相対論的量子力学

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相対論的量子力学(そうたいろんてきりょうしりきがく、: relativistic quantum mechanics)は、量子力学に対して特殊相対性理論を適用した理論である。

基礎方程式はクライン-ゴルドン方程式である。素粒子散乱などの多粒子系高エネルギー物理を扱う際は、粒子をさらに場の概念に拡張した場の量子論が使われる。あつかう粒子の速度が光速に比べて十分小さい場合の量子力学(非相対論的量子力学)とは区別される。

概要[編集]

相対性理論によると質量が軽い物質ほど速度は光速に近づくが、量子力学の適用範囲であるような粒子(とりわけ電子などの素粒子)は非常に質量が小さいため、真空中での運動には相対論的効果を考慮する必要があると考えられる。しかし量子力学の基礎方程式であるシュレーディンガー方程式i\hbar\frac{\partial}{\partial t}\psi(t,\mathbf{x}) = \hat{H}\psi(t,\mathbf{x})は時間について1階、空間について2階の微分方程式であり、相対性理論の時空の(ローレンツ)共変性とは相容れない。ここで\hat{H}ハミルトニアンを量子化した演算子、\psi(t,\mathbf{x}) は粒子の波動関数である。

クライン-ゴルドン方程式[編集]

そこでローレンツ不変な相対性理論の分散関係 E^2 = m^2c^4+\vec{p}^{\ 2}c^2 を量子(演算子)化することで相対論的な量子力学系方程式が考案された。これをクライン-ゴルドン方程式という。

-\hbar^2\frac{\partial^2}{\partial t^2}\psi(t,\mathbf{x}) = \left(-\hbar^2 c^2 \nabla^2 + m^2 c^4\right)\psi(t,\mathbf{x})

このときE=i\hbar\partial_t\vec{p}=-i\hbar\vec{\nabla}量子化してある。この方程式はローレンツ変換に対して不変であり、確かに特殊相対性理論を満たしていることがわかる。このことからクライン-ゴルドン方程式は相対論的量子力学の基礎方程式であるとされる。またクライン-ゴルドン方程式にはスピンの概念は入っておらず、スピン-0の粒子を記述する方程式である

ディラック方程式[編集]

こののち1928年にはポール・ディラックスピン-1/2の粒子についての相対論的量子力学の方程式であるディラック方程式を提唱した。この方程式を満たす粒子は相対論的量子力学の範疇にあるため、クライン-ゴルドン方程式をも満たすことが知られている。

自由粒子の分類[編集]

ウィグナーは、「相対論的な自由粒子状態ベクトルは、ポアンカレ群ユニタリ既約表現に従って変換しなければならない」ということから、このようなユニタリー表現をことごとく求めることによって相対論的な量子論において可能な自由粒子のタイプの分類をした。

反粒子[編集]

相対論的量子力学によれば、粒子に対応して必ず反粒子が存在する。ただし光子のような中性の粒子では、粒子と反粒子がたまたま同じものもある。反粒子は粒子と同じ質量と同じスピンを持ち、電荷は逆符号となる。もし粒子が他の何個かの粒子に崩壊するような不安定粒子の場合は、反粒子もまた不安定粒子であって、両者の平均寿命は相等しいことが導かれる。

参考文献[編集]

西島和彦 『相対論的量子力学 (新物理学シリーズ 13)』 培風館 (1973) ISBN 978-4563024130

関連記事[編集]