東京大学教育学部附属中等教育学校

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東京大学教育学部附属中等教育学校
地図北緯35度41分09秒 東経139度40分22秒 / 北緯35.685944度 東経139.672861度 / 35.685944; 139.672861座標: 北緯35度41分09秒 東経139度40分22秒 / 北緯35.685944度 東経139.672861度 / 35.685944; 139.672861
過去の名称 旧制東京高等学校
東京大学附属中学校
東京大学附属高等学校
東京大学教育学部附属中学校 高等学校
国公私立の別 国立学校
設置者 国立大学法人東京大学
設立年月日 1948年5月30日
共学・別学 男女共学
中高一貫教育 中等教育学校
課程 全日制課程
単位制・学年制 学年制
設置学科 普通科
学期 2学期制
学校コード D213110000011 ウィキデータを編集
中等教育学校コード 13007K
所在地 164-8654
東京都中野区南台一丁目15番1号
外部リンク 東京大学教育学部附属中等教育学校
ウィキポータル 教育
ウィキプロジェクト 学校
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東京大学教育学部附属中等教育学校 (とうきょうだいがく きょういくがくぶ ふぞく ちゅうとうきょういくがっこう、: The University of Tokyo Secondary School)は、東京都中野区南台1丁目15-1(東京大学中野キャンパス)に所在する国立中等教育学校中高一貫校)。後期課程高等学校に相当)においては若干名のみ入学者を募集する準完全中高一貫校[1]

設置者は国立大学法人東京大学で、東京大学教育学部附属学校

概要[編集]

1921年大正10年)創立の官立旧制東京高等学校(七年制)を前身とする。自由主義的な校風の下、独特の教育方法、入試制度が採られている。

男女共学の1学年120人の小規模校で、1学年あたり、6人の担任団と15人の教員が教科指導にあたる体制となっている。前後期制である。

全国に先駆け附属中学・高校が2000年から中等教育学校に移行し、初の国立の中高一貫校となり、国内の中等教育学校を牽引するロールモデルとして教育実践をする研究校としての大きな役割を果たす学校である。[2]

東京大学のアカデミックで最新の知の財産を活かした、洗練されたカリキュラムを提供する中等教育学校であることから入学試験は大勢の受験生が集まる高倍率の人気校である。知が日常的に再編成される情報化社会の未来を見据えた最先端の教育研究、および日本屈指の学習環境デザインに基づいた教育実践を行っている。[3]


概要[編集]

社会構造の変化に伴う働き方の変化を踏まえ、学習環境のイノベーションの必要性から教育目標に「未来にひらく自己の確立」を掲げる。[4]

先の見えないこれからの時代において、「正解」のない問いに他者と手を取り合い立ち向かう力の必要性と自分自身の内側から湧き起こる内発的動機の重要度を掲げ、自らの「問い」に基づいた根源的能動性を発掘する機会を多くの友と共有し分かち合いによる共創を目指す人生100年時代の学びの幸福感・幸福度を重要視する学習観を展開。

東京大学学校教育高度化効果検証センター効果検証部門 (CASEER)、東京大学大学院教育学研究科附属学校データベース (DB) 管理運営委員会、東京大学大学院教育学研究科と連携し、ディープアクティブラーニングによる思考型、体験型の課題別講座や学内外でのフィールドワークを通じた総合学習と探究学習カリキュラムを展開し教育効果検証を行い、生徒の内発的動機とメタ認知能力を意識した先進的な「学習者中心の教育空間」が実現している。

VUCA時代を生き抜くヒトづくり」を標榜しており、具体的には、VUCA時代に求められる課題の発見と解決を主体的・能動的に探究する学習(ディープ・アクティブラーニング)の研究に力を入れ、総合学習の開発と実践を進めている。また、Society5.0の学校モデルとして、今後の予測不能な社会の中で全く新しい価値観や社会制度の変革に必要とされる他者と協働し解決していく共創力育成プログラムを、協働性と市民性を重視した教科学習の授業で実践している。

「中高一貫教育の芸術活動や芸術経験の充実」「空間UI技術を用いたICT活用アクティブ・ラーニング授業」「GIGAスクール構想を先導する形でICT を用いた“からだ丸ごとの協働”を引き出す空間UI(ユーザーインターフェイス)の実践研究」「シチズンシップ教育」「中高一貫教育の学習環境デザイン」「3Dプリンターやレーザーカッター、3D-CADを採用した情報科授業とデジタルファブリケーション教室整備」「双子研究」「高大接続を視野に入れた卒業研究」「STEAM教育」「実践共同体の中の学び」「主体的・探究的な学びの体験がもたらす高大接続・社会への貢献」「地域文化倶楽部創設に向けた調査研究」「新しい時代の学び環境整備先導的開発事業」などの研究開発が続けられている。[5]

沿革[編集]

歴史[編集]

起源は1921年大正10年)創立の七年制の官立旧制東京高等学校GHQによる学制改革に伴い1948年昭和23年)に新制中学校として東京大学に包括され「東京大学附属中学校」として再編した。翌1949年(昭和24年)には学年進行による新制の「東京大学附属高等学校」も発足し、旧制七年制高校の流れをくみ日本初の男女共学の中高一貫型の学校形態が誕生した。

翌年、東京大学に教育学部が創設され、1951年、「東京大学教育学部附属中学校・高等学校」となり、国内の中高一貫教育を牽引する存在として、授業研究開発を開始する。2000年4月1日国立で初の中等教育学校となり、学年は高1・高2・高3がそれぞれ4年・5年・6年に改編。後期課程(高等学校に相当)においては欠員が生じた場合に若干名入学(編入学)者を募集する中高一貫校となった。[6]

敷地内には旧制東京高等学校を記念するモニュメントが残されている。

年表[編集]

  • 1921年大正10年)- 官立旧制 東京高等学校創設。
  • 1948年昭和23年)5月30日 - 学制改革に伴い、「東京大学附属中学校」(新制中学校、男子校)として再編。
  • 1949年(昭和24年)-「東京大学附属高等学校」が開校し、日本初の男女共学の中高一貫教育の開始。筆記試験無しの公開抽選で入学者選抜を行う。
  • 1950年(昭和25年)- 東京大学教育学部が発足。
  • 1951年(昭和26年)- 教育学部に移管され、「東京大学教育学部附属中学校・高等学校」と改称。
  • 1953年(昭和28年)- 双生児募集枠を設け、双生児男子10組、女子10組の募集を開始。
  • 1955年(昭和30年)- 高校への自動的進級の改定(学年の10%以内を進学不許可とし、補欠募集を実施)。
  • 1966年(昭和41年)- 高等学校の補欠募集を停止し、完全中高一貫教育体制となる。2-2-2制を採用し、「特別学習」を開始。
  • 1980年(昭和55年)- 入学者選抜を、公開抽選のみから、公開抽選後に学力検査実施に改訂。
  • 1999年平成11年)- 全国に先駆け、入学者選抜試験の学力検査を「適性検査型入試」で実施。
  • 2000年(平成12年)- 国立で初の中等教育学校への移行、「東京大学教育学部附属中等教育学校」と改称。
  • 2001年(平成13年)- 総合教育棟が完成。教員も7名増員となる。
  • 2007年(平成19年)- 入学者選抜試験で抽選を廃止する。
  • 2010年(平成22年)- 入学者選抜試験を改定し(適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱ、実技)とし、本格的な学力試験を導入する。
  • 2013年(平成23年)- 新体育館、グラウンド落成。
  • 2017年(平成29年)- 東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化・効果検証センターとの連携を開始する。
  • 2018年(平成30年)- 「空間UI技術」で部屋全体をデジタル化したDeAL教室完成。
  • 2019年(平成31年)- 入学試験での双生児募集枠を一般選抜枠内に含める方針に変更。(双生児6~7組程度/1学年)
  • 2020年令和2年)- 東大院生による季節補習開始。コロナ禍のオンライン授業でTOEFLのCriterion導入開始。TOEIC Bridge L&R・TOEIC Bridge S&Wを全学で受験開始。
  • 2021年(令和3年)- 東京大学芸術創造連携研究機構発足に伴い、「アートを遊ぶ、アートに学ぶ、アートで繋がる」学問と芸術教育の連携を開始。空間UI技術を用いたICT活用アクティブ・ラーニング授業の探求学プログラムにおいて、東大院生によるZoomを用いた生徒支援を開始。入学者選抜試験の情報公開を開始。
  • 2022年(令和4年)- 東京大学教育学部の教授陣によるリレー講義形式の授業「現代教育学入門」を開始。

校風[編集]

  • 大学院の修士課程を修了した教員が極めて多く、高度な専門性でユニークな授業を展開している。教員と生徒の関係性は密で近い。
  • 答えも問いも外から与えられるものではなく自分の中から始まってくるものであるという学習観が基盤にある学校運営は、生徒の内発的動機による主体性、協働を第一にした自主自律空間を創っている。「自律」と「共生」の環境の下、デイスカッションを通じて、相手と自分の価値観に気づき、互いを尊重し合うアサーティブ・コミュニケーションによる多様性理解を育んでいる。
  • 人よりも早く多くという無限競争や受験競争が成り立たないソサエティー5.0の社会像・求められる人材像・学びの在り方を、社会構成主義学習観に基づいて「シェアして知恵と力をわかちあう」対話的思考型の授業スタイルで育成する。クラスで男女2名ずつの4人グループでの学習チームを編成し、教科学習と総合学習を協働的な学びで進める。
  • 3年4年が縦割りで履修する課題別学習では、知識や技能の習得するのも重要だが、それと同等かそれ以上に感性を磨くこと、豊かにすることを大切にする。
  • 探究学のノウハウが半世紀前からあり、学術的土台があることから、研究者を目指す生徒が年々増えてきている。
  • 学習環境デザインが専門の東京大学・山内祐平教授とともに東大附属の特色ある学習観を反映させた校舎のリノベーションプランの設計が完了し、工事着工を控えている。「探究・協働」の活動をふんだんに取り入れる普通教室の整備。図書館を中心としたラーニングコモンズを校舎の中核に据えた探究空間。その他、「からだまるごと」で他者・世界とつながる区間UI(ユーザーインターフェイス)の導入、特別教室の可塑的で効果的な再配置や多様なコモンズを核とした新たな教育空間を創出。多様なレイアウトが可能な「L型普通教室」、コミュニケーショナルな回遊空間「クリエイトラウンジ」「教職員コモンズ」、DEAL+放課後コモンズによる協働的な学びの空間「ラーニングコモンズB」など、中高一貫校の先進的な未来型の学校建築の実現に向けて進んでいる。
  • 学内外へアウトプットの場が多種多様にプログラムされている。プレゼンの機会が多い。
  • 東京都内に限らず、千葉県神奈川県埼玉県茨城県栃木県からの通学者も多いのが特徴である。沖縄県山形県山梨県香川県など地方からの受験生もおり、私立や国立の小学校からの進学者も多い。自転車通学は全学年ともに直線距離で半径5km内は許可されている。入学は通学時間概ね90分以内の距離に住居を構える生徒が対象となる。
  • 独特の教育制度と自由主義的な校風の下に数々の傑出した人材を生みだした東京高等学校 (旧制)の気質を継承し、生徒が責任の名のもとに主体的に行動を選択する自主自律の空間。「問い」に溢れた学びの空間から、卒業生は多様な進路と自己実現に成功し、人生100年時代に先駆け学びの実感を生涯に渡り感じ得る、探究的市民の素養が高い人材が育成されている。
  • コロナ禍での活動制限は、母体の東京大学の新型コロナウイルス対策タスクフォースが設定する活動制限レベルに沿ったもので、東京大学としては学生のフィールドワークや研究活動の機会を極力とめないスタンスである。よって、附属も生徒の様々な体験や学習の機会をとても大切にしているため、感染予防対策を徹底しながら対面授業と行事の実施を積極的に行っており、教育委員会の定めにとらわれない柔軟さがある。[7]


所在地[編集]

東京大学中野キャンパス旧制東京高等学校の敷地)内にある。2010年4月に東京大学海洋研究所が柏キャンパスに移転したものの、その後も中野キャンパスという呼称は残り今に至る。[8]

教育内容[編集]

東京大学の知の財産を活用した、独自の教育活動の展開が大きな特徴である。近年は、東大との連携をより深める改革が進んでいる。[9]

教育目標

「未来にひらく自己の確立」

教育方針
  • 学習の基礎である「5つの力」(ことばの力・論理の力・身体と表現の力・情報の力・関係の力)の獲得
  • 教科の学習と総合学習を統合させ、未来を開いていく力の獲得に向けた「『知の総合』学習」
教育の特色

創立以来半世紀以上にわたり中高一貫教育を行い日本の中等教育を牽引し、教科の学習と総合学習の2本の柱から「5つの力」の獲得を目指し、子どもたちが未来をひらいていく力、すなわち“生きるちから”を育てる。「自分づくりの学び」に向け、東京大学全学の連携・協力そして支援のもとにその知的資源をカリキュラムに活かした学習環境デザインを実践する学び舎。 [10]


1 「5つの力」とは
  • 『ことばの力』- 自分や社会、自然についてしっかり知り、自分の考えをことばを使ってはっきり伝える力
  • 『論理の力』- すじみちをたててきちんと考えることのできる力
  • 『身体と表現の力』- さまざまな技を身につけ、しなやかな発想や柔軟な身のこなしで自分を表現できる力
  • 『情報の力』- あふれる情報のなかから必要な情報を選び、発信することのできる力
  • 『関係の力』- 他の人との関係を大切にし、対等な関係をきりむすぶことのできる力
2 「教科の学習」
一貫制度の特長を生かし教科内容や通常の教科構成とは異なる教科編成を行うなどの工夫を取り入れている。5・6年生においては、将来の進路も視野に入れ、生徒の多様な進路希望に答えるべく、広範な選択科目を置く。東京大学全学の協力を得て「数学特論」「現代宇宙論」「図書館情報学入門」「臨床心理学」の講座の設置。
3 「総合学習」
  • 1・2年生では「総合学習入門」をおこなう。これは、「5つの力」の獲得を意図したさまざまな題材・手法を経験することによって総合的な学力の基礎を養うものである。
  • 3・4年生では「課題別学習」を行う。これは、用意された講座の中からそれぞれの生徒が、関心の深いものを選び2学年混合で行う研究活動である。校外での調査活動や宿泊を伴うフィールドワークもふくみながら担当教師の指導で総合的な学習の手法や考え方を身につけることを意図している。
  • 5・6年では「卒業研究」を行う。これは一人一人の生徒が自分で決めたテーマ について2年間をかけて研究し、研究が進路につながるケースが多い。[11]


東大との連携[編集]

[12]

  • 近年は東京大学との連携が更に強化し、教育学部に限らず、日常的に様々な専門分野(授業教科及び学校運営)でのコラボが増え、総長をあげて東京大学本体との関係が密である。
  • 生徒が生涯にわたって学びの実感を得ることのできる知的好奇心と探究心を原点とする学習者中心の教育に取り組む。東京大学大学院情報学環・学際情報学府の知見から、高性能なCPUを増やすフィンランドやオランダの教育スタイルを参考に、フィンランドメソッドという、学びのイニシアチブが教員ではなく生徒にある学習環境を実践している。
  • 学校長は東京大学教育学部教授が務めている。総長をはじめとした同大学教授陣による特別講義や特別授業も行われる。卒業式や入学式では、東大総長、教育学部長から祝辞があり、東京大学の一員として共に研究を進めていこうという訓辞がある。
  • 東京大学芸術創造連携研究機構と共同で芸術活動に力を入れており、芸術を新たな視点から捉え直す機会と多彩な体験活動機会が多い。国内外の一流芸術家とのワークショップが多数あり、授業外の土日に開催されている。
  • 東京大学大学院博士課程の学生が、生物部のコーチを務め、文献検索、画像解析、統計など、大学レベルの研究で用いられる技術を教え、日々研究のノウハウを提供し生徒を支えている。
  • 課題別学習では、東大田無キャンパス農場での農業実習体験、田無演習林地や東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所(三崎臨海実験場)での各種体験活動を行う。
  • 学部生院生同様の UTokyo Accountを用いたGoogleのシステム(東京大学アカウント「ECCSクラウドメール」を利用)を、附属の生徒も6年間使用する。先生からの諸連絡はどの教科もECCS GmailとGoogle class room・Google チャットが活用されており、授業ではGoogleドライブ・Googleドキュメント・Googleスプレッドシート・Googleフォーム・YouTube・Google Meetを1年生から本格的に使用し、東京大学のシステムを利用したICT化が進んでいる。
  • 東京大学大学院生による季節ごとの放課後補習、夏季休暇中の自習サポート、定期考査前の放課後学習サポートがある。
  • 3年生4年生は、東大教授陣がリレーし担当する授業が行われている。
  • 東大医学部生の学生団体AMSSによる講演会が開催され、論文の書き方や構成と展開の指導をする。
  • 東京大学本郷キャンパス安田講堂での音楽祭(前期課程=中学生)や、本郷キャンパスを巡る東大探検の授業が生徒から人気がある。
  • 大学進学に向けた自学の場として、 東京大学駒場キャンパスの図書館は後期課程=高校生の生徒は使用できる。また、東京大学本郷キャンパスの教育学部図書館は、研究活動及び自学の場として、前期課程=中学生から使用が可能で、恵まれた教育環境が準備されている。
  • 生徒は、入学時に東京大学の生協会員となり、書籍や文具を中野キャンパス・本郷キャンパス・駒場キャンパスで購入可能。

教科学習[編集]

  • 「市民性」「探究」「協働」をコンセプトにした思考力重視の授業スタイル。一部の教科は進度別授業も取り入れられている。
  • 授業に表現活動の場(芸術性表現・身体性表現・文章表現)を積極的に設けている。学内外に向けて、プレゼンテーションをする機会も多く与えられている。
  • 進度より深度を重視した高度な専門性と、教科書に加え学問の本質を見据えた副教材プリントによる教科指導。
  • 高校受験がない利点を生かし、前期課程(中学校)で後期課程(高等学校)の先取り学習を一部の教科で行う。
  • 大学受験に備え、5-6年生では幅広い選択科目制を導入。
  • 外部講師のレクチャーも盛んで、東大王出演の東大生クイズ王がゲスト講師を務めた授業例もある。
  • どの教科も協働学習の課題作成は、中1から東京大学のアカウントで利用するECCS Googleを活用し、GoogleスプレッドシートやGoogleスライド、Googleドキュメントを用いて学習を進める。

総合学習[編集]

  • 教科横断の「総合的な学習」への取り組みが1966年度より行われており、1・2年生で総合学習入門、3・4年生で課題別学習、5・6年生で卒業研究をそれぞれ履修する。
  • 校外宿泊生活や東京大学本郷キャンパスのフィールドワーク、地域と連携した中野区フィールドワークなど多様な活動が豊かにプログラムされている。
  • ICTでのプレゼンテーションの鍛錬を重ね、生徒の新たな視点の獲得と表現を開くことを目指している。
  • 概念中心型授業ではなく、テーマ中心型授業に重きを置いたプログラムの展開。

グローバル[編集]

  • 国際理解・異文化理解・多様性理解の授業を1年時から行う。
  • 英語の授業では、1~4年次で外国人講師とのチームティーチングを行い、インプット量とともにアウトプット量の確保に重点を置いている。
  • TOEFLのCriterionを導入している。TOEIC Bridge L&R を1年に2回受検、TOEIC Bridge S&W を1年に1回受検を全学で臨んでいる。
  • コロナ禍前は東大留学生との交友もあった。外国人留学生の受け入れを行っている。
  • 後期課程の英語授業では、少人数クラスを設け、週8コマの英語授業も可能。
  • Extensive Englishや外国事情といった、学校独自の設定科目の英語授業がある。
  • 外務省の在外日本国総領事館の領事らが行う高校向け出前講座「グローバルに働く」の授業がある。
  • 在籍する外国人留学生のホームステイ先を毎年在校生家庭から募集し、異文化交流の実践が盛んである。
  • 英検は1月に団体受験を行い3級~準1級を目指す。
  • 中国北京大学附属学校(中高一貫校)やオーストラリアのHolland Park State High School(中高一貫校)からの生徒訪問団との交友活動や交流会を行っている。
  • 外国人教師による春休み夏休みのレベル別英会話講座とフランス語講座を開催している。
  • 入試の帰国子女枠はなく、帰国子女は一般選抜枠で入学する。
  • 国際結婚の子女の入学が増えてきている。

卒業研究[編集]

探究学習の蓄積により5~6年生で「卒業研究」に取り組む。当校の教員に留まらず、東大教員および東大院生をチューターに迎えてまとめ上げる。

  • 卒業研究をAO入試や学校推薦型選抜に活用する生徒が増えてきており、2024年の大学入試改革へ先駆けた高大接続の成果が見える。また、近年はこの探究をより高度な学習への手掛かりとし、研究者を目指して、学部卒業後に東京大学大学院へ進学する卒業生が増え始めた。
  • 卒業研究を通じ、全国学芸サイエンスコンクール受賞常連校となっており文部科学大臣賞の受賞が続く。内閣総理大臣賞受賞の事例もある。
  • 本校での卒業研究を基に、より発展した研究を東京大学で続けたい生徒が東京大学の学校推薦型選抜(旧推薦入試)に挑戦し合格者が続いたことから、高大接続の事例として「附属学校の卒業研究は東大での学びに何をもたらしているか」というテーマでのシンポジウムも開催された。
  • 東大附属の探求学習の叡智の結晶として「高校生・高専生科学技術チャレンジ(JSEC)2022」でグランドアワードである科学技術政策担当大臣賞に輝いた卒業研究が、米国テキサス州ダラスで開催された科学研究の国際大会であるリジェネロン国際学生科学技術フェア(Regeneron ISEF)2023へ日本代表として進出。帰国後に、健闘をたたえて文部科学大臣より文部科学大臣特別賞を授与。


学校行事[編集]

  • 体育祭(5月)、フィールドワーク(5月)、歌舞伎鑑賞会(6月)、芸術鑑賞教室(6月)、前期課程評議委員会行事(7月)、オーストラリア研修(8月)、銀杏祭(9月)、1年2年総合学習発表会(9月)、宿泊研修(10月)、音楽祭(12月)、スキー教室(12月)、総長授業(12月)、英検(1月)、校内競技大会(3月)、総合学習発表会(3月)、課題別学習発表会(3月)、生徒総会(3月)、芸術祭(3月)[13]


銀杏祭[編集]

銀杏祭(ぎんなんさい)は、毎年9月に開催される。生徒を主体に、芸術表現と身体表現、学習と研究が披露される。主催の銀杏祭実行委員会は異学年合同で共創し運営する。

伝統の「東高音頭(とんこうおんど)」を東高(とんこう)OGと在校生有志がするステージが続けられていた。

宿泊研修[編集]

国内では、1年生は中山道ウォーク、3年生は里山里海体験(漁船クルージング体験・シーカヤック体験)、5年生は長崎での宿泊研修がある(1,3年生は2泊3日、5年生は3泊4日)。5年生は長崎県にて、自然コース[島原半島]・平和コース[長崎追悼祈念館]・近代化コース[長崎市内]の3つのコースに分かれ、コースごとに学習を進める。課題別講座でも、3~4年合同での宿泊フィールドワークがコロナ禍前まで盛んであった。体育科の宿泊スキー教室もある。

海外は異文化体験と理解、英語研修を目的とし、オーストラリアのブリスベン夏のスタディツアーを開催している。ホームステイし、現地の高校の演劇、ダンス、音楽などのアートの授業に参加することで英語力を高め、STEM教育を通して、グローバルな視点で物事を考えるプログラムとなっている。

東大附属芸術祭[編集]

東京大学芸術創造連携研究機構との共催で、一流を見て触れて本物を体験する場を提供している。「一流を再考する芸術の交差点」というスローガンを抱え、アートクロスロードプロジェクトとして、社会的に活躍する一流の芸術家・科学者・アーテイストと産学連携を試み、各分野のプロフェッショナルによる講演やワークショップを行う。

体育祭[編集]

生徒会と体育祭実行委員会の主催による、生徒主体で企画と運営を行う初夏のイベントで、1年間かけて準備を進める。「〇回生」という学年が横のアイデンティティーならば、体育祭のA組(白)B組(青)C組(赤)の「色組」は、1年生から6年生までを一体化する縦のアイデンティティーとなる。色組の異学年一体でリレーのバトンをつないだり応援合戦を行い、チームワークを高めていく。競技のプログラムとスローガンは、体育祭実行委員会がリフレクションを重ねて毎年設計している。

部活動[編集]

設備・施設[編集]

  • ソーラーパネルを導入し、2005年夏より全教室に冷暖房完備。
  • 空間UI技術を採用したICT教室、パソコンラウンジ、OA教室、屋上プール、道場。
  • FAB room(3Dプリンター・レーザーカッター・3D-CAD装備)
  • 蔵書数3万冊の図書室は、図書館司書と東京大学大学院情報学環・学際情報学府が連携しながら、ラーニングコモンズとして発展させている。本郷キャンパスの総合図書館からの本の連携貸し受け取りも可能。
  • 野球場、200mトラック(人工芝)、全天候型直線走路 (120m)、サッカーコート(人工芝)、プール、テニスコート2面の運動施設が設置されており、学校の敷地の総面積は37,111㎡と、東京都内有数の広い施設を有する。
  • 校舎内に東大生協が設置されている。
  • ランチタイムに、生徒と教職員向けに予約制のオーガニック弁当販売がある。

その他[編集]

  • 旧制東京高校から東大附属に改編時にGHQCIAにより、入学選抜は学力試験は行わずに公開抽選のみとされた。これは、戦前まで旧制東京高校といったエリートが集団で軍国主義に激しく傾倒していた記憶がGHQには生々しく、一般の公立学校と同じ水準を強いたためであるとされる。抽選のみによる入学選抜はその後も長年続いた。
  • 1980年から、ようやく入学試験を開始し公開抽選との組み合わせが可能となった。2008年に抽選を廃止し、入学者選抜試験を本格的に学力試験として開始。「適性検査型入試」を全国で初めて実施し、400文字作文、実技を含む教科横断型の出題で論理的思考力・読解力・記述力・数学力・表現力と試行力を測る。 [14]
  • 2020年度までは入試情報を一切公開しておらず、過去問の販売も無く、入試情報が極めて少なかった。2021年度より東京大学として入試情報の公開に努め始め、受験生の試験問題の持ち帰りを初めて可能とし、過去問集の販売も開始された。
  • 教育手法等が、遺伝や家庭等環境にあって、どのように差異が生ずるかまたは生じないのかを検証するため双生児研究がなされており、1953年より世界に例のない70年を超える歴史があり、双生児入学枠を設けていた、2020年度入学試験以降、双生児募集枠は一般選抜枠内に含めることになったが、若干の双生児入学者は継続している。教育における遺伝的要因と環境的要因についての分析・研究を継続してきた蓄積は、国際的な学術研究に発展させようとの強い意欲が、あらためて高まってきている。[15][16]


著名な関係者[編集]

元教員[編集]

出身者[編集]

関連文献[編集]

  • 『中高一貫教育1/2世紀-学校の可能性への挑戦』(東京書籍1998年4月27日発行)- 東京大学教育学部附属中・高等学校著作
  • 『新版 学び合いで育つ未来への学力-中高一貫教育のチャレンジ』(明石書店2010年6月10日初版発行)- 東京大学教育学部附属中等教育学校編著

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 後期課程編入学説明会 のご案内
  2. ^ {{Cite web |title= 東京大学教育学部附属中等教育学校学校説明パンフレット2018|url=hthttps://https://www.asahi.com/edua/article/14760158 =東京大学教育学部附属中等教育学校}}
  3. ^ {{Cite web |title= 東京大学教育学部附属中等教育学校学校説明パンフレット2018|url=hthttps://https://www.asahi.com/edua/article/14760158 =東京大学教育学部附属中等教育学校}}
  4. ^ {{Cite web |title= 東京大学教育学部附属中等教育学校学校説明パンフレット2018|url=hthttps://https://www.asahi.com/edua/article/14760158 =東京大学教育学部附属中等教育学校}}
  5. ^ {{Cite web |title= 東京大学教育学部附属中等教育学校学校説明パンフレット2020|url=hthttps://https://www.asahi.com/edua/article/14760158 =東京大学教育学部附属中等教育学校}}
  6. ^ {{Cite web |title= 東京大学教育学部|url=hthttps://https://www.p.u-tokyo.ac.jp/facilities/k2 =東京大学教育学部附属中等教育学校}}
  7. ^ {{Cite web |title= 東京大学教育学部|url=hthttps://https://www.p.u-tokyo.ac.jp/facilities/k2 =東京大学教育学部附属中等教育学校}}
  8. ^ {{Cite web |title= 東京大学大学案内|url=hthttps://https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/campus-guide/map05_01.html =中野キャンパス}}
  9. ^ {{Cite web |title= 東京大学教育学部附属中等教育学校学校説明パンフレット2018|url=hthttps://https://www.asahi.com/edua/article/14760158 =東京大学教育学部附属中等教育学校}}
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関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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