製造所固有記号

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製造所固有記号(せいぞうしょこゆうきごう)とは、日本の食品衛生法第19条[1]の表示についての食品衛生法施行規則第21条第10項に基づき、製品を製造した各製造所(工場)の所在を表すアラビア数字、ローマ字、かなによる記号である。

概要[編集]

商品を製造する食品メーカー(製造者)、あるいは販売する商社や小売チェーンの本社(販売者)が各工場ごとに固有記号を自由に制定して、消費者庁の食品表示課(2009年8月までは厚生労働省であった)に届け出る。
消費者庁移管後においても、各地域の保健所へ制度等について問い合わせることは可能(届出は出来ない)。

規定では「アラビア数字、ローマ字、平仮名若しくは片仮名又はこれらの組合わせによるもの。『―』、『・』などの記号等は使用不可」とされているのみで文字数の制限はなく、記号自体の付番については、完全に製造者あるいは販売者に任されている。

各製品の製造工場は、食品表示の製造者名あるいは販売者名に添えられるほか、商品パッケージの表面に製造所固有記号として賞味期限と並列記載されている場合が多い。

制定[編集]

1959年(昭和34年)12月28日 厚生省令第37号「食品衛生法施行規則の一部を改正する省令」(第22次改正)により制定された。当時の雑誌『食品衛生研究』に以下のとおり 解説されている。(用語、仮名遣いは原文のまま)

 製造所所在地および製造者の名称について略する方法は、従来認められていた自社の第1工場、第2工場などの場合は従来通りのアラビア数字、ローマ字、平仮名、及びこれらの組み合わせによる記号を製造所所在地(この場合は工場所在地)を管轄する都道府県知事を経て厚生大臣に届け出れば、その記号を用いることができる。この方法は従来より一々厚生大臣の承認をうけないですむだけ簡単になつたわけで上記方法による記号を使う場合は届出だけですむことになつた。
 また、販売会社が自社の名称と所在地を記載して製造所の名称所在地を略したい場合は、販売者である旨の標示をして上記記号を使つて記載する場合に限り、厚生大臣に届出すればよいことになつた。(中略)
この改正によつてみやげ物やカン詰などは、製造者の名称所在地は記号を標示すればよいことになるわけで販売上は便利となつてきたわけである(中略)。
 これは消費者に対しては窓口となる者の名称所在地を一つ、販売者でも製造者でもよいからその食品などの責任を持つ者を明記させ、一方取締上は製造者の名称所在地を行政庁において把握しておく必要があるわけで、まるつきり製造所の名称所在地を標示しなくてもよいというわけではない。

『食品衛生研究』[2]

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その1[編集]

東京都○○区△△1-2-3に本社のある「A食品株式会社」が、本社と異なる4箇所に自社工場(北海道工場、関東工場、関西工場、九州工場)を持っているとした場合、「A食品」は次のような形で自社工場の固有記号を消費者庁の食品表示課に届け出る。

  • 北海道工場…HK
  • 関東工場…KT
  • 関西工場…KS
  • 九州工場…QS

これにより、食品の表示について、

製造者 東京都○○区△△1-2-3
    A食品株式会社 KS(自社関西工場の意味)

のような表示が可能になる。

上記の場合は、A食品の工場(関西工場)で生産されているが、生産を子会社や関連会社、協力企業などの他社に委託している場合(プライベートブランドなど)では、製造者の代わりに販売者として表示される。(次項)

その2[編集]

製品は作っていないが、大阪市□□区××3-2-1に本社のある商社「B商事株式会社」があるとする。「B商事」も、販売者として同様に製造先の企業・工場の固有記号を消費者庁の食品表示課に届ける。

  • A食品北海道工場…AHK
  • A食品関東工場…AKT
  • A食品関西工場…AKS
  • A食品九州工場…AQS
  • C食品東京工場…CTK
  • C食品大阪工場…COS

B商事の製品が、その1の例に出たA食品の関西工場で生産されたものなら

販売者 大阪市□□区××3-2-1
    B商事株式会社 AKS(B商事ではない、A食品関西工場製造の意味)

例外[編集]

以下に挙げるものは同記号の使用が認められていない。

乳製品[編集]

牛乳チーズコーヒー牛乳アイスクリームなど乳製品に分類される食品(乳飲料に分類される缶コーヒー含む)については、製造を他社工場に委託している場合の、販売者の名称(その2の例)に添える他社の製造所固有記号の使用が認められておらず、製造者の生産工場<A食品株式会社関西工場>の所在地と名称の表示(あるいは、その1の例である製造者の名称<A食品株式会社>と自社工場の固有記号<KS>)が義務づけられている。

生鮮食料品[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 食品衛生法第十九条”. 食品衛生法. 総務省法令データ提供システム. 2011年1月16日閲覧。 “内閣総理大臣は、一般消費者に対する食品、添加物、器具又は容器包装に関する公衆衛生上必要な情報の正確な伝達の見地から、消費者委員会の意見を聴いて、販売の用に供する食品若しくは添加物又は前条第一項の規定により規格若しくは基準が定められた器具若しくは容器包装に関する表示につき、必要な基準を定めることができる。
    2  前項の規定により表示につき基準が定められた食品、添加物、器具又は容器包装は、その基準に合う表示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。”
  2. ^ 乾一郎「今次改正の要旨について」、『食品衛生研究』第10巻第109号、日本食品衛生協会、1960年2月、 46-47頁、 ISSN 0559-8974

関連項目[編集]

外部リンク[編集]