大草原の小さな天使 ブッシュベイビー
『大草原の小さな天使 ブッシュベイビー』(だいそうげんのちいさなてんし ブッシュベイビー)は、フジテレビ系の「ハウス世界名作劇場」枠で放送されたテレビアニメ。放映期間は1992年1月12日から同年12月20日で全40話。
世界名作劇場 | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第17作 | トラップ一家物語 | 1991年1月 〜1991年12月 |
第18作 | 大草原の小さな天使 ブッシュベイビー |
1992年1月 〜1992年12月 |
第19作 | 若草物語 ナンとジョー先生 | 1993年1月 〜1993年12月 |
概要
原作はウィリアム・H・スティーブンソンの『カバの国への旅』(The Bushbabies)。1960年代と世界名作劇場としては非常に年代が新しく、第二次世界大戦以降を舞台とした作品は本作が初である。オリジナル作品である『七つの海のティコ』を除けばもっとも現代に近く、設定年代が1950年代の『ポルフィの長い旅』と並んで第二次世界大戦後を時代背景とした作品である。加えて、アフリカが舞台ということもあり、異色の作品として捉えられることも多い。また本作は世界名作劇場の中で飛行機が初めて登場した。
原作はあるものの、ほとんどオリジナルストーリーになっており、特に前半部分が顕著である。
『あらいぐまラスカル』と同様の野生動物との出会いから別れまでを描いた物語で、前半はブッシュベイビーのマーフィーを飼うことになった主人公・ジャッキーの、ケニアにおける日常生活を中心に物語が展開する。後半ではある事情によりサバンナを横断することになった、ジャッキーとテンボの冒険物語が繰り広げられる。
あらすじ
時は第2次世界大戦後のケニア。ケニアに住むイギリス人の少女・ジャッキーは、動物保護官アーサーの娘であり、兄のアンドルー共々幼い頃から動物に親しんできた。
あるとき、アーサーとアンドルーは、パトロール中に親を亡くしたブッシュベイビーの赤ん坊を発見、保護し家に連れて帰った。なかなかミルクを飲まず困り果ているところへ、ジャッキーが遭遇。ジャッキーはこのブッシュベイビーに「マーフィー」と名付け、育てることにした。
しかし、1963年にケニアが独立したことにより、イギリス人は本国に引き揚げることになる。ジャッキーは一度はマーフィーをイギリスにつれて帰ろうとしたが、ひょんないきさつから、マーフィーを内陸の生息できる場所に戻すことになり、ジャッキーの冒険が始まる。
登場人物
主要登場人物
- ジャッキー
- 声 - 岡本麻弥
- 本編の主人公。世界名作劇場シリーズの中では初めての第二次世界大戦以降に生まれたヒロインである。(他にもオリジナル作品の七つの海のティコのナナミがいる)フルネームはジャックリーヌ・ローズ。3歳の時からアフリカのケニアで育った、好奇心が旺盛で動物好きな少女。野生動物保護官の父の影響からか、正義感が強い。運動神経は抜群で、乗馬が得意なほか、1日で自転車に乗れるようになったり、素潜りで魚を捕らえることができるなど水泳も達者である。
- イギリスに向かう船の中でマーフィーの国外持ち出し許可書が無い事に気付き、家族に黙って船を降りる。マーフィーを野生に返すため、テンボやミッキーと共に、アフリカの大草原を旅する。
- マーフィー
- 声 - 白鳥由里
- 母親が事故で死んでしまい、ジャッキーに飼われることになったブッシュベイビーの赤ん坊。成長するにつれていたずらっ子になる。ハッカアメを舐めると酔っ払ったように眠ってしまう。本来は夜行性だが、ジャッキーにより昼行性へ変えられている。
- 国外持ち出し許可書をなくしたジャッキーによって、野生に戻る為の訓練を受ける。訓練前は主食の虫が捕まえられず、蛾が顔に止まっただけで大騒ぎになった。
- テンボ・ムルンビ
- 声 - 小杉十郎太
- アーサーの助手を務めていた勇敢なカンバ族の戦士。かなづちで泳ぐのが苦手。年上だがジャッキーの親友でもある。
- ロイヤルアフリカライフル部隊にも所属していた過去があり、ライフル銃の名手。ハーモニカも吹ける。
ローズ家関連
- アンドルー・ローズ
- 声 - 金丸淳一
- ジャッキーの兄。父と同じ野生動物保護官になることを夢見ていたが、ハンナに憧れて獣医師にも興味を持ち始めた。ベンという名のカメレオンを飼っていた。
- ベン
- アンドルが飼っているカメレオン。一家がイギリスに帰る途中の駅で放される。
- アーサー・ローズ
- 声 - 土師孝也
- ジャッキーの父。野生動物保護官をしていたが、国の方針により失職し、イギリスへ帰国することになる。
- ペニー・ローズ
- 声 - 滝沢久美子
- ジャッキーの母。絵を描くのが趣味。
- ハワ
- 声 - 松井摩味
- ジャッキーの家で働いていた現地住民の女性。テンボに好意を抱いている。
ケイト関連
- ケイト・アドルトン
- 声 - 松下美由紀
- ジャッキーの学友で、非常に仲が良い。手負いの象によって父親を亡くす。
- ライサ・アドルトン
- 声 - さとうあい
- ケイトの母。コーヒー農場を経営している。
- ヘンリー・ラザフォード
- 声 - 島田敏
- ケイトの母の弟で、ケイトの叔父。元航空会社のエンジニア。動物に興味を持っている。
ジャッキーの学校関連
- ミッキー・ビル
- 声 - 松岡洋子
- ジャッキーの学友。マーフィが大好き。いたずら好きで、トラブルをよく起こす。学校に蛇を持ち込んだこともある。
- マーフィが好きなあまり、ジャッキーの部屋から許可書を無断で持ち出す。
- ジャッキーがマーフィを野生に返す事に反対する。
- ノルダム先生
- 声 - 川島千代子
- ジャッキーの学校の担任の先生。
- アリス
- 声 - 白鳥由里
- ジャッキーの友人。
- トリス
- 声 - 久川綾
- ジャッキーの友人。お父さんの都合によりイギリスのマンチェスターへ帰国。
- マックギル
- 声 - 佐藤正治
- ドリスの父。ケニアがイギリスから独立したことにより失職し、イギリスのマンチェスターへ帰国。
- サリー・ビル
- 声 - 頓宮恭子
- ミッキーの妹。ジャッキーと同じ学校の下のクラスに通っており、ミッキーとは違いしっかり者。マーフィーにミルクを飲ませる為の哺乳瓶をジャッキーにあげた事もある。
- トム・ビル
- 声 - 國府田マリ子
- ミッキーの弟。もうすぐ4歳なのにまだ哺乳瓶でミルクを飲んでいる。
- メアリー・ビル
- 声 - 峰あつ子
- ミッキーの母。ミッキーと同様太っている。
- 生徒
- 声 - 國府田まり子
野生動物保護関連
密猟者
- ジョン・ケンドール
- 声 - 田中和実
- 密猟者。
- マイケル・ピーターソン
- 声 - 沢木郁也
- 密猟者。最後までジャッキーたちに関わってくる。
- ダン・ムーア
- 声 - 佐藤正治
- 家電屋の修理屋。裏で密猟を手伝うが、のちに警察に自首し、国外追放となり南アフリカへ。モンバサ駅でジャッキー一家と偶然再会する。彼の託した情報がジャッキーとテンボの運命を変えることとなる。
その他
- クランクショウ博士
- 声 - 緒方賢一
- アフリカに30年以上住む考古学者。各地の遺跡発掘のため、アフリカ中を飛び回っている。
- 自家用車の他に、マザーグース号という名の飛行機も所有している。
- タウマ
- 声 - 置鮎龍太郎
- クランクショウ博士の家来。博士に振り回されぱなっしである。
- モーリス
- 声 - 佐藤浩之
- 雑貨屋の店長。ガソリンスタンドも経営している。インド系である。
- ボンダ
- 声 - 笹岡繁蔵
- ケニアの警察の警部。ただ手口は荒く、無実のテンボを拷問して、密猟者の仲間であることを白状させようとした。
- ウィルソン
- 声 - 安西正弘
- 教会の牧師。
- ロバート・アイアランド少佐
- 声 - 銀河万丈
- アーサーの友人。ロイヤルアフリカライフル部隊の隊長でテンボの上司であった。
- 船長
- 声 - 池田勝
- ソロ号の船長。
- ボーイ
- 声 - 高戸靖広
- ソロ号のボーイ。
- 警部
- 声 - 郷里大輔
- モンバサの警部。最後までテンボがジャッキーを誘拐したと信じて疑わなかった頭が固い人である。
- ベニング
- 声 - 佐藤浩之
- ケニア軍の大尉。ジャッキーを捜すためにヘリコプターでやって来た。
- サフィナ
- 声 - 萩森佝子
- ジャッキーが病気になったとき世話をした優しいマサイ族の女の子。別れ際にジャッキーからハンカチをもらう。
- アトマニ
- 声 - 大塚芳忠
- サフィナの兄。マサイ族の戦士だが臆病である。
- ギテオン
- 声 - 増岡弘
- ヌディの駅長兼、雑務係。密猟者に襲われたジャッキーとテンボを助ける。
- ダール
- 声 - 田中亮一
- ヌディ近くの警察官。
スタッフ
- 製作 - 本橋浩一
- 製作管理 - 高桑充(前半のみ)、中島順三
- 企画 - 清水賢治(フジテレビ)、大橋益之助(電通関西支社)、佐藤昭司
- キャラクターデザイン - 関修一、加藤裕美
- 脚本 - 宮崎晃
- 美術設定 - 伊藤主計
- 美術監督 - 森元茂
- 色彩設計 - 小山明子
- 撮影監督 - 森田俊昭
- 音響監督 - 藤野貞義
- 音楽 - 宮川彬良
- プロデューサー - 和田実 → 鈴木吉弘(フジテレビ)、松土隆二
- 監督 - 鈴木孝義
- 制作 - 日本アニメーション、フジテレビ
主題歌
オープニングテーマ
エンディングテーマ
- 「鳥になる」
- 作詞 / 作曲 - 谷村新司 / 編曲 - 佐孝康夫 / 歌 - 岡本麻弥
- バラード調であり、コンクールなどで合唱曲としても使用された。また主演声優が歌ったエンディングテーマとしては、『アルプス物語 わたしのアンネット』の「エーデルワイスの白い花」、『私のあしながおじさん』の「キミの風」に続いて3回目である。
各話リスト
話数 | 放送日 | サブタイトル | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1992年 1月12日 |
草原で拾った赤ちゃん | 鈴木孝義 | 加藤裕美 | |
2 | 1月19日 | 死なないでマーフィ | 中西伸彰 鈴木孝義 |
伊藤広治 | |
3 | 1月26日 | しかけやローズ | 則座誠 | 田中穣 | |
4 | 2月2日 | 哺乳ビンをさがせ | 加賀剛 | 細井信宏 | |
5 | 2月9日 | 傷ついた象 | 鈴木孝義 | 加藤裕美 | |
6 | 2月16日 | マーフィの病気 | 楠葉宏三 | 加賀剛 鈴木孝義 |
伊藤広治 |
7 | 2月23日 | 女性獣医ハンナ | 則座誠 | 田中穣 | |
8 | 3月1日 | 博士の飛行機 | 加賀剛 | 細井信宏 | |
9 | 3月8日 | 真夜中のお散歩 | 鈴木孝義 | 加藤裕美 | |
10 | 3月15日 | 修理屋ダン・ムーア | 楠葉宏三 | 加賀剛 | 伊藤広治 |
11 | 3月22日 | 探偵団結成! | 則座誠 | 田中穣 | |
12 | 4月19日 | ハッカアメと密猟者 | 中西伸彰 | 細井信宏 | |
13 | 4月26日 | 探偵団プラス1 | 鈴木孝義 | 加藤裕美 | |
14 | 5月3日 | ヒヒの襲撃 | 加賀剛 | 伊藤広治 | |
15 | 5月10日 | ふしぎな木バオバブ | 楠葉宏三 則座誠 |
則座誠 | 田中穣 |
16 | 5月17日 | 秘密のほらあな | 楠葉宏三 中西伸彰 |
中西伸彰 | 細井信宏 |
17 | 5月24日 | 密猟団現わる | 鈴木孝義 | 加藤裕美 | |
18 | 5月31日 | チョッキ騒動 | 加賀剛 | 伊藤広治 | |
19 | 6月7日 | 運命のはじまり | 楠葉宏三 | 則座誠 | 田中穣 |
20 | 6月14日 | 霧のキリマンジャロ | 斉藤博 | 中西伸彰 | 細井信宏 |
21 | 6月21日 | さようならケイト | 鈴木孝義 | 加賀剛 | 加藤裕美 |
22 | 6月28日 | 無くなった許可証 | 楠葉宏三 中西伸彰 |
中西伸彰 | 伊藤広治 |
23 | 7月12日 | 波止場の大事件 | 斉藤博 | 加賀剛 | 鷲田敏弥 |
24 | 8月2日 | アフリカひとりぼっち | 則座誠 | 田中穣 | |
25 | 8月16日 | テンボに逮捕状!? | 鈴木孝義 | 細井信宏 | |
26 | 8月23日 | マーフィの災難 | 斉藤博 | 中西伸彰 | 加藤裕美 |
27 | 8月30日 | 追う人、追われる人 | 加賀剛 | 鷲田敏弥 | |
28 | 9月6日 | 密林の象たち | 則座誠 | 田中穣 | |
29 | 9月13日 | 野生を取りもどせ!! | 鈴木孝義 | 細井信宏 | |
30 | 9月20日 | サバンナのおきて | 斉藤博 | 中西伸彰 | 加藤裕美 |
31 | 9月27日 | 毒矢とハーモニカ | 加賀剛 | 鷲田敏弥 | |
32 | 10月25日 | やさしい戦士・テンボ | 則座誠 | 田中穣 | |
33 | 11月1日 | 炎に向かって走れ! | 斉藤博 | 中西伸彰 | 伊藤広治 |
34 | 11月8日 | マサイ族の小屋 | 鈴木孝義 | 細井信宏 | |
35 | 11月15日 | ジャッキー倒れる!! | 加賀剛 | 加藤裕美 | |
36 | 11月22日 | 豹と二人の戦士 | 則座誠 | 田中穣 | |
37 | 11月29日 | 雨の日の思い出 | 斉藤博 | 中西伸彰 | 鷲田敏弥 |
38 | 12月6日 | 列車が流される!? | 加賀剛 | 伊藤広治 | |
39 | 12月13日 | 駈けぬけろマーフィ | 中西伸彰 | 細井信宏 | |
40 | 12月20日 | マーフィのさようなら | 鈴木孝義 | 加藤裕美 |
メディア展開
映像ソフト
DVDが2002年3月25日〜同年7月25日に発売された。全10巻。
その他
- 山形県域では、「世界名作劇場」をネットしていたフジテレビ系列の山形テレビ(YTS)が、翌年4月からテレビ朝日系列にネットチェンジすることになった影響で、以後の作品のネットが不可能となり、本作品が最後の放送となった。なお、翌年1月から3月までは、アニメ『まぼろしまぼちゃん』を「世界名作劇場」と同じハウス食品の提供で放送して穴埋めした。
- 1997年にさくらんぼテレビ(SAY)がフジテレビ系列局として開局した時には、既に「世界名作劇場」は廃枠となっていた。ネット不可能となった『若草物語 ナンとジョー先生』については2007年にSAYが毎週日曜午前6時30分〜7時00分の枠で放送している。『七つの海のティコ』・『ロミオの青い空』・『名犬ラッシー』・『家なき子レミ』はSAYが再放送枠で放送。
関連項目
- サントラ内の「密猟のあった日」がオープニングテーマ、Na:藤村俊二
外部リンク
- 大草原の小さな天使 ブッシュベイビー(日本アニメーション公式ホームページ)