フランダースの犬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

文学
画像:Lit.jpg
ポータル
各国の文学
記事総覧
出版社文芸雑誌
文学賞
作家
詩人小説家
その他作家

フランダースの犬(ふらんだーすのいぬ、原題:A Dog of Flanders)は、イギリスウィーダ (Ouida) の書いた童話である。

目次

[編集] 概要

『フランダースの犬』の舞台はベルギー北部のフランダース(フランドル)地方である。現在では、ホーボーケン (Hoboken) が主人公たちが生活した村のモデルと考えられている。ウィーダがこの作品を執筆した頃には、ホーボーケンにはまだ風車が残っていて、アロアのモデルと思しき女の子がいたことも確認されている。

原作が書かれたのは1872年。日本語版は1908年(明治41年)に初めて『フランダースの犬』(日高善一 訳)として内外出版協会から出版された。当時は西洋風の固有名詞が受容されにくいと考えられ、ネロは清(キヨシ)、パトラッシュは斑(ブチ)と訳された。さらに昭和初期には、1929年の『黒馬物語・フランダースの犬』(興文社、菊池寛 訳)、1931年の『フランダースの犬』(玉川学園出版部、関猛 訳)など他の訳者によって出版された。

1950年以降は、童話文庫・児童向け世界名作集の作品として多くの出版社から出版されている。

活字以外にも1975年に日本でテレビアニメシリーズが製作された。詳細は「フランダースの犬 (アニメ)」を参照のこと。

[編集] あらすじ


注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


フランダース地方の小さな村に住む少年ネロは、祖父や老犬パトラッシュと共に暮らし、ルーベンスのような画家になることを夢見ていた。

しかし、祖父の死後、村の風車小屋が焼けた火事の放火犯との濡れ衣を着せられたことにより、彼の居場所は村から失われてしまう。賞金が出る絵画コンクールの審査発表を待つネロだったが、コンクールでは彼の絵は落選であった。

雪の降る中、住むところも希望も失ったネロは、アントワープへと向かい大聖堂に辿り着く。その頃村ではネロに対する誤解は解け、更に彼の才能を認めたコンクールの審査員がネロを引き取ろうと訪れていたが全ては手遅れだった。大聖堂の中に飾られたルーベンスの絵の前でネロはパトラッシュと共に凍死する。

[編集] 各国での評価

  • 『フランダースの犬』は日本での評価とは対照的に、作中の舞台であるベルギーでも出版されているがあまり有名ではなく、地元での評価はさほど高くはない[1]。これは作者がイギリス人であり、また「自分たちはこの物語のように(子どもを一人で死なせるほど)非道ではない」との批判的な意見があるためと推測される。さらに、ストーリーが欧州の価値観からは「負け犬の死」としか映らないことも要因とされる[2]
  • 日本人観光客の多さに「フランダースの犬 (アニメ)」の放映権をオランダの国営放送が獲得し放送したところ、80%を超える視聴率の人気アニメとなった。
  • 欧州全般に、教育的な見地からこの作品を読むことを勧めない風潮がある。これは原作でのネロの年齢が15歳で、「主人公が年齢相応の自立をしていない」との理由による。
  • アメリカで出版されている『フランダースの犬』はハッピーエンドを迎えるように改変が加えられている。これはハッピーエンドがアメリカ人好みであること、原作の内容には「救いがない」「可哀想だ」との意見から。具体的には「ネロとパトラッシュは聖堂で死なない」「ネロの父親が名乗り出る」などがある。

[編集] 派生作品

[編集] 世界名作劇場版

フランダースの犬』のタイトルで1975年1月5日から同年12月28日までにフジテレビ系列の『世界名作劇場』枠でテレビアニメ化された。詳細は「フランダースの犬 (アニメ)」を参照。

[編集] 東京ムービー版

1992年に、『フランダースの犬-ぼくのパトラッシュ-』のタイトルで東京ムービーによってリメイクされ全24話が日本テレビ系列で放送された。詳細は「フランダースの犬 ぼくのパトラッシュ」を参照。

[編集] アニメ映画版

1997年に、日本アニメーションによってリメイクされ松竹配給により全国公開された。「世界名作劇場を劇場映画としてリメイクする」と銘打った。キャストはテレビ版とは異なる。

[編集] 実写映画版

アメリカで過去4度ほど実写化された。実写のパトラッシュは、アニメのセントバーナードではなく、原作に従いフランドル原産のブービエ・デ・フランダースという黒い毛むくじゃらの犬が使われるなど、アニメの視聴者には違和感を持たれる傾向がある。なお、香港映画「フランダースの犬」はウイーダ原作ではない。

  • 1914年版 - 監督:ハウエル・ハンセル、主演:マーガレット・スノー
  • 1935年版 - 監督:シャルル・スローマン、主演:フランキー・トーマス
  • 1967年版 - 監督:ジェームズ・B・クラーク、主演:デイヴィッド・ラッド、配給:20世紀FOX
  • 1998年版 - 監督:ケビン・ブロディ、主演:ジェレミー・ジェームズ・キスナー、製作:ワーナー・ブラザーズ、配給:ギャガ・コミュニケーションズ

アメリカでは上述の通り、原作が「ネロは大聖堂で救われるハッピーエンド」と改訂されているため、いずれの映画にも死去するシーンは無い。ただし、日本公開版ではネロとパトラッシュは原作通り他界する。これはアニメ版の認知度が高く、アメリカ版の「改訂されたエンディング」に抵抗が予想されたためと推測される。だが、その日本公開版の追加シーンは急造の特撮であり、その完成度を疑問視する声もある。

[編集] 脚注

  1. ^ 2007年には、ベルギー人監督により、なぜベルギーでは無名の物語が日本で非常に有名になったかを検証するドキュメンタリー映画(A Dog of Flanders -made in Japan- A Documentary by Didier Volckaert & An van. Dienderen)が作られた。
  2. ^ "「フランダースの犬」日本人だけ共感…ベルギーで検証映画" 読売新聞: 2007-12-25. 2007年12月25日閲覧.

[編集] 外部リンク