第三次世界大戦
第三次世界大戦(だいさんじせかいたいせん、英: World War III)は、第二次大戦に続く3つ目の世界大戦。現実に起こった戦争を指すものではなく、あくまで架空の呼び方であり、後述するように文脈によってさまざまな戦争を指す。
分類
第三次世界大戦は以下の諸説がある。
- 平和学などにおいて、1945年から1989年までの冷戦期に起こると予測された、超大国同士の戦争を指す用語。
- 対テロ戦争(2001年のアメリカ同時多発テロ事件を発端とする、アメリカによる一連の戦争)の名称の一つ。
- 冷戦および米ソ代理戦争の総称。この場合、対テロ戦争を第四次世界大戦と呼ぶ。
- 資本を武器に合法的に敵国を支配する金融経済戦争。
概要
一般的には、第一次・第二次世界大戦のような列強の対立による全面戦争を指し、超大国同士が直接対決し、その周辺諸国を巻き込むような大きな世界戦争(アメリカ合衆国とソビエト連邦の直接対決など)を仮想して呼ばれた。米ソは全人類を滅ぼしてもあまりある数の核弾頭を持ち、「冷戦」という形で1945年から1989年までにらみ合っていたため、第三次世界大戦は核兵器による全面核戦争になると想像されることが多かった。また破滅物のフィクションにおいても同様の意味で使われることがある。
特に朝鮮戦争やベトナム戦争、キューバ危機など米ソの対立が頂点に達した時期には、識者の間でもその勃発の可能性や対策について真剣に論じられた[1]。
特定の書籍においては、既存の冷戦やアメリカ同時多発テロ事件以降の戦闘・戦争を世界大戦とするものが存在する。文脈によっては冷戦自体を一つの戦争とみなし、「第三の世界戦争」と表現することもある。また別の文脈では、アメリカ同時多発テロ事件以降、アメリカの主導によって行なわれた「対テロ戦争」のことを、「第三次世界大戦」と呼ぶ場合もある。ジョージ・W・ブッシュ第43代米大統領は、2006年5月5日に放送されたCNBCのインタビューで、対テロ戦争を「第三次世界大戦」と初めて表現した。
また、ブッシュは2007年10月17日の記者会見で「イランが核武装すれば第三次世界大戦を引き起こし兼ねない」と述べた。2009年時点で、イスラエルはイランの核兵器保有阻止のためにイランへの攻撃を検討しているとされていた[2]。
21世紀初頭にはテロやゲリラなどとの「非対称戦争」が戦争の主流となりつつある。非対称戦における戦時と平時の区別は曖昧である。
なお、核兵器の廃絶は通常兵器による第三次世界大戦に対する抑止力が失われることに繋がるという意見も存在する。[要出典]
第三次世界大戦に発展する可能性があった事件
- 1948年 - 1949年 ベルリン封鎖
- 1950年 - 1953年 朝鮮戦争
- 1956年 - 1957年 スエズ動乱
- 1958年 エイド・メモワール(ソ連がアメリカに西ベルリン占領の終了を要求)
- 1960年 - 1975年 ベトナム戦争
- 1960年 U-2撃墜事件
- 1961年 ケネディ=フルシチョフ会談(ソ連がアメリカにベルリンの中立化を要求)
- 1962年 キューバ危機
- 1968年 プエブロ号事件
- 1973年 第四次中東戦争
- 1979年 北アメリカ航空宇宙防衛司令部 (NORAD) に誤ってソ連による総攻撃が表示される。
- 1980年 アメリカ・ウィチタのマコーネル空軍基地で、ICBMタイタンIIが訓練中に誤って発射シーケンスに入る。
- 1983年 スタニスラフ・ペトロフによる核戦争回避事件(ソ連の監視衛星が米国からの核ミサイル攻撃を誤検出)
- 1983年 エイブル・アーチャー83演習(ソ連、NATOの核ミサイル発射演習を本物の核攻撃の偽装と誤解)
- 1995年 ノルウェーロケット事件(ロシア、ノルウェーの気象観測ロケットをアメリカの核ミサイルと誤認し、被弾前報復核攻撃を検討)
- 2001年 アメリカ同時多発テロ事件(後にアフガニスタン侵攻、イラク戦争へ発展してゆく)
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
フィクションの第三次世界大戦
開戦年が判明
20世紀
- レッドサン ブラッククロス
- 第二次世界大戦がドイツの一人勝ちに終わった後、カナダに亡命政権を立てた英連邦や第二次世界大戦に積極的には参加しなかった日本を中心とする枢軸国と、ドイツを中心とする連合国の間で1948年5月13日から1951年にかけて戦われた大戦。アメリカ合衆国は開戦初日にドイツの反応兵器(核)攻撃を受け、本土が戦場となったあげく東西に分裂する。戦後の日独冷戦時代を経て、1990年には第四次世界大戦も起きる。
- 新・紺碧の艦隊、新・旭日の艦隊
- 照和28年3月、神聖欧州帝国による南米への武器密輸が発覚し、再び日本、アメリカ、東シベリア共和国、イギリス、自由ドイツ政府で編成された連合軍と神聖欧州帝国との間に大戦が勃発する。
- 世界大戦争
- 1961年、同盟国軍と連邦国軍の対立によって第三次世界大戦が勃発。ICBMやIRBM、SLBMが使用され、人類はほぼ滅亡する。
- 遥かなる星
- 1962年10月、キューバ危機からアメリカによるキューバ空爆をきっかけに第三次世界大戦が勃発。幸運にも直接被害を免れた日本は、いずれ起きるかもしれない第四次世界大戦から生き延びるため、地球脱出を目的とした宇宙開発に邁進する。
- 渚にて
- 1964年、第三次世界大戦が勃発。核爆弾による放射能汚染で北半球が全滅し、残された南半球も徐々に放射能に汚染されていく。リメイクテレビ映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』(2000年米豪)では、中華人民共和国の台湾侵攻がきっかけとなりアメリカが核ミサイルを発射し、第三次世界大戦が勃発する。ただしこちらでは開戦日時は明示されていない。
- AKIRA
- 1980年代(原作では1982年、映画版では1988年)、東京での人型兵器「アキラ」の大覚醒による大爆発が引き金となり、第三次世界大戦が勃発。
- 第三次世界大戦
- 1985年8月。主著者ジョン・ハケットは元NATO軍司令官。実際の防衛計画と想定に基づいた「戦況」を克明に描いた本で、他の仮想戦記とは一線を画す。日本語版は二見書房の刊行。
- 第三次世界大戦
- 1987年、食糧禁輸措置を取られたソ連がアラスカの石油パイプライン基地を急襲・爆破して戦争に発展する。
- グランド・ゼロ
- 1989年、ソ連のゴルバチョフ共産党書記長が西ベルリン訪問を終えて帰国した直後に病気を理由として退任したが、「実は幽閉された」という噂も流れる。書記長が交代してから両陣営の関係は悪化し、東西ドイツ間でNATO軍とワルシャワ条約機構軍が武力衝突する。一方、オーストラリアでは戦争反対のデモと核施設の廃絶運動が起き、一度は停戦協定が結ばれるも、ついに全面核戦争が勃発してしまう。
- 北斗の拳
- 199X年、核戦争によって社会秩序は崩壊し、弱肉強食の無法世界が出現する。
- OZ
- 1990年10月15日、1発の軌道レーザーの攻撃を核攻撃と誤認し、第三次世界大戦が勃発。40分で終結するが、全世界が壊滅状態となる。
- 第3次世界大戦
- 1995年7月24日、改革失敗とアメリカの食料政策によって追いつめられたソ連は西ドイツへ侵攻し、NATO軍と全面衝突する。
- 攻殻機動隊
- 1996年2月、ソ連EC間で第三次核大戦が勃発。前年にソ連が中東へ軍事介入し、イスラエルを抑えて地中海へ進攻したことが引き金となっている。
- ターミネーターシリーズ
- 1997年8月29日、アメリカの核戦略コンピュータシステム「スカイネット」が自我を獲得。人類を滅ぼすべくソ連へ核攻撃を行ったことによって全面核戦争が勃発し、人類の大半が死滅した。その後はわずかに生き残った人間も、スカイネットの操る殺人機械群との戦いを余儀なくされる。シリーズ3作目『ターミネーター3』では、前作『ターミネーター2』で主人公達が未来を変えるべく奔走したことによって歴史が変わったため、スカイネット誕生と核戦争勃発が2004年になっている。
- マジンサーガ
- 1999年、突如現れた鋼鉄の鎧に身を包んだ謎の巨人が東京を破壊。それをきっかけに世界各国が疑心暗鬼に陥り、世界大戦が勃発。核兵器の使用により地球が再生不可能な大ダメージを受けた後、一部の人類は火星へ移住する。
21世紀
- 未来少年コナン
- 2008年7月、第三次世界大戦(大変動)が勃発。超磁力兵器により地球の五大陸が沈没し、文明が崩壊する。
- エンド ウォー
- 2016年、中東での悲劇的な核兵器テロを受けてそれまでのミサイル防衛技術は極度に発展し、大陸間弾道ミサイルによる核兵器の脅威が消え去った時代が訪れる。しかし、アメリカが衛星軌道上に軍事基地を設置した事により、軍事バランスが崩れ開戦。
- コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2
- 2016年、超国家主義派によるロシアの空港テロにCIA工作員が参加していたことにより、アメリカによるテロへの報復戦争という名分のもとロシアがアメリカ各地に奇襲を行い第三次世界大戦が勃発。モダン・ウォーフェア3ではヨーロッパ各地にまで戦火が拡大する。
- 狂四郎2030
- 2019年、人口爆発や環境破壊などによる世界的な食糧危機がきっかけとなり、第三次世界大戦が勃発。この戦争で世界人口の約80%が死亡し、アメリカや中国も消滅した。2025年に終結。
- スタートレック
- 2026年 - 2053年、アメリカ合衆国とECON (Eastern Coalition) が、大規模な核攻撃を伴う第三次世界大戦を戦った。都市の大部分が破壊されて死者は6億人にのぼり、地球は事実上の無政府状態となる。ECONの詳細は不明だが、初期の稿ではアメリカ対中国 (China) だったと脚本家ブラノン・ブラガが明かしている。なお、第1作では、1992年 - 1996年に『優生戦争』という世界規模の戦争があったという設定がある。詳細な設定が決まったのは『ファーストコンタクト』(1996年)においてである。
- 銀河英雄伝説
- 2039年、北方連合国家 (NC) と三大陸合衆国 (USE) の間で「13日間戦争」と呼ばれる第三次世界大戦(核戦争)が勃発。両大国は壊滅したが、その後も1世紀近く戦乱が続く。
- 地球連邦の興亡
- 2047年、異星人ヲルラの出現により「接触戦争」が勃発。当初はヲルラ対地球人の戦争であったが、途中から地球側が日英米を中心とする地球連邦と露中仏などを中心とする国際連合に分裂し、地球人同士で反応兵器(核兵器)を撃ち合う。
- スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-
- 2064年、世界共和国連邦と対立する諸国の情報戦が激化し、混乱による破壊兵器の誤射から第三次世界大戦が勃発する。わずか2週間で停戦協定が締結されるが、環境の悪化により人口は大幅に減少する。
- Fallout 3
- 2077年、地球資源を巡った争いが続く中、中国軍がアラスカを侵略し、アメリカがカナダを併合することに端を発し、ついに10月23日、全面核戦争に突入。開戦から2時間で世界の文明は崩壊する。
22世紀
- ウィザーズ・ブレイン
- 21世紀末から完全自給自足の閉鎖型積層都市「シティ」が世界各地に建造され、国家に取って代わった世界で2186年5月14日、大気制御衛星の暴走で遮光性の気体が地球を覆い、エネルギーを太陽光発電に頼っていた人類は致命的な打撃を受ける。そこから発生したエネルギーと資源の奪い合いで第3次世界大戦が勃発、核融合炉がいっせいに暴走してアフリカ大陸が文字通り消し飛んだことにより終戦、2048もあったシティも僅か7つにまで減少し、変わり果てた永い冬の世界で人類は絶滅の危機に瀕している。
おおよその時期が判明
- 1984年
- 1949年の小説。1950年代の核戦争を経て世界は三大全体主義国家に分割統治され、それぞれの国は階級社会の崩壊を防ぐため半永久的な領土紛争を続けており、市民は徹底的な監視社会に置かれている。
- 夏への扉
- 1957年の小説。1960年代半ばに「六週間戦争」が起こり、アメリカ東海岸の主要都市は核攻撃を受けて内陸のデンヴァーが首都になる。勝敗は不明だが、共産主義は戦後衰退する。戦時中に冷凍睡眠などの新技術が実用化された。
- 第三次世界大戦シリーズ
- 二見書房から刊行された一連の小説。198X年から198Y年が舞台。『日本篇』ではソ連軍の新潟上陸・東京侵攻、『続・日本篇』では日本亡命政府軍とアメリカ軍による南九州・関東上陸戦が描かれる。
- FUTURE WAR 198X年
- 東映動画による劇場アニメ作品。1982年公開。豪華なスタッフやキャストを集め、冷戦時代の最中に作られた。「198X年に第三次世界大戦が勃発して核ミサイルが各国の主要都市へ降り注ぐ。生き残った都市に対する第二派攻撃を主人公の自己犠牲が救う」というストーリーであったが、当初の準備稿の内容に対して東映動画の労働組合が「戦争が格好良くしかもリアルに描かれ危険」と反発して製作をボイコットし、教職員組合や「日本子どもを守る会」「日本母親大会」も加わった反対運動に発展した(製作者は好戦作品ではないと述べているが、反対運動を受けてより平和を希求する方向に内容を変更したという監督の証言もある)。
- サイボーグ009
- 19XX年5月、A国とC国が第三次世界大戦に突入。地球上の生物の3分の2が死滅する。2222年、放射能によって変異した生物たちに脅かされながら生き残っていた人類はタイムマシンで100万年前へ移民し、人類の祖先となる。
時期が不明
- ザ・デイ・アフター
- ソ連の西ドイツ侵攻をきっかけに、米・ソ連の全面戦争が始まる。不安を感じながらも、普段通りの日常を送っていたカンザスシティの人々の頭上で核が炸裂する。
- 若き勇者たち
- 米ソ戦の勃発により、コロラド州カリュメットの高校グラウンドへ、ソ連の後押しを受けた中米左派政権諸国の空挺部隊が降下。抵抗する者は射殺され、街は占領される。落ち延びた生徒達による解放ゲリラ戦が展開される。
- Vフォー・ヴェンデッタ
- 近未来、第三次世界大戦によってかつてのアメリカが事実上崩壊し、独裁国家となったイギリスが舞台。
- ポストマン
- 大規模な世界大戦により荒廃し、通信網も寸断された近未来のアメリカ。偶然にも郵便局員の制服を手に入れた男性が、秩序を取り戻そうと活躍する。ケビン・コスナー主演で映画化された。
- ラ・ジュテ
- 近未来、第三次世界大戦後の放射能で荒廃したパリで、地下に生き延びる人類を描く。
- ドクター・フー
- ドクターが第五次世界大戦を見てきたと言っているため、それ以前にあったと思われる。
- また、旧シリーズでは第三次世界大戦が起こってダーレクに地球が侵略されたというエピソードもあった。
- リベリオン
- 第三次世界大戦終結後に建国された都市国家・リブリアが舞台。
- 主人公が使う戦闘術ガン=カタも、第三次世界大戦までの戦闘データからの統計を利用しているという設定。
その他
- アインシュタインは、「第三次世界大戦がどのように戦われるかは分からない。だが、第四次世界大戦が戦われる方法は知っている。それは棒きれと石でだ。」という言葉を残し、次に世界大戦が起きたら文明が滅びることを示唆している。この言葉での第三、四次世界大戦は上記で定義された内容ではなく、単純に、発展した軍事技術のぶつかり合いを意味する。
- また、アメリカ第34代大統領であるアイゼンハワーは「第三次世界大戦に勝つ唯一の方法は、それ(第三次世界大戦)を防ぐことだ」という言葉を残している。
- 太平洋戦争(第二次世界大戦)前半、文部省は今期大戦後のアジア世界において要となる教育機関を設定し、更に10年後20年後100年後、欧米世界とアジア世界との間で起こるであろう第三次世界戦争に備え人材を確保しようとした。
脚注
- ^ 朝鮮戦争・ベトナム戦争はどちらかと言えば「代理戦争」の性格が強い
- ^ http://jiji.com/jc/c?g=int_date2&k=2009030500820 [リンク切れ]