標準時
標準時(ひょうじゅんじ、standard time)とは、ある国または地域が共通で使う地方時をいう。世界時(Universal Time)との混同を避けるため、地方標準時と呼ぶことがある。
太陽時では経度の違いで時差が発生し、1日を24時間とした場合経度が15度違うごとに1時間の時差となるが、標準時では多くの場合、国や地域が広がる経度の範囲の中心や、人口密度、都市の位置、その標準時が使われる地域間の太陽時での時差などを考慮し、協定世界時(UTC)との差が1時間もしくは30分単位になる場所の時間を標準時として使っている。 共通の標準時を使う地域全体を「標準時間帯」、「時間帯」、「等時帯」または「タイムゾーン(time zone)」といい、その地域の標準時を示す際にはUTCとの差で示すことが多い。
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標準時の歴史 [編集]
標準時が導入される以前は、各々の自治体ごとに(もしその町の時計があれば)その町での太陽の位置に合わせて時計を合わせていた。すなわち都市や観測地点ごとに定めた平均太陽時であった。鉄道が敷設される以前はこれで十分に間に合っていたが、鉄道によって人々がそれまでよりも格段に速く広範囲を移動できるようになると、定期的に時計を合わせ直す必要が出てきた。この問題を解決するために、ある地域内で全ての時計に同じ時刻を用いるという「鉄道時間(railway time)」、後に「標準時」、の仕組みがイギリスで生まれた。この共通時刻としては、基準となる地点の平均太陽時を用いた。イギリスではロンドンの王立グリニッジ天文台の時間、すなわちグリニッジ平均時をこれに用いた。
標準時の考え方を世界全体に適用すると、世界はいくつかの時刻帯(time zone)に分割される。それぞれの時刻帯は(少なくとも理論的には)15度の経度範囲をカバーする。これら各々の時刻帯に属する時計は互いに全て同じ時刻に合わせられ、隣り合う時刻帯の間は1時間ずつ時刻がずれている。1884年の国際子午線会議 (International Meridian Conference) において上記の王立グリニッジ天文台の平均太陽時が基準に選ばれ、これによってこのグリニッジ平均時が世界の各地域の時計を合わせるのに広く使われるようになった。グリニッジが選ばれた理由は、1884年当時に世界で使われていた海図と地図の約2/3、および米国がすでにグリニッジ子午線を本初子午線として採用していたためである。この会議ではサンドフォード・フレミング卿が時刻帯の仕組みを提案したが、本初子午線を決定するという会議の目的から外れるという理由で採用は見送られた。しかし結局1929年までには、主要な国のほとんどで時刻帯が採用されることとなった。
1928年に、それまで用いられていたグリニッジ平均時よりも、位置によらない共通の基準時刻を表すための正確な用語として世界時(Universal Time)という語が国際的に採用された。これは、GMTという語が正午を起点とする天文学的な「日」と深夜を起点とする市民向けの「日」のどちらを指す場合もあるためである。しかしグリニッジ平均時という語は今日でも一般の時刻基準を指す言葉として依然として広く使われている。
北米・ニュージーランド [編集]
アメリカとカナダでは、1883年11月18日に両国の鉄道会社によって標準時刻帯が導入された。当時の新聞はこの日を「2つの正午をもつ日」と書いた。このとき、政府は時刻についての立法措置や決定を特に行わなかった。鉄道会社は5つの時刻帯を単純に採用し、市民もこれに従うものと考えた。鉄道経営者の組織であるアメリカ鉄道協会(American Railway Association, ARA)は、時刻を標準化することに対して一般の科学的関心が高まりつつあることに気づいていた。そこでARAは、当時存在していたそれぞれの鉄道路線の境界に合わせて不規則な境界線をもつ独自の時刻帯を考案した。これは一部には、政府によって鉄道経営に不便な時刻帯が採用されてしまうのを前もって避けるためであったと考えられる。多くの人々はこの新しい時刻を単純に受け入れたが、この「鉄道時間」には法的裏付けが全くないとして拒否する市や郡も少なくなかった。法律に規定がないと、例えば契約書の満了期限として深夜(midnight)と書かれていた場合、この深夜はいつを意味するのかといったことが問題になる。アイオワ州の最高裁判所で審理されたある裁判では、閉店時間の違反に問われたある酒場の経営者が自分は「鉄道時間」ではなく地方(太陽)時に基づいて営業していると主張して無罪となった例があった。その後も標準時は地域の問題となっていたが、1918年にサマータイムの導入の一部として標準時が法律で制定された。
1868年11月2日にはニュージーランドが全国で使われる標準時を公式に採用した。名称はニュージーランド平均時(New Zealand Mean Time)。おそらくこれが国内で単一の標準時を採用した最初の国であったと考えられる。ニュージーランドの標準時は東経172度30分の経度に基づくもので、グリニッジ平均時より11時間30分進んだ時刻となっている。
参考文献 [編集]
- Peter Galison. Einstein's clocks, Poincaré's maps: Empires of time. New York: W.W. Norton & Company, 2003. ISBN 0393020010. Discusses the history of time standardization.
- O'Malley, Michael. Keeping watch: A history of American time. Washington: Smithsonian, 1996. ISBN 1560986727
- Seidelman, P. Kenneth, ed. Explanatory supplement to the Astronomical Almanac. Mill Valley, California: University Science Books, 1992. ISBN 0935702687.
関連項目 [編集]
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