電波時計
電波時計(でんぱどけい)とは標準電波を受信して誤差を自動修正する機能を持つ時計のことである。
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[編集] 動作原理
標準電波の送信局から送信される原子時計による日付・時刻情報のデジタル信号を受信し、自動的に時刻を合わせる時計が電波時計であり、電波が正常に受信できる環境に限り、秒単位で正確な時刻を知ることができる。夏時間(サマータイム)や閏秒にも対応している。
通常、標準電波の受信は日に数回行われるのみであるため、前回の受信から次回の受信までの間の精度は、その時計(基本的にクォーツ時計)自身に依存し、常に同時性を維持できるわけではない。また、以下のように電波の受信ができない場合も、その時計(同上)自身の精度に依存する。
- 標準電波の停波
- 送信局は、機器のメインテナンスや故障、事故、災害(あるいはその予防)のために標準電波の送信を停止する場合がある。日本のJJYの場合、数秒から数時間程度の短時間の停波は年に数十回ほど発生している。複数の送信局に対応している機種で、複数局の電波が受信できる地域であればこの問題は回避できる。
- 電波が届かない環境
- 送信局から離れすぎている場合には受信できない。受信可能な地域でも、建物などの中では受信できないことがある。建物内の場合、木造家屋の窓際では受信しやすいものの、マンションやビルなど鉄筋コンクリート構造や鉄骨構造の建物内部では電波の受信が難しいと言われている。
- 表示時刻が電波により修正されたものかを確認できるように、受信状態を表示するインジケーターが設けられている製品もある(デジタル表示では送信アンテナ型のアイコン、アナログ表示ではLEDなど。1日から数日間電波受信による較正を行えなかった場合は消える)。
- 電池残量の減少
- 電池式の電波時計では、電池の残量が少なくなると電波が受信できなくなることがあり、機種によっては省電力(時計機能の維持)のため受信機能を停止する。太陽電池を搭載したものでも、二次電池(充電池)の劣化によって同様のことが起こる。
このほか、標準電波は光の速度で伝播するため、電波発信源より遠い場所においては数ミリ秒程度の誤差が発生する。たとえば、送信所から300キロメートル離れた場所では約1ミリ秒遅れて受信することになる[1]。
アナログクォーツ電波時計、コンビネーションクオーツ電波時計はテレビや携帯電話など磁気の影響で秒針、分針、時針が誤作動する可能性がある。これは上記の時計の針が磁石の性質を利用したモーターを利用しているため、外部から強い磁気を受けるとモーターの回転に異常をきたして時計の基準位置がずれるためである。また、一定の衝撃を受けても基準位置がずれる場合がある。このため、電波時計が電波を正常に受信していても正確な時間を指さない場合がある。なお、基準位置の修正は手作業で行う以外にない[2]。セイコーの「針位置自動修整機能」やシチズンの「JIS1種耐磁時計」は、磁気の影響を減じるものではあるが完全に影響を排除することはできない[3]。
[編集] 日本における電波時計
日本では「JJY」と呼ばれる標準電波の送信局があり、福島県大鷹鳥谷山のおおたかどや山標準電波送信所(送信周波数40kHz)と、福岡県と佐賀県との県境に位置する羽金山のはがね山標準電波送信所(送信周波数60kHz)の2つの送信所で、ほぼ日本全国をカバーしている(ただし先島諸島、小笠原諸島などは範囲外。また日本と時差のない韓国の全域と北朝鮮の大半の地域も電波が届くために、日本製の電波時計がそのまま使用できる)。
[編集] 主な製品
時刻合わせの手間がかからないという利点を生かし、メンテナンスしにくい場所に設置されることが多い掛時計や据え置き型の目覚まし時計のような製品が多数のメーカーより販売されている。デジタル表示、アナログ表示ともいずれの製品もあるが、アナログ表示の方が若干高価な傾向にある(内部計時と針位置の同期を計る必要があり、構造が複雑になる)。標準電波に含まれる日付情報を表示するカレンダー機能を持つものや、アナログ表示でも内部では午前と午後を認識して昼間のみ時報を鳴らす製品などもある。
最近は複数の国の電波に対応している機種や腕時計型の機種も製品化されているが、受信装置の小型化・低価格化が充分に進んでおらず、特に腕時計は高価になりがちである。女性用の製品ではクォーツ時計並みの小型でファッション性の高い、特にブレスウォッチと呼べるようなデザインの製品は発売されていない。
以下は主な「電波時計」機能名と、その受信可能局である。
- カシオ製
- wave ceptor - 日本(福島局・九州局)(JJY)と、一部機種除きアメリカ(コロラド州・WWVB)
- MULTI BAND 5 - 日本2局、アメリカ、イギリス(アンソーン・MSF)、ドイツ(マインフリンケン・DCF77)
- MULTI BAND 6 - 日本2局、アメリカ、イギリス、ドイツ、中国(河南省・BPC)
- シチズン製
- 電波時計 - 日本2局
- Perfexマルチ3000 - 日本2局、アメリカ、ドイツ、中国
- セイコー製
- RADIO WAVE CONTROL SOLAR - 日本2局
- RADIO WAVE CONTROL ADVAN WAVE SOLAR - 日本2局、アメリカ、中国
なお、電波受信可能域については、各社ごとによって説明・見解が異なっている。また、上記3社の他にエルジンなど複数のメーカーより電波受信機能搭載の腕時計は多数発売されている。
また、一部の電子キットメーカーから基板などのセットが発売されており自分で組み立てることも可能である。
[編集] 中継機を使った製品
前述の電波が受信しにくい問題点を改善するために、屋外や窓際等の電波状態の良い場所で受信した電波を一旦復調し、別の周波数で時間情報を再送信する中継機が市販されている。
シチズンから発売されている9ZZ005-008(リズム時計製)という製品は、東西の受信可能な周波数のうち、手動切替スイッチで選択した周波数を受信し、送信用の切替スイッチで選択した東西の周波数のいずれかで中継することができる。
セイコーからは、タイムリンクという名称の製品が発売されている。タイムリンク送信機(親機)で受信した時刻情報を特定小電力無線で再送信、タイムリンククロック(子機)で受信する。通常の電波時計では受信できない。
[編集] その他の電波を使った時計
一般的には前記の「標準電波を受信し時刻を合わせる時計」が狭義での「電波時計」ではあるが、「電波により時刻情報の伝達を行うもの」も広義での電波時計といえる。以下にその例を示す。
- GPS受信機、カーナビゲーションの時計 - GPS衛星より送信される時刻情報を利用。
- au携帯電話 - 基地局からの制御信号に時刻情報が重畳されている。
- 一部のNTTドコモFOMA、ソフトバンクモバイル3G、携帯電話、ウィルコムPHSの時計 - データ通信により時刻情報を取得する。
- NTTドコモのFLEX-TD方式クイックキャストの時計 - 呼び出し用の電波に時刻情報が重畳されている。
- NHKのテレビやラジオ放送の時報を用いたもの。テレビ放送の時報を用いたものは家庭用ビデオテープレコーダ等に組み込まれている[4]。ラジオ放送の時報を用いたものは、現行の長波帯のJJYが運用される前に親子時計等のオプションとして存在した。時刻情報が含まれないため、一度は手動で時刻を合わせなければならない。また、リズム時計工業よりJJYとAMラジオの時報の両方を受信できる時計が発売されている。このほか、公園に設置されている時計にもラジオの時報で時刻を合わせるものがある。
- BSデジタルや地上デジタルなどのデジタル放送では、放送波の中にTOT(Time Offset Table)として現在時刻が織り込まれている。
- 見えるラジオの時計 - FMラジオの文字多重データに時刻情報が重畳されている。専用受信機のみ対応。
[編集] 脚注
- ^ 標準電波に関するQ&A - 日本標準時プロジェクト(情報通信研究機構)
- ^ 時計の知識:時計に関するQ&A集 - 日本時計協会
- ^ ご愛用上のご注意:磁気について - セイコーウオッチ
- ^ このタイプでは、教育テレビのアナログ放送内で正午に流される時報音を検知して時刻を修正する。そのため、地上アナログテレビ放送が終了する2011年7月24日(予定)以降は自動時刻修正機能が働かなくなる。また、2010年ころから囲碁・将棋フォーカスが正午を跨いで放送されている事と、選抜高等学校野球大会・全国高等学校野球選手権大会実況放送の実施によりテレビで時報そのものが流れなくなる毎週日曜日と毎年3月下旬~4月上旬・8月上旬~下旬にも、一時的に時刻修正機能が停止する。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 日本標準時プロジェクト
- なぜ電波時計は正確な時刻を刻み続けるのか? - タイムコードを音声化したMP3など
- 岡田大助 (2010年6月17日). “1秒を決める国内唯一の機関――情報通信研究機構(NICT)”. Business Media 誠. 2010年6月17日閲覧。
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