水面

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粒によって波紋を描く水面
水の表面波(水面波)
表面張力が働いて形になった水(水
草木の中にある水滴
水滴と共にある小動物の生息環境
水滴の表面も水面であることに違いはない。

水面(すいめん)とは、表面のことである。

概説

通常は、重力圏内・大気圏内の環境におけるものを指し、このような水面は日本語水面(みなも、みのも)とも呼び、英語(事実上の世界共通語)では "surface water" と呼ぶ。また、そのような環境における水と大気境界面をも指す。 水面という言葉の印象から水平な状態を連想しがちではあるが、流動する状態(の水、水道の流水など)や波立つ状態(漣[さざなみ]波涛)でも水面であり、そればかりでなく、災害を招くほど激しく変化する状態にある水(高潮津波土石流など)の表面も、広い意味で水面である。 また、温泉の表面も鍋の中の煮え立つ湯の表面も、水面である。

しかしそれらはあくまでヒトという生物がその体の大きさと生態に基づいて捉えている水面の概念の一つでしかなく、その性質の全てではない。当然、「第一の性質」という表現も「ヒトにとっての」という限定をしない限り言うことはできない。例えば、草木の上で暮らす小動物(アリクモカタツムリトカゲ、等々)にとっては表面張力の働きで球体化した水との関係こそむしろ日常であり、そこには球体の表面としての水面がある。アリやハチにとって、その球体は運搬したり分割したりできる“物”でもある。水の内側の“世界”に閉じ込められてしまうこともあるミジンコのような微生物には、また違う次元での水があり、個々の世界を隔てる壁のような水面がある。

また、無重力状態(重力圏外、および、自由落下時)での水は球体を成し、この環境下での水面は球の表面である。宇宙ステーション内の乗務員や自由落下実験中もしくは訓練中の航空機内の者がこのような水の表面を水面と呼ぶことに不自然は無い。

水の粘性

水面に落ちたハナバチと、体液を吸おうと集まるアメンボたち。
流れ藻海面を漂い、生物群集を形成する一方で、帆船時代にはサルガッソー海のような海の難所を生んだ。

の特性と同じく水面の特性も、接触する生物やその他の物体の大きさによって違いがある。例えば、昆虫ほどの小動物にとっての水面は粘性が高く、望まない状況での接触は死に直結する場合が多い。翅を持つ昆虫などが水面に落ちたとき、トンボのような極めて飛翔性に優れた種でない限りその状況から逃れることは難しい。また、アリのように翅を持たない種であっても、動きの自由を封じられた状態になり、時間の経過と共に体表面に纏った空気の層を損なうなどして、水没し、窒息する。なお、水面に捕らえられてしまった動物が捕食者に対して全く無防備であることは改めて言うまでもない。

右に示した画像は1匹のハナバチが水面に落ちた場面であるが、ハナバチは体にまとわりつく液体から逃れようともがきはするが、もはや飛び立つことはできない。それどころか、その動きから生じる水面波(水の表面波)に気付いたアメンボが獲物の体液を吸おうと集まってきている。水面はハナバチにとって死の罠となったが、アメンボにとっては日々の狩場である。このように、水面には捕食-被食関係食物網からなる生態系の一部がある。

水面と浮遊物

水面にはヘドロなどが浮くため、河川の水面はこれらがあると汚れて見える。 また、古くから言い伝えられる底無し沼は、基本的に、水深が深く粘性の高い水域で、水面がデトリタス(生物遺体)などによって覆い隠されることで地面のような外観を呈し、なおかつ、抜け出るための手がかりが周辺に無いものである[* 1]。多くを視覚情報に頼って行動するヒトは言うに及ばず、嗅覚などでも異常が認められるわけではないので、動物がこの自然のを事前に察知することは難しい。そのような水面は、都市文明化以前には広く世界に偏在していたに違いなく、また、現代でも「存在しない」とまでは言い切れない。

蜃気楼

水温気温とに大きな差があるとき、水面付近に蜃気楼が発生する。

光と水面

光の屈折

水面の物理的特性として、屈折が挙げられる。光が空気から水へ進入する、もしくはその逆に進行する場合、波長の違いに応じて一定の角度で水面で光の筋が折れ曲がる。また、水中から水面に対して極めて浅い角度で光が進入したとき、全反射と呼ばれる現象が起こる。

鏡面化した水面

カラヴァッジオ 『ナルキッソス』
自我を認識するヒトにとって、鏡面化した水面は自身を映す「水鏡」となる。
説話集 『パンチャタントラ』の挿絵
自我を持たないか発達していない動物にとって、鏡面化した水面に映りこむ自らの像は見知らぬ同族他者でしかない。

面化した水面は、人類史上最も古くから用いられたであろう、自然映し鏡である。漢字文化圏では、水面に物のが映って見えることを指して水鏡日本語では、みずかがみ、もしくは、すいきょう)と言う(第1義)。あるいはまた、そのような映し鏡を見ることをも指して言う(第2義以下)。

凪いだ状態の水面は光の情報を正確に反射するため、鏡という道具が発明される遥か以前の時代から、自我に目覚めた人間にとって自らの姿を確かめられるほとんど唯一のものであった。質のよい鉱物など他にも鏡面が全く無かったとは言えないが、利用する機会も精度も比較にならない。類人猿が鏡で自身を認識する能力を十分に具えている事実から類推すれば、彼らと祖先を共有するヒトがヒトに進化する以前から水鏡を使っていたとしてもおかしくはない。

ギリシア神話に登場するナルキッソスの物語は、人類が都市文明時代を迎えてもなお水鏡を使っていたことを教えている。それは、水面に映る自分の姿に見とれて自己愛(ナルシシズム)に没入し、ついには水際に根を下ろした美しい少年の話である(■右に画像あり)。また、古より水鏡という語が存在した漢字文化圏、少なくとも古代中国において、水鏡が使われていたことは想像に難くない。イソップ寓話の一つである『犬と肉』では、肉をくわえながら橋を渡ろうとしたが橋下の水面に映った自らの姿を見て吠えつき、そのために口にくわえていた肉を失う。この犬の場合は先述のヒトや類人猿とは全く違って、鏡面に映ったが自分のものである事実に気付いていない。自らの姿を見知らぬ同族他者と思い込み、相手のくわえている肉が欲しくなって吠えたがためのしくじりである。200年頃に編まれた古代インド説話集『パンチャタントラ』にも非常によく似た物語がある(■右に画像あり)。

トロンプ・ルイユの大家として有名な画家マウリッツ・エッシャーは、作品『三つの世界』で、水面に反射して見える上空の景色、水面に落ちた木の葉、水面越しに見える水中の景色を描いて見せた。

鏡面化した水面は、多くの捕食動物にとって視覚情報の取得を妨げる障害であるが、他の捕食者にとっての障害はそれを問題としない特殊能力者にとっては利益であるのも自然的摂理である。ミサゴチョウゲンボウのように、上空より水面に狙いを定めて魚食(実際には水生動物も食べる)をよくする猛禽類は、反射光を遮断して鏡面化を無効とするを具えているのであり、そのような者にとっては競合者を寄せ付けない都合のよい環境条件となっている。特にミサゴは、魚食の傾向がどの種よりも強い分だけこの能力に優れている。

水面の拡散反射

水中から見た場合、昼間の水面は光が拡散反射(乱反射)するなどしてその向こうにある空間を視認性の悪いものにしてしまうことが多い。多くの回遊魚の腹部が銀色であるのは、捕食者に下から狙われた場合、白銀色に光輝く水面に紛れて逃げおおせる可能性が高まるからで、つまりは保護色である。

また、カナダ島嶼部に生息するアメリカグマの生態観察の知見として、アメリカクロクマに比べてシロアメリカグマのほうがサケなどの魚を捕らえる能力に長けているのであるが、これは、黒い体色をしているために水中の魚から視認されやすいアメリカクロクマに比べて、水面の色に紛れてしまう白い体色をしているシロアメリカグマは気付かれにくいということが有利に働いているものと考えられている。なお、シロアメリカグマは、無闇に目立つ体色であるがゆえに生き残る上で不利とされるアルビノではなく、正常に適応進化を遂げた種、すなわち白変種であり、上述したものはこの種が具える優れた特性である。また、ホッキョクグマホッキョクギツネホワイトタイガーホワイトライオンなどといった他の様々な白変種の捕食動物は、シロアメリカグマと同じ性質を具えている可能性があるが、シロアメリカグマと違ってはっきりしない。

壁としての水面

水面の生態

ここでは、水面を主とする環境における生態について概説する。

水面を生活の場とする生物をニューストンという。これには、アメンボのように水面の上に乗るもの、ウキクサのように水面に接して存在するもの、アサガオガイ英語版のように水面に裏側から接するものなどがある。アサガオガイは空気の袋を作り、これにぶら下がって水面に生息する。クラゲの一種であるカツオノエボシギンカクラゲは気体の入った大きな浮き袋を持ち、水面を生活の場とする。

アメンボ程度以下の動物の場合、水面を漂うことはさほど困難ではない。普通のアメンボには、長い足など水面に浮かぶための適応が見られるが、小型のアメンボ類であるカタビロアメンボ類英語版などは特に水上生活に適応したととれる部分が少ない。トビムシ類も水面に出てくるものが多くある。逆にこのような小型動物では水面を突っ切るのが困難である。トンボのうち、水中に産卵するものは、水草の茎にすがりついて水中に進入する。クモ類(蛛網類)では、ハシリグモ類に水上生活に適応している種類が多い。

また、水面は空中と水中の間の障壁としても機能する。例えば、水面上から水中の獲物を狙うためには、水面の光の反射はきわめて邪魔である。また、水面での光の屈折は、獲物の位置の特定を難しくする。斜め方向から水中の獲物を狙うサギのようなは、この見える位置と狙うべき位置を補正しなければならない。カワセミなどは水面の真上から垂直に飛び込んで獲物を狙うため、補正は少なくて済むが、これも常というわけではない。また、トビウオトビイカ (Sthenoteuthis oualaniensis) の滑空は水中の捕食者(主に高速で追ってくる肉食魚)から逃れるための生態である。視界が遮られる水面より上に飛び出して捕食者の眼からいったん逃れ、その後、着水地点を予想されることのないよう直進を避け、トビウオは鰭をトビイカはエンペラと腕[* 2]を使って滑空コースを変えることで始めて捕食を免れ得る。 音波に関してはさらに遮断が厳しい。ウオクイコウモリ反響定位によって獲物を狙うとされるから、おそらくは魚が水面から体の一部を出した瞬間を狙うものと考えられる。

ガス交換の面として

水中は空気中に比べて酸素の量が多くない。そのため、水中動物も酸素の供給を空気に依存している面がある。魚類では水中で鰓呼吸をするが、水中の酸素が不足すると、水面で口をぱくぱくする鼻あげを行う。魚を容器で保護する場合、水の量より水に対する水面の広さに配慮する。極端な場合、水が無くても湿ったもので包んでおいた方がましである。

陸上から水中生活に入ったものでは、水中生活であっても空気呼吸をするものが多い。水生昆虫ゲンゴロウタガメボウフラなどもそうである。したがって、水面に油膜などができると呼吸できずに死滅する。ネッタイシマカのボウフラでは密度効果が水面の面積に対する個体数で決まる。

裏側からの利用

水面の裏面を這うアオミノウミウシ

モノアラガイプラナリアなどは水面の裏側を這うことができる。これらは幅広い腹面の足を水面に広げて、水面にぶら下がるようにして這う。海ではアオミノウミウシなどが同ように水面を這って生活する。

微生物にとって

水面を特に利用する微生物もある。水生不完全菌は水中を漂うような枝のある胞子を作るが、この胞子が水面に広がるのがよく見られる。それらはその胞子の表面が水を弾いて水面に漂う。また、半水生菌と呼ばれる菌群は、螺旋状やカゴ状などの胞子を作り、これは内部に空気を抱え、水面を漂うのに適応した形と考えられる。これらは水際で生活するものと考えられている。

動きのない水面では、水面に油脂有機物の薄膜が広がると、その面はさまざまな微生物にとって基盤として機能する。このような環境では、大気が重要な酸素の供給源であり、それに面する水面は微生物の重要な活動の場でもある。細菌類はその面に広がったり、その下面に集団を作る。それらの捕食者である原生動物ワムシなどもその面をよく徘徊する。ツリガネムシ襟鞭毛虫など一部の固着性の生物も水面裏につく例がある。また、陸生のカビ類が水中の基質に生育した場合、菌糸は水中でも伸びるが、胞子はほとんど作られない。これらは、往々にして水面に菌糸を伸ばし、水面から胞子柄を伸ばして空気中に胞子を作る。

水面移動

イエスの水上歩行
985年頃、トリーア大司教エグベルト英語版の依頼によって制作された典礼用福音書抄本『エグベルトの福音書 (de)』内の1図。
レオナルド・ダ・ヴィンチが考案した水上歩行靴のスケッチ
アメンボ(右)とロボストライダー(左)

イエスの水上歩行

水を渡って移動する場合、水面を歩けるとするなら、ずいぶんと楽であり、有用である。『新約聖書』はイエス・キリストがこれを行った(イエスの水上歩行)と記しているが、それが奇跡典型として扱われているのは、人の身では不可能であることが自明であり、なおかつそれができればどれほど便利であるか誰にもよくわかっている証拠であろう。

ダ・ヴィンチの水上歩行靴

一大発明家でもあった15世紀イタリアレオナルド・ダ・ヴィンチは、人の身で可能な水上歩行靴の開発を模索し、そのアイディアをスケッチに残している(■右列に画像あり)。それは、靴に見立てた2つの大きなフロート(浮き具)を両の足に履き、長い柄を具えた2つのフロートをスキーストックのように両手で持って姿勢を整えるというものであった。これでは姿勢を保つことも難しく、ましてや歩を進めることは不可能と思われるが、ともあれ、稀代の天才の思索の一つとして世に残っている。

忍者の水上歩行術

近世日本では忍者水蜘蛛なる道具を使って水面を渡ったとされるが、実態としては派手な印象のものなどではなくて、鍛錬を要する地道な技術であった可能性が史料によって確かめられる。なお、水蜘蛛そのものを実行不可能な絵空事と見なす論説もあるが、当時であれ後世であれ流布した拡大解釈によるイメージが科学的に否定されたことを根拠に、検証が重ねられるべき原典まで否定しようとする考え方は乱暴である。とは言え、水蜘蛛の実際がどのような道具であったとしても、「イエスの水上歩行」やそれに類する奇跡的行為は、忍者がヒトである限りは不可能である。

動物の水面移動

ヒトという動物には不可能でも、他の動物の中にはこれを行うものが存在する。アメンボなどごく小型の動物は表面張力によって簡単にこれを行う。それより大型の動物の場合、何もしないままで水に浮かぶことは、体内に十分な量の空気の層を確保できるなど浮力を生み出すための特別な機能を具えていない限り不可能であり、それを持たない者は水面を激しく叩くことによって浮力を生み出すほかに方法は無い。共にハゼ科魚類であるトビハゼアンダミア属en、ヨダレカケの仲間)は尾鰭で水面を叩くことで水面上を飛び跳ねるように移動することができるし、より大きな動物では、トカゲの1種であるバシリスクがニ本の後肢を使って水面上を駆け抜ける。バシリスクの場合、表面積を広くした水掻き付きの足英語版で水面を激しく蹴りつけて浮力を生み出しつつ、左右の後肢を交互に素早く繰り出すことで「沈むより早く浮く」という方法によって「水面を走る」ことを実現している。すなわち、バシリスクの水面走りは、原理として、纏わり付かない効率のよい水掻きを足に装着した上でチーターを上回る走力をもってして初めて人間にも実行可能な方法ではある[* 3]

水面移動ロボット

アメンボの生態に学んだ水面移動ロボットが開発され、発展を遂げつつある。アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学2003年に開発・発表したロボストライダーen、“アメンボ・ロボ”。■右列に画像あり)[1][2]を始め、カーネギーメロン大学が開発したものや、日本の中央大学理工学部(代表者:中村太郎)が2006年に開発・発表したバッテリー搭載・自主移動型のものが知られており、将来的に注目される分野となっている[3]

乗り物の滑走面

水上機

ブラジルの都市ナタールにある水上滑走路「ランパ (rampa)」

大型の航空機を運用するにあたって、様々な事情によって陸上の滑走路を用意できないということが、特に過去の時代には往々にしてあった。そのような条件下で代用されたのは水面であり、水面を滑走面として運用できる水上機が開発されることとなった。このようにして設定され、用立てられた水域の滑走コースは、広い意味で代替滑走路の一種とも言える。災害時、時、開発途上地域における活動など、現代でも陸上の滑走路を用立てられない状況は様々にあり、また、そうでない通常的環境であっても、水上機という航空機は有効に機能している。

なお、水上機が登場して以来、操縦者にとって未だに解決されない悩みの一つに、凪いだ水面の視認性の悪さがある。上空からの目視が難しく、また、ただの水であるがゆえにレーダーでも捉えられない(透過してしまう)ため、着水のタイミングが掴めないということである。

船舶等

水面を滑走する(水を掻き分けて進むのではなく、表面を滑って進む)という考え方は、水中翼船ホバークラフトなどといった水面滑走型の高速船の開発にも繋がった。水中翼船は揚力によって、ホバークラフトはダクテッドファン浮力によって、船体を水面下から持ち上げることで、滑走を実現している。また、水上オートバイと、モーターボートヨットのうち特に高速のものは、その速さゆえに高速移動時は滑走状態になる。

船ではないが、水上スキーや、娯楽用浮体(バナナボートに代表される、プレジャーボート等で牽引して水上を滑走させる遊具)は、船に牽引されて水面を滑走し、疾走感を楽しむものである。サーフィンウィンドサーフィンも滑走する。 なお、モーターボートや水上スキーでは、人の体が水面上に投げ出され、水切り(水の石切り)と同じ状態になって滑走してしまう事故が起こる。

クジラと船の衝突事故

高速船や大型船が抱える問題として、水面上でのクジラとの衝突事故がある[4][* 4]。 これは環境問題であり、社会問題である。呼吸をする哺乳類であるクジラのうち大型の種は、予想の難しいタイミングで水面に現れる障害物としてその脅威を無視ができない上に、その生命を脅かす事故は野生動物の保護および動物愛護の観点からも批判を逃れ得ない[4]日本における高速船の対策としては、クジラの聴覚に優れた生態を利用して彼らが嫌う音や彼らを威嚇できる音を発信できる水中音響発信装置を船に装備する試みがなされているが、今のところ(2006年時点)あまりうまく機能していない[4]。「海獣類保護法」が施行されているアメリカ合衆国の場合は、主に大型船を対象として、タイセイヨウセミクジラが多く分布する海域での船の航路を変更、航行速度を控える、クジラの発見情報を各船に通知する、漁業活動を制限するなどといった様々な手段が執られ、クジラの衝突死亡事故の減少対策が積極的に進められている[4][* 4]。事故の規模は高速船や大型船の場合に深刻になるが、クジラと船の衝突事故は世界の海の様々な船種で発生している、全ての船舶の課題である。

地理基準

地理測地学)的基準の一つである海抜は、世界の海洋の水面(海水面)の平均的な高さに基づいている。cf. 海面#平均海水面

脚注

注釈

  1. ^ 日本では、昭和時代以前の庶民的な逸話として、肥溜めに落ちる話がよく語られるが、ただの地面と見分けが付けられずに踏み抜いて嵌り込むのであり、底無し沼との共通点は多い。
  2. ^ トビイカは滑空するとき、適度な隙間を保ちながら10本の腕を合わせて菱形を作り、揚力を生み出す翼として機能させる。コース変更が可能であるという事実に基づいて、この翼も調整に使っていると考えられる。
  3. ^ むろん、どのような強化補助機械を用いても現代科学では実現できないし、もっと効率のよい他の方法を模索するのが科学である。
  4. ^ a b タイセイヨウセミクジラと船の航路”. ナショナルジオグラフィック(公式ウェブサイト). ナショナルジオグラフィック協会. 2011年12月26日閲覧。:動画あり。

出典

  1. ^ David L. Hu and John W. M, Bush (2003). “The hydrodynamics of water strider locomotion”. Nature 424 (6949): 663–666. doi:10.1038/nature01793. PMID 12904790. 
  2. ^ WATER-WALKING” (英語). (official website) (2003年8月16日). 2011年12月22日閲覧。
  3. ^ 森山和道 (2006年6月20日). “ミミズにアメンボ、カタツムリ~生物に学び、安全なロボットを目指す -中央大学 バイオメカトロ研究室訪問-”. (公式ウェブサイト). 2011年12月22日閲覧。
  4. ^ a b c d 頻発するクジラと船との衝突”. (公式ウェブサイト). 海洋政策研究財団 (2006年5月20日). 2011年12月26日閲覧。

関連項目