wa Sajou ni Utau Logo.jpg
ジャンル SF漫画
漫画
作者 梅田阿比
出版社 秋田書店
掲載誌 ミステリーボニータ
レーベル ボニータコミックス
発表号 2013年7月号 -
巻数 既刊9巻(2017年3月16日現在)
アニメ
原作 梅田阿比
監督 イシグロキョウヘイ
シリーズ構成 横手美智子
キャラクターデザイン 飯塚晴子
音楽 堤博明
アニメーション制作 J.C.STAFF
製作 「クジラの子らは砂上に歌う」
製作委員会
放送局 TOKYO MXほか
放送期間 2017年10月 -
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

クジラの子らは砂上に歌う』(クジラのこらはさじょうにうたう)[1]は、梅田阿比による日本漫画作品。『ミステリーボニータ』(秋田書店)にて、2013年(平成25年)7月号から連載中。

概要[編集]

週刊少年チャンピオン』(同社刊)で活躍していた梅田阿比による砂漠戦記。連載作としては『ブルーイッシュ』に続き2作目の少女マンガ作品となる。

砂の海に浮かぶ巨船“泥クジラ”の民の運命を描き、超能力“情念動(サイミア)”を操る短命の“印”とそうではない“無印”の存在、住民は外の世界を全く知らないこと、また砂の海に浮かぶ前史文明の遺物など、多くの秘密を孕んだ世界を舞台に、記録係の少年チャクロの物語が展開していく。

このマンガがすごい!2015』オンナ編において10位にランクイン。『次にくるマンガ大賞』にノミネートされている。

あらすじ[編集]

砂がすべてを覆い尽くす世界。砂の海に浮かぶ巨大な漂泊船“泥クジラ”で暮らす人々の多くは、感情を発動源とする超能力“情念動(サイミア)”を操るも短命だった。

「外界から閉ざされた“泥クジラ”で短い一生を終える」

その運命を受け入れる少年チャクロは、ある日突然漂着した廃墟船の中で1人の少女と出会う。彼女の故国「帝国」は“泥クジラ”の住人の祖の故郷であり、自分達が流刑囚の末裔であることを知る。帝国との戦いの後、第3勢力「スィデラシア」の青年貴族ロハリト一党を仲間として迎え入れた矢先、チャクロらは短命の原因が“泥クジラ”に命を吸われているためだと知る。あまりにも残酷な秘密に他の者には隠し、守ってゆく誓いを立てる。しかし、無印を蔑み彼らに仕切られることに不満を抱く双児シコクとシコンが印である自分達が泥クジラの運命を決めて無印を切り捨てる呼びかけをし、泥クジラの住人の間に動揺が走る。

登場人物[編集]

声はアニメ版、演は舞台版キャスト。

泥クジラ[編集]

チャクロ
声 - 花江夏樹[2] / 演 - 赤澤燈[3]
印・14歳。物語の語り手。“泥クジラ”の記録係の心優しい少年。なんでも記録せずにはいられない“過書の病”(ハイパーグラフィア)。掟に従って個人的な感情は記さず、客観的事実だけを記録していた。ところが、後述する帝国の襲撃以来チャクロの私見を著した個人的日記と化した[4]。サイミアの制御が下手で、仲間からは“デストロイヤー”と恐れられる。
リコス
声 - 石見舞菜香[2] / 演 - 前島亜美[3]
印・?歳。本名不明。泥クジラの誕生以来、初めての来訪者として現れた外界の褐色の肌の少女。廃墟と化した船の上で放心していたところをチャクロに発見される。その存在が“泥クジラ“、そしてチャクロの運命を大きく左右する引き金となる。“泥クジラ”の住人の祖先である流刑囚を皆殺しに襲来した帝国の軍指揮官オルカの妹。当初は“人形兵士「アパトイア」”の1人として人間の感情を吸収して食べる「ヌース・リコス」により感情を失っていたが、次第に感情表現をするようになり、チャクロの前で涙を流すまでに至る[5]。更には、チャクロに少女らしい仄かな恋心を寄せる描写も見られるが、恋心を隠すなど普通の人間らしい心情を持つようにまでなる。
サミ
演 - 宮崎理奈[3]
印・13歳。スオウの妹でチャクロの幼なじみ。チャクロと非常に仲が良く、歩き疲れるとチャクロにだっこをねだることもあるなど、チャクロに好意を寄せていたことが推測できる[6]。帝国の最初の襲撃で絶命した。
スオウ
声 - 島﨑信長[2] / 演 - 崎山つばさ[3]
無印・17歳。“泥クジラ”の次期首長候補の少年。女性と見間違うほど美しい容貌であり、島の内外を問わずその美貌が女性を魅了し、それを利用する[7][8]。決して肉弾戦や運動神経には優れてはいないところが短所である。しかし、首長タイシャの跡継ぎとして期待され、チャクロら年若い者からの信頼も厚い。自身は無印なので長命だが、印の若者たちの短命を憂いている。タイシャの死により、正式に首長になった。リコスに帝国の秘密の一端を教えられるが、それ以外の“泥クジラ”破壊と流刑囚の末裔たる自分達の抹殺の理由があるのではと考える。気負うあまり全裸でロハリトらの前に飛び出し、裸族だと誤解されての邂逅だった。
タイシャ
演 - 中川えりか
スオウの先代の首長だった女性。首長任期17年の内で1年しか経っていない16年前の砂刑暦77年11月の数日間、ミゼンが生まれた「ミゼンの部屋」に監禁されていた。帝国の最初の襲撃で絶命した。
クチバ
演 - 一内侑
無印・39歳。スオウの側近。亡き先代の首長タイシャに想いを寄せていた。印の妻スミを押しつけられ、キクジンという印の子を持つ一児の父親。なお、スミとは死別。
シノノ
演 - 小林未往
無印。印の夫を失っているため、同じ印のマソオを愛しながらも気づかないふりをしている。そんな自身を嫌悪している。大酒飲み。
マソオ
演 - 村田洋二郎
印・28歳。クチバとは腐れ縁。砂の海の事故で娘を亡くしている。チャクロら子供達の兄貴分であり、印としての寿命が近づいていることで体が弱ってきており静養中であったが、第33節「我らの戦士のように」にて、その生涯を終える。無印のシノノを愛していた。腐れ縁と言いつつクチバとは信頼し合い、亡くなる直前、精神だけで彼に別れを告げに赴いた。酒癖が悪く、泣き叫ぶ。
オウニ
声 - 梅原裕一郎[2] / 演 - 山口大地[3]
印・16歳。泥クジラ随一の凄腕のサイミア使い。ヌースを沈めるほどの力を持ち、帝国から“悪霊(デモナス)”と呼ばれる。“泥クジラ”の誰もが両親を知らず、絶対に使えないはずの体内エリアで“情念動(サイミア)”を使えるなど謎が多い。
短命ゆえに焦っており、外界に出ようとしばしばトラブルを引き起こすグループ“体内モグラ”の一派のリーダー。しかし、現実には外界は夢見るような世界ではなかったことを知る。帝国との戦いでニビを失う。第25節で幽霊のような“泥クジラ”との遭遇で、倒れて意識不明に陥る。名前と年齢しか知らず、自身が何者かもわからない。シコクとシコンから「ヌースから生まれた化け物」と言われた。
ニビ
演 - 田口涼
印・オウニの1つ年上。“体内モグラ”の一員。幼少のころ、オウニにちょっかいをかけたことがきっかけで“情念動(サイミア)”を使った大喧嘩に発展したが、それにより二人揃って体内送りにされた際にオウニを自分たちの仲間に引き入れる。同じく“体内モグラ”の一員である双子シコクとシコンとは折り合いが悪く、対立していた。
オウニを外の世界へ連れて行くことを夢見ていたが、スキロス防衛戦の際に特別任務突撃隊に半ば飛び込むように参加し、4巻第15節「その日を摘め」にて、船内で“人形兵士(アパトイア)”の槍に貫かれて絶命した。
キチャ
演 - 椙山さと美
印・?歳。“体内モグラ”唯一の女の子。耳のついた帽子と、少し男っぽい話し方が特徴。オウニに想いを寄せている。
ギンシュ
声 - 小松未可子[2] / 演 - 小市眞琴[3]
印・16歳。勝手にあだ名を付けていく男勝りの女性自警団員。スキロス防衛戦、戦艦スキロス破壊戦活躍した。帝国の襲撃以来、敵の兵士に反撃をしたチャクロに興味を抱いている。チャクロに対する呼び名は「チャッキ―」[9]
シュアン[10]
声 - 神谷浩史[2] / 演 - 五十嵐麻朝[3]
印・26歳。自警団を率いる団長。長老の1人であるラシャの息子。その実力は確かである。オウニとの戦闘の際はおろか、自身の妻に対しても形としては見えない心の意義を否定している[11]。言動は狂気に満ちているが、スキロス防衛戦では帝国の難敵リョダリを退けた。第25節「遭遇」でのビャクロクによれば、救いを必要とする心の傷がある。幽霊のようなもう1つの“泥クジラ”とすれ違った瞬間、母親と少年時代の満面の笑みを浮かべた自身の幻を見て動揺した。団長を辞めた。実は、デモナスに作り変える実験という禁忌の犠牲者であり、ファレナが食べてきた命と合成された。アモンロギア公の無理難題に真っ向から対立したスオウを守り、サイミアを発動させる。
シエナ
団長の妻。夫に言われた通り、命を絶った。
ハクジ
長老会の一員。最初の帝国の襲撃で誇りを持って皆で死ぬことを選ぶが、チャクロらの反対と帝国の兵士だったリコスの説得により生きて未来を掴むことを決意する。2度目の襲撃で子供らの幸福な未来を願いつつ絶命した。
ラシャ
団長の母親。長老会の一員。
コガレ
チャクロの祖父。無印で長老会の一員だが、長老会の服装を纏うことなく皆と同じ服装をしている。インクに使われるタデスミの染料で髪を黒々と染めている。最長老ビャクロクが10歳の時に生を受けた。
キクジン
印・?歳。首長スオウの側近クチバの子。父を「お父(おとう)」と呼ぶ。チャクロの祖父コガレを文字の師匠と仰ぎ、師の孫であるチャクロの観察者である。時折、数年後のチャクロとの対話が挿入される。第1節冒頭のベニヒの葬儀からずっと登場していたが、特に名前も呼ばれることもないその他大勢の印の子供の1人として描かれたが、第5巻に収録された「-或る記録-記録者の譚歌(バラッド)」より名前を呼ばれ、人間関係が明らかになる。
ミル
無印・?歳。次期首長。
シコク、シコン
もう1つの“体内モグラ”のグループ。オウニに惹かれてはいるが、ニビと折り合いが悪く対立している。無印を足手まといだと蔑み、印こそが“泥クジラ”を先導すべきだと住民の間に亀裂を生じさせる。謎の少女エマに唆される。チャクロらが隠していた「ミゼンの部屋」の秘密を知る。
ベニヒ
印・29歳。チャクロらのサイミアの教師。供花はシシイロギク。
ネリ、エマ
演 - 大野未来(ネリ)[3]
時折、チャクロやビャクロクの前に現れる謎の少女。ネリは平和を望み、エマは争乱を望む。
ビャクロク
長老会の最長老。3代目首長。母の胎内にいたころに母とその仲間が流されたため、帝国に関する思い出は無い。砂上生活に適応できずに母親を早くに失ったため、初代首長ズィオを母や姉のように慕っていた。しかし、10歳の時から太陽のように輝く彼女の瞳が濁り曇り始め、人々に傷を負わせ命を奪うミゼンがズィオの命令で行動していることを知る。ズィオとミゼンが自ら死を選んでから9年後の25歳の時、首長になった。第25節で幽霊のような過去の“泥クジラ”の幻影と遭遇した際、チャクロを少年時代のコガレと間違えながらも別人のように振る舞い、倒れたオウニも団長も救えると告げるが、その直後、危篤状態に陥り周囲は万が一を覚悟する必要に迫られる。
ズィオ
初代首長。故国である帝国の感情統制に反対して「ヌース・アンスロポス」に奪われる感情を最小限に抑える「魂肉(サルクス)」を高官の屋敷から盗んでは人々に分け与える活動家の1人で「革命」を画策するも露見し、流刑に処された人々の1人。天使とも悪霊(デモナス)とも呼ばれる存在を生む一族の女性。ミゼンを生んで愛していたエカトを処刑してでも島の仲間を守ろうとしたが、次第に心を病んでゆき当時のリーダー組織「塔上会」との対立の末に投身自殺した。
チャクロらが第22節「時の塔」で出会った王子が慕う叔父、帝国に滅ぼされた白い道の王国の宮廷道化師に飾り玉を譲り受けて身につけていた。彼にとって敵である帝国の民を笑わせようとする姿に心を打たれ、議会に反して“心ある世界”を目指す決意をした。
エカト
ファレナの囚人を流刑にした国の最高議会「魂召会(エクレシア)」の議員の孫。密偵としてファレナに流されるが、忠誠心を疑われて再教育を受けたこともあり、密偵という形で流刑に処されたかもしれなかった。真相はわからないまま、自ら望んでミゼンに処刑された。
ミゼン(零)
「デモナス」と呼ばれる闇の存在。“泥クジラ”のズィオの情砂(ササ)が満ち溢れてズィオと彼女の一族が「泉の部屋」と呼んでいた隠された「ミゼンの部屋」で10歳の姿で誕生し、ズィオを「ママ」「かあさん」と呼んで彼女の命じるままに血しぶきだけを残して相手の肉体を消滅させて殺戮を行った。母ズィオの「島を守りたい」という願いに従って行動していたが、自分達が泥クジラを守れない存在であり、ビャクロクこそが光に満ち溢れた未来に繋がるリーダーなのだと知っていたため、敢えて彼の槍を受け「塔上会」メンバーの矢に射抜かれて死んだ。

帝国[編集]

オルカ
演 - 佐伯大地[3]
リコスの兄。本名不明。人形兵士「アパトイア」を率いる軍団を指揮する長官。“泥クジラ”の住人を皆殺しにしようと襲撃して失敗し、帝国に8つしかない「ヌース」の1つを戦艦スキロスと共に失ったため、責任を課す意味を含めて「魂召会(エクレシア)」より処刑を言い渡されたが、詭弁を弄して免れた。オウニを“悪霊(デモナス)”と見なし、手中に収めることを目論んでいる[12]。10年以上前、アパトイアだったころ、攻撃されても防御しないので出撃のたびに傷だらけで帰還する。そのころ、妹としか話そうとはしなかった。いつも俯いていたため、周囲の目には小柄に映った。サイミアの能力の高さと頭の切れにより仲間に「オルカ(鯱)」と呼ばれていたのが、そのまま定着して「オルカ」と呼ばれる。
第40節「闇色の砲声」でアモンロギアを攻撃した際、サイミアで技術的に優勢な敵の砲撃を遮り、届かぬ味方の砲撃を命中させた。「死神」「人間主砲」と呼ばれており、奇行を繰り返しても誰も殺すことが不可能となっている。
リョダリ
声 - 山下大輝[2] / 演 - 碕理人[3]
“泥クジラ”を襲撃した兵士の1人。リコスとは幼馴染。魂肉(サルクス)を食べたように感情を殆ど食われず、特に狂気ともいえる部分が多大に残ったため族に切り捨てられてしまった。死泥クジラへ二度目の攻撃の際、シュアンに致命傷を加えられ、その後子供たちに襲われ砂の海に転落、砂マンボウといわれる生き物に運ばれ生還。正気をなくしたことにしてオルカが道化として手駒になれと言われ、無理やりに彼の支配下に置かれてしまう。しかし、ファレナで再び暴れるにはオルカに従うのが最良だと悟り、彼に従い刺客を退けたりする。
アラフニ
戦艦スキロスの総司令。作戦の失敗によりオルカ共々に処断されかけるが、詭弁を弄して議会の追及を躱して死刑を免れたオルカに失敗は自身の独断専行が原因ということにされ射殺されてしまう。
イティア
スキロスに搭乗して記録の仕事を従事した書記官の女性。責任回避に指を失ったオルカに代わり、記録する者として必要とされた。「魂肉(サルクス)」を与えるのは3親等までしか許されていないため、オルカに妻にと言われ「」という意味の名を命名された。
アツァリ
アパトイア軍団の現軍団長官。「魂召会(エクレシア)」に対して発言力がある。アパトイア時代のオルカを知っており、その後との差異があまりに顕著な彼を気味悪く思っている。そのため、今後の警告の意味で刺客を差し向けた。「魂形(ヌース)」を常食する者としての一例として、話す時に金属音のような喘鳴が聞こえる。オルカ曰く「冷えきった金属」のような人物。

スィデラシア連合王国[編集]

ロハリト・ノ・アモンロギア
17歳。フルネームは「ロハリト・アナステナグモス・ネイエ=イミスキン・エマリカ・アンティパトロス・ノ・アモンロギア」。ギンシュに「ロハリン」と渾名を付けられた。
アモンロギア家の末子、四男。コミックス第5巻の第17節「遠来の旅人」で船の遭難により部下を引き連れて泥クジラに上陸し、紆余曲折の末に仲間として迎え入れられた。帝国とは別の国「スィデラシア連合王国」アモンロギア公領の領主アモンロギア公爵の息子である。一人称は「余」。チャクロを「地味〜モンキー」、リコスを「褐色女」、スオウを「オトボケザル」と呼ぶ。周囲には我が儘なだけに映るが、時の塔で出会った王子の魂や彼の失われた王国に心を痛める優しさも持ち合わせている。継ぐべき爵位も土地もないため、スィデラシア国王の家臣として戦地に赴くことになっている。
父や兄に従わされているが、心は“泥クジラ”の一員となっている。
ディクティス
ロハリトの次兄。自身の髪を守れと部下に命じるほど髪の毛が大切である。サイミアを軽んじており、オルカに技術の優劣をサイミアで覆されて愕然となる。
アディヒラス
ロハリトの長兄。
パラメソス
ロハリトのすぐ上の兄。
アモンロギア公ダクティラ
ロハリトの父親。“泥クジラ”の民を蔑んでいる。移住する条件として“泥クジラ”を譲ること、自身が魔法使いと呼ぶ“印”をスィデラシア国王に献上することだと宣言、“印”を守ろうとするスオウと激しく対立する。

その他[編集]

オリヴィニス
泥クジラのネリやエマのような存在で、一人称は「ぼく」。性別不明で、チャクロは女の子かと思った。
コカロ
帝国の戦艦スキロスのヌースが破壊され、その際にオリヴィニスによりチャクロが与えられた謎の小動物。オリヴィニスは「アンスロポスの骨(コカロ)」と呼び、エマを「血」と語った。実は行き先を定められず自由に動かすことが不可能だと思われていた“泥クジラ”を操縦する
王子
コミックス第6巻の第22節「時の塔」にてチャクロらが時の塔で出会った亡国の王子。実は死霊。100年以上前、帝国の侵略により故国は滅ぼされてしまう。父王は処刑、母である王妃と姉姫2人は隠れていた塔の牢獄ごと焼き殺され、宮廷道化師の叔父は手足を捩じり折られ、自身は左腕を斬り落とされて隻腕となり“黒い将軍”に捕縛され虜囚となるも一旦は裏切った家臣によって逃がされた。しかし、世界をさ迷い帝国が押し寄せる前の幸福な時間を思いつつ絶命した。チャクロが真の時間は過ぎて戻らないが、記録すると告げられて浄化した。
コミックス第7巻に収録された「もう一つの記録 光の隣 壁の空」[13]の舞台となった国の国王の息子。
宮廷道化師
第22節でチャクロらが出会った王子の叔父。黒髪で美形。白い道の王国の国王の異母弟で、道化師の女性が好きな先代の王と隣国から売られてきた女道化師の息子。3歳のころ、母親を失って以降は侍従として兄王に仕えた。「光の隣 壁の空」で母が郷里に残して来た父親の違う姉が先王を殺した後、犯人とされて投獄された。しかし、新しい女道化師の正体を知らずに自身の出自を打ち明け、釈放されて再び兄王のそばに戻ることが叶い、以前にもまして固い絆で結ばれた。
巨人のような巨体だった母と異父姉の遺伝子を受け継いでおり、兄王の元に戻って以降は甥である王子に「魔人の如く」と評されるほど大きな身体になった。鮮やかな刺青と“死の力”を操る「黒い船の国(帝国)」の侵略で故国が滅んだ際、最後まで兄王と甥を守ろうと戦い敵兵に長い手足を捩り折られ左足を失うが、道化師ゆえにその存在を軽視されて殺されることはなかった。諸国をさ迷った末に帝国に辿り着き、残された時を帝国の民を笑わせようと努力することに費やした。幼いころの“泥クジラ”の初代首長ズィオと出会って飾り玉を彼女にプレゼントし、敵国の民を笑わせようとする姿は誰もが笑って暮らせる世界を目指そうとするズィオの原点となった。
国王
白い道の王国の最後の王。チャクロが出会った王子の父親で、道化師の異母兄。父同様に他人を信じることが苦手で孤独な人物だった。先王を殺したのは弟だという噂を聞いて投獄してしまうが、女道化師が石化した朝の不思議な光を見て牢獄に駆けつけ、再び弟を自身のそばに戻した。燃え盛る木の実のような赤い髪とその髪に触れれば2度と凍えることはないと評される暖かさを内面に持つ王妃を異国より娶り、その王妃と同じ赤毛の王女2人と自身と同じ黒髪の王子を授かる。しかし、帝国の侵略により妻と輿入れの決まっていた娘を焼き殺され、自身は捕縛されて数日後に処刑された。
女道化師
白い道の王国の過去を描く「光の隣 壁の空」[14]で先王を毒殺した真犯人。実は後に宮廷道化師となった国王の異母弟とは父親の違う姉弟である。隣国出身で、売られて宮廷道化師となった母親が冤罪で投獄された末に病死して遺髪が送られてきたため、自ら道化師となって宮廷に入り込んで憎い先王を殺した。わざと国王を挑発して牢獄に赴いて見知った顔の侍従の少年と同室になる。しばらくして彼の出自を打ち明けられ、自身の知らぬところで生れ落ちた異父弟であることと先王を自身が殺したことで彼を冤罪で牢獄に送り込んでしまったことを知る。命を司る“天の光”に弟の敬愛が国王に届くことを祈り、石化して牢獄の石壁と融合した。

用語[編集]

情念動(サイミア)
泥クジラの住民の9割を占める“印(しるし)”と呼ばれる者が操る念能力。念じることで身体に“念紋(アウラ)”と呼ぶ痣が浮かび器物などを動かす。
泥クジラ
砂の海を漂流する漂泊船。船上には中央塔から第5塔までの5つのや居住区、工房・医務室などを含めた専門塔、農園貯水池竹林などがあり、建造物はすべて泥でできている。執政は長老会が行い、物語開始時点での人口は513人。
元は帝国の流刑囚を祖としており、流された当初は襲来した帝国兵士らと同じ外見で褐色の肌だったが、命を喰らう「ヌース・ファレナ」の影響か砂上生活のせいかは不明ながらミルク色に近い白っぽい肌の色になった。なお、竹林は流刑囚が辿り着いたころ、茂り始めた。
魂形(ヌース)
“泥クジラ”の船の心臓みたいなもの。通常は「感情」を喰うのだが、“泥クジラ(ファレナ)”は特殊で「命」を喰らう。“泥クジラ”の「ヌース・ファレナ」を除く「ヌース」は感情を喰らうことで、その保持者は感情を喰われた人間を支配することが可能である。記憶の改竄すら出来る。
長老会
泥クジラの執政を司る集団。61歳で長老会の一員となる決まりだが、実は印が短命であることに関する秘密を守る組織でもあった。
体内エリア
泥クジラの深部。ここでは何故か“情念動(サイミア)”が発動しないため、主に監獄として使用されている。
印(しるし)
チャクロ、リコス、サミ、オウニ、マソオ、キクジンなど、サイミアを使える者のこと。皆が“泥クジラ”に命を吸われて短命で30歳前後で死んでしまう。
無印(むいん)
スオウ、ネリ、タイシャ、クチバ、長老会メンバーなど、サイミアを使えない者のこと。泥クジラで1割前後の少数派だが、長命なので長老会や首長、首長候補など執政を担う立場になる者が多い。“印”とは共にいられる時間が短く、彼らを犠牲にして生きているという罪の意識があるため、親兄弟であっても一緒にいることが少ない。
帝国
皇帝と最高議会「魂召会(エクレシア)」により、世が乱れ災厄を招くと“情砂(ササ)”を嫌悪して「偉大なる魂形(ヌース)・魂人(アンスロポス)」と呼ぶ「ヌース」による感情統制を敷いている。住民は全員が褐色の肌である。帝国の最大の敵国が砂の海を「ヌース」無しで航行できる技術を開発したことに危機感を募らせ、発展の原動力と象徴である「ヌース」が不要になることは大問題であり、感情のままに憎しみと疑心暗鬼で殺し合い砂の海に閉じ込められた牢獄のような生き地獄の島だとした“泥クジラ”が敵国に発見されることを避けようとしてきた。詳細は不明だが、名前を名乗ることが禁じられている。
人形兵士(アパトイア)
帝国軍で人間の感情を喰らう本来の「ヌース」に感情を渡し、指揮官の統制下に置かれる兵士。
魂召会(エクレシア)
帝国の最高議会。“情砂(ササ)”が満ちると世の中が乱れると恐れて「ヌース・アンスロポス」による感情統制を行い、それに反抗して「革命」を起こそうとした活動家を“泥クジラ(ファレナ)”流刑に処し、93年後にアパトイアによる皆殺しを企んだ。
時の塔
帝国に伝わる説話の1つだとリコスは思っていたが、実在することが判明した。頂上に辿り着くと望んだ時間に戻れるとされる。
白い道の王国
100年以上も前に帝国の侵略で滅んだ国。作物に恵まれず砂海の“砂骨化石(アポリソマ)”を特産品とし、交易のために整備した白い道を使って異国との交易で故国を発展させた。黒髪の国王と赤毛の王妃と王女、末子である黒髪の王子、国王の腹違いの弟である道化師の故国。素朴で忍耐強い民が暮らしていた。
魂肉(サルクス)
魂形(ヌース)の肉。ヌースに喰われる感情の量を最小限に抑える効果のある物体。出世した軍人はこれを与えられる特権階級になり定期的に、これを食すれば心を守られるようになる代償に、サイミアの能力は落ちてしまう。発音が不明瞭になったり、アツァリのようにキィインという金属音のような喘鳴が聞こえる例もある。
アルクダ
ズィオら活動家を“泥クジラ”に護送した船。この船は「ヌースの船」としては不完全で、刑罰の一環として流刑囚の“情念動(サイミア)”で補うことにより囚人の3割を憔悴させ死に至らしめた。
塔上会
初期のファレナ(泥クジラ)で、印と無印の各代表により構成されたリーダー組織。長老会の前身。

書誌情報[編集]

舞台[編集]

同名タイトルの舞台作品が、2016年4月にAiiA 2.5 Theater Tokyoで上演。 脚本・演出は松崎史也、主催はエイベックス・ライヴ・クリエイティヴ、Office ENDLESS[15]

テレビアニメ[編集]

2017年10月よりTOKYO MXサンテレビKBS京都BS11にて放送及びNetflixにて配信予定[16][17][2]

スタッフ[編集]

放送局[編集]

日本国内 テレビ / 放送期間および放送時間
放送期間 放送時間 放送局 対象地域 [18] 備考
2017年10月 - 未定 TOKYO MX 東京都
KBS京都 京都府
サンテレビ 兵庫県
BS11 日本全域 BS放送 / 『ANIME+』枠
日本国内 インターネット / 放送期間および放送時間
配信期間 更新時間 配信サイト
2017年10月 - 未定 Netflix

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 『ミステリーボニータ』2013年6月号に予告が掲載された時のタイトルは『ウイジ・クジラの感傷航海』だった。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n アニメ「クジ砂」チャクロは花江夏樹、リコスは石見舞菜香!キービジュも公開”. コミックナタリー (2017年7月6日). 2017年7月6日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j 舞台「クジラの子らは砂上に歌う」キャスト発表、主演は赤澤燈”. コミックナタリー (2016年1月28日). 2016年1月28日閲覧。
  4. ^ 第1巻 p.140
  5. ^ 第1巻 p.133
  6. ^ 第1巻 p.124
  7. ^ 第1巻 P154
  8. ^ 第5巻 P24
  9. ^ 第2巻 113頁。
  10. ^ 第4巻 p.155
  11. ^ 第3巻 p.93
  12. ^ 第5巻 p.69
  13. ^ ミステリーボニータ2012年12月号に掲載された。
  14. ^ 発表したのはこちらが先だが、コミックス収録は後になる。
  15. ^ “梅田阿比「クジラの子らは砂上に歌う」舞台化!6巻は本日発売”. コミックナタリー. (2015年12月17日). http://natalie.mu/comic/news/169425 2015年12月17日閲覧。 
  16. ^ “「クジラの子らは砂上に歌う」アニメ化決定!砂に覆われた世界のファンタジー”. コミックナタリー. (2017年1月6日). http://natalie.mu/comic/news/215829 2017年1月6日閲覧。 
  17. ^ a b c d e f g “ミステリーボニータ連載『クジラの子らは砂上に歌う』10月よりTVアニメ放送決定! 監督はイシグロキョウヘイ氏に”. アニメイトタイムズ (アニメイト). (2017年3月16日). http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1489622591 2017年3月16日閲覧。 
  18. ^ テレビ放送対象地域の出典: 放送分野の動向及び規制・制度(資料2)”. 政府規制等と競争政策に関する研究会通信・放送の融合の進展下における放送分野の競争政策の在り方. 公正取引委員会. p. 2 (2009年10月9日). 2016年8月12日閲覧。 基幹放送普及計画”. 郵政省告示第六百六十号 (1988年10月1日). 2016年8月12日閲覧。 地デジ放送局情報”. 一般社団法人デジタル放送推進協会. 2016年8月12日閲覧。

外部リンク[編集]