表面物理学
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表面物理学(ひょうめんぶつりがく、surface physics)は表面または界面を扱う物理学、またはその分野のこと。理論、実験両面から様々な研究が行われている。
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[編集] 概要
物性を研究する上では、対称性の高い完全結晶またはバルク (bulk) と呼ばれるものから、研究が始まった。結晶等を考える際、表面近傍の原子数は内部の原子数に比べて非常に少ないため、表面や界面があるために生じる効果は少ないだろうと見積もられてきた。しかし、表面または界面があることにより、系の表面に垂直な方向での対称性が破れるため、多様な物理現象が現れる。
[編集] 主な研究対象
結晶表面は表面物理学の重要な対象である。結晶表面とは結晶をある方向にまっすぐな平面で切断した断面のことである。結晶をどのように切断するかはミラー指数[1]によって記述される。例えばSi結晶を「ミラー指数で(111)方向と記述される方向」にまっすぐな平面で切断した断面は、Si(111)面といわれる。
結晶表面は、バルクの対称性と切断面の方向などを元にしたベクトルを用いた初等的な考察に基づくと、2次元結晶になることが予想できる。このようにして考えられる(仮想的な)構造を持つ2次元結晶を理想表面という。つまり理想表面の構造は、バルクの対象性と切断面のミラー指数によって一意的に定まる構造のことである。例えばSi(111)、Si(100)は理想表面の同じSi結晶を切ったものであるにもかかわらず切断方向が異なるため異なる構造となる。逆にSi(100)、Si(001)は切断方向が異なるが、バルクの対称性(ダイヤモンド型)から等価、つまり区別することが不可能である。
実際Si(111)面などの現実の結晶も2次元結晶となっていることが、低速電子回折法 (LEED) 、走査型トンネル顕微鏡 (STM) 、原子間力顕微鏡 (AFM) による測定から明らかになっている。このように現実の結晶表面もまた確かに2次元結晶になっているが、実際には結晶表面のベクトルを用いた初等的な考察にから予想される構造とは異なる2次元結晶の構造となることが多数報告されている。
一般に、結晶表面の現実の構造を表す格子ベクトルを理想表面の格子ベクトルで表したときにどのように表すかを表す行列を用いて結晶表面の構造を表すことができるが、それを簡略化したウッドの記法[1]に基づいて「Si(111)-(7×7)」のように表面の構造を表すことが多い。
[編集] 主な研究手段
実験家は、走査型トンネル顕微鏡、原子間力顕微鏡等のプローブ顕微鏡による測定、電子回折、X線回折などの回折法、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡等の電子顕微鏡法などを巧みに使い分けることで研究を行っている。
一方、理論家は、第一原理計算などから、表面の物理的な性質を調べている。
[編集] 最近の研究動向
最近では、ナノテクノロジーブームから、ナノ材料と言われる機能材料の開発に力点がシフトしている。例えば、スピントロニクスや、新しい触媒等の開発を目的に掲げているケースが多い。
そのほか、MOSFET用の絶縁体の開発に関係して、絶縁体表面の研究も盛んである。特にシリコン表面にハフニウム酸化物を薄膜として生成させた系は、誘電率の高いゲート絶縁膜として盛んに研究されている。こうした絶縁膜はhigh-k絶縁膜とも呼ばれ、半導体メーカー各社が熾烈な開発競争を展開している。ハフニウムを用いたhigh-k絶縁膜は、従来のシリコン絶縁膜よりも大幅なトンネル電流の削減に成功しており、これを用いた半導体チップも製造されている。

