芸能事務所

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芸能事務所(げいのうじむしょ)は、芸能人が芸能活動を円滑に進めるための支援を受け持つ企業のこと。音楽プロダクション、芸能プロダクション、俗にタレント事務所ともいう。レコード会社として、演歌を中心に専属の歌手作曲家を擁しているところもある。エージェンシーともいうがアメリカのエージェンシーとはシステムが異なる。

目次

[編集] 役割

タレント、歌手、スポーツ選手等とプロデュース契約、マネジメント契約を結ぶことにより、プロフィールカタログの作成、育成指導、スケジュール管理、営業活動、ギャラの交渉・請求・収受、トラブル管理といった業務を行う。

 日本においては、法律的には芸能人に特化した有料職業紹介事業所というもので、労働局の許認可事業に該当するが実際のところ認可を得ていない者が圧倒的に多い。アメリカでは、認可を得た数社が各々数百から数千人規模の実演家・監督・脚本家・プロデューサー・アーティスト・クリエーター等を有する五大エージェントがエンタテインメント界全体に対し覇権力を持っている。ここでは法律で決められたコミッションで契約はするものの、各々の実演家らはパーソナル・マネジメント事務所を個別に有し、マネージャーを弁護士が代行することも多く、日本の芸能界よりも高いコミッションを取られるといった二重のマネジメント・システムがある。ここらは日本とは大きく異なっている。
また、アメリカのようにエージェントに加盟しないとメジャーな仕事ができないと言ったようなシステムは日本には無く、学者文化人でも個人でマネジメント業務を行ないながら全国のメディアに出演することができる。

 また、所属タレント、主にお笑い芸人が自身のギャラを「給料」とよく口にすることから、「タレントが芸能プロダクションに雇用されている」と誤解されるケースが少なくない。これは、タレントが芸能活動に専念するために自身の管理の一切を芸能事務所に委任する契約を結ぶことによる結果としての労働形態や、他の同業者に対し排他性を有する点などが一見雇用と類似している(しかしながらその契約形態の向きは「正反対」である)ことや、慣例によりそう言われているものである。これはタレント等が定額ではないコミッション報酬のことを給料と称するからである。

 実際は芸能実演家のほぼ全てが「個人事業主」である。これは通常社会でいうところのコミッション契約の営業職やタクシー運転手の契約雇用形態とほぼ同様である。また週に何時間労働かを定めることはできない職種なため労働基準法に則したものではなく、契約期間に準じたものと見ることができる。

 現実には、完全給料制契約では、契約した期間内に、特に音楽系タレント等が莫大な利益を稼ぎ出すという事例も多々あることから、支払われる額と売上にギャップが生まれ、契約が成立していてもタレント側がこれに異議を唱えることが多い。韓国芸能界のトラブルはほとんどがこのケースである。この種の問題は契約優先社会のアメリカでは起き得ない契約後進国特有の慣例と言われ、芸能プロダクションという業種が前近代的であると評される主要因でもある。

 現在の日本の芸能界を見ると、俳優系プロダクションは完全コミッション契約で、大手のタレント・プロダクションでは一定の保証額にコミッションを加味させた売上比例式の契約体系が主流となっている。

[編集] タレントとの契約

事務所やタレントの格などにもよるが、タレントや歌手が事務所とマネジメント契約を締結するにあたって、そこで交わされる内容は非常に多岐に渡る。

契約の内容は、基本的にこの様なタレントとしての「業務」に関する事項が中心となるが、他にもタレントとしての全般を管理する様々な項目が存在している。また、若手や子役に対してはタレント・俳優としての育成に関する事柄も契約に含まれる。

大衆の耳目を集める芸能タレントには、タレントとしての華やかさと並行してイメージのクリーンさが重要な要素として常に求められる。また、世間に広い知名度を持つ人物はマスコミからみなし公人として扱われ、プライベートでの行動やプライバシーについて様々な詮索を受けやすい一面があり、プライバシー・個人情報の保護やセキュリティの確保も極めて重要となる。これらのことから、上述の様な芸能タレントとしての業務・ビジネスに関する各種内容以外でも、

  • 髪形・髪色
  • 服飾品(身に着ける服装や装飾品のブランドグレードなど)
  • 健康管理・美容の方法・回数
  • 病気怪我の際に受診する医療機関(不特定多数の一般外来客と顔を合わせずに診療投薬など一切を済ませられる病院や、医師往診を事務所側が手配する、など)
  • 美容・理美容に利用する店舗(医療機関同様、不特定多数の一般客と顔を合わせずに利用できる店舗を事務所側が手配する、など)
  • 体重
  • 日常の言動(タレントの性格などによっては、特に使ってはならない言葉を具体的に指定される事もある)
  • 留守中の自宅の管理・セキュリティ
  • プライベートで外出する際の服装
  • プライベートでの自動車オートバイなどの運転の可否
  • 託児所・ベビーシッターの確保(幼い子供のいる女性タレントなど)
  • 交友関係(暴力団暴走族などの「反社会的勢力」の構成員・関係者と見なされる人物と係わり合いを持ってはならない、など)
  • 本人・家族にまつわるプライバシーの保護(プライベート時のタレント自身の他、配偶者子供の顔や姿を、マスコミがメディアに出さないように対処するなど)

この様なプライベートや私生活の全般にも関わること細かな事柄についてまで、詳細に指定や約束事・制限事項を契約書面で交わしている事も見られる。

[編集] 日本における成立と流れ

音楽業界と映像演劇業界ではその成立の流れが異なるが、前者でいえば太平洋戦争後の在日アメリカ軍の存在が、後者は新派や興行会社ではなくテレビ業界草創期の劣悪環境で働かされた、当時はアテ師と呼ばれた声優の存在がその誕生に大きな役割を果たしたとされる。アメリカ軍は軍隊であると同時にアメリカ文化発信の先遣隊としての役割も果たしており、その影響下に日本やドイツなど敗戦国の芸能文化は侵略されることになる。

日本の芸能は神事と結びついたのが始まりである。この内、権力側の庇護を受けて興行権を確立したのが文楽であり、歌舞伎であり、である。近代になって興行権を確立できなかった地下(じげ)のもので小資本の劇場主が演目を専門化したのが、関西の吉本興業のような存在である。ちなみに劇場に出られない役者や歌手は地方での公演で興行主やヤクザの世話になったとされる。

日本にはあらゆる業種や階層に縄張りがあり関西地方の群小の興行主へ既得権を手放す代わりに利益を生むように説得していった一人に山口組田岡一雄がいるとされる。田岡は差別に対しての反骨心からゲテモノと呼ばれていた美空ひばりへ肩入れしていくことになる。また母親と衝突するまで美空を可愛がった反骨人の竹中労は差別されていたはずの芸能事務所がやがて特権階級化することにも牙をむく。

アメリカ軍に話を戻すと、基地へ慰問する楽団や歌手に対して、軍は実力に従い評価を出してギャラや待遇に格差をつけた。機会は公平に与え、実力によりチャンスをものにする姿勢は門閥主義の日本の伝統には無かったものである。草創期の芸能事務所の社長の多くはジャズバンド出身者であり、このアメリカ流の実力主義に感化された野心家たちでもあった。最盛期には一説に8,000人もいたバンドでも実力派の引き抜き合戦が行われたとされるが、彼らは互いに協定を結びつけていく。これが出発点である。

東京の良家の子弟がジャズメンに多かったことが、また信用を得てコネを作るのに役立っていく。アメリカ軍の占領期間が終わった後も彼らの活動はジャズ喫茶や、大劇場の日劇においてロカビリーグループサウンズに結実していく。運動の指導者たちは音楽畑の人の比率が高かった上に、徒弟制度的な「師が弟子を育てて一本立ちさせる」に似た、厳しいが家族的な形態が主流であった。

映像演劇業界は前述の通りテレビ局の劣悪な環境で働かされたアテ師たち(基本的には俳優)が、待遇改善を求める中で風雲児の清水昭に説得されて人望のあった久松保夫が中心となり太平洋テレビ芸能部が設立された。これが「PTC事件」の始まりである。事件の詳細については、仲間内での結束から証言が少ないため不明な点も多い事件だが結果として、テレビ局の俳優に対する絶対的な優位が確立した。後に至るも久保は金銭的に報われない芸能人の生活向上のための活動に汗を流すことになる。

芸能人の全体数が増加して行く中で、徐々にテレビ局や各種メディア業との連携、あるいは独自での企画・運営によるイベント主催、新人発掘、劇団経営など様々な関連事業が追加され、さらにバブル期には異業種への展開など多角経営化が進んでゆく。

1950年代、ジャズミュージシャンだった渡辺晋が芸能産業の近代化と、虚業・河原乞食などと揶揄されていた芸能人の待遇改善と地位向上を目的として、夫人の美佐松下治夫とともに渡辺プロダクションを創設し、これが現代型の芸能事務所の起源であるとされる。

多方面からの人材流入を受けた近年は、いわゆる文化人アスリートのメディア出演や公演活動時のマネジメントといった業務、他にはアナウンサーリポーター、司会専門を育てるというように多様化・マルチ化が進む。ただし、この業界は事務所の規模も大小様々である上、独立・移籍など人々の流動が激しい事から、詳細な実態は把みづらい面もある。

[編集] 関連項目

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