レトロニム一覧

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これはレトロニムの一覧である。「レトロニム」とは旧来からある「もの」や「概念」が、新たに誕生した同種の区別されるべきものの登場により、区別されるために用いられる「新たな表現や用語」のことである。

「←」の右側に、もともとは何と呼ばれていたかを示す。

名詞[編集]

英数字[編集]

CISC (Complex Instruction Set Computer)
単純な命令を指向したRISCが考案されたときに、対比して従来のISAは複雑であるとして、"Complex" の語を用いた "CISC" と呼ばれる様になった。
SOHC (Single OverHead Camshaft) ← OHC(オーバー・ヘッド・カムシャフト)
レシプロエンジンの弁駆動方式の一種でクランクシャフトの回転をチェーンやベルト、時にギアトレインでエンジンヘッドにあるカムシャフトに伝え、ロッカーアームを介して吸排気弁の開閉を行う方式。DOHC(ダブル・オーバーヘッド・カムシャフト)方式が開発され、区別する必要が生じた。


あ行[編集]

アコースティック・ギターguitarギター
エレクトリック・ギターが広く使われるようになったため生じたレトロニム。
アナログ
デジタルのものが現れたのち、デジタルでないものをあえて区別する必要が生じた。アナログ時計アナログ放送など。アナログを「古いもの」と誤った解釈をし「時代遅れな、古風な」と解釈する誤用が散見される。例:アナログカメラ[1] アナログ人間
  • 例えば analog clock、アナログ時計 ← clock 、時計 など
異性愛(ヘテロ、ノンケ…など) ←性愛
男性と女性の間の性愛の事。同性愛が忌避されるものから一般的なものへと移行するにつれて、男女間の愛がそれと特筆されるようになった。
一次電池電池
充電が可能な二次電池に対し、放電のみが可能な電池を指す。
永久磁石磁石
電磁石が増えたことで生まれたレトロニム。
オフライン
コンピュータ同士がネットワークで接続されるオンライン方式の運用が行われるようになったため、従来から行われていたコンピュータ単体での動作を区別するために作られた言葉。
オープンカー
クローズドボディの自動車が一般化したため、黎明期からあるオープンボディの自動車を区別するために作られた言葉。

か行[編集]

外燃機関
内燃機関が登場したことにより区別するため。
可視光light
人の目には見えない周波数の電磁波である紫外線赤外線なども「光」であると定義したことによって、生じた区別。
化学ロケットロケット
原子力ロケットイオンロケットが登場したので区別するため。
機械式計算機計算機
電子計算機が普及したので区別するため。
旧世界 ← world 世界
新世界に対するレトロニム。
旧約聖書
イエス・キリストとその弟子たちが、信仰(神との関係)について従来には言われていなかったことを開示しそれも書物として残されるようになったので(新約聖書)、イエス・キリストを信仰する人々(クリスチャン)の間で 旧来の信仰の書物をあえて区別して呼ぶ必要が生じた。
共通鍵暗号秘密鍵暗号暗号
公開鍵暗号方式が登場し、従来単に暗号と言っていたものが、秘密鍵暗号と呼ばれるようになった。しかし、公開鍵暗号に使われる復号鍵も「秘密鍵」と呼ぶことから、区別を明確にするため、旧来の暗号を共通鍵暗号と呼ぶようになった。
銀塩写真写真
デジタルカメラが普及して区別するため呼ばれるようになった。
光学望遠鏡望遠鏡
電波望遠鏡が登場したために区別する必要が生じた。
光学ズーム ← 「(カメラの)ズーム
デジタルズーム機能がデジタルカメラ等に広まったために区別する必要が生じた。
黒色火薬火薬
無煙火薬が発明され普及したため。
固形石鹸savonsoap石鹸
「液体石鹸」も登場したことによるレトロニムである。
固定回線電話回線
携帯電話の普及で、電波を用いた電話の回線(接続)、ワイヤレス方式の接続が可能になったため生じた区別。


さ行[編集]

サイレント映画(無声映画) ← 映画
が出る映画、「トーキー(発声映画)」が広がったことによる区別。
在来線 ← 「鉄道」「線路」「鉄道路線」など。
新幹線の開業により、はじめて区別の必要が生じた。
自然言語language 言語
フランス語の「langue ラング」や、英語の「language ランゲージ」はどちらも、もともと、lang(=舌)からの派生語であり、ヒトを使って出す音声によるものを指す用語・概念である。エスペラントや(自然発生的でない、作られた)手話などの人工言語、クリンゴン語など創作作品の中の創作言語や、コンピュータ言語などのような形式言語を用いる場面で、通常の自然発生的な言語をあえて区別する場合に使われるレトロニム。
実数
虚数が見出されたことによるレトロニム。
小アジアアジア
アジア地理概念が広がり、旧来「アジア」と呼ばれていた地域を、(ヨーロッパから)距離の小さい(近い)という意味の「小」を加えて呼び分けるようになった。
蒸気機関車機関車
電気機関車ディーゼル機関車が普及したので区別するため。
常伝導伝導
超伝導が発見されてから区別するために出来た。
白黒テレビテレビ
カラーテレビが広まったため。
新幹線0系電車新幹線電車
当初は系列名を持たなかったが、200系など別の系列の新幹線車両が発生したため、後から系列呼称が付与された。


た行[編集]

ダイヤル電話電話
プッシュホンが普及したことにより生まれたレトロニム。
地上波放送テレビ放送
衛星放送と区別するために生まれたレトロニム。
通常動力型潜水艦潜水艦
原子力潜水艦が登場したことにより生まれたレトロニム。
天然芝 ← 「芝」
人工芝が登場したことによるレトロニム。

な行[編集]

日本酒 ← 酒
「酒」は、近代まではもっぱら日本酒のことを意味していたが、様々な外来酒が一般的になるにつれ、それら数多くの酒類の総称として用いられる頻度が高くなったために、「日本酒」と区別して呼ぶことが定着した。
布オムツ ← おむつ
使い捨ての「紙おむつ」が登場したことによるレトロニムである。

は行[編集]

ハードカバーブック

ペーパーバックという簡易で安価な装丁の本が増えたことによるレトロニム。

ハードディスク ← (memory)disk など
フロッピーディスクの発明・普及に伴って、それまでのディスク保存装置を区別するために生まれたレトロニム。
パイプオルガン ← organ オルガン
リードオルガンが広まったことに対するレトロニム。ただし現在でも欧米においては、単にオルガンと呼んだ場合はパイプオルガンを指す場合が多い。一方で日本では単にオルガンと呼んだ場合はリードオルガンを指す場合が多い。
白熱電球電球
真空管蛍光灯と区別するため。
繁体字文字漢字
中華人民共和国簡体字1950年代に制定したため、従来の漢字の字体を区別する必要が生じた。
フィーチャー・フォン、「ダムフォン」、「ガラケー」← 携帯電話、ケータイ
携帯電話のうち、スマートフォンが普及するにつれ、従来の携帯電話を区別するために用いられている。
フィジカルリリース ← リリース

配信による楽曲のリリースが普及したことにより、従来のCDアナログレコードによるリリースを示すために登場した。

冬時間時刻
夏時間(サマータイム)という制度をつくりだしたことで生まれたレトロニム。すなわち、その国(地域)の標準時である。
プロペラ機airplane 飛行機

もともと大抵の航空機はプロペラ推進であったが、ジェット機が普及したことで、区別の必要が生まれた。

プレーンテキスト ← テキスト
スタイル情報や文書の構造情報などを埋め込んだ、Rich Text FormatHyperText Markup Language文書などが作り出されたので、従来のテキストを区別する必要が生じた。
ホットチョコレートチョコレート
チョコレートとは、もともとは暖かい飲み物であり、もっぱらそういう形で口にしていたものである。後から、硬いチョコレートが発明された[2]

ま行[編集]

マニュアルトランスミッショントランスミッション
オートマチックトランスミッションが開発されたため、自動化されていないものを指す言葉として生まれた。マニュアル車をミッション車と誤った呼び方をされる事がある。
マクロネーション 
シーランド公国アエリカ帝国のように国際的に認められていない地域を意味する「ミクロネーション」に対するレトロニムである。
真綿綿
綿とは本来、を煮て、引き延ばしたものを言った。室町時代にそれに似た植物由来の「木綿」が知られるようになり、これと区別するためにできたレトロニムである。
無誘導爆弾爆弾
誘導爆弾が普及したので区別するために呼ばれるようになった。

や行[編集]

ら行[編集]

ライブ、生演奏 ← 「演奏」「音楽」など
もともと全ての音楽はその場で演奏されるものであった。音楽を記録する技術が生まれ、区別する必要が生じた。


レギュラーコーヒーコーヒー
インスタントコーヒー缶コーヒーが広まったため、旧来のコーヒーを指す言葉として広まった。
レッサーパンダパンダ
初めはレッサーパンダは単に「パンダ」と呼ばれていたが、後にジャイアントパンダが発見されて有名になると、単に「パンダ」といった場合はジャイアントパンダの方を指すようになった。このため、従来のパンダの方はレッサーパンダと呼ぶようになった[3]
路面店店舗
通りに面して間口があるお店。もともとそれが当たり前であった。百貨店内のブース出店やテナントビル内の店舗、近年ではウェブ上のバーチャル店舗などと区別するための用語として「路面店」と呼ばれるようになった。
ロケーション撮影撮影
既に存在するものを撮影すること。もともとそれが当たり前であったが、撮影用のセットをスタジオなどに作成する方法と区別するための言葉として作られた。

脚注[編集]

  1. ^ デジタルカメラの「デジタル」に対する「アナログ」は電子スチルビデオカメラを指す。
  2. ^ Some dictionaries however, still define "chocolate" as a drink as one of the definitions. American Heritage Dictionary entry for "chocolate"
  3. ^ 「ボクが元祖!!」レッサーパンダ : 動物たちのヒミツ箱 : 初めてのこだわり : 新おとな総研 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)[リンク切れ] YOMIURI ONLINE(読売新聞) 2011年06月22日付(2011年6月22日付読売新聞の記事より) 2013年8月11日閲覧