米州機構
米州機構(べいしゅうきこう、略称:OAS)は、1948年に調印されたボゴタ憲章(米州機構憲章)に基づいて、1951年に発足した国際機関である。本部はアメリカ合衆国のワシントンD.C.。
南北アメリカの国々の平和と安全保障・紛争の平和解決や加盟諸国の相互躍進を謳う。
1970年代以降、最重要の問題を扱う場ではなくなった。
名称
- Organization of American States(英語)
- Organisation des États Américains (フランス語)
- Organización de los Estados Americanos(スペイン語)
- Organização dos Estados Americanos(ポルトガル語)
設立の経緯やその後の経過
1890年に発足したアメリカ国際共和国連合(International Union of American Republics)と、1910年に発足した汎米連合(Pan American Union、米州連合とも)が前身。
- 1948年 - コロンビア・ボゴタで米州機構憲章(Charter of the Organization of American States、通称「ボゴタ憲章」)が調印される。
- 1951年 - ボゴタ憲章に基づいて米州機構が発足。当初は、アメリカ合衆国主導の反共主義同盟の色合いが濃く、アメリカによる中南米支配の道具と言われた。
- 1962年 - キューバが除名される。
- 2001年6月 - 第31回総会がコスタリカで開催され、加盟国を民主主義国に限定すべしという提案がアメリカより為されたが、採択されなかった。
- 2002年4月 - ベネズエラ政変でウゴ・チャベス政権の正当性を認めた。
- 2003年4月 - ベネズエラで国民和解の仲介をした。
- 2005年5月 - 事務総長にチリで内務大臣を務めたミゲル・インスルサが就任した。米国が支持しなかった候補が選ばれたのは同機構の歴史ではじめて。
- 2009年
- 4月 - トリニダード・トバゴの首都ポートオブスペインで第5回首脳会談が17日から3日間開かれた。
- 6月2日 - ホンジュラスのサンペドロスラで総会。総会ではキューバを追放した1962年の決議無効を決定。しかしキューバはラウル・カストロ国家評議会議長が「OASは消え去るべき略語」、フィデル前議長も「ゴミ溜め」とこき下ろしており復帰を拒否する様子。
- 6月28日 - 緊急会合で、ホンジュラスの軍事クーデターを非難。追放された大統領ホセ・マヌエル・セラヤ・ロサレスの即時無条件復帰を求める決議を採択[1]。7月4日までに復職させるよう申し入れたものの期限を過ぎても実行されなかったため、同日を以って構成国資格停止。
- 2010年
- 3月 - 事務総長選挙が行われる。“中南米の左派連合に迎合している”とインスルサを批判したワシントン・ポストの社説をめぐって議論が起きている。ブラジルのセルソ・ルイス・ヌーネス・アモリン外務大臣は「中南米の民主主義を否定するもの」とこの社説を批判した。オバマ政権は誰を推薦するか明らかにしていない。
- 11月13日 - 米州機構は、ニカラグアとコスタリカの間で国境紛争が激化していることに関して、紛争地帯から軍隊を撤退するよう求める決議を採択した。国境紛争は、ニカラグアとコスタリカ両国の間を流れるサンフアン川の河口にあるカレロ島の領有権争いで、19世紀から何度か交渉が行われているが未解決のままである。事の発端は、ニカラグアが10月中旬、麻薬組織取り締まりのために同島に軍隊を派遣したことに始まる。コスタリカ政府は、自国領土への侵略として、米州機構に提訴した。13日、ワシントンの米州機構本部で常設評議会は、両国の対話開始を要請する決議案を22ヵ国の賛成で採択した(棄権3、反対2、欠席7)。コスタリカ政府は決議を歓迎、ニカラグア政府は反発。14日、オルテガ大統領はOASからの脱退を真剣に検討しなければいけないと発言[2]。
- 2011年
機構
最高意思決定機関として総会(General Assembly)が置かれている(第54条)。総会は、通例、毎年開催される(第57条)。また、諮問機関として外相協議会(Meeting of Consultation of Ministers of Foreign Affairs)が置かれている(第61条)。さらに具体的な諸問題を検討する機関として常設理事会(Permanent Council)がある(第80条)。常設委員会は、大使の資格を持つ各国1名の代表から構成される。
米州人権条約を基にした、米州人権委員会と米州人権裁判所を有する(アメリカ合衆国とカナダは条約を批准していない)。
近年は、米州首脳会議が定例化している。
事務総長は、前チリ内務大臣ホセ・ミゲル・インスルサ・サリナス(Jose Miguel Insulza Salinas、2005年12月現在)。
参加加盟国
加盟国は、南北アメリカとカリブ海の全独立国35カ国で、日本を含む59カ国とヨーロッパ連合が常任オブザーバーの資格をもつ。
脚註
- ^ “米州機構がホンジュラスのクーデター非難決議を採択、大統領復帰を要求”. ロイター. (2009年6月29日)
- ^ “米州機構、ニカラグア・コスタリカ紛争で決議(11月13日)”. Ameba. (2010年11月13日)
- ^ 旧国会は9割の与党勢力、2010年9月選挙で2011年1月5日開会の新国会は野党勢力が4割を占める。
- ^ 憲法に基づくもので、国会を通さずに法律を制定する権限を大統領に付与する法、18ヶ月間の期限付き法
- ^ 上記クーデターにより資格停止
- ^ キューバは1962年に追放。2009年追放解除が決議されたが復帰を拒否している。追放後も、キューバの加盟枠は形式的には保持されている。
- ^ 仏領ギアナは植民地であるため資格なし
関連項目
外部リンク
- OAS official site(英語)
- OAS Special Rapporteur on Freedom of Expression(英語)
- 米州機構概要(外務省)(日本語)