プライベートブランド

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スウェーデンのスーパーのプライベートブランドの例

プライベートブランド (private brand) とは、小売店卸売業者が企画し、独自のブランド商標)で販売する商品である。ナショナルブランド (NB)[1]の対義語。

PBと略され、別名「ストアブランド」、日本語では「自主企画商品」と和訳される。

概要[編集]

商品の種類は、食品日用品衣類家電製品などさまざまであるが、日常的に消費される食品や日用品が多い。

日本の最古のプライベートブランドは、大丸百貨店が1959年に発売した紳士服ブランド「TROJAN」で、食品についてはダイエーが翌1960年に発売した缶詰「ダイエーみかん」である。

1960年ごろから大手百貨店スーパーマーケット日本生活協同組合連合会がプライベートブランド商品作りに乗り出しているが、当時はナショナルブランド商品に比べて安いものの品質が劣り、経済情勢が悪いときにブームにはなったものの、一般的ではなかった。本格的な立ち上がりは1980年代半ばからで、もともと西友のプライベート商品として始まった「無印良品」の独立、価格破壊の象徴として、ダイエーによる「セービング」商品などが取り上げられるようになり、プライベート商品が一定の地位を得ることになった。

2006年ごろからの石油や原材料の高騰、サブプライムローンを発端とする経済危機によるナショナルブランド商品の価格上昇と、消費者の節約志向の高まりから人気を呼び、「日経トレンディ」の『2008年ヒット商品ベスト30』の1位に「PB(プライベートブランド)」が、日経MJの『2008年日経ヒット商品番付』の西の横綱にプライベートブランドの「セブンプレミアム」・「トップバリュ[2]が選出された。2009年以降、大手流通グループでは売り上げに占めるPB商品の比率をより高める方針と報道されている。市場規模は約3兆円(2012年現在)と推定されている[3]

商品企画・生産[編集]

商品の企画は、チェーンストア生協などの小売店によるもの、CGC全日食チェーン八社会などの複数のチェーンストアによる共同仕入れ組織によるもの、国分三菱食品などの大手卸売り業者によるものの3種に大別される。

商品の生産・供給は、中小規模のメーカーに発注して供給する場合、受託生産を専門とするメーカーに発注して供給する場合、ナショナルブランドを持つ大手メーカーに発注して既存のナショナルブランド商品をOEM供給させる場合(コントロールドレーベル)、自社内で生産・供給する場合(チェーンブランド)などがある。

製造メーカー[編集]

1980年代まではブランド力の弱い中小メーカーに委託する場合が多く、品質面で劣る原因の一つでもあったが、近年では大手流通グループと大手ナショナルブランドメーカーと共同で企画・生産する場合が多い。これによって、品質面でも安定するようになり、2000年台中盤からのPB商品ブームにつながっている。

商品に関する各種問い合わせ窓口は販売者(小売店)が行うため、製造者(メーカー)は原則的に非公開である。ただし、法令で製造者の記載が義務づけられている商品(酒類、乳製品など)や、プライベートブランドの方針で公開している場合は記載される[4]。特に中身が大手ナショナルブランド商品と同一であったり、メーカーが判ることで消費者の安心感・お買い得感を増させる効果を狙って行うことがある[5]。保存のきく食品の場合は、アフターサービスを考慮して製造を担当したメーカーが問い合わせ窓口になる場合がある。

しかし、2013年12月末に発覚した冷凍食品の農薬混入事件では、製造者名の記載のない対象商品の回収に支障を来たしたことで、回収を要する製品が発生した場合の対処方法が問題点として顕在化した[6]

メリット[編集]

  • 消費者側
    • ナショナルブランドとほぼ同品質の製品を、より安価に購入できる。
    • ナショナルブランドにはない高品質・付加価値のある製品を購入できる。
  • 販売側
    • 商品の仕様を容易に変更できるため、小売店・消費者の声を直接反映した商品を販売できる。
    • 宣伝・営業費用や卸売り業者は不要であるため、ナショナルブランド商品よりも粗利益率が5 - 10ポイント程度高く[3]、販売価格を自由に設定できる。
    • 原材料・製造方法・仕様を指定することで、商品にオリジナリティのある付加価値をつけることができ、企業・ブランドイメージの向上を計ることができる。
  • メーカー側
    • 一定量の販売が確約されることにより、閑散期でも工場稼働率を上げて効率よく生産できるため、コスト削減が可能となる。
    • 売上を安定させることでメーカーの経営が安定する。
    • ナショナルブランドの開発・売込みの土壌を作ることができる。

デメリット[編集]

  • 消費者側
    • ナショナルブランドと同じように見えても原材料や配合比率・加工方法・内容量を変えている場合があり、風味・食感に影響を及ぼしたり、品質が価格相応もしくは割高になる場合もある。
    • 販売店はプライベートブランド商品を優先して取り扱うためにナショナルブランド商品の取り扱いが削減され、商品の選択の幅が狭められる場合がある。
    • 当初からナショナルブランドより低価格の商品が多いため、特売商品となりにくい(賞味期限の近い食品などの割引を除く)。
    • 大半の商品で製造者が記載されていないため、消費者から製造者への意見を直接伝えるのが難しい。
  • 販売側
    • 全量買い取りであるため売れ残りが出ても返品できず、他社に転売することもできない。また追加生産のタイミングを誤ると長期間品切れになってしまうので、常に在庫リスクが発生する。
    • 食中毒や異物混入などの事故が発生した場合、製造者に代ってクレーム対応などの責任を負わなければならない。また生産終了後のアフターサービスも行わなければならない。
  • メーカー側
    • 並行して生産しているナショナルブランド商品の売り上げが減少することがある。
    • 商品によっては粗利益率がナショナルブランドよりも10ポイント程度低くなることがある[3]
    • 販売側の指摘する規格と誤差が生じた場合、商品の受け取り拒否をされることがある。とくに食品の場合は転売はおろか中身の詰め替えもできず、大量の在庫を抱えたり、そのまま処分しなければならず、本来回収できるはずの費用が入ってこないため、資金繰りが苦しくなる。
    • 受託生産の依存度が高くなるとナショナルブランドの開発力・営業力が低下し、工場の稼働率が発注元の発注量に左右される。

主なプライベートブランド[編集]

大手流通業者などの独自開発商品[編集]

また、大手100円ショップでは、大手有名NBメーカーに自社専用商品として発注する場合が多い。

コンビニエンスストア[編集]

  • ファミリーマートコレクション(ファミリーマート) - 2012年10月に販売開始し、旧ブランドから順次移行。白色のパッケージの「レギュラーライン」と、中高年をターゲットとした茶色のパッケージの「プラチナライン」の2種がある。2012年度の取り扱いは約1200品目で、売上高1200億円を目標としてる[3]
  • ローソン - 全ブランドあわせて2011年度実績で約1500品目、売上高約1000億円[3]
  • セイコーフレッシュセイコーマート

外資系流通業の独自開発商品[編集]

  • グレートバリュー(ウォルマート) - 日本では西友が2005年に導入。
  • カルフールブランド(カルフール
    • ルフレ・ド・フランス(カルフール)
    • カルフールディスカウント(カルフール)
    • NO.1(通称「N1」、カルフール)
  • テスコブランド(テスコ、日本では主につるかめランドでの取り扱い)
    • テスコバリュー(テスコ、日本では主につるかめランドでの取り扱い)
  • カークランドシグネチャー(コストコ

ボランタリーチェーンの共同開発商品[編集]

その他[編集]

  • fpiedi〔ピエティー〕(アプライド
    • MONO(アプライド)
    • あばれ馬(アプライド)
    • MONO BLOCK(アプライド)
  • HANDSMAN ORIGINAL(ハンズマン
  • amazon basics(amazon
    • 全世界で展開している。

かつて存在したプライベートブランド[編集]

  • セービング(ダイエー)
    • 1980年 - 2009年2月
    • BUBU、コルティナ(ダイエーの家電製品)
    • 暮らしの88(ダイエーの88円均一商品)
  • フーデックス、ホーメックス(マルエツ)
  • ファインセレクト(西友)
  • 生活応援スーパープライス(マイカル
    • 食料品や日用消耗品を中心に展開していたが、2001年の経営破綻と、イオンをスポンサーとする経営再建の過程において、トップバリュに順次置き換えられ廃止された。マイカルグループのジェスマックが販売。
  • 無印良品(西友)
    • 元来は1980年に誕生した西友のプライベートブランドであったが、1983年青山で直営店をオープンさせた後、1989年に社名を「良品計画」として独立。広い意味でのブランドとしては現在も存在する。
  • カットプライス(イトーヨーカドー)

倒産や統合した小売業にあったプライベートブランド[編集]

農林水産省による実態調査[編集]

2009年8月、農林水産省の補助事業として、社団法人食品需給研究センターが食品メーカとスーパーを対象にPB商品の企画開発・製造・流通についての実態調査を開始、2010年4月19日に調査結果を発表した[7]

脚注[編集]

  1. ^ 家電製品の場合は、プライベートブランド商品に対してナショナルブランド商品のことをプロパー製品と呼ぶことが多い。
  2. ^ 東の横綱は、プライベートブランドをさらに進化させた形態の製造小売業である、ユニクロH&M
  3. ^ a b c d e f g h i 「特集 PB商品の裏側」、『週刊東洋経済』2012年12月22日号、東洋経済新報社、2012年12月、ISSN 20134-12/22。
  4. ^ ダブルチョップ、またはダブルブランドと呼ばれる。
  5. ^ このような商品を宣伝する際「共同開発」という言葉がよく使われる。
  6. ^ 他社PB落とし穴 アクリ農薬検出 製造者記載ない商品も - 2014年1月12日 東京新聞
  7. ^ 食品企業におけるPB取組の現状と課題

参考サイト[編集]

参考文献[編集]

  • 藤野香織 『ヒットする!PB商品 企画・開発・販売のしくみ』 同文舘出版、東京、2009年ISBN 978-4-495-58501-32010年12月13日閲覧。
  • 「PB商品の裏側」、『週刊東洋経済』2012年12月22日号、東洋経済新報社、2012年12月、ISSN 20134-12/22。

関連項目[編集]