量子論理

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量子力学
\Delta x\, \Delta p \ge \frac{\hbar}{2}
不確定性原理
紹介 · 数学的基礎

量子論理(りょうしろんり)とは、量子力学に基づく論理体系。量子力学で理論的に観測可能な事項の命題が従う非古典論理で、古典論理と同様に2値論理であるが、分配律が必ずしも成り立たないなどの点が異なる。ジョン・フォン・ノイマンギャレット・バーコフにより1936年提唱され、その後ヒラリー・パトナムら多くの研究者により研究された。

なおこれと別にハンス・ライヘンバッハは、「真」「偽」に加えて「観測していない」という真理値を持つ3値論理を考えている(観測していないことについての命題は量子論理では対象としない)。

フォン・ノイマンらによれば、量子力学的観測あるいは「波束の収縮」とは、可分複素ヒルベルト空間の線形部分空間への射影である。量子力学的には、物理的な命題は観測に対応し、従って命題は射影と同一視できる。古典物理学では、観測可能な物理量は状態の関数であり、状態により一意的に決まる。しかし量子力学ではそうはならず、物理量(オブザーバブル)は観測を行うことで初めて決定される。特に不確定性原理により同時決定が不可能な物理量もあり、これを論理学的に直接扱うには古典論理以外の論理体系が必要であるとの考えに基づき、量子論理が提唱された。

古典論理を形式化したブール代数は、一般の集合の代数学に基づくと見ることができる。同様に量子論理は、線形空間に基づく直交相補束として定義できる。ブール論理では集合の(交わり)と(結び)がそれぞれand(∧)とor(∨)に対応するが、量子論理でも同様に、線形空間の最大共通部分空間が∧に、また和空間が∨に対応すると定義できる。また否定(¬)に相当するのは、直交補空間)である。古典論理と大きく異なるのは分配律、すなわち

p ∧ (qr) = (pq) ∨ (pr)

pqr は命題を表す)

が必ずしも成り立たないことが要請される点である。例えば一直線上を動く粒子を考え、次のようにおく。

p = "粒子は右へ動いている"
q = "粒子は原点の左にある"
r = "粒子は原点の右にある"

すると命題"qr"は恒に真だから、p が真ならば

p ∧ (qr) = 真

一方、p が真ならば不確定性原理により位置運動量は同時には確定できないから、2つの命題"pq"と"pr"はいずれも偽である。ゆえに

(pq) ∨ (pr) = 偽

となって、分配律は成り立たないことになる。

また、

pq = 偽 かつ pq = 真

の場合、古典論理では p が決まれば q はただ一つ(q = ¬p)に定まるが、量子論理では定まらない(q = p とは限らない)。

[編集] 文献

  • G. Birkhoff and J. von Neumann, The Logic of Quantum Mechanics, vol 37, 1936.
  • 竹内外史「線形代数と量子力学」裳華房・基礎数学選書24(1981年)ISBN 9784785311261
  • ピーター・ギビンズ「量子論理の限界」産業図書(1992年)ISBN 4-7828-0070-3

[編集] 外部リンク