ボネール、シント・ユースタティウスおよびサバ

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ボネール、シント・ユースタティウスおよびサバ
Bonaire, Sint Eustatius en Saba
Boneiru, Sint Eustatius i Saba
公用語 オランダ語英語(サバ島、シント・ユースタティウス島)
パピアメント語(ボネール島)[1]
政府
 -  代表部長 ヴィルベルト・ストルテ
 -  ボネール島副知事 リディア・エメレンシア
 -  シント・ユースタティウス島副知事 ヘラルト・ベルケル
 -  サバ島副知事 ヨナタン・ヨーンソン
立憲君主制 オランダの特別自治体 
面積
 -  総計 328 km2 
127 sq mi 
人口
 -  2010年統計 1万8000人 
通貨 アメリカ合衆国ドル (USD)
時間帯 -4 (UTC-4)
ccTLD .nl.an(廃止).bq(未供用)[2]
国際電話番号 +599

ボネール、シント・ユースタティウスおよびサバオランダ語: Bonaire, Sint Eustatius en Saba)は、カリブ海にあるオランダ領の3つの特別自治体(ボネールシント・ユースタティウスサバ)を併せた呼称。

これらの地域はオランダ王国構成国(自治領)ではなく、オランダ本国の一部に位置付けられている。しかし、法制度や経済などの面でヨーロッパのオランダ本土とは異なる運用のされる地域となっており、通貨もユーロではなく米ドルが用いられている。欧州連合 (EU) には2015年まで[3]特別地域として[4]留まる。

各島の頭文字を取ってBES諸島(ベーエーエスしょとう)、あるいはカリブ・オランダとも呼ばれる(#名称参照)。

名称[編集]

行政上はオランダ語で Caribisch Nederlandパピアメント語Hulanda Karibe と呼ばれ、日本語で「カリブ・オランダ[5]とも訳される。オランダ王国の構成国「オランダ」(以下、オランダ本国)のうちヨーロッパに位置する領土(以下、オランダ本土)が「ヨーロッパ・オランダ」(Europees Nederland)と呼ばれるのに対比される表現である。

このほか日本語では「オランダカリブ領域[6]」という翻訳表記が使われるほか「オランダ領カリブ」「カリブ海オランダ領」などの表記も用いられる。

また構成各島の頭文字を取ってBES諸島(ベーエーエスしょとう、: BES-eilanden)とも呼ばれる。

地理[編集]

オランダ王国、オランダ本国、BES諸島の、制度的位置と地理的位置
オランダ王国オランダ(1)の一部であるサバ島 (1.1)、シント・ユースタティウス島 (1.2)、ボネール島 (1.3) が示されている。
シント・マールテン (2)、アルバ (3)、キュラソー (4) はオランダ王国構成国。

位置[編集]

カリブ海地域の小アンティル諸島に、オランダ王国領の(行政単位としての)島は6つあり、約800km離れた2つの地域(ウィンドワード諸島SSS諸島、リーワード・アンティル諸島のABC諸島)に分かれて3島ずつ存在する。

オランダ王国の構成国であるオランダ(オランダ本国)に属するのは6島のうち3島(ボネールシント・ユースタティウスサバ)で、ボネール島がABC諸島に、シント・ユースタティウス島とサバ島がSSS諸島に所在している。

いずれの島も熱帯に属しており、温暖である。ウィンドワード諸島には、夏季にハリケーンが襲来する。

各島概要[編集]

ボネール島は、BES諸島の中で唯一、ベネズエラの沖合のリーワード・アンティル諸島に所在しており、西からアルバキュラソー島(いずれもオランダ王国構成国)と並ぶABC諸島の最も東に位置する。ボネール島に付属して、クレイン・ボネール島などの小島嶼がある。約1万3000人の人口を有するボネール島は、BES諸島3島の中では面積・人口ともに最大であり、ボネール島のクラレンダイク(人口約3000人)は3島の中で最も大きな町である。しかしながらアルバ、キュラソーはそれぞれ10万人を超える人口を有しており、ボネール島はABC諸島の中で最も人口の少ない島である。

シント・ユースタティウス島サバ島は、ウィンドワード諸島の一角に位置している。両島とともにSSS諸島と呼ばれるシント・マールテンは(北側のフランス領と合わせたセント・マーチン島全体で)年間約180万人[7]とされる観光客が訪れる著名な観光地であり、2010年にオランダ王国構成国になった。シント・ユースタティウス島とサバ島の産業は小規模である。シント・ユースタティウス島は、住民投票でオランダ領アンティルの維持を求める結果が最後まで多い島であった。

サバ島は、BES諸島3島の中では面積・人口とも最小である。オランダ本土の自治体(ヘメーンテ)の中には面積や人口がサバ島より小さなものもあるが、小規模な部類に含まれる(List of municipalities of the Netherlands参照)。サバ島は急峻な火山島であり、狭小な島の中央にそびえるシーナリー山英語版(887 m)[8]は、オランダ王国の最高峰である。2010年にサバ島がオランダ本国に編入されたために、ファールゼルベルク英語版(322 m、本土最高峰)を抜いて「オランダ最高峰」となった。

名称 首府 面積[9]
(km²)
人口[10] 人口密度
(人/km²)
位置
ボネール島の旗 ボネール島 クラレンダイク 294 13,389 46 北緯12度9分 西経68度13分 / 北緯12.150度 西経68.217度 / 12.150; -68.217 (ボネール島)
シント・ユースタティウス島の旗 シント・ユースタティウス島 オラニエスタッド 21 2,886 137 北緯17度30分 西経62度58分 / 北緯17.500度 西経62.967度 / 17.500; -62.967 (シント・ユースタティウス島)
サバ島の旗 サバ島 ボトム 13 1,737 134 北緯17度38分 西経63度14分 / 北緯17.633度 西経63.233度 / 17.633; -63.233 (サバ島)
総計 328 18,012 55
  • 人口は2010年1月1日現在。

歴史[編集]

これらの島々は、20世紀半ば以降オランダ王国構成国(自治領)オランダ領アンティルの一部であった。しかしながら、ABC諸島とSSS諸島が地理的に大きく隔たっていた上に、各島の間の経済規模の格差も大きく、1986年にアルバが単独で自治領となって離脱、21世紀に入るころからは住民投票で「オランダ領アンティル」解体の意志が示されるようになった。

2010年10月10日にオランダ領アンティルは解体され、キュラソー島とシント・マールテン島はそれぞれ単独でオランダ王国の自治領(構成国)となった[11]。一方、規模の小さなボネール、シント・ユースタティウスおよびサバの3島はオランダ本国の一部に編入された[12]

行政[編集]

各特別自治体 (bijzondere gemeenten) はオランダ本土の基礎自治体(ヘメーンテ)と同等の権限を有し、行政は副知事 (gezaghebber) を長とする統治評議会 (bestuurscollege) がつかさどる。各島には島議会 (eilandsraad) が置かれ、住民はオランダの選挙と欧州議会選挙にも参加する。

オランダの法では、島々は正式にはヘメーンテン(基礎自治体)ではなくオペンバーレ・リハメン(「公的機関」と意訳される)に分類される。3島は州ではない[13]ため、通常基礎自治体が有する権限は各島の政府と中央政府(Rijksdienst Caribisch Nederland)が有する。

BES諸島には本土と別の法令が多々適用されている[14]。たとえば、社会保障水準は本土との間で開きがある。

欧州連合には加盟していないが、「特別領域」として特別な扱いを受けている。これはリスボン条約で、欧州議会がEUの諸条約を適用できると定められたデンマークフランス、オランダの海外領土を指す。オランダ領アンティルの解体にともない、これには5年間の移行期間が設けられた。

Rijksdienst Caribisch Nederland[編集]

国家カリブ・オランダ局 (: Rijksdienst Caribisch Nederland) は島々における課税、警察活動、移民、交通網、医療、教育および社会保障の全責任を負い、オランダ政府に代わりこれらサービスを提供している[15]。2008年に地域サービス・センターとして設立され、2010年9月1日に改称された[16][17]。現局長はシブレン・ファン・ダムである[18]

ボネール・シント・ユースタティウスおよびサバ公共機関代表部はオランダ政府の代表部で、女王長官の役職も兼ねる[要出典]。現部長はヴィルベルト・ストルテである[19]

経済[編集]

通貨はアメリカ・ドルで、2011年1月1日にオランダ領アンティル・ギルダーから切り替えられた。ユーロは本土の、カリブ・ギルダーはキュラソー島とシント・マールテン島の使用通貨であるため、導入されなかった[20][21]。アメリカ・ドルの導入は2008年11月に決まった[20]

通信[編集]

国際電話国名コードはオランダ領アンティル時代と同じ599で、キュラソー島やシント・マールテン島と番号をシェアしている。国際標準化機構 (ISO) はBES諸島に、BQの2ケタ国名コードを割り当てた[22]Internet Assigned Numbers Authority (IANA) も国別コードトップレベルドメイン (ccTLD) として.bqを配分したが、供用は始まっていない。

脚注[編集]

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  1. ^ Invoeringswet openbare lichamen Bonaire, Sint Eustatius en Saba” (Dutch). wetten.nl. 2011年1月1日閲覧。
  2. ^ Delegation Record for .BQ”. IANA (2010年12月20日). 2010年12月30日閲覧。
  3. ^ Regels met betrekking tot de openbare lichamen Bonaire, Sint Eustatius en Saba (Wet openbare lichamen Bonaire, Sint Eustatius en Saba); Verslag” (Dutch). Ikregeer.nl (2009年10月12日). 2011年6月27日閲覧。
  4. ^ Official Journal of the European Union – C 83”. EUR-Lex (2010年3月30日). 2011年6月27日閲覧。
  5. ^ WENPING Vol.76”. ウンピン・エンド・カンパニー (2011年5月26日). 2012年8月28日閲覧。
  6. ^ 標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書 オランダカリブ領域に対する領域指定の拡張要求が記録された標章の保護状況に関するオランダ王国からの宣言(参考訳)”. 特許庁国際商標出願室 (2011年9月). 2012年4月20日閲覧。
  7. ^ Sint Maarten”. CIA The World Factbook. CIA. 2014年7月17日閲覧。
  8. ^ Saba”. Global Volcanism Program. Smithsonian Institution. 2014年7月17日閲覧。
  9. ^ Statistical Info: Area and Climate”. Central Bureau of Statistics (Netherlands Antilles) (2010年). 2010年10月11日閲覧。
  10. ^ Statistical Info: Population”. Central Bureau of Statistics (Netherlands Antilles) (2010年). 2010年10月11日閲覧。
  11. ^ Constitutional reform of Netherlands Antilles completed”. Government.nl (2010年9月10日). 2011年6月27日閲覧。
  12. ^ Besluit van 23 september 2010 tot vaststelling van het tijdstip van inwerkingtreding van de artikelen I en II van de Rijkswet wijziging Statuut in verband met de opheffing van de Nederlandse Antillen” (Dutch). Overheid.nl (2010年10月1日). 2011年6月27日閲覧。
  13. ^ 31.954, Wet openbare lichamen Bonaire, Sint Eustatius en Saba” (Dutch). Eerste kamer der Staten-Generaal. 2010年10月15日閲覧。 “De openbare lichamen vallen rechtstreeks onder het Rijk omdat zij geen deel uitmaken van een provincie. (The public bodies (...), because they are not part of a Province).”
  14. ^ Wet- en regelgeving” (Dutch). 2011年1月13日閲覧。[要検証 ]
  15. ^ Vacatures Rijksdienst Caribisch Nederland
  16. ^ Rijksdienst Caribisch Nederland Rijksdienst Caribisch Nederland
  17. ^ FAQ Rijksdienst Caribisch Nederland
  18. ^ Rijksdienst verwelkomt nieuwe medewerkers Rijksdienst Caribisch Nederland
  19. ^ Rijksvertegenwoordiger arrived in the Dutch Caribbean
  20. ^ a b Davis, Susan (2008年9月13日). “Bonaire Opts for U.S. Dollar as New Official Currency”. Bonaireinsider.com. 2010年10月10日閲覧。
  21. ^ Monetary, Safety Law BES islands approved islands”. The Daily Herald. 2010年6月30日閲覧。
  22. ^ ISO 3166-1 decoding table”. International Organization for Standardization. 2010年12月16日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

公式サイト