ダニルソン・コルドバ

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ダニルソン
名前
本名 ルイス・ダニルソン・コルドバ・ロドリゲス
Luis Danilson Córdoba Rodríguez
愛称 ダニ[1]
ラテン文字 DANILSON CÓRDOBA
基本情報
国籍  コロンビア
生年月日 (1986-09-06) 1986年9月6日(37歳)
出身地 キブド[2]
身長 186cm
体重 86kg
選手情報
ポジション MF
利き足 左足
クラブ1
クラブ 出場 (得点)
2004-2008 コロンビアの旗 インデペンディエンテ 131 (7)
2009-2011 日本の旗 コンサドーレ札幌 41 (6)
2010-2011 日本の旗 名古屋グランパス (loan) 49 (4)
2012-2015 日本の旗 名古屋グランパス 95 (4)
2016-2017 日本の旗 アビスパ福岡 20 (0)
2017 コロンビアの旗 インデペンディエンテ 7 (0)
2018 コロンビアの旗 ハグアレス・デ・コルドバスペイン語版 6 (0)
代表歴2
2007-2008 コロンビアの旗 コロンビア 3 (0)
1. 国内リーグ戦に限る。2017年5月29日現在。
2. 2008年11月27日現在。
■テンプレート■ノート ■解説■サッカー選手pj

ルイス・ダニルソン・コルドバ・ロドリゲススペイン語: Luis Danilson Córdoba Rodríguez1986年9月6日 - )は、コロンビアキブド出身の元プロサッカー選手。ポジションはミッドフィールダー。日本での登録名はダニルソン[1][3]

来歴[編集]

インデペンディエンテ・メデジン[編集]

コロンビア西部、チョコ県の県都キブドに生まれる[2]。父親は体育教師、兄のフラビオ・コルドバ英語版もプロサッカー選手というスポーツ一家に育った[4]。14歳の頃スカウトの目に止まり、キブドを離れコロンビアリーグインデペンディエンテ・メデジンのユースチームへ入団した[2]

2006年、17歳でトップチームへ昇格してプロデビュー[2]。2年目の2007年には、同じくエスタディオ・アタナシオ・ヒラルドを本拠地とするアトレティコ・ナシオナルとのダービーマッチで決勝点をあげる活躍を見せた[2]。同年コロンビア代表にも選出され[4][5]、5月9日パナマ市エスタディオ・ロンメル・フェルナンデスにて行われたパナマ代表との親善試合(4対0で勝利)で初キャップを記録した[6][7]

コンサドーレ札幌[編集]

2009年J2コンサドーレ札幌に完全移籍で入団[8]。強化部長の三上大勝はコロンビアへ2度ほど視察に行き、抜群の存在感を見せるダニルソンを早い段階で注目していたという[9]。また、この移籍に伴い支払われる移籍金は、札幌としては高額の5000万円と報道された[7]。クラブは直前にエースストライカーのダヴィを3億円という高額で名古屋グランパスに売却しており、移籍金はこの中から充てられたものとみられる[7]

札幌に新加入当初の2008年12月の時点での登録名はダニウソンだったが[8]、翌年の1月9日には、よりスペイン語の発音に近いダニルソンに変更された[10]。日本での公式戦初ゴールは4月29日のJ2リーグ・愛媛FC戦で、クライトンのラストパスを左足で決めた[11]

監督の石崎信弘が標榜する「攻守を素早く切り替えるサッカー」を実践するためのキーパーソン[12] として大きな期待をかけられたダニルソンだったが、合宿中の怪我もあり、開幕当初の貢献度に石崎は不満をもらしていた[13]。しかし徐々に攻守両面において成長のあとが見られ、シーズン序盤「シンプルにやるということを理解してほしい」[14] と辛口であった石崎のダニルソン評は次第に軟化していった[15][16]。シーズン終盤、11月23日のFC岐阜戦では、厳しいマークを受けながらミドルシュートで2得点を奪う活躍を見せ、J's GOALにて「ダニルソンは役者が違った」との記事が掲載された[17]

石崎は「開幕時はミスばかりだったが、だいぶ良くなった」とシーズンを通じての成長を認め[18]、中心選手となったダニルソンにクラブは7億円とも言われる高額の違約金を設定した[19]。石崎は翌シーズンもダニルソンを中心とした戦力構想を描いていたが、スポンサー撤退によるクラブの財政悪化により、放出容認の方針となった[20]

名古屋グランパス[編集]

2009シーズンを終え、札幌は名古屋グランパスガンバ大阪大宮アルディージャの3クラブからダニルソン獲得の打診を受ける[19][21]。その後、補強をサイドハーフに絞ったG大阪が撤退し[21]、レンタル料等の条件面で大宮を上回った名古屋への期限付き移籍が2010年1月4日に発表された[21][22]。年俸は3000万円ほどとみられる[19]

移籍当初は戦術に馴染めず、プレシーズンマッチでのプレーには戸惑いが見えた[23]。地元紙中日スポーツには愛知東邦大学サッカー部監督の藤川久孝から「どこで何をしていいのか分からず、ピッチで迷っている感じを受けた」とのコメントが寄せられた[24]。戦術理解に苦しみシーズン開幕後もベンチスタートが多かったが[25]カップ戦要員として出場しつつ周囲への理解を深めていった[26]

ワールドカップでの中断を挟んだリーグ戦再開後はレギュラーに定着。4-3-3のアンカー役としてチームの中盤守備を一手に担い、名古屋の初優勝に貢献[27]。2010シーズンのベストイレブンに選出された[28]

シーズン終了後は右第5中足骨の疲労骨折の検査と治療のため、天皇杯には参加せずにコロンビアへ帰国[29]。12月13日、名古屋はダニルソンとのレンタル契約を1年間延長した[30]。2012年、完全移籍。2015年シーズン限りで名古屋を退団した。

アビスパ福岡[編集]

2016年1月29日にJ1アビスパ福岡と契約したことが発表された[31]。福岡加入後、FBSの番組でアビスパを特集した番組内で、2009年札幌在籍時に福岡と対戦した際、自身を退場に追い込んだ元福岡MF中払大介と再会。7年越しに和解の握手を交わした[32]。2017年5月、急遽家庭の事情により福岡を退団した[33]

プレースタイル[編集]

技術的には粗削りながら、100メートル10秒台のスピードを生かした守備範囲の広さ[25] と強靭なフィジカル[34] を売りに、中盤の底[25]、またはサイドのミッドフィールダーとして攻守の切替役を担う[4]。札幌時代に指導をした石崎信弘は「すごい。天性のものだろう」と反転するスピードを絶賛し[4]、札幌時代のフィジカルコーチの石栗建は「初速はエメルソンに近い。加速力はエムボマに近い。エムボマよりスタートの速さがある」と絶賛した[35]。名古屋時代に指揮を執ったドラガン・ストイコビッチ監督もその守備力を「2人分以上の働き」と表現し[36][37]、「パーフェクトではないが、我々の中盤の選手のなかでは本当に重要な選手」と高い評価を与えている[38]。 しかしその反面、粗い守備からイエローカードを受けることも多く、石崎からカードの多さやボールを奪う際の技術について苦言を呈されたこともあった[39]

また、「チャンスがあれば狙っている」というミドルシュートも持ち味の一つ[25]。札幌への加入直後、キャンプ中に行われた練習試合FC東京戦では、ミドルシュートとフリーキックで2ゴールを奪う[40]。ミドルシュートは25メートルほどの距離からのブレ球で、東京ゴールキーパー権田修一は一歩も動くことが出来なかった[40]。名古屋のGMを務める久米一正は「一人だけシュートの音が違う」とそのシュート力を表現している[41]。また、利き足ではない右足でも迫力のあるシュートを見せる[42]

人物[編集]

前述の激しいプレースタイルに加え、長髪を編みこみ、腕に刺青を彫りこんだその風貌とは対照的に「まじめでおとなしい」性格と評される[25]。休日も出歩くより家で過ごすことを好み[43]、自らの性格を小心者[3]、物静といった言葉で表している[44]

個人成績[編集]

国内大会個人成績
年度クラブ背番号リーグ リーグ戦 リーグ杯オープン杯 期間通算
出場得点 出場得点出場得点 出場得点
コロンビア リーグ戦 リーグ杯オープン杯 期間通算
2004 インデペンディエンテ プリメーラA 16 0 -
2005 16 0 -
2006 8 29 2 -
2007 31 1 -
2008 39 4 -
日本 リーグ戦 リーグ杯天皇杯 期間通算
2009 札幌 14 J2 41 6 - 2 0 43 6
2010 名古屋 20 J1 26 4 5 0 1 0 32 4
2011 23 0 0 0 2 0 25 0
2012 27 3 2 0 3 0 32 3
2013 29 0 6 0 1 0 36 0
2014 8 27 1 4 0 3 0 34 1
2015 12 0 3 0 1 0 16 0
2016 福岡 6 17 0 3 0 0 0 20 0
2017 J2 3 0 - - 3 0
通算 コロンビア プリメーラA 131 7 -
日本 J1 161 8 23 0 11 0 195 8
日本 J2 44 6 - 2 0 46 6
総通算 336 21 23 0 13 0
国際大会個人成績
年度 クラブ 背番号 出場 得点
AFCACL
2011 名古屋 20 1 0
2012 6 0
通算 AFC 7 0

タイトル[編集]

インデペンディエンテ・メデジン
名古屋グランパスエイト
個人

代表歴[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 2010年名古屋グランパス公式サイト上のプロフィール(外部リンクの項を参照)による。
  2. ^ a b c d e EPISODE.7 - ダニルソン 2009 選手スペシャルインタビュー”. consadole.net (2009年9月29日). 2010年9月17日閲覧。
  3. ^ a b ダニルソン プロフィール”. コンサドーレ札幌. 2010年9月18日閲覧。
  4. ^ a b c d 注目の新戦力2009コンサドーレ<MF14 ダニルソン(22)>素早い攻守の切り替え”. 北海道新聞 (2009年2月3日). 2010年9月17日閲覧。
  5. ^ Nómina de Selección Colombia para amistoso contra Panamá”. Tanto Futbol (2007年5月3日). 2010年9月17日閲覧。
  6. ^ a b Panamá pierde ante Colombia”. Fepafut.com (2007年5月9日). 2010年9月18日閲覧。
  7. ^ a b c d 札幌が元コロンビア代表を完全移籍で獲得”. 日刊スポーツ (2008年11月26日). 2010年9月17日閲覧。
  8. ^ a b ダニウソン選手(コロンビア)新加入決定のお知らせ コンサドーレ札幌オフィシャルサイト
  9. ^ 【コンサドーレ札幌 新加入選手会見:北海道フットボールクラブ 矢萩竹美社長、三上大勝強化部長コメント”. J's Goal (2009年1月16日). 2010年9月17日閲覧。
  10. ^ 登録名変更のお知らせ コンサドーレ札幌オフィシャルサイト
  11. ^ 斉藤宏則 (2009年4月30日). “【J2:第11節 札幌 vs 愛媛】レポート”. J's Goal. 2010年9月17日閲覧。
  12. ^ 斉藤宏則 (2009年3月2日). “【開幕直前!36クラブ別戦力分析レポート:札幌】”. J's Goal. 2010年9月18日閲覧。
  13. ^ 【J2:第1節 札幌 vs 仙台】石崎信弘監督(札幌)記者会見コメント”. J's Goal (2009年3月8日). 2010年9月18日閲覧。
  14. ^ 【J2:第11節 札幌 vs 愛媛】石崎信弘監督(札幌)記者会見コメント”. J's Goal (2009年4月29日). 2010年9月18日閲覧。
  15. ^ 【J2:第25節 札幌 vs 水戸】石崎信弘監督(札幌)記者会見コメント”. J's Goal (2009年7月4日). 2010年9月18日閲覧。
  16. ^ 【J2:第49節 岐阜 vs 札幌】石崎信弘監督(札幌)記者会見コメント”. J's Goal (2009年11月22日). 2010年9月18日閲覧。
  17. ^ 安藤隆人 (2009年11月23日). “【J2:第49節 岐阜 vs 札幌】レポート”. J's Goal. 2010年9月17日閲覧。
  18. ^ 札幌、ダニルソン強奪阻止へ高額違約金”. 日刊スポーツ (2009年10月27日). 2010年9月17日閲覧。
  19. ^ a b c J2札幌・ダニルソン獲得決定的 期限付き移籍で”. 中日スポーツ (2009年12月4日). 2010年9月17日閲覧。
  20. ^ コンサ ダニルソン名古屋移籍へ”. スポーツニッポン (2009年11月27日). 2010年9月18日閲覧。
  21. ^ a b c 札幌ダニルソンが名古屋へ期限付き移籍へ”. 日刊スポーツ (2009年12月5日). 2010年9月18日閲覧。
  22. ^ ダニルソン選手、期限付き移籍新加入のお知らせ 名古屋グランパス公式サイト
  23. ^ 今井雄一朗 (2010年3月1日). “【2010Jリーグプレシーズンマッチ 名古屋 vs 岐阜】レポート”. J's Goal. 2010年9月17日閲覧。
  24. ^ 藤川久孝 (2010年3月1日). “コメンテーターズ ピッチで迷うダニルソン”. 中日スポーツ. 2010年9月20日閲覧。
  25. ^ a b c d e 名古屋・ダニルソン 信頼が生んだ強烈ミドル”. asahi.com (2010年7月29日). 2010年9月17日閲覧。
  26. ^ ダニルソン、しっかり守ってV狙う”. 中日スポーツ (2010年7月13日). 2010年9月17日閲覧。
  27. ^ 週刊サッカーダイジェスト、2010年11月30日号、p.6-7,p.15。
  28. ^ 【2010Jリーグアウォーズ】受賞者発表!”. J'sGOAL (2010年12月6日). 2010年12月8日閲覧。
  29. ^ ダニルソンの移籍期間延長”. Yahoo!スポーツナビ (2010年12月13日). 2010年12月14日閲覧。
  30. ^ ダニルソン選手 期限付き移籍延長のお知らせ”. 名古屋グランパス (2010年12月13日). 2010年12月14日閲覧。
  31. ^ ダニルソン選手 移籍加入内定のお知らせ アビスパ福岡公式サイト
  32. ^ 夢空間スポーツ FBS
  33. ^ ダニルソン選手 退団および帰国のお知らせ アビスパ福岡公式サイト 2017年5月29日
  34. ^ 今井雄一朗 (2010年8月29日). “【J1:第21節 名古屋 vs 京都】レポート”. J's Goal. 2010年9月17日閲覧。
  35. ^ ““蝦夷の黒豹”ダニルソン、脅威の身体能力披露”. ゲキサカ. (2009年1月26日). https://web.gekisaka.jp/news/jleague/detail/?48854-29930-fl 2023年9月8日閲覧。 
  36. ^ 名古屋ダニルソンは“2・5人分””. 日刊スポーツ (2010年8月28日). 2010年9月17日閲覧。
  37. ^ 【J1:第21節 名古屋 vs 京都】ストイコビッチ監督(名古屋)記者会見コメント”. J's Goal (2010年8月28日). 2010年9月17日閲覧。
  38. ^ 【J1:第22節 山形 vs 名古屋】ストイコビッチ監督(名古屋)記者会見コメント”. J's Goal (2010年9月12日). 2010年9月17日閲覧。
  39. ^ 【J2:第34節 岐阜 vs 札幌】石崎信弘監督(札幌)記者会見コメント”. J's Goal (2009年8月16日). 2010年9月17日閲覧。
  40. ^ a b 藤原 夕 (2009年2月23日). “【琉球放送創立55周年記念「シーサーマッチ2009」 F東京 vs 札幌】レポート”. J's Goal. 2010年9月17日閲覧。
  41. ^ ダニルソン、弾丸シュート見せる”. 中日スポーツ (2010年2月28日). 2010年9月20日閲覧。
  42. ^ 伊東朋子 (2010年7月29日). “ダニルソン、グラ初弾”. 中日スポーツ. 2010年9月20日閲覧。
  43. ^ 伊東朋子 (2010年3月29日). “ダニルソン、ナビスコ杯初戦での公式戦復帰を熱望”. 中日スポーツ. 2010年9月18日閲覧。
  44. ^ ダニルソン>アンケート2010”. 名古屋グランパス. 2010年9月18日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]