自動車専用道路
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
日本の道路法に基づく自動車専用道路(じどうしゃせんようどうろ)とは、道路管理者によって指定された自動車のみの一般交通の用に供する道路又は道路の部分である(道路法第48条の2)。日本では、一般国道自動車専用道路(高規格幹線道路)、都市高速道路(地域高規格道路)、その他の自動車専用道路とともに、自動車専用道路として扱われ、自動車専用の道路の一種と見なされる。
さらに、高速自動車国道法に基づく高速自動車国道を合わせ、日本では『高速道路』と呼ばれ、同じく自動車専用の道路に該当する。本稿ではこれらに共通する交通規制についても説明する。
なお、あらゆる交通(歩行者、車両、馬車などの通行)の用に供する道路は一般道路と呼ばれ、したがって自動車専用ではない。
概要
道路法に基づく自動車専用道路
道路法第48条の2において道路管理者は、次の場合に未供用の道路又は道路の部分を自動車のみの一般交通の用に供する道路として指定することができる(高速自動車国道は除く)。
- 交通が著しく輻輳して道路における車両の能率的な運行に支障のある市街地及びその周辺の地域において、交通の円滑を図るために必要があると認める場合 (同条第1項)
- 交通が著しく輻輳(見込みを含む)することにより車両の能率的な運行に支障もしくは道路交通騒音により生ずる障害がある(そのおそれを含む)道路の区間内において、交通の円滑又は道路交通騒音により生ずる障害の防止を図るために必要があると認める場合。ただし当該区間を自動車以外の方法による通行に支障がない場合に限る (同条第2項)
歴史
1961年8月15日に全国初の自動車専用道路として一級国道14号京葉道路が指定され、翌1962年3月31日には自動車専用道路第2号として一級国道1号箱根新道が開通した。
一般国道自動車専用道路
高規格幹線道路の一種。
都市高速道路
地域高規格道路の一種。
その他の自動車専用道路
道路構造令との関係
道路構造令による第1種(地方部)、第2種(都市部)の道路が、概ねこれら自動車専用道路に該当する(道路構造令による分類は道路を参照)。
- ただし第1種道路でも暫定的に一般道路として供用されている道路(一般国道23号豊橋東・豊橋バイパス〈野依IC - 大崎IC〉)が存在する。
- また第3種道路でも自動車専用道路に指定されている道路(常陸那珂有料道路)が存在する。
交通規制
日本の自動車専用の道路は自動車による以外の方法では通行してはならない。 道路法において「自動車」とは道路運送車両法第2条第3項による自動車を指し、したがってそれ以外の、歩行者・軽車両・小型自動二輪車[1]・ミニカー、原動機付自転車[2]、路面電車は通行が禁止される。また本線では駐停車禁止である。
道路標識
自動車専用の道路の入口・出口には自動車専用の規制標識[3]が設置される。
公安委員会との協議
道路管理者による自動車専用道路の指定と都道府県公安委員会の通行の禁止は規制主体が異なり、相互の調整を要する規制であるため、道路法第95条の2第2項により、道路管理者が自動車専用道路を指定しようとする場合、事前に都道府県公安委員会に協議を行うよう定められている。
高速自動車国道
高速自動車国道と、広義の自動車専用道路(都市高速道路なども含む)とを合わせて『高速道路』と呼ばれ、従って自動車専用の道路の一種である。
『交通の方法に関する教則(昭和53年10月30日国家公安委員会告示第3号)』においては、この『高速道路』における交通の方法を説明している(第7章 高速道路での走行)。
高速自動車国道の入口には自動車専用の標識の下部へ補助標識が加えられる。これによって法定最低速度制限および小型特殊自動車の通行禁止が示される。
また道路上では最低速度を示す標識の存在により高速自動車国道であることを判断できる。道路の運用上も自動車専用道路と連続する場合は自動車専用道路区間のみ最高速度(必要に応じ最低速度)を規制する標識を立ててあるので、ドライバーは標識に従っていれば両者の区別を意識する必要はない。
速度制限
自動車専用道路が高速自動車国道とは異なる点として、最高速度・最低速度に関する規制が原則的に一般道路と同等である点がある。したがって、法定の最高速度は一般道路の値が準用され、別途道路標識等による速度制限の指定がない場合の最高速度は60 km/h(緊急自動車は80 km/h)である。これに対し、「高速自動車国道の本線車道のうち対面通行でない区間」においては自動車の種類に応じて100 km/hまたは80 km/h等となっている。
また自動車専用道路には法定の最低速度の規定もなく、小型特殊自動車や故障等で他の車を牽引している場合等で法令上50 km/h以上の速度を出せない自動車であっても、自動車専用道路の通行は可能である。実際は小型特殊自動車は物理的な最高速度が15 km/h以下(農耕作業用は35 km/h未満)であるためなどにより、乗り入れは少ない。
実質上の自動車専用の道路
公安委員会により自動車専用指定とした一般道路
都道府県公安委員会は、一般道路に対して、道路交通法第4条に則り歩行者又は車両等の通行の禁止の指定により自動車専用の道路と同等の規制を行うことができる[5]。
一般道路であるので、自動車専用の標識ではなく規制標識によって歩行者・原動機付自転車等の通行を規制することになる。またそのままでは駐停車禁止等の規定は適用されず、必要に応じ個々に駐停車禁止などの規制を行うこととなる。
また案内標識は緑色ではなく青色である。
最高速度
最高速度は通常は 60km/h である。ただし、都道府県公安委員会により最高速度 80km/h とする道路がある(宇都宮北道路、鬼怒テクノ通りの一部)。
道路運送法に基づく自動車道
道路運送法に基づく自動車道は、道路交通法による一部車両通行規制として、一部の道路を除き自動車専用道路と同等の通行車両制限が行われている。
脚注
- ^ 第二種原動機付自転車(道路運送車両法)
- ^ 第一種原動機付自転車(道路運送車両法)
- ^ “道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 別表第2”. 2017年8月3日閲覧。 - 同命令第3条に規定があり、同表 (325) にデザインが記されている。
- ^ ただし、秋田中央道路(トンネル区間)は自動車専用道路だが、入り口の案内標識は青色である(旭北出入口、駅東出入口)。
- ^ 例えば、大阪港咲洲トンネル、嵐山高雄パークウェイ、みやぎ県北高速幹線道路、白糸ハイランドウェイは自動車専用道路と同等の交通規制である。