神戸ビーフ

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神戸ビーフ

神戸ビーフ(こうベビーフ)は、兵庫県で生産された「但馬牛(たじまうし)」(黒毛和種)[1]からとれる枝肉が一定の基準を満たした場合に、「但馬牛(たじまぎゅう)」の呼称の代わりに用いることが出来る牛肉ブランド名。旧来の正式名称は神戸肉(こうべにく)で、一般には神戸牛(こうべぎゅう)とも呼ばれる。日本三大和牛の1つとされる。神戸ビーフの証しとして、兵庫県の花であるノジギクを形どった刻印が押されている[2]

日本国外では、欧米を中心に知名度が高く、「Kobe Beef」として知られている[注 1]

定義[編集]

兵庫県産(但馬牛)のうち、歩留等級が「A」または「B」等級ならば「但馬牛(たじまぎゅう)」「但馬ビーフ」「TAJIMA BEEF」と呼称される牛肉となる[4]

このうち、以下の全ての基準を満たした牛肉は、「神戸ビーフ」、「神戸肉」(以上は正式名称)、「神戸牛(こうべうし)」、「神戸牛(こうべぎゅう)」、「KOBE BEEF」との呼称を用いることもできる[5]

  • メスでは未経産牛、オスでは去勢
  • 脂肪交雑の牛脂肪交雑基準(BMS)値No.6以上
  • 枝肉重量がメスでは230〜470kg、オスでは260〜470kg
  • 瑕疵の表示がある枝肉は、神戸肉流通推進協議会の委嘱会員の判定に依存

「神戸ビーフ」の基準を満たしている牛肉は、「神戸ビーフ」と「但馬牛(たじまぎゅう)」のいずれかの銘柄名を任意に選んで出荷することが可能である[6]

歴史[編集]

神戸港1868年に開港され、多くの外国人が入るようになったが、この頃には日本では食肉文化が定着しておらず、農家の作業等に飼育されていた但馬牛を食べたイギリス人が、その味を絶賛したことが始まりといわれる。これがのちに「神戸ビーフ」と呼ばれ、外国へ輸出されたり、全国に流通するようになった。神戸開港と同時に伊藤博文が兵庫県知事に就任するが、イギリス留学経験がある伊藤は好んで神戸ビーフを食べていた[2][7]

現在の神戸ビーフ(神戸肉)は、役畜として飼われてきた小柄な但馬牛(たじまうし)が食肉用に改良を重ねられ、肉の断面に霜降り(サシ)と言われるマーブル状に脂肪が入った肉質のものが出来るようになったことにより生まれた。

1980年代には「神戸ビーフ」「神戸肉」との名称が知られるようになったものの、明確な基準がなかったため肉質にはバラつきがあった[8]。そのため、兵庫県が協賛して1983年昭和58年)に生産・流通・消費の関係団体が「神戸肉流通推進協議会」(事務局:全農兵庫県本部畜産部)を創設[9]。同協議会により「神戸ビーフ」とのブランドが誕生し、定義が明確化された[9]。このとき、脂肪交雑のBMS値はNo.7以上とされた[9]

2001年(平成13年)にBSE問題産地偽装事件が全国的に問題になると、2003年(平成15年)の牛肉トレーサビリティ法施行を前にして、2002年(平成14年)9月にBMS値をNo.6以上に「神戸ビーフ」の基準を下げた[9]2006年(平成18年)4月1日の規約改定により、450kg以下だった枝肉重量基準は470kg以下となり、下限がメスは230kg、オスは260kgとなった。

2004年(平成16年)10月、和牛のオリンピック「第10回全国和牛能力共進会」にて、「美味しさのチャンピオン」を受賞[2]

2009年(平成21年)、バラク・オバマアメリカ合衆国大統領が、訪日を前に「神戸ビーフとマグロが食べたい」とのリクエストを外交筋を通じて行ったことが明らかとなった[7][10]

2012年(平成24年)より神戸肉流通推進協議会が海外輸出を解禁した。海外で偽物が出回ってしまい、ブランド価値が低下する恐れが出たことなどによる[11][12]

2015年(平成27年)12月22日、「神戸ビーフ」(こうべびーふ)、「神戸肉」(こうべにく)、「神戸牛」(こうべぎゅう)、「KOBE BEEF」が、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)に基づく地理的表示(GI)の登録第1弾7件のうちのひとつとなった[13]

エピソード[編集]

  • プロバスケットボール選手、コービー・ブライアント(Kobe Bean Bryant)のファーストネームは、「KOBE」の発音がアメリカ風([koubi:])に変化したものだが、これはコービーの父親が来日時に神戸ビーフのステーキを食べてその味に感動したところから命名したといわれる[7]
  • 素牛として八重山諸島黒島産の子牛が多く使われていると記したサイト等がある[14][15]が、神戸ビーフの素牛は但馬牛に限られている。
  • 神戸ビーフは一般的にはステーキや鉄板焼きで提供されることが多いが、最近では「ハンバーガー」や「ラーメン」などでも提供され、国内はもちろんのこと訪日外国人客からも人気となっている[16]

日本国外での評価[編集]

中国

中国国内では松阪牛とともにメディアネット上の口コミから大きな評判となっているが、同時に無断で「神戸ビーフ」を名乗る商品が流通している。環球網2016年2月16日に「日本の松坂牛、神戸牛は本当にそれほどすごいものなのか」という評論記事を掲載した。記事の内容は松阪牛や神戸牛のブランディングはフランスなどの欧米のブランド化を真似たものだったが、内容は欧米とは全く異なると指摘。農林水産省が始めた「地理的表示保護制度」(GI制度)に基づき認証されている「神戸牛」、「夕張メロン」など7つのブランドについて、品質基準を満たしさえすれば、地域内の生産者は誰でもブランド名を使用できるが、欧米のそれは第三者機関による毎年の厳しい検査があるのに対し、日本の制度では一旦登録しさえすれば、生産者は年一回報告をするだけで維持されていると批判した。また、この制度は日本国内に限っての適用であるため、海外において商標乱用を避けることは不可避であり、「地理的表示保護制度」は単に、国が主導する自己陶酔、自画自賛に過ぎず、その目的は日本の特産品をただ多く海外へ輸出するためのトリック作りであって、特産品の保護ではないと論評した[17]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 2009年にはメディアが選んだ「世界で最も高価な9種類の食べ物」にキャビアフォアグラ白トリュフらと共に選出された[3]

出典[編集]

  1. ^ よくある質問”. 神戸ビーフ. 神戸肉流通推進協議会. 2018年8月18日閲覧。
  2. ^ a b c 神戸ビーフ”. ひょうごツーリズムガイド. ひょうごツーリズム協会. 2018年8月18日閲覧。
  3. ^ 米メディアが選んだ「世界で最も高級な9種類の食べ物」
  4. ^ 但馬牛(但馬ビーフ)財団法人日本食肉消費総合センター「銘柄牛肉検索システム」)
  5. ^ 神戸ビーフ(神戸肉、神戸牛)”. 銘柄牛肉検索システム. 財団法人日本食肉消費総合センター. 2018年8月18日閲覧。
  6. ^ 「神戸肉・神戸ビーフ」の定義”. 神戸ビーフ. 神戸肉流通推進協議会. 2018年8月18日閲覧。
  7. ^ a b c 神戸ビーフの伝説”. 神戸ビーフ. 神戸肉流通推進協議会. 2018年8月18日閲覧。
  8. ^ 農林水産物・地域食品における地域ブランド化の先進的取組事例集 (PDF)農林水産省[リンク切れ]
  9. ^ a b c d “「神戸ビーフ」霜降り度緩和 9月から品薄解消へ”. 神戸新聞. (2002年7月23日). オリジナル2002年11月24日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20021124064023/https://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sougou/020723ke67010.html 2018年8月18日閲覧。 
  10. ^ 三橋麻子 (2009年11月14日03:00). “オバマ大統領「神戸ビーフ食べたい」 異例のご注文 - 政治”. asahi.com(朝日新聞社). オリジナル2009年11月18日23:40時点によるアーカイブ。. http://megalodon.jp/2009-1118-2340-41/www.asahi.com/politics/update/1114/TKY200911130451.html 2013年4月20日閲覧。 
  11. ^ 牛島要平 (2012年7月6日). “本物の味を世界へ 神戸ビーフ、海外輸出への挑戦続く”. イザ!(産経新聞). オリジナル2013年4月20日時点によるアーカイブ。. http://megalodon.jp/2013-0420-1143-30/www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/574388/ 2013年4月20日閲覧。 
  12. ^ 神戸牛がロシアへ ロシアNOW
  13. ^ 農林水産省 > 組織・政策 > 食料産業 > 地理的表示保護制度(GI) > 登録産品一覧 > 登録の公示(登録番号第3号)
  14. ^ 八重山 島旅への誘い(黒島 FUSMA)
  15. ^ 黒島の牛(八重山・沖縄探検隊公式サイト)
  16. ^ The 10 Best Restaurant to Eat "Kobe Beef" in Kobe”. favy (2018年6月5日). 2018年8月18日閲覧。
  17. ^ “「神戸牛」や「松坂牛」って、本当にスゴイ牛肉なのか?=中国メディア”. (2016年2月24日). http://news.searchina.net/id/1603186?page=1 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]